ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第41回「移りゆく日」【第7週】

あらすじ

大繁盛の末松商店は、糸子(尾野真千子)が分かりやすく描いたスタイル画をつけるサービスを始めたことで、夜まで客の列が途切れない。糸子は岸和田に洋服が広まってきたと判断し、自分で洋裁店を開く決意を固める。しかし、相変わらず酔っ払って帰った善作(小林薫)は許そうとせず、激しい言い合いに。善作に殴られても引き下がろうとしなかった糸子だが、顔を合わせることに耐えられず、いったん神戸の松坂家へ身を寄せる。

41ネタバレ

末松商店

店内

糸子「次のお客さん どうぞ!」

ヤス子「こんにちは!」

糸子「こんにちは!」

ヤス子「あんた えらい繁盛やし。」

糸子「待たせて すんません。」

ヤス子「1着目が うまい事いったよってに お正月用に また生地 切ってもらお思て 来たら いつの間にか えらい事に なっちゃるやんか。」

糸子「お正月用の どんなんしましょう?」

ヤス子「うちの娘やねん。」

2人「こんにちは!」

糸子「こんにちは! 双子?」

ヤス子「うん。 この子らの分と うちの分を こさえたいんやけどな。 うちのは 2着目やし 形を変えたいんやわ。」

糸子「うん。」

ヤス子「ほいでな こないだのは ほれ この腰んとこが ピタッと しちゃあったやろ。」

糸子「うん うん。」

ヤス子「あれやったら お尻が目立つよってな。」

糸子「はあ。 ほな ギャザー 入れましょうか?」

ヤス子「え? ギ… ギャザー?」

糸子「うん。 ここんとこが ふわっと なるよって 具合が よろしいんですわ。」

ヤス子「よう分かれへんやし。」

(時計の時報)

ヤス子「はあ~!」

娘達「何 何? すごいなあ!」

「すご~い!」

糸子「こんなんです。 これが ギャザー。」

ヤス子「あんた 絵も うまいんやなあ!」

「いいなあ! うちも こんなん描いて下さい。」

「うちも うちも描いて!」

ヤス子「そうや 描いちゃり。 お客これ 皆 喜ぶで!」

糸子「はあ こんなんやったら なんぼでも。」

(歓声)

<ほんな訳で 裁断のついでに デザイン画も 描いて渡す事にしました。 そしたら また それが えらい評判になって>

玄関前

店主「あの すんませんけどな 今日は あの この人までにさしてもらいます。」

「え~! 何でよ!」

店主「そやかて もう なんぼ何でも うちも 店 閉めなあかんさかい。」

店内

糸子「こんな具合に出来ます。」

<結局ここでも うちが 商売人として成長したかどうか 分かれへんうちに 店が繁盛してしまいました>

糸子「次のお客さん どうぞ! どんなんしましょ?」

「ワンピース。」

糸子「ワンピース。 こっちどうぞ!」

<何でやろ?>

糸子「どんな生地にしましょ?」

<そうか この岸和田にも やっと洋服を着る人が 増えてきたっちゅう事や。 あかん 今や>

ケーキ屋

「気ぃ付けて お持ち下さい。」

糸子「おおきに。」

「ありがとうございます。」

<もう お父ちゃんが 何言おうが 迷てる場合ちゃう。 うちは 今 始めなあかん>

小原家

居間

光子「ええなあ!」

ハル「はいはい。」

清子「ほんなら いくで!」

一同「1 2の!」

ハル「ふ~っ!」

清子「ちょっと! 今 消したん 誰?」

静子「おばあちゃんやろ?」

光子 清子「おばあちゃん!」

ハル「ちゃう ちゃう ちゃう! うちと ちゃう。」

清子「嘘や おばあちゃんやろ?」

千代「ええやんか 誰でも。 ほら食べよ。」

清子「ええ事ないよ!」

千代「あ~あ。 糸子。」

糸子「ん?」

千代「どないした?」

糸子「ううん。」

千代「はい!」

(戸の開く音)

