ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第26回「私を見て」【第5週】

あらすじ

支配人の花村(國村隼)に“ダメ出し”をされ、糸子(尾野真千子)は斬新なデパートの制服を考えようと悩む。しかし八重子(田丸麻紀)は変わった服ではなく、「よい所に連れていってもらえそうな服」を考えるよう、アドバイスする。善作(小林薫)からは、現物を作って店に行くように言われ、糸子は2日徹夜して縫い上げる。作った制服は、家族には好評で善作は持って行くより糸子が着て行ったほうが、話が早くて面白いと言う。

26ネタバレ

心斎橋百貨店

入口

糸子「あかんとこ 直しますさかい。」

花村「ええかげんにしなはれ! ようは 普通なんや。」

小原家

小原呉服店

♬~(ラジオ『きよしこのよる』)

八重子「こんにちは~!」

静子「八重子さん。」

清子「こんにちは~!」

八重子「糸ちゃん 帰ってきた?」

子供部屋

八重子「あかんかった?」

糸子「けど 一回 断られたくらいで 諦めへんで うちは。 まだ 他に決まった訳 ちゃうねん。」

何回でも 持ってちゃる。」

八重子「『MOGUE』へえ『婦人画誌』も? 買うてきたん?」

糸子「帰りに 心斎橋でな。 そやけど 何も参考に なれへんかったわ。」

八重子「そうけえ。」

糸子「なあ。 これ どない? ワンピースやねんけど 袖が振り袖になってんねん。」

八重子「そらまた 何で?」

糸子「普通やって言われたよって どっか変わってた方が ええんかなあ思て。」

八重子「振り袖なあ。」

糸子「はあ~! ああ どないしよう! はよ持っていかな 他に 先 越されてまう! あ~! けど 考えれば考えるほど 分からんように なってきてしもて。」

八重子「そない びっくりするぐらい 変わってんで ええんとちゃうん。」

糸子「う~ん?」

八重子「だって 百貨店の店員さんが そんな びっくりするぐらい 変わってる服 着てたら 安心して買い物できへんわ。」

糸子「支配人は 制服は 百貨店の顔やて 言うちゃったわ。 そら 顔て考えたら あんまし 変わっちゃっても まずいかもしれへんなあ。」

八重子「百貨店ちゅうたら やっぱり いろんな格好の客さんが いてるやろ?」

糸子「うん。」

八重子「その中で こう ぱっと目について この人に案内してもろたら うれしいなとか この人から買いたいなとか 何か そういう顔 そういう服 ちゅうんが あるんとちゃうんかな。」

糸子「うん。」

<そういえば うち 昨日 店員さんの事 ずっと見ちゃったけど 正直 そないええとこに 連れてってもらえそうな 気は せえへんかった そやけど あれが もっと うれしなるような ええとこに 連れてってもらえさおうな後ろ姿>

糸子「そうや!」

<どないしたら気に入られる やろうて考えてたから しんどかったんです うちが うれしなる服を描こう。 見てるだけで楽しなって 話しかけたなる ついていきたなる そんな服を描こう>

善作「出来たんか?」

糸子「お父ちゃん。 でけた。 今から持っていく。」

善作「うん。」

糸子「で… ちょっとでも 気に入ってくれたら 見本 作らせてもらうとこまで 持ち込んでみる。」

善作「見せてみい。」

糸子「え?」

善作「お前が 描いたもん わしに見せてみい。」

糸子「え? けど 洋服やで。」

善作「わしが 見せてみいちゅうてんじゃ! 黙って見せんかい! お前 わしに洋服は分からん 思てるやろ。 ヘヘヘ。 それが 分かるんじゃ。 おんなじ糸のもんやさかいにな。 ふ~ん。 しかし 何や かったるい話やな。」

