ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第133回「まどわせないで」【第23週】

あらすじ

糸子(夏木マリ)は里香(小島藤子)に、ジャージを脱ぐか東京に戻るかだと話す。翌朝、里香はいつものジャージをやめ、あり合わせの古着を着る。糸子は譲(川岡大次郎)と栄之助(茂山逸平)に、年配の女性用に作った、体型が変わっても美しく着られるよう工夫した服を見せる。そして“この形で既製服を”と渡す。里香は優子(新山千春)の送ってきた服を着ようとせず、糸子は問いただす。譲たちが新たに商社マンを連れてくる。

133ネタバレ

小原家

リビング

糸子「ここが… あんたの観念どこやな。 あんたが 決め。 東京 帰るか それか… そのジャージー 脱ぐか。 服ちゅうんはな里香 着て歩く事で それに ふさわしい物事を 引き寄せて回るんや。」

糸子「あんたの その頭と ジャージーが やっぱり 見事に この結果を 連れてきたちゅうこっちゃ。 分かるやろ? 世間様と 無関係でおられる人間なんか 一人も いてへんねや。 自分が 世間に どない見えたら こんな目に 遭わんで済むか よう考え。 分からんかったら うちに 置いとかれへん。 東京 帰り。」

『お~い ばあちゃ~ん!』

『どないや 大丈夫け?』

糸子「は~い。」

翌朝

糸子「あんた! 何や その格好? アホか?! 風邪ひくわ。 セーターでも 着んかいな。 お母ちゃん 送ってきてくれるやろ?」

里香「ママの服 着たくない。」

糸子「ああ?」

里香「いいじゃん! 着たくないの! ママに押しつけられんの もう うんざりだし!」

糸子「ふん! ほな これ 着い。」

里香「誰の? これ。」

糸子「さあ。 けど うちに あるちゅう事は 誰かが着てたんやろ。 着り! もう 風邪ひくんやさかい。」

<昭和61年 正月。 初売りの前の日ぃに アホぼんらを うちに呼びました>

オハラ洋装店

糸子「このスーツは 要は 着物と一緒でな ここと ここを ひもで結んで 着るようにしたある。 せやさかい 少々 肥えたかて 調整でけるんや。」

2人「はは~!」

糸子「生地も ええよって 1着 持っといたら 長い事 着られんで。 どや?」

栄之助「ものすご いいです。 なあ?」

譲「おお 思います!」

糸子「ほな これ 持っていき。 デザイン料は あんたの 言うてた 歩合で ええ。 けど… どないなと頑張って 売り尽くしや。」

栄之助「はい! ありがとうございます 先生。 もう 何て お礼 言うたらええか…。」

糸子「礼やったら 譲の ひいじいさんに言い。」

譲「へ? うちの ひいじいさんですか?」

糸子「もう 50年も前の話を ひ孫の友達にまで 持ち出されるとは思わへんかった。 そない立派な人みたいに 代々 言い伝えられてしもたら そら うちかて 格好つけん訳には いかんやないか。」

栄之助「ほな 帰りに こいつんとこの仏壇に 手ぇ合わせてから 帰ります。」

糸子「そうしい。 なあ! お茶 頂戴。」

里香『はい。』

栄之助「よいしょ。」

譲「あれ? この子も 先生のお孫さんですか?」

糸子「里香や。 こないだから おったやろ。」

2人「おおっ! ええ?!」

栄之助「ちょっ 何か あったんですか?」

糸子「フフフフ まあな。 さっ 話は終わった。 あんたら おなか すいたやろ。 寿司と うなぎ どっちがええ?」

栄之助「いやいや それは…。」

譲「それ ちょっと悪いですわ。」

糸子「ええから 言い! どっちや?!」

譲「ほんなら…。」

栄之助「うなぎ!」

譲「寿司で!」

優子のオフィス

優子「え? ほんで 結局 あの子 まだ ジャージー 着てるちゅう事? それとも やめたちゅう事?」

小原家

リビング

糸子「う~ん どうやろなあ…。」

優子『『どうやろなあ』て 何? お母ちゃん 前 言うてたやんな? 里香が ジャージー やめたら うちが 話しに行って ええて。 どっちなん? まだ ジャージー? ジャージー ちゃう? もう どっち?』

糸子「なあ 浩ちゃん どない思う? あれ ジャージーけ?」

浩二「ジャージー…? はあ ジャージー… ですかねえ。」

糸子「まだ ジャージー 着てる。」

優子『ちょっと お母ちゃん 真面目に答えてよ! 里香は 今 一体 何 着てんの?!』

聡子『うちの古着?!』

里香「うん。 小原聡子って 書いてある。」

聡子のアトリエ

聡子「へえ~ 里香 古着 着てんけ? やるなあ。 あんた そんなセンス あるんやったら うち 手伝いに来てよ。」

里香『へえ?』

聡子「あんた ロンドンのおしゃれちゅうたら 古着やで。」

里香『はあ? 古着を おしゃれで着んの?!』

聡子「ほんで あとは うちの 体操着と あと 何 着てんの?」

里香『何か 花の模様のセーターと 誰かの靴下。』

聡子「ハハハハ… おもろいなあ。 見てみたいなあ。」

小原家

リビング

里香「あっ 『直子』って書いてある。」

糸子「はれ 誰と しゃべってんや?」

里香「あ… おばあちゃん 風呂から上がった。 聡子叔母ちゃん。」

糸子「もしもし? ああ 元気やで。 アハッ ハハハハ… うん。」

<せやけど そろそろ 笑てる場合でもありません。 いっぺん ちゃんと 話 せんならん>

寝室

糸子「ふ~ん…。 何が 気に食わへんねん? こんな上等な服を こないようさん 送ってもうてんのに。 せっかく ええ高校 入れてもろて 何で 行かれへんようになんねん?」

里香「おばあちゃん。『ジャージーやめたら 東京 帰んなくていい』つったじゃん。」

糸子「東京 帰れとは 言うてへんやろ。『何でや?』て 聞いてるだけや。」

里香「分かんない…。」

糸子「分からん?」

里香「何か… 半年ぐらい前から急に… ママが買ってきた服も ママが選んだ高校も 絶対 嫌だって思うようになって ママの顔 見るのも ママの声 聞くのも 思い出すのも 嫌。」

糸子「そない 嫌いか?」

里香「嫌いじゃないけど どうしも 嫌になった。 冷たくしたら かわいそうだって 分かってるのに 優しくできない。 どうしても…。」

糸子「はあ… よう 分からんけど。 そら あんたが 大人んなろうと してるんやろなあ。」

(泣き声)

<さて 一方 一日もはよ 大人になった方がええ この人らは とゆうと 突然 何や もう一人 友達 連れて やって来ました>

オハラ洋装店

栄之助「今日は お話があって 来ました。」

糸子「話?」

3人「はい!」

糸子「あ~ あかん あかん! もう うちは 面倒くさい話 嫌やで もう~。」

栄之助「違うんです 先生。 聞いて下さい。」

糸子「嫌や 嫌や! 帰って 帰って! もう 知らん 知らん!」

譲「先生 先生。 何も面倒くさい話 ちゃいますて すごい話なんですて。」

糸子「ええ~?」

栄之助「先生 ものすご いいんです。 あのスーツの売れ行きが。」

糸子「ああ~?」

栄之助「僕 あのスーツに 思い切って 18万ゆう値段 つけたんです。」

糸子「18万?! はあ~…。」

栄之助「それが もう 飛ぶように売れて 100反分の 95着は 予約で完売しました。」

糸子「ほんまかいな?!」

譲「先生! そこで 僕ら 今日 こないして お願いに来ました。」

糸子「何をや? もう。」

譲「先生のブランドを 作らせてもらえないでしょうか?」

糸子「はあ?」

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