善作「お~い! 今 帰ったど!」

千代「お帰んなさい!」

ハル「また酔っ払ってる。」

善作「ええ お~い お前ら お父ちゃんが帰ってきたんや。 ちゃんと 迎えにこんかい。」

妹達「はい。」

善作「え? 何じゃ そら。」

静子「クリスマスケーキや。」

善作「ああ?」

静子「糸子姉ちゃんが 買うてきてくれたんやし。」

千代「お父ちゃんも食べますか?」

善作「いらんいらん そんなもん。」

糸子「お父ちゃん。」

善作「何や?」

糸子「うち 年明けたら洋裁屋 始める。」

善作「あん?」

糸子「今の仕事は 今年いっぱいで辞めて ここで 小原洋裁店 始める。」

善作「誰が そんな事 許した? お前 誰の許しを得て そんな 勝手な事 言うてんや」

糸子「誰の許しも もうてへん。 けど うちは もう 許しなんか いらん! うちが決めたら そんでええ。」

善作「なめとんのか おんどれは!」

ハル「やめり やめり!」

善作「わがが決めたら そんでええ? はあ~! 偉うなったもんやのう!」

糸子「そうや。 偉なったわ。 お父ちゃんが 毎晩毎晩 酒ばっかり食ろて 酔っ払ってる間に うちは 偉なったんや 悪かったな。 毎日 朝から晩まで働いて 洋服屋と生地屋 繁盛させた。 賃金 全部 家入れて 電気扇かて買うた。 今日かて クリスマスやさかい 妹らに ケーキ 買うて 帰っちゃあったんや。 悪いけどな お父ちゃんより 今は うちのが よっぽど この家 支えてるんや!」

善作「何やと!」

糸子「殴りたいんやったら 殴ったらええ! けど 商売は! 商売だけは うちが したいように さしてもらう!」

善作「このガキが!」

(悲鳴)

善作「こんなもんが なんぼのもんじゃ!」

(悲鳴)

善作「半人前が なめんなよ!」

(妹達の泣き声)

ハル「おっとな! ハハハ! 食べれる。 食べれるて! 大丈夫や。 大丈夫! ちょっと へちゃがっただけや。 味 変わってへん。 ほれ ほら 味 変わってへんて。 な! 箸 皿に入れて。 大丈夫 食べれる。 な!」

千代「ほれ! あんたが一番に お食べ! な!」

(泣き声)

ハル「なあ…。 よう… 買うてきてくれたな。 おおきにな 糸子!」

千代「おおきに! おおきにな。」

(泣き声)

千代「糸子! おおきにな!」

糸子「もう嫌や!」

(泣き声)

ハル「糸子!」

糸子「堪忍! しばらく お父ちゃんと 顔合わせたない。 神戸のおじいちゃんとこ いさしてもらう。」

松坂家

リビング

(小鳥の鳴き声)

勇「久しぶりやな。」

(戸の開く音)

勇「だけどさ レイコちゃん すっかり 美人になっちまって 誰だか分かんなかったよ。 えっ? 誰。 糸ちゃん 何しとん?」

糸子「はあ…。 おはようさん。 あ~!」

ダイニング

(遊ぶ声)

<久しぶりに来た 神戸のおじいちゃんの家では いつの間にか いろんな事が 移り変わってしもたようでした>

勇「糸ちゃん」

糸子「ん?」

勇「覚えてる? 坂崎君。」

糸子「分かれへん。」

坂崎「え~? 僕 覚えとうよ。 ほら 一緒に バウムクーヘン 食べたやん。」

糸子「ああ~!」

勇「思い出した?」

糸子「うん。」

勇「それから庭で みんなで 遊んだじゃないか。」

糸子「勇君 何で そんなしゃべり方してんよ?」

勇「ああ ごめん。 僕 ほら 今 東京の大学にいるだろう? 友人達のが つい うつっちまってさ。」

糸子「ふ~ん。」

絹江「いらっしゃい!」

友人達「こんにちは!」

絹江「まあ 久しぶりやねえ みんな。」

坂崎「おば様も なんか ますます お元気そうで。」

正一「ハハハ! いらっしゃい!」

友人達「こんにちは!」

正一「ゆっくりしてってや。」

友人達「ありがとうございます。」

絹江「糸ちゃんも 何も遠慮せんと ゆっくりしてってちょうだいね。」

糸子「はい。 おおきに。」

リビング

糸子「ココア 飲もう。」

貞子「うん あ そうやな。」

<何ちゅうか この家の主は もう おじいちゃんらと ちゃうんやと思いました>

貞子「気ぃが済むまで ゆっくりしてったら ええんやで。」

糸子「うん。 おおきに おばあちゃん。」

貞子「うん。」

糸子「そやけど よう考えたら うち 仕事 ほったらかしやわ。 大将 相当 困ってると 思うよって 帰るわ。」

貞子「うん。 もう帰るんか?」

糸子「うん。 また来る。」

貞子「フフッ。 また おいでな。」

糸子「うん。」

<この人らは うちを守ってくれる 人らやのうて うちが守っちゃらなあかん 人らに なったんや。 ここは もう うちが 甘えられる場所やない>

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