ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第27回「私を見て」【第5週】

あらすじ

制服の試作品を着てきた糸子(尾野真千子)に、花村(國村隼)は驚くが、店内に糸子を立たせ、採用を決める。ただし正月セールに間に合うよう、1週間に20着を仕上げるという厳しい条件だった。家族は喜んで糸子を手伝うが、借りようとした桝谷パッチ店のミシンが、年末は使えないことが分かる。糸子は神戸の松坂家に行ってミシンをかけることにし、祖母の貞子(十朱幸代)たちは喜ぶが、それを聞き善作(小林薫)は激怒し…。

27ネタバレ

心斎橋百貨店

エレベーターホール

糸子「こんにちは! 小原でございます。」

花村「ああ。」

糸子「見本 作ってきました。」

花村「ほう。」

糸子「どないでしょうか?」

入口

花村「うん…。 ちょっと… ちょっと そこ 立ってみて。」

糸子「ここ?」

花村「うん そこ そこ。」

「いらっしゃいませ!」

糸子「いら… いらっしゃいませ!」

花村「君 ちょっと…。」

糸子「いらっしゃいませ!」

エレベーターホール

花村「手ぇ もうちょっと上げて。 はい はい。」

客「なあ ネクタイいうたら どこに おまんの?」

糸子「えっ? あ…。 おばあちゃん ごめん ちょっと待っててな。」

「はい。」

糸子「すんません ネクタイて どこに売ってんですか?」

社員「あっ! お客様 ネクタイでございますか?」

「はい。」

社員「こちらで ございます。」

<やった! 話しかけられた! 成功や~!>

応接室

(ドアの開閉音)

花村「結論から 言いましょか? 採用です。」

糸子「おおきに!」

花村「けど ここからが相談や。 せっかく 制服を一新するんなら 新年の初売りから ド~ンと お披露目したいんや。 間に合うか?」

糸子「初売り?」

花村「おう。」

糸子「何日ですか?」

花村「3日。 あと1週間。 数は 20。 もし あんたとこが無理やったら デザインだけ買わしてもろて 縫製は よそに頼む という手もある。」

糸子「やります!」

花村「20着 1週間やで。」

糸子「やります! 任せといて下さい。」

花村「え~と… あと そいでやね 大きさは 3種類 作ってほしいんや。 え~と… 大が3着 中が12着 小が5着。 で 都合 20着や。 これをやね え~ 1月2日の う~ん そうやな 朝10時には 納品してもろて…。 できるか? ほんまに。」

糸子「できます。」

花村「あ… いや しつこいようやけど 1週間で 20着やで。」

糸子「できます!」

エレベーターホール

糸子「おおきに!」

<はあ~! えっらい仕事 受けてまいました!>

糸子「えらいこっちゃ!」

生地屋

糸子「こんにちは!」

店主「へえ 毎度!」

糸子「すんません。 この生地 丸一反 ありますか?」

店主「えっ?」

糸子「この生地!」

<百貨店は とりあえず 2割ほどの前金をくれました>

店主「お嬢ちゃん これ しょえるか? 重たいで 大概。」

糸子「あ… しょえる しょえる!」

小原家

小原呉服店

<まあ うちのハイヒールも 初日から こんな仕事させられるとは 夢にも思てへんかった事でしょう>

糸子「ただいま! あっ! うわうわ! あっ 重たかった!」

木岡履物店

糸子「そや そや そや…。 おっちゃん おおきに! 靴代 返すわ!」

小原家

居間

糸子「おばあちゃんは 大の型紙 お母ちゃんは 小の型紙 合して 生地 切っていって。 で それが済んだら 中の型紙 これが12着分やさかいに 手分けして やって!」

ハル「うん 要は これに合わせて 生地 切ったら ええんやろ?」

糸子「そや。 お母ちゃん 分かるか?」

千代「うん 分かった…。

糸子「あ… ほんまに 分かってんのかな?」

光子「ただいま!」

糸子「あっ ええとこ帰ってきた。 光子! 光子! 手伝うて!」

糸子「えっ? 光子は?」

善作「店番さしてる。」

糸子「えっ けど 手伝うてもらわな。」

善作「そやから あいつに店番さして わしが手伝うちゃる 言うてんじゃ。 言え! どないしたら ええんね? えっ?」

糸子「おおきに!」

<よかった。 お父ちゃんが 手伝うてくれんねやったら安心や>

糸子「これに合わしてな 印してや。」

善作「ああ… そんなん分かっとるわい。」

ハル「えっ?」

千代「うん? いや…。」

ハル「しっかりしいや。」

千代「しっかり…。」

ハル「線 引いたあるやろ?」

千代「へえ。」

ハル「そのとおり 切ったら ええんや。」

千代「へえ。」

<とりあえず 裁断を お父ちゃんらに任せて 次に うちが せなあかんのは ミシン探しです>

枡谷パッチ店

仕事場

糸子「こんにちは!」

職人達「小原!」

玄関前

さよ「おとうちゃん! はよ! はよ はよ! ほい ほい! よいしょ よいしょ! おとうちゃん はよ はよ!」

仕事場

枡谷「おおっ 久しぶりやないか!」

糸子「御無沙汰してます。」

枡谷「いや~ こっち来い こっち来い。」

糸子「おおきに。 けど すんません。 急いでますねん。 相談したい事があって。」

枡谷「何や 何や?」

枡谷「ミシン… ミシンか~。」

糸子「はい。 使わせてもらえませんやろか?」

枡谷「そら 使わせちゃりたいんは やまやまやけどなあ。」

坂本「そやけど 大将 うっとこも 今年は 30日まで みっちり やるさかいな。」

田中「年の瀬やよって 夜も 結構 ミシン使うしな。」

枡谷「まあ 大みそかと 元旦やったら なんぼ使うてもうても ええねんけどな。」

岡村「正味 その2日で 20着… 縫えるか?」

糸子「いや 無理ですわ。」

枡谷「よそで どっか ミシン 空く店 ないか?」

さよ「年の瀬はなあ どっこも忙しさかいなあ。」

糸子「おおきに! 邪魔しました! 他 考えますわ。」

枡谷「おい おい! 茶ぐらい飲んでいけや おい!」

糸子「すんません。 また 来ますよって。 おおきに!」

田中「何や あいつ 格好ようなりよったのう。」

玄関前

山口「小原! おい 小原! 茶ぐらい 飲んでいけや! 頑張れよ!」

糸子「あ… ちょっと 湯飲み。」

(ドアの閉まる音)

<相変わらず 訳の分からん人です>

松坂家

廊下

(男の笑い声)

貞子「あんた どっかで 遊んどうやろ? あいびきか? 心斎橋か? 正直に言うてみい。」

糸子『遊んでへん! 遊んでへん!』

木之元電キ店

糸子「近所の電気屋や。 電話 借りてて」

♬~(ラジオ)

糸子「そこのラジオが うるそうて。」

(笑い声)

糸子「ちょっと待ってな。 おっちゃん! ちょっと 音 小さして。」

木之元「へえ! アハハハッ!」

糸子「もしもし? あのな おばあちゃん そっちの工場で 年明けまで使わへんミシン ある?」

松坂紡績

清三郎「何? 糸子が… うん… うんうん… ふ~ん…。 ある ある! ミシンなんか なんぼでも使うたらええ! ああ 送ったろか?」

貞子『それがな 送っとったら 間に合わへんのやって。 そやから…。』

清三郎「何やて? こっちに泊まり込むんか。 そら ええ! そら ええこっちゃ! うん! ミシン 何台 要る? 何台でも そろえたんで! えっ? 何や 1台で ええんか。 ハハハッ まあ そらそうやな。 糸子は 一人やからな! うん。 まあ 任しとけ!」

木之元電キ店

♬~(ラジオ)

(電話の呼び鈴)

糸子「はい 木之元電キ! はい… あっ おばあちゃん。 どやった? ああ… あった? ミシン。 ああ よかった~! うん… うん! ほな もう 今日から そっち行くわ! うん… うん… ほなな!」

(笑い声)

糸子「おおきに おっちゃん!」

木之元「あっ おう!」

小原家

座敷

糸子「ただいま!」

善作「おう。 どやった? パッチ屋。 ミシン 貸してくれるてか?」

糸子「あかんかった。」

千代「えっ!」

糸子「そやから 神戸 行くわ。」

善作「神戸?」

糸子「うん。 今 おばあちゃんに 電話して聞いたらな『なんぼでも使い』て 言うてくれたさかい うち とにかく あっちで 縫製 始めるわ。 残りの生地は 裁断 済んだら 静子にでも届けさせて。」

千代「はあ…。」

ハル「そら よかった。」

糸子「出来た分は?」

ハル「これこれ これが…。」

千代「ほな あっち泊まるんか? 寝巻きやら…。」

糸子「ええ! 全部 もう あっちで おばあちゃんが『そろえといちゃる』って 言うてくれたさかい。」

千代「はあ~!」

糸子「『あんたは とにかく 縫うもんだけ 持っちょいで』って。」

千代「う~ん よかったな。」

ハル「よかった よかった。 ほれ! はよ 行っちょいで!」

善作「あかん!」

糸子「えっ?」

善作「わしは 許さへんど。」

糸子「はあ?」

善作「神戸なんぞ 行くな!」

糸子「『行くな』て… 行かな ミシン ないんやで。 ミシンなかったら 縫われへんやで。」

善作「じゃかましい! 行くなちゅうたら 行くな!」

糸子「むちゃくちゃや そんなん。 お父ちゃんかて ミシン…。」

(たたく音)

善作「口答えすな! ええか? 神戸なんぞ行ったら 二度と うち 入れへんぞ!」

糸子「そんな…。 どないしよ…。」

ハル「行ってこい!」

糸子「えっ? けど…。」

ハル「あとは うちらが なんとかする。」

糸子「けど…。」

ハル「いつもの ひがみ根性や。 気にする事 あらへん。 今日は あんたが正しい。 神戸へ はよ行っちょいで。」

静子「行っちょいで 姉ちゃん。」

清子「行っちょいで。」

糸子「お母ちゃん… 大丈夫か? お父ちゃんは お母ちゃんに 一番当たるで。」

千代「心配しな。『へえへえ すんません』ちゅうて 聞いとったら ええだけや。 なあ!」

ハル「ほれ ほれ! ああ これも。」

千代「それも はい はい。」

電車

<そやけど うちには 迷てる暇も ないよって とにかく 電車に飛び乗りました>

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