あらすじ
千代(麻生祐未)たちに説得されて松坂家に向かい、ミシンを使い始めた糸子(尾野真千子)だが、善作(小林薫)の怒りが千代や妹たちに向くことを思うと心が晴れない。案の定、静子(柳生みゆ)から電話がかかってくるが、何と善作がミシンを買ってきたという知らせだった。飛ぶように糸子は帰る。勘助(尾上寛之)まで手伝い、正月であることも忘れて、一同は制服づくりに励む。善作が、ついに糸子の洋服づくりを認めたのだった。
28回ネタバレ
小原家
小原呉服店
善作「神戸なんぞ 行くな!」
糸子「どないしよう…。」
ハル「行ってこい。」
糸子「え? けど…。」
ハル「あとは うちらが なんとかする。」
千代「心配しな。」
松坂家
リビング
貞子「よう来たな~! 寒かったやろ~?」
糸子「うわ~! ごっつ ええミシン! ああ。」
貞子「さっき おじいちゃんとこの 会社の人らが 運んでくれてんで。」
糸子「はあ~!」
「失礼します。」
貞子「そこ 置いといて。 お寝間着やらは 一とおり そろえといたけど 他に 要るもんがあったら 何でも言いや?」
糸子「うん おおきに おばあちゃん。 ほな 早速 仕事さしてもらうわ!」
貞子「はあ? もう仕事するんかいな? 一緒に ココア 飲もうなあ。」
糸子「いや 急がな あかんよって!」
貞子「何や~ しょうもないな~。」
糸子「堪忍!」
清三郎「よう来たな。」
糸子「あ おじいちゃん お帰り!」
清三郎「どないや? このミシン。」
糸子「ものごっつ ええわ!」
清三郎「うん。」
糸子「おじいちゃん ほんま おおきに!」
清三郎「ハッハ そうか そうか。 もうちょっとしたらな 晩御飯やから 頑張りや。」
糸子「うん。」
ダイニング
清三郎「いや それで 慌ててな 使うてないミシンを 探しさしたんや。 いや そしたら 案外 これが 全部 使うとってな。」
貞子「え~ それで どないしたん?」
正一「しょうがないから『社長命令や』で 通したがな。『とにかく一大事やから 誰かのミシン 空けてくれ』言うてな。 ハハハハ!」
貞子「さすが おじいちゃんや!」
勇「けど ずるいわ おじいちゃん。」
清三郎「何でや?」
勇「こないだ 僕が『車 貸して』言うた時は 会社の人に 貸してもたくせに。」
清三郎「そら お前の道楽と…。」
<おじいちゃんとこの晩御飯が おいしいて 楽しければ楽しいほど うちの事が 気になりました>
清三郎「何や 糸子 元気ないん違うか?」
糸子「ううん。」
清三郎「そうか。」
貞子「仕事の事で 頭いっぱいやねんで。」
清三郎「あ そうか! アッハハハハ!」
(電話の呼び鈴)
貞子「ヘヘヘッ おじいちゃん そっくり!」
<お母ちゃん 大丈夫やろか…>
「糸子様。」
糸子「はい。」
「お妹の静子様からです。」
糸子「え…。 ちょっと すいません。」
貞子「静子やって? もうお姉ちゃんの事 恋しなったんと違う?」
(笑い声)
廊下
糸子「もしもし…。」
静子『姉ちゃん 帰ってきて!』
糸子「何で?」
静子『あんな 大変やねん。 お父ちゃんがな…。』
<静子によると うちが神戸へ出かけたあと お父ちゃんは 戻ってきて>
糸子「はあ?」
回想
善作「何やと?! 神戸へ行かせたてか! どうゆうこっちゃ?! 千代!」
千代「はあ そやから 行かせたんです。」
善作「お前?! 自分のやってる事が どういう事か 分かってるのか?!」
清子 静子「やめて!」
善作「どけ お前ら!」
清子 静子「どかへん!」
ハル「千代 殴んやったら 先 うちを殴れ。 うちが『行け』ちゅうた。」
千代「いや けど お母さん うちも『行き』て 言うてしも…。」
ハル「あんた 今 余計な事 言いな!」
千代「はい…。」
(階段を下りる音)
<それから ちょっとして おばあちゃんが店に下りてみると お父ちゃんが 店中の反物と一緒に どっか行ってしもたそうです>
<晩御飯時になっても お父ちゃんは なかなか帰ってこんと おばあちゃんが>
ハル「まあ ええわ。 あんたら もう 先 食べとき。」
<…て 言うた時に やっと>
善作「お~い! ハハッ 帰ったぞ!」
<えらい上機嫌で お父ちゃんが帰ってきて>
妹達「お父ちゃん! お帰り!」
善作 木之元「せ~の! よいしょ! おう!」
木之元「こんばんは!」
妹達「わあ! ミシンや~ ミシンや~!」
ハル「あんた これ どないしたん?!」
善作「買うたに決まっちゃらし。 いっちゃん目立つとこ 置いたんど!」
木之元「善ちゃん ここ ちゃうけ?!」
善作「いやいや。 そこや! そこ。」
木之元「そや そこや! 善ちゃん わし 先 上がるから。」
善作「よいしょ!」
木之元「いや~ よいしょ! ここや ここ! いや~ よっ! 出た! よっしゃ~!」
妹達「うわ~! すご~い ミシン!」
木之元「ええど~ 万歳!」
回想終了
糸子「帰るわ! 明日の朝 一番の電車で 帰るよって! 言うといて お父ちゃんに!『糸子は すぐ帰ってきます』って!」
ダイニング
(貞子のため息)
糸子「ごめんな…。」
(貞子の泣き声)
糸子「泣かんで ええやん…。」
清三郎「泣かんで ええ。 だが… これが 泣かずにおられるか…!」
(泣き声)
玄関前
(車のエンジン音)
糸子「おおきに。」
正一「気ぃ付けてな。」
糸子「うん…。 あのな。」
正一「うん?」
糸子「おじいちゃんらに『また来るよって 元気 出してな』って 言うといて。」
正一「言うとく。 まあな おじいちゃんらも お前の事が 好きで好きで しょうがないんや。」
糸子「ウフフッ… うん! おおきに。」
正一「また おいで。」
糸子「うん!」
小原家
小原呉服店
糸子「ほんまに空っぽや…。」
<こない反物 売ってしもて 店は どないなんねやろう…>
善作「何や お前 帰っちゃったんか?」
糸子「お父ちゃん ミシン ほんま おおきに…。」
善作「何をボサッとしてんねや! 早うせな 仕事 間に合わへんぞ!」
糸子「は… せやった!」
「こんにちは。 あれ!」
一同「いらっしゃい!」
善作「あ 毎度~。 お嬢ちゃんの晴れ着 出来てますんで。」
「ちょっと どないしたん これ?」
善作「やかまして すいませんなあ。 糸子! お客さんや。 ミシン やめえ!」
糸子「はい!」
善作「うちとこ 洋裁も 始めましてん。 こっちの方も ごひいきに お願いします。」
「ふう~ん。」
<ミシンが来てから それまで 2階で こっそりやってた洋裁を 今度は 店で 堂々と やるようになりました。 お父ちゃんが『そないしよう』て言いました>
居間
<1月1日。 けど 今年の今日は お正月やなくて 納品の前の日ぃです>
♬~(ラジオ『春の海』)
(ミシンの音)
<気ぃ付いたら いつの間にか 勘助が来とって>
ハル「あんたらも 食べり。」
妹達「うん。」
ハル「おおきになあ。 お母ちゃん 八重子さんに よろしゅう言うといてや。」
勘助「うん。」
ハル「糸子。 あんたも 呼ばれ。 勘助ちゃんが おせち 持ってきてくれたで。」
糸子「うん。」
(ミシンの音)
夕方
糸子「ああ… あ~ ガッチガチや~! う~ん ああ…。」
<ほんで 次に気ぃ付いたら 勘助が 糸くず取りをしてました>
翌朝
<出来ました。 心斎橋百貨店の制服20着です>
玄関
勘助「(小声で)ほな 行ってきます。」
ハル「くれぐれも 無事に届けてや。」
勘助「任しといて。」
糸子「行ってきます。」
ハル 千代「行っちょいで。」
道中
勘助「は~ ほんまに よかったな~! 間に合うて。」
糸子「何や 自分で作ったような顔 しやがって。」
心斎橋百貨店
廊下
勘助「はは~ これが 百貨店かいな。」
入口
糸子「おはようございます。」
社員「おう ご苦労さん。」
糸子「ん?」
勘助「あ~ 俺は 外で待っとくさかい!」
糸子「何でやねん 入りいや!」
勘助「ええ ええ 俺は ええ!」
糸子「あ すんません。 何でやのん?」
勘助「ええ ええ。」
階段
(階段を上る音)
<20着 無事に 納めさせてもらえるやろか。 みんなの苦労は 報われるやろか…>