あらすじ
サエ(黒谷友香)を怒らせたことで、糸子(尾野真千子)は店主(団時朗)に延々と叱られる。そんな糸子を川本勝(駿河太郎)が氷屋に誘う。糸子は、勝の前では素直に商売を忘れてしまう自分を反省する。しばらくして、サエがまた現れる。イブニングドレスにかけるサエの思いを聞いた糸子は、意気投合し心をこめてドレスを仕上げるが、サエの意中の相手を知って仰天してしまう。そして奈津(栗山千明)の運命が変わろうとしていた。
36回ネタバレ
紳士服・ロイヤル
店内
店主「なんちゅう事 してくたんじゃ?! お前は 何も分かってへん! 洋服屋っちゅう商売はな 背広の売れん夏を どない乗り切るかに 懸かっとるんじゃ! せっかく あんな上客 来たっちゅうのに アホか お前! うちの店 潰す気か? 大体なあ…。」
職人達「お疲れさんです~。」
店主「お前が 初めて うちの店に来た時から 何か 嫌な予感がしてたんじゃ! 心斎橋百貨店の制服 作った…。」
<人間 こんな長い事 怒れんねんな 思うくらい 延々と怒られました>
玄関前
糸子「お疲れさんです。」
(ため息)
糸子「あれ?」
勝「お疲れさん。」
糸子「お疲れさんです。」
勝「氷でも 食うか?」
糸子「えっ?」
氷屋
勝「泣きながら出てくるか思たのに…。」
糸子「うん?」
勝「ケロッとしてんな。」
糸子「何で? さっきの説教?」
勝「うん。 あんな長い事 どやされて しんどなかったか?」
糸子「うん。 うちより 大将の方が しんどかったん ちゃいますか。 こんな暑い中 あんな なっがい事。 う~ん… そやけど うちの悪い癖なんですわ。」
勝「何が?」
糸子「すぐ 儲けっちゅうもんが 頭から飛んでしまう。 うっとこのお父ちゃんにも それで さんざん しばかれてんのに また やってもうた。 あ~ おいしかった! ほんま おおきに! ごちそうさんでした。 ほな また明日!」
勝「明日…。」
紳士服・ロイヤル
店内
(雷鳴)
(ため息)
糸子「お疲れさんです。」
(蹴飛ばす音)
店主「拾とけ。」
(雷鳴)
店主「いらっしゃ~い!」
試着室
サエ「言うとくけど 昨日 言うた事は 取り消さへんで。 どっちにしたかて うちは 場末のダンスホールの踊り子や。 けど 1人だけ…『あんたの踊りは 他の子と 全然ちゃう』て 言うてくれた お客さんが いてたんや。 その辺の男と ちゃうで。 それなりの道で大成してる 立派な玄人の人や。 その人が うちに『あんたには 踊りの勘ちゅうもんがある。」
サエ「 ちゃんと 修業 積んだら もっと ええとこまで 行けんで』って 言うてくれたんや。 そやのに うちは なんも せえへんかった。『そんなもん うちに修業なんか 積めるかいな』思て。 毎日 同じように 適当に ダンスホールで 男の相手だけしちゃった。 そしたら その人… だんだん うちを 指名してくれへんよう なってしもたんや。」
糸子「その人が イブニングドレスの話 した人け?」
サエ「そうや。 そら… 着物が ドレスに変わったくらいで 全部 どないかなると思うほど うちかて アホちゃう。 中身は一緒や。 何も変われへん。」
糸子「変わるわ。 人は 着るもんで 変わるんや。 根岸先生が そない言うちゃったわ。」
サエ「根岸先生?」
糸子「分かった。 よう分かった。 あんたみたいなアホほど うちは やる気 出るちゅうねん。 うちが ほんまの本気で ドレス 作っちゃる。 ごっつい上物の 一流のドレスや。 あんたは とにかく それ 着い。 毎日 着て 毎日 踊って ちょっとずつでも うちのドレスに 釣り合うだけの踊り子になり!」
店内
(落雷)
店主「いや! ああ… またや!」
(落雷)
生地屋
糸子「こら ちょっと 格好ええけどなあ。」
サエ「ええやん。」
糸子「いや ちょっと違うな。 黄色。」
サエ「うち 黄色なんて…。」
<それからのサエは びっくりするほど ええお客さんでした>
サエ「変わった…。」
糸子「これ ワンピースやな。」
サエ「嫌や。」
紳士服・ロイヤル
試着室
糸子「ちょっと…。 あ… やっぱし もう一回 やらせてもうて ええ?」
サエ「ええよ。」
糸子「堪忍な。『今日で仕上げる』っちゅうたのに。」
サエ「気ぃ済むまで やって。」
<仮縫いにも 仕上げにも ほんまに根気よう つきおうてくれました>
玄関前
サエ「ほんまに おおきにな!」
糸子「こっちこそ。」
サエ「もう早速 今日から着るで うち。」
糸子「うん そうして!」
サエ「なあ 見に来てよ!」
糸子「えっ?」
サエ「今日な うちが言うちゃった人 来るかもしれへん。」
糸子「ああ… そうなんか。」
サエ「うん。」
糸子「行くわ。 ほな。」
サエ「ほんま?」
糸子「うん。 仕事 終わったら 寄るよって。」
サエ「おおきに。 ほんまに来てな。」
糸子「うん。」
サエ「ほなな!」
ダンスホール・カンカンホール
ホール
(談笑)
客「お願いします。」
客「私と!」
サエ「久しぶりやな! え~ どないしよかな?」
玄関
(車のエンジン音)
(足音)
ホール
(拍手)
(口笛)
(談笑)
(足音)
客「おっ!」
客「あ~!」
客達「おう!」
<その人が やって来た時 うちには すぐに分かりました>
糸子「は… 春太郎?! あ… えっ 何で あいつやねん? あかんわ。」
<春太郎が 相変わらずの にやけっ面で サエと踊ってた。 ちょうど 同じ頃…>
吉田家
寝室
<奈津のおっちゃんが 亡くなりました>