ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第44回「果報者」【第8週】

あらすじ

糸子(尾野真千子)は、勝(駿河太郎)を前にしてもけげんに思うばかりだったが、勘助(尾上寛之)の話から、実は善作(小林薫)も乗り気の結婚話だと知り驚く。全くその気がない糸子だが、玉枝(濱田マリ)たちにも冷やかされる。結婚よりも商売で頭がいっぱいの糸子は、自らノコギリを持って店の改装を試みる。そこへ奈津(栗山千明)が訪ねてきた。奈津は糸子に、祝言は絶対に料亭吉田屋で挙げるようにとケンカ腰で迫る。

44ネタバレ

カフェ・太鼓

糸子「いただきます!」

正一「うまいか?」

糸子「うん。」

正一「いや 実はな お前が この前まで働いとった ロイヤルゆう店あるやろ。」

糸子「え? おっちゃん ロイヤル 知ってんけ?」

正一「いやいやいや。 お前が働いてるなんて 全然 知らんと この前 岸和田 来た時 たまたま ぷらっと 入ったんや。」

糸子「何で また。」

正一「まあ 言うたら 市場調査ゆうやつやな。 うちは 糸を作っとる会社やから 今どこで どんな生地が 売れとんか よう知っとかんと あかん。 そのためには 小売りから 話聞くのが 一番よう分かる。」

糸子「ふ~ん。」

正一「で その時 たまたま 大将が おれへんかってな この川本君が 出てきてくれたんや。 いろいろ話しとううちに 婦人服の話になった。 そしたら 川本君が 実は うちに ごっつええ職人が1人 こないだまで 働いてたって言うよる。 ええ 岸和田に そんな腕のええのんがって よう聞いたら ハハハ 何や お前の事やないか! ハハハ!」

糸子「ああ そうゆう事か。」

正一「ん?」

糸子「ほんで 今日 2人 そろって 来てくれたん?」

勝「うん。」

正一「ま そうゆうこっちゃ。」

糸子「そやけど 堪忍。」

正一「ん?」

糸子「うち ロイヤルには 戻られへんわ。」

2人「え?」

糸子「やっと 小原洋裁店の看板 あげたとこやし もう 他の店の職人 やる気は ないねん。」

2人「いやいやいや!」

糸子「え?」

正一「違う 違う! そんな話と違う。」

糸子「ほな 何の話?」

正一「いや 何の話って まあ。 その…。」

勝「つまり あんたの顔をな。 見に来たんやし。」

糸子「はあ。」

勝「あんな 小原さん。 わしは わしは 小原さんと…。」

正一「あかん あかん! まだ あかん。 せいたら あかん!」

勝「ああ。 はい。」

正一「ものには 順序ちゅうもんがあるやろ。 今日は ほんの様子見 ゆう事 やったやろ。」

勝「ああ すいません。」

小原家

小原洋裁店

平吉 勘助♬『いのち短し 恋せよ乙女 紅き唇 あせぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日の ないものを』

勘助「糸やん。 ちまき 持ってきちゃあったで! そうか 糸やんも いよいよか~!」

平助「早いもんやの~!」

糸子「何じゃ お前ら!」

勘助「聞いたで 糸やん。 結婚 申し込まれちゃあったらしいの?」

糸子「はあ? 何 訳 分からん事 言うてんよ。」

平吉「お前な ちょっとは 察しちゃれよ。」

糸子「はあ? 何がやねん。」

平吉「あいつ 小原に ベタぼれやないかい。」

糸子「アホ。 そうゆうの げすの勘ぐりちゅうんや。」

平吉「アホは どっちじゃ。」

勘助「あかんわ。 なんぼ言うたかて 分かれへんわ。 あの話しちゃれよ。」

糸子「何の話よ。」

平吉「しゃあないのう。 今日 来てた お前の おっちゃん いてるやろ。」

糸子「うん。」

平吉「あの人 こないだ うちの店で お前の親父とも 会うちゃあったんじゃ。」

糸子「はあ?」

回想

<平吉の話によると 1週間ほど前の事>

平吉「いらっしゃい! こんにちは!」

善吉「コ コ… コーヒー。」

平吉「コーヒー 1つ。」

マスター「はい。」

善吉「どうも ご無沙汰して すいませんな。」

正一「忙しいとこ呼び出して すまんな。」

善吉「いえいえいえ。」

正一「どうや? 新しい仕事の方は。」

善吉「は まあ おかげさんで どうにか こうにか やらしてもらってます。」

正一「ま ま ま。」

善吉「はあ。」

<『小原の親父 えっらい ぺこぺこしてんの。 相手 どこの偉いさんや?』て 平吉は 思たらしい>

正一「とにかく ええ青年でな。 家柄も申し分ない。 それよりも何よりも 糸子ゆう娘の事を よう理解しとう。 その子がな 僕に こない言うたんや。『自分は 長男で 下に弟が 2人 おります。 もし その要があるならば 廃嫡して 小原の婿に入っても かまわない』と。 そんだけの家の長男がやで。」

