あらすじ
入院して数日後。糸子(夏木マリ)の病室は見舞い客が多く、花であふれる。糸子はオシャレをして客を出迎え、楽しく過ごしている。譲(川岡大次郎)や栄之助(茂山逸平)もやってきて、糸子が美しくなったとひやかす。譲らを見送って病室に戻った里香(小島藤子)は、ある予感に思わず泣きだす。3月26日、イギリスは母の日だった。ロンドンの聡子(安田美沙子)に、優子(新山千春)と直子(川崎亜沙美)から悲しい連絡が入る。
150回ネタバレ
病院
病室
(ノック)
糸子「は~い!」
相川「まっ!」
糸子「あ!」
相川「先生!」
糸子「うわ 孝ちゃんかと思た。」
相川「お化粧は あかんちゅうたでしょう! 顔色が 分からへんやないですか!」
糸子「いや ちょっ その 今日は 見舞い客があるよってな。 病人みたいな顔 見せる訳には いけへんやないか。」
相川「先生は 病人なんです。 病人らしい顔しといて下さい。」
糸子「いや 堪忍。 ほんま堪忍 今日だけ。」
栄之助「ほんまに お花畑ですね。」
糸子「あんたら 何 食べる?」
譲 栄之助「え?」
糸子「ケーキ!」
栄之助「ああ これですか?」
糸子「おかき せんべい。」
栄之助「ああ~。」
糸子「チョコレート。 何でもあんで。」
譲「せやけど 何や先生。 ちょっと 若返りはった事ないですか?」
糸子「はれ。 珍しい事 言うてくれるやないか。」
栄之助「僕も さっき そない思いまして。 パッと 先生の顔 見た時に。」
里香「へ~!」
栄之助「好きな人でも できはったん ちゃいますか?」
糸子「フフフ…。」
譲「ああ そっか…。 そうでしょ 先生。」
糸子「ハハハ!」
里香「えっ まじで? そうなの? おばあちゃん!」
糸子「ハハハ!」
栄之助「そうなんや! ハハハ!」
里香「え~!」
糸子「ほうか そない見えるか。 ハハハ!」
<確かに 恋をした時と よう似てる。 あの朝 目ぇが覚めてから>
(小鳥の鳴き声)
<世の中が えらい 何でもかんでも きれえに 見えるようになってしもた>
(ノック)
糸子「はい。」
里香「見送ってきたよ。」
糸子「ほうか。 おおきになあ。 うん?」
里香「そんな… しみじみ言わないでよ。」
糸子「おっかしか?」
里香「おかしいよ。 見送ってきただけなのに。」
糸子「あんた…。 きれえやなあ。 どないした?」
聡子のアトリエ
(英語で)
聡子『ミッキー どこいってたの? この忙しいのに』
ミッキー『ごめん お花買いにいってたの 今日は母の日だから』
『そんなの あとにしてよ 今 忙しいのに』
ミッキー『だって 早く買わないと 売りきれちゃったら困るじゃん』
(携帯の着信)
ミッキー『ママになんてゆうのよ』
聡子「ハロー!」
優子『聡子…。』
聡子「優子姉ちゃん? どないしたん?」
(鐘の音)
聡子「もしもし?」
優子『あんな 聡子…。 お母ちゃんがな。』
聡子「嘘や。」
優子『亡くなったよ。』
聡子「嘘や!」
(泣き声)
(泣き声)
病院
(泣き声)
小原家
オハラ洋装店
枝「あ…! まだ見てはらへんのと ちゃいます?」
2階
(感嘆の声)
孝枝「ええでしょう?」
直子「はあ~!」
優子「うわ~! また 立派なバーカウンター!」
直子「ああ。」
優子「お酒もグラスも びっしり。 はあ『なんぼでも飲んでや』ちゅう事やな。」
直子「好きなだけ飲んで 好きなだけ だんじり見てや。」
優子「せやな。 どないしたん?」
直子「これ。 ここに写真飾ってな ちゅう事やで。『ほんで ここに 花 置いてや』。」
優子「そうや。 はあ~。 ほんま かなわんなあ。」
直子「ほんまなあ。」
優子「やっぱし うちらの 何枚も うわてや。 あの人。」
リビング
(泣き声)
聡子「お母ちゃん! ただいま!」
(泣き声)
聡子「イギリスはな…。 母の日やったんやで 昨日。 ごめんな お母ちゃん。 娘のくせに 見送る事もでけんで ごめんな!」
(泣き声)