ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第17話「1943-1945」【第4週】

あらすじ

1945(昭和20)年。安子(上白石萌音)は赤子のるいを連れて橘家に帰り、久々にひさ(鷲尾真知子)や金太(甲本雅裕)、小しず(西田尚美)たちと思い出話に花を咲かせ、温かな時間を過ごしていました。しかしその頃、戦況は悪化の一途をたどり、B29による爆撃は東京、大阪と次々に市街地を襲っていました。そしてとうとう岡山でも空襲が始まりました。安子はるいをおぶって、焼夷(い)弾が降る中を必死に逃げ惑い…。

17話ネタバレ

橘家

お菓子司・たちばな

小しず「安子。」

安子「あ…。」

小しず「いらっしゃい。」

安子「お母さん。」

小しず「るいちゃん。 よう来たな。 うん 元気じゃった?」

居間

ひさ「あ~んして。 あ~。 おっ! おいしそうに飲みょおる。 るいちゃん。 ひいばあちゃんのお汁粉じゃ。 おいしいか?」

安子「うん。」

ひさ「アハハッ。 おいしいのう。 おっ そうじゃ。 小しずさんと2人で よだれ掛けやら おしめやら また少しずつ縫いためとったんじゃった。 持ってきたぎょうねえ。 るいちゃん。 あ~ ハハハッ。」

安子「ありがとう。」

ひさ「あっ これ… これ これ これ。 はいはい。」

安子「ありがとう。」

ひさ「ハハハッ。 (笑い声)

小しず「なっ。 ヘヘヘッ。 あねん楽しそうな おばあちゃん 久しぶりじゃ。 おじいちゃんが亡うなってから 弱っとったから。」

るい「あっ…。」

小しず「おう おう おう おう。」

るい「(泣き声)」

安子「どうした どうした どうした。」

小しず「いけん? いけんの。 おう おう いけんの。 お母さん…? ああ お母さん よかったの。」

るい「(泣き声)」

小しず「はい いい子 いいこ。」

るい「(泣き声)」

小しず「うん うん うん。」

安子「大丈夫よ。」

小しず「早う るいに会いてえじゃろうな 稔さん。」

安子「う~ん 写真は送ったんじゃけど…。」

小しず「安子が生まれたんは 朝ちょうど9時半じゃった。」

回想

(産声)

小しず『そん時は 甘えあんこの香りが しょおったん よう覚えとる。」

金太「かうぇえらしいのう。」

回想終了

小しず「フフフ… その時 算太が…。」

回想

算太「酒屋のおっさんと賭けたんじゃ。 男じゃったら ラムネ10本!」

金太「算太 お前…。」

算太「あっ。」

回想終了

(笑い声)

安子「もう… お兄ちゃん いうたら…。」

小しず「しゃあけど 安子のこと よう かわいがりょったんよ。」

安子「うん。」

小しず「すぐに おじいちゃんと職人さんらで 紅白まんじゅう作って おばあちゃんが羽織着て ご近所さんに配って…。 次々 お祝ゆう持ってきてくれた 商店街の皆さんを おじいちゃんが無理やり引っ張り上げて お酒ょお飲んで。 大騒ぎして とうとう おばあちゃんに どなられとった。」

(笑い声)

小しず「ホンマに 幸せな一日じゃった。」

金太「ただいま~!」

(足音)

安子「お父さん。」
るい「(泣き声)」

安子「今日も工場動員じゃなかったんかな?」

金太「昼休憩じゃ。 飛んで…。 るい~!」

安子「びっくりしたなあ。」

金太「大きゅうなったのう るい。」

るい「(泣き声)」

安子「びっくりした…。」

小しず「ほら びっくりしょうる。」

金太「るい。」

るい「(泣き声)」

小しず「おじいちゃんじゃ。」

金太「うれし泣きをしょうんか おめえは。」

玄関前

小しず「はい それじゃあ 気を付けて帰られえよ。」

安子「うん ありがとう。」

ひさ「るいちゃん。 また来られえ。」

小しず「ほんなら またね。」

ひさ「またね。」

安子「またねって。」

(笑い声)

安子「ありがとう。」

小しず「ほんならね。」

安子「うん ほんなら。 またね。」

道中

安子「きぬちゃん。」

きぬ「あ… 安子ちゃん!」

安子「久しぶりじゃなあ!」

きぬ「本当に! るいちゃん?」

安子「うん。」

きぬ「あ~ かうぇえらしいなあ。 あ~! ハハハハッ。 安子ちゃんに よう似とる。」

安子「そうじゃろか 私ゃあ 稔さんに似とる思ようるけど。 ねえ。」

きぬ「るいちゃん。 よかった 会えて。」

安子「うん。 女子挺身隊のおつとめで忙しいと 聞いとった。」

きぬ「ああ… そうじゃのうて… うち 疎開することになったんじゃ。」

安子「えっ…。 上のお姉ちゃんの嫁ぎ先が農家でな お父ちゃんとお母ちゃんと3人 そこで ごやっかいになることにしたんじゃ。」

安子「きぬちゃん。 体に気を付けられえよ。」

きぬ「うん。 安子ちゃんも。」

安子「うん。」

きぬ「るいちゃん。」

雉真家

ダイニング

ラジオ『大本営 3月10日12時発表。 B29 およそ130機 主力をもって 帝と東京に来襲 市街地を爆撃せり。 これにより 都内各所に火災を生じたるも おおむね8時までに鎮火せり』。

<東京大空襲に続き 大阪にも B29が来襲。 いずれ 地方の都市部へも 空襲が始まることが予想されました>

千吉「工場は一番に狙われる。 うちも念のため 機械やら材料やら できるだけ運び出しとかにゃあ おえんな。」

荒物・あかにし

吉兵衛「ハッハッハッハッ 大漁じゃ~! ハハッ! 大漁じゃ 大漁じゃ! 大漁じゃ~! ハッハッハッ! たばこ屋のばあさんとこも 疎開じゃあ。 家財道具 二束三文でかいたたいたった。 戦争が終わったら 高う売れるで。」

清子「あなた もう やめとくれやす。 こないな うちだけ よかったらええみたいなこと。」

吉兵衛「きれい事を言うな! 気に入らんのんじゃったら 里へ帰れ!」

吉右衛門「そねんしょお お母