ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第136回「宣言」【第24週】

あらすじ

糸子(夏木マリ)は譲(川岡大次郎)に連絡し、自分のブランドを始めると告げる。翌日さっそく栄之助(茂山逸平)や守(藤間宇宙)も一緒にやってくるが、3人は糸子の足のケガに驚く。半年後の発表に向けて、急ピッチでブランドの準備をと、はりきる糸子。優子(新山千春)や直子(川崎亜沙美)が心配して止めるが、決意は固かった。一方優子は久しぶりに里香(小島藤子)と話し、いつかは高校にと促しつつも、糸子のことを頼む。

136ネタバレ

小原家

リビング

テレビ『空気が流れ込むため 西日本では 気温が上がりそうです。 一方 北日本では 冷たい空気が居座るため 寒さが続くでしょう』。」

孝枝「里香ちゃ~ん。 はい。 これ 先生に持っていって。」

里香「はい。」

(呼び出し音)

『はい 河瀬商会でございます。』

糸子「あっ お世話になってます。 オハラ洋装店の小原です。」

『いつもお世話になっております。』

糸子「あの 譲さん いてはりますか?」

『はあ 少々お待ち下さい。』

♬~『エリーゼのために』

譲の父『どうも 先生 こんにちは。』

糸子「ああ 社長。」

譲の父『あいにくね 今 譲が ちょっと外に出てるんですわ。』

糸子「ああ… そうですか。 あ~ いえ あの… こないだ 譲が 面白い言い方してたんですわ。」

譲の父『面白い言い方?』

糸子「攻撃が 一番の 何ちゃら 何や 攻める事が 守る事になるちゅうな意味の…。」

譲の父『あ~あ『攻撃は 最大の防御』ですか?』

糸子「それですわ! ハハハハ。」

譲の父『そうですか。 それを 譲に聞きに?』

糸子「はい… いや ちゅうか… はい。」

譲の父『まあまあ せっかく 先生から 電話 頂いたんやさかい また 帰ってきたら 電話させますわ。』

糸子「いやいや もう そんな。 わざわざ よろしいで。 はあ… ほな 一応 言うといて下さい。 おおきに。」

(ため息)

(テレビ)

糸子「ほれ あんたも もう 早う寝え。 明日も早いで。」

里香「うん。 電気 消す?」

糸子「うん。」

(電話の呼び鈴)

糸子「つけて! 電気 つけて!」

里香「あ はいはいはい。」

糸子「もしもし?」

譲『あ 糸子先生ですか? 夜分 遅くなって すみませ~ん。 『攻撃は 最大の防御』です 先生。 何や 親父が 答えてしもたそうですけど ハハハ…。 いや~ せやけど うれしいわ~。 先生が僕に電話くれるなんか そんなん 初めてですやん。 ねえ。 ハハハハハハ…。 先生? もしもし?』

糸子「あんなあ 譲。」

譲『はい。』

糸子「うちな やるわ。」

譲『へ?』

糸子「自分のブランド 始めるわ!」

岸和田商店街

譲「糸子先生 本気で動き出したぞ。」

栄之助「来た 来た 来た!」

高山「ついに ついに。」

譲「高山 大丈夫か?」

高山「大丈夫 大丈夫!」

(3人の笑い声)

小原家

リビング

譲「先生?!」

糸子「フフフ。」

譲「え! どないしはったんですか?」

糸子「骨折や。」

譲「え! どないしはったんですか?」

糸子「骨折や。」

譲「はっ? 何で また それ?」

糸子「階段から落ちてな。」

3人「はあ~?!」

譲「ちょっと 何で言うてくれんのですか?」

糸子「言うて どないなるもんでもないがな。 ほれ! 今日は そんなんで来たん ちゃうやろ。 さっさと始めよ。」

譲「ああ… せやせや。」

栄之助「あれ出して。 あるか? ある?」

糸子「とにかく座り!」

3人「ああ… はい。」

糸子「そこ ちゃう! 椅子や。」

3人「ああ… こっち こっち。」

糸子「とりあえず 発表の日を決めたんや。 7月20日。」

栄之助「半年後ですか?」

糸子「うん。 やると決めたら ちんたらしとかて しゃあない。 ガ~ッと いこと思う。」

譲「いやいや でも せんせい この脚 ほんま 大丈夫なんですか?」

糸子「これは 1か月で治る。 うちは 風邪でも 仕事してたら 治るしな。 心配 要らん。 娘らのブランド作りを 手伝うたよって うちも なんぼかは 要領は分かってる。 けど そら あんたの方が プロやろうから こっから先の段取りやら 固めてもうて ええか?」

高山「はい 分かりました。 考えておきます。」

譲「ブランド発表までの流れて これ 大体 どんな感じよ?            」

高山「まあ 今回の場合だったら まず 先生に 会社を作ってもらうんだよ。 法人と個人じゃ 社会的信用度が 全然 違うからさ。 法人になれば 資金も 借りやすくなるし。」

後日

糸子「だんじりはな その… 重たいやろ。 重たいもんが 走り出したら 今度 止まらんねやなあ これが。 そら 誰が 何ちゅうたかて 止まらん。 周りは まあ 余計な心配せんと『はあ~』ちゅうて 見といたらええ。」

優子「プレタはな ほんまに 大変な商売なんやで。 始めてしもたが最後 一秒たりとも 息抜かれへん 気ぃ抜かれへん。 ず~っと 仕事に 追いかけられ続けるんやで。」

直子「うちらでさえなあ こんなけ ヒイヒイ 言うてんや。 こんなん言うたら 悪いけど お母ちゃんの その体で 絶対 絶対 耐えられる訳 ないんや!」

糸子「もう 決めてしもた!」

優子「ああ~?」

直子「んも~…。 引退してくれ ちゅうてんのに 何でまた ブランドなんか始めんねん? はあ…。」

糸子「まあ… 心配かけるけどやな 堪忍な。 うちは やっぱし こうゆうふうにしか生きられへん。 そら どんなけ大変な仕事か うちかて よう知ってる。 せやさかい もう始めてしもてから まあ 落ち着かんし ヒヤヒヤも ソワソワもしてるわ。 けど… 久しぶりに 何ちゅうか こう おもろいんや。 ほんま おもろい。 夜 寝るんが 惜しゅうて 朝 起きるんが 楽しみでな こんなん いつぶりやろか。」

直子「は~ああ うん…。」

優子「お母ちゃん。」

糸子「うん?」

優子「ほな うちと一緒に やろ。」

糸子「あ?」

優子「要はな うちのブランドの中に シルバー向けのラインを作ってな そこの専属デザイナーとして お母ちゃんを立てるんや。 それやったら うちの販売網で やれる。 売り出しに そこまで苦労せんで ええし 失敗のリスクかて 少ない。」

直子「ええやん。」

優子「なあ!」

直子「それ ええやん。 そないし お母ちゃん!」

糸子「ふ~ん… いや ええわ。」

優子「何で?!」

直子「何でやねんな?」

糸子「せやかて あんた ほんな 敵に 塩 送るようなまねした あかんで。」

優子「敵?」

糸子「うちかて あんたらみたいな商売敵から ほんな情け 受けたない。 この 今の うちのおもろさはな 自分の身銭 切ってこそなんや。 自分の体で 崖っぷち 立たん事には 絶対 ここまで おもろないよってな。」

直子「おもろなかても ええやん! 72やで?!」

糸子「いいや うちは おもろないと 嫌や! アイテテテテ。 おもろいん 諦めて 生きてなんか おれるかいな! あんたらも 72なったら 分かるわ。 ハハハ フフフフフ。 アイタタ!」

優子「痛いんやろ?」

寝室

優子「里香。 いろいろ おばあちゃんの手伝い してくれてるんだって? ありがとね。」

里香「別に… 自分のおばあちゃんだし。 お礼なんか 言われる筋合い ないし。」

優子「親としては… 複雑なところなんだけど たまたま 今 あんたが ここに いてくれたのは ほんとに助かったわ。 でも… 高校は 行かなきゃ駄目だからね。 それだけは 覚えてて。 おばあちゃんだって 自分のために あんたが 高校 戻らずに ここに いるなんて 絶対 望んでない。 それは 分かるでしょ? じゃあ ママ… とりあえず 今日は… 帰るから。 おばあちゃんを よろしくね。」

(目覚まし時計の音)

(電話の呼び鈴)

糸子『起きや! 朝やで!』

里香「分かってるよ。」

リビング

糸子「ほれ! みそ汁 煮上がってしもてるがな。 気ぃ付け ちゅうたやろ。 みそはな 煮上げたら 風味が 飛んでしまうんや。」

里香「ああ もう うるさいな。 ちょっと黙っててよ。」

糸子「かき混ぜな!」

里香「分かってる。 今 やろうとしたじゃない!」

テレビ『そんな ときめきがあった』。

里香「え~!」

糸子「ここで 終わりかいな! は~ どないなるんやろな?」

<さあ だんじりは 走りだしました。 もう止まりません>

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