あらすじ
ショーの当日。糸子(夏木マリ)はモデルの患者や病院職員に、観客に幸せを分け与えろと話す。そして加奈子(中村優子)に紅白のカーネーションの花びらを渡し、奇跡を見せるように言う。ショーが始まり、糸子のアナウンスに合わせ、モデルたちは生き生きと歩き、ポーズをとる。最後に加奈子が登場。胸がいっぱいの糸子に代わって、相川(山田スミ子)がアナウンスする。夫や子どもたちを前に、加奈子は輝く笑顔で花びらをまく。
145回ネタバレ
小原家
座敷
(小鳥の鳴き声)
病院
病室
(ドアが開く音)
加奈子「おはよ!」
「ママ 今日 頑張ってな!」
「頑張ってな!」
加奈子「うん。 見てて! ママ めっちゃ きれえになるから。」
ホール
里香「もうちょっと 明るいイメージが いいか。」
糸子「おはようさん。」
孝枝「おはようございます。」
スタッフ達「おはようございます!」
里香「おばあちゃん。 ちょっと モデルさん達 見てほしいんだけど。」
糸子「うん。 どこ?」
里香「あっち。」
デイルーム
糸子「へえ~ みんな うまい事 化けたな。」
(笑い声)
糸子「ごっつい別嬪さんが ようさん仕上がりました。 あとは よろしいか 皆さん。 胸を張って。 今 ホールに続々と集まってきてる お客さんらは 何を見に来てるか 分かりますか?『幸せ』です。 女が きれいにして おしゃれして 楽しそうに歩く。 その幸せを 見に来てるんです。 見る人に 幸せを分け与えよ思たら まず 自分が 一番幸せな気持ちで 歩かな あきません。」
ホール
「席は どこでも いいんですか?」
好きなお席に お座り下さい。」
デイルーム
糸子「あんたは トップやさかい 特に 堂々としてや。」
「はい。」
糸子「これが どうゆうショーか バ~ンと お客さんらに 伝える それが トップの役目や。」
糸子「男前が エスコートするけどな 男前に しがみついてるふうには ならんといてや。 この男前が うちに ゾッコンやさかい 連れて歩いちゃあってんや くらいの顔して 歩いてや。」
「ど… どないな顔したら ええのやろな?」
「経験ないよってなあ…」
糸子「でける! 絶対 でけるよって。」
ホール
「見えるか?」
「見える。」
「僕 見えへん。」
「そら あんた 前に 行かさしてもらい。」
「うん。」
「ゆ~ちゃんも 前がええ。 前 行く!」
デイルーム
糸子「まだや! 今からや。 まだ 泣いた あかん! あんたは このショーの大事なトリや。 他の子ぉらは 幸せ 見せな あかんけど あんたは まだ一段 ごっついもんを見せる 役目が あるんやったな。 何やった?」
加奈子「奇跡…。」
糸子「せや! あんたが 奇跡になるんや。 ほんで 見てる人らに 奇跡を 分けるんやで! ええな?」
加奈子「はい…。」
ホール
(ざわめき)
里香「おばあちゃん。」
糸子「うん。」
(ざわめき)
里香「準備 OKです。 本番 スタート。」
観客「うお~!」
(拍手)
糸子「いよいよ 始まりました。 岸和田中病院ファッションショー!」
(拍手)
糸子「トップバッターは 坂崎真紀さん。『私は 5階 西病棟の看護婦です』。 そんな真紀さんのドレスは 往年の大女優 マレーネ・ディートリヒのイメージ。 長い脚を見せる 深いスリットが ポイントです。」
(拍手と歓声)
糸子「続いては 大江澄子さん。『リューマチを患っていますが ショッピングが 大好き。 神戸に出かけて センスを磨いています』。」
糸子「『私は 来年 母親になります』。」
(拍手と歓声)
糸子「『今日は おなかにいる子供と 思い出を作りたくて 出場しました』。」
「きゃ~! 格好ええ!」
糸子「続いて 龍村院長のエスコートと共に 登場するのは 志村マサエさんです。 本院で 肺の手術を受けられました。『私は 去年 20年 介護した主人を 亡くしました。 気楽な独身に戻った今 ますます 人生を楽しみたいと思てます』。」
(拍手と歓声)
(拍手)
相川「さあ いよいよ トリは 吉沢加奈子さん。 5階 東病棟に 入院中。」
(拍手)
「ひゃ~ ほ~!」
相川「『私は 3か月前に…』。 『末期がんと診断されました。 でも 決めました。 私は 幸せになります。 大好きなパパ 大好きな み~ちゃん ゆ~ちゃん 優しい先生方 看護婦さん達 見ててね。 私は 今も これからも 絶対に幸せです!』。」
(拍手と歓声)
(拍手と歓声)
相川『ありがとうございます』。
加奈子「パパ~!」
相川『ありがとうございます。 皆さんにも きっと 奇跡が起こりますように』。
(拍手)
玄関
龍村「桜井さ~ん!」
龍村「え~と… 桜井さん あの もし お時間 よろしかったら どうですか 院長室で… ハーブティーでも。」
奈津「え?」
<こら 天からのご褒美やろか>
糸子「待っとれ。」
<奈津に 会えました>
<2002年1月 イブ・サンローランが 引退を発表しました>
小原家
ベランダ
<お疲れさん うちは もうちょい 頑張るよってな>