糸子「え?」

善作「さっさと 見本を作ったったら ええやないけ。」

糸子「は?」

善作「こんな ちょろちょろした絵 見せられるより 現物をやな これですっちゅうて ば~んと見せられた方が よっぽど おもろいで。」

糸子「うん。 ほんまやな。 ば~んとな。 ああ…。 そっちの方が おもろいわ。」

善作「せやろ?」

糸子「いや けど ちょっと待って。 作んにはな まず 生地代かかるしな 時間もかかって あかんかったら 丸損やで。」

善作「うん そらまあ そうやな。」

糸子「そら 賭けやな。」

善作「けど そっちの方が おもろいで。」

糸子「ふん…。 お父ちゃん。」

善作「ん?」

糸子「生地代ある?」

善作「ない!」

居間

<そんな時の奥の手が この箱です。 うちらが 神戸箱と呼んでいる この箱には 夢みたいな宝物が ようさん しもてあります。 全部 神戸のおばあちゃんから 送たれてくるプレゼントやら お祝いやらで どれもこれも ごっつい すてきなんやけど 使いみちがありません。>

<おばあちゃんは いまだに 何も分かってへんのか はたまた 全部 分かってやってんのか とにかく まあ 大概は 妹らの文房具に化けたり 運動靴に化けたりします>

糸子「やっぱし きれえなあ。」

<心斎橋の質屋を2軒 道具屋を2軒 回って>

質屋

糸子「いや もうちょい もうちょい! こんだけ!」

「いやいや そら かなわんわ!」

糸子「そやけど 見て このレース! 上もんやで!」

<生地屋は 10軒ぐらい回って その日 見た中で 3番目くらいに ええ生地を 買いました>

生地屋

糸子「すんません。」

店主「へえ。」

糸子「これ ください。」

<それが 精いっぱいでした>

小原家

子供部屋

糸子「よし!」

糸子「はあ~。 でけた~。」

<よう考えたら 丸2日 寝てませんでした>

糸子「ええんちゃう? フッ。」

居間

糸子「なあ 見て 見て!」

(歓声)

糸子「ええやろ? ええなあ これ なあ?」

妹達「ええなあ!」

糸子「後ろも見て!」

(歓声)

糸子「こんな人 百貨店に いちゃったら 何や 話したなるやろ? ついていきたなるやろ?」

一同「なる なる!」

糸子「お父ちゃん どない?」

善作「お前な そのまま着ていけ それ。」

糸子「え?」

善作「その何や 支配人か? 待ち伏せして 頭下げて 風呂敷広げて 見てもらうやら そんな かったるい事せんとやな その おっさんの目の前に お前 それ着て ば~ん 出て行ってやな『これです』言うちゃれ!」

糸子「はあ!」

善作「その方が 話 早い! ほんで おもろい!」

糸子「うん そやなあ!」

<さえてる。 さえてるわ お父ちゃん 案外 洋服屋のんが 向いてんちゃうやろか>

木岡履物店

糸子「おはようさ~ん! おっちゃん おばちゃん!」

木岡「えらい格好して 糸ちゃん どないしたん?」

糸子「おっちゃん 朝早う堪忍やけどな 靴 売ってほしいねん。」

木岡「靴?」

糸子「うん。 ほんで 堪忍やけど つけで頼むわ。」

木岡「つけかいな?」

岸和田商店街

<ほんな訳で うちは初めて 自前のハイヒールで 岸和田商店街を歩く事に なりました。 根岸先生は 言うてた>

回想

根岸「堂々としなさい。 洋服を着て胸を張って 歩くという事を あなたの使命だと 思いなさい。」

回想終了

<脚 寒いけど うちは負けへんで!>

心斎橋百貨店

入口

糸子「おはようございます!」

「おはようございます!」

糸子「そや… どないですか?」

「え?」

糸子「お宅らの制服に」

「うちらの?」

糸子「へえ。」

「ええわあ。」

糸子「ほんまに?」

「うちも着たいです。」

糸子「あ おおきに! おおきに! よっしゃ! ほな 行ってくら!」

「行ってらっしゃいませ!」

エレベーターホール

「上へ参ります。」

<そろそろ降りてくる時間やな。 あかん 緊張してきた。 せっかく作った見本や。 一番 格好よう見せな。 着てる うちが しみったれちゃったら 元も子も あらへん。 胸 張って。 あかんかったら どないしよう 胸 張って>

糸子「あ… こんにちは! 小原でございます。」

花村「ああ。」

糸子「見本 作ってきました。」

花村「ほう。」

糸子「どないでしょうか?」

花村「うん…。」

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