あらすじ
安岡髪結い店で糸子(尾野真千子)の前に現れた奈津(栗山千明)は元通りの気位の高さだったが、糸子は玉枝(濱田マリ)から奈津が涙した経緯を聞き、一安心する。やがて生地屋の「末松商店」に勤め始めた糸子だったが、仕事はセーラー服の縫製だった。店を繁盛させねばと、糸子は店主(板尾創路)に談判し売り場に出るが、なかなか売り上げが伸びない。そこに洋服を作りたいという客・長谷ヤス子(中村美律子)がやってくる。
39回ネタバレ
安岡家
玄関前
(小鳥の鳴き声)
八重子「太郎 もうちょい 散歩 行こか?」
道中
(カラスの鳴き声)
回想
店主「辞める?」
糸子「父に言われて 他の店 繁盛させな あかんのです。」
店主「何じゃ? それ。」
回想終了
(自転車のベル)
勘助「お~い 糸やん!」
<おっ ええとこに来た>
糸子「おりゃ!」
勘助「うわ~!」
糸子「ヒヒヒヒ ヒヒヒ!」
勘助「仕事の帰りけ?」
糸子「そうや。」
勘助「俺もや。」
糸子「は~あ 肩凝った。 あ~。」
勘助「おっ! うち 今晩 カレーやで。 食うていけや。」
糸子「ほんまけ?」
勘助「おう!」
糸子「そら 遠慮のう 呼ばれるわ!」
安岡家
玄関前
勘助「あ~!」
糸子「おなか すいたな。」
勘助「腹 減ったな。」
糸子「ブシュ!」
勘助「うわ~! もう ええて。」
(笑い声)
勘助「おろ?」
糸子「うん?」
勘助「何で こんな時間に 店 閉まってんねん? 奈津…。 アイテテテテッ!」
奈津「『吉田さん』て呼び!」
勘助「イタッ えっ?」
奈津「うちは 明日から 人妻やさかいな なれなれしい呼び方 してもろたら 困る。」
居間
糸子「ほうか…。」
玉枝「うん。」
糸子「よかったなあ 奈津。」
玉枝「うん?」
糸子「泣けて よかったで。」
玉枝「そやな!」
<何やろな? 安岡のおばちゃんには 奈津が気ぃ許せる 何かが あんねやろな>
末松商店
玄関前
(猫の鳴き声)
<大将に ボロかす言われながらも どないか ロイヤルを辞めて 次に お父ちゃんに行かされたんは 生地の店でした>
店内
糸子「よいしょ!」
店主「おはうさん!」
糸子「おはようございます! よろしゅうお願いします!」
店主「ほな ちょう来て。」
糸子「へっ?」
<そやけど うちの仕事は 生地を売る事や のうて…>
作業場
店主「縫い子や。」
糸子「縫い子?」
店主「うちは セーラー服も扱うてんやし あんたは ミシンが 使えるっちゅうさかい 主には 縫製を やってほしいんや。」
糸子「はあ…。」
(ミシンの音)
糸子「えっ?」
縫い子「食べり!」
糸子「いや 今 仕事中やさかい。」
縫い子「かめへんて。」
糸子「ええっ? ああ…。」
<ええ~?! お菓子 食べながら 仕事してる。 いろんな仕事場が あるもんやなあ>
縫い子達♬『咲いて黄金の宝船 ハァー よせて文化の宝船 ソヤナイカ ソーダッセ』
<はあ~ こら ええ職場やなあ。 そやけど… ここで どんだけ セーラー服 縫うたところで お父ちゃんを認めさす事は でけへん。 そうや! うちは どないかして この店を繁盛させちゃらんと あかんのです。 ポケ~ッと 菓子 食うてる場合やないど!」
(ミシンの音)
店内
(柱時計の鳴る音)
縫い子「お先です。」
店主「お疲れさん!」
縫い子「お疲れさまです。」
縫い子「大将 お先!」
店主「はい ご苦労さん。」
糸子「すんません。」
店主「うん?」
糸子「あの~ うち 店 出さして もらえませんやろか?」
店主「はあ?」
糸子「縫い子や のうて 生地屋の売り子を さしてもらいたいんです。」
店主「はあ?!」
糸子「出さしてもうたら 絶対 繁盛させますよって!」
店主「いや 要らんちゅうてんねん。 要らん仕事されたかて 給料は出されへんで!」
糸子「ほな こんなん どないですか?」
店主「何や?」
糸子「昼間は 売り子をさしてもらう。 そんかわり セーラー服の仕事は
持って帰って 夜のうちに 家で仕上げてきます。」
店主「はあ?!」
糸子「これやったら 絶対 店は損しません!」
小原家
小原呉服店
(ミシンの音)
ハル「また あんた 何で こんな仕事 引き受けてくんよ?」
糸子「堪忍。 ほんま 堪忍。」
清子「けど うちは うれしいわ。 久しぶりやわ。」
千代「あれ 思い出さすなあ。 心斎橋の。」
光子「百貨店の制服やろ?」
静子「こないだ 前 通ったら 店員さんら やっぱし あれ 着ちゃあったわ!」
3人「へえ~!」
千代「お母ちゃんも 見に行こかなあ?」
清子 光子「うちも!」
千代「へえ~ 見たいなあ。」
(ミシンの音)
<ほんな訳で…>
末松商店
店内
<うちは 晴れて 店に出させて もらえる事になりました>
糸子「よっしゃ! 繁盛させちゃるで!」
糸子「悪い事 言わへんて こっちに しといた方が よろしいて!」
「あかん あかん。 こんな ええ生地 ぜいたくすぎる!」
糸子「いやいや 生地っちゅうんは ちょっと ぜいたくや思ても ええのんに しといた方が 長持ちしますよって。」
「要らん 要らん!」
「敷布にするよってな…。」
<お客さんは 大体 買うもんを 決めちゃあって それ以上 買う事は ほとんど ありません>
糸子「15尺に しといた方が ええんと ちゃいますか?」
「何でよ? 12尺しか要らんのに!」
<生地屋を繁盛さすっちゅうのは 思たより難しい事でした>
玄関前
店主「ちょっとも繁盛せんけど いつ すんねや?」
糸子「します もうちょっとしたら。」
店主「ほう~。」
糸子「見といて下さい。 絶対 繁盛させますよって。」
店主「まあ セーラー服さえ きっちり仕上げてもうたら うちは構わんけどな。」
糸子「どこ 行くんですか?」
店主「本屋や。 せっかく 店番が も一人 いてるさかい 立ち読みでも してくら。 ハハッ!」
店内
ヤス子「ちょっと すんません。」
糸子「はい いらっしゃい!」
ヤス子「あんなあ 洋服を 縫うてみたいんやけどな ワンピース1着ちゅうたら 生地 どんくらい要るもんやろ?」
糸子「ワンピースは お客さんが着るんですか?」
ヤス子「そやねん。 そやけど 初めて縫うよって 要領が よう分からへんやし。」
糸子「はあ… 任して下さい!」
<こと 洋服となると うちは また 儲けやら 繁盛やら どうでもようなって とにかく お客さんに 似合うもんを着せちゃりたい>
ヤス子「ちゃうん ちゃう?」
糸子「うん。」
糸子「やっぱし これの方が ええんと ちゃいますか?」
ヤス子「ほんまじょ! やっぱり これやな!」
糸子「うん!」
ヤス子「ええ生地 選べたよって うれしいわあ! よかった~! そやけど… うまい事できたら ええんやけどなあ。」
糸子「まあ ええわ。 いてへんの悪いねん。 ここ! ここ 立って下さい。」
ヤス子「えっ? はい 分かりました。 何すんの?」
糸子「ここ 持っとって下さい。」
ヤス子「はい! 何? ちょっと 何やの?」
糸子「じっとして!」
ヤス子「はい。」
糸子「大将 いてへんさかい こんなんして 悪いんか 分からへんけど。」
ヤス子「ふん ふん。」
糸子「裁断は おまけしときます。」
ヤス子「ふん! いや~ あんた すごい事するなあ! 器用やなあ!」
糸子「よし! よっしゃ!」
ヤス子「あんた ええ腕 持ってるんやなあ。」
糸子「エヘッ!」
ヤス子「うん!」
糸子「ここと ここを縫うたら そんで 形になります。」
ヤス子「ほんま?!」
糸子「へえ! 出来たら 見せに来て下さい。」
ヤス子「あ~ そやな! 見せに来るわ!」
糸子「これ お袖ですさかい。」
ヤス子「はい おおきに! あ~ よかった! 楽しみやわ 作るの。 ほんま おおきになあ!」
糸子「こちらこそ おおきに!」
ヤス子「また 来るわな! おおきに!」
糸子「おおきに!」
店主「ただいま。」
糸子「お帰んなさい。」
店主「ふん。 あ~ いつ 繁盛すんやらのう? あ~あ…。」
(ため息)
小原家
小原呉服店
<セーラー服の方は じきに 誰も手伝うてくれへんように なってきました>
(ミシンの音)
<お母ちゃんだけが 時々 手伝うては くれるけど…>
(ミシンの音)
千代「いや~!」
糸子「お母ちゃん それ 何してんの?」
千代「はあっ? こうや なかったか?」
糸子「いや ちゃうやん!」
千代「ええっ?」
糸子「もう 言うたやろ。 これ こっちや。」
千代「ひゃ~!」
<お母ちゃんの手伝いは ありがたいやら ありがたないやら…>
糸子「3回 言うたで。」
<そやけど 一番 腹立つんは…>
善作「だはははは!」
木之元「重たいわ~ 善ちゃん。」
千代「すんません! すんません 木之元さん いっつも。」
善作「あ~ アホやな! こんな奴に お前 謝る事あるか~!」
木之元「善ちゃん だ~いぶ 飲んだよって また 二日酔いかもしれへんで!」
千代「すんません ほんまに。 お世話になりました。」
木之元「あと 任せた!」
善作「お前は 酒に弱い。 お前… お前は 酒に弱いんじゃ!」
千代「すんませ~ん。」
善作「気ぃ… 気ぃ付けよ~!」
千代「あ~ あ~。」
善作「あ~ 気ぃ付けよ~!」
千代「よし よし よし。」