正一「そら 大事な娘の事や。 善作君かて いろいろ 思うとこ あるやろ。 親父を差し置いて 差し出がましいのも 重々 承知しとう。 そやけどな 糸子にとって この上ない ええ話やと思うんや。 前向きに 考えてやってもらんやろか。 頼む!」

<そこで おっちゃんが 1回 頭を下げたら>

善作「そらもう ありがたい話で。」

<お父ちゃんは 20回くらい 頭を 下げ返しちゃあったそうです>

正一「いやいや 僕が呼び出したんや。」

善作「あきません。 そら あきません!」

正一「そやかて これからが 大変なんやで! 嫁入りゆうたら えらい物入りなんやから。 な!」

善作「いやいや そんなん 困りますて! ここだけはね。 困りますねん 何ぼや? ここだけは ここだけは! 払います。」

正一「あかんて。」

回想終了

<何や そら。 うちの知らんとこで 何で そんな勝手に 話が進んでんよ。 うちは まだ 結婚なんか さらさらする気ないのに>

小原家

居間

糸子「お代わり。」

ハル「もうあらへん。」

糸子「何で?」

ハル「何でやあらへんな。 あんたも毎日 帳簿 見てるやろ。 ちょっとも金 入らへんのに。 御飯だけ 食べ放題ちゅう訳には いかん。」

安岡家

居間

糸子「こんにちは!」

3人「はれ?」

糸子「何?」

玉枝「何て糸ちゃん 聞いたで 勘助から。」

八重子「めでたい事やさかいに 糸ちゃんの口から 言わせてあげなはれ。」

糸子「何の事?」

「何や お嫁入りけ?」

八重子「いや~ 言うちゃらんといて!」

糸子「何や その事か。」

玉枝「え?」

糸子「周りが勝手に言うてるだけや。 うちは そんな気 さらさらないよって。」

玉枝「え~!」

八重子「そうなん?」

糸子「チラシ 置きに来たのに 全然 減ってへんな。」

玉枝「そうか? でも 大体 うちに 来てもらてる お客さんには 大概 渡してしもてるよってな。」

糸子「ふ~ん。」

小原家

玄関前

(ため息)

<何で 他の店 あんだけ繁盛させられたのに 自分の店なったら 途端に あかんねん。『稼がな!』て 欲かくからやろか。 そやけど 稼がん訳には いかへんしなあ そうか そら よう見たら まだまだや。 こんな 中途半端な店構えで 客は来えへんわ。 心斎橋の洋装屋やったら もっと。 この辺に しゃれたドアが 付いちゃあって>

糸子「ヘヘヘ!」

<看板は こう ほんで ここに ピカピカの ショーウインドウが ば~ん! そもそも 何やねん これ? 要るか? 要らんわな? これ なかったら ここにガラスでも はめて ショーウインドウみたいに できらし>

糸子「切っちゃろ!」

奈津「はれまあ! とうとう 店 壊すんけ? 洋裁屋 でけたばっかしやて 聞いちゃあったけど もう潰れたんか。 気の毒に。」

駒子「こんにちは!」

糸子「何や 珍しいな。 一緒に来たんけ?」

駒子「うん そうやねん。 うちが今日 糸ちゃんとこ 行くちゅうたら 若女将が うちも行くて。」

奈津「別に 服作りに来たんちゃうさかい 勘違いしなや。」

小原洋裁店

奈津「何や 呉服屋のまんまやんか。 洋裁屋やったら 店かて もっと しゃれてらな。」

糸子「分かってるわ。 駒ちゃん 座って。」

駒子「ううん うちは ええよ。」

糸子「ほれ あんたが さっさと帰らんさかい 駒ちゃん 座られへんやろ? 何の用や?」

奈津「あんた…。」

糸子「ああ? 何や。」

奈津「結婚すんけ?」

糸子「は? せえへんわ。」

奈津「嘘や 言うちゃあったで 勘助が。 何や 平吉の店に あんたの親戚と男が来て。」

糸子「せえへんちゅうてるやろ。 勘助の しゃべりが! 口 のりで貼り合わせちゃろか。」

奈津「どっちゃでもええけど あんた…。」

糸子「何や?」

奈津「祝言だけは うちで挙げや。」

糸子「ああ?」

奈津「他の料理屋なんかで挙げたら 承知せえへんで。 ほんな事したら 末代まで恨んじゃるよってな。」

糸子「そやから せえへんちゅうてるやろ!」

奈津「そんだけや。 ほなな。」

駒子「なあ ずっと気になってんやけど。」

糸子「は?」

駒子「糸ちゃんと若女将は 仲ええんけ? それか 悪いんけ?」

糸子「さあ。」

<それにしても 松坂のおっちゃんと川本さん。 お父ちゃんと 松坂のおっちゃん。 奈津と駒ちゃん。 このごろ 珍しい2人連れが多いな。 人っちゅうんは うちの知らんとこで 案外 つながってるもんなんかな>

道中

善作「こんなにありました。」

清三郎「そんな大きい?」

善作「驚きました。」

清三郎「そうか。 そりゃよかった。」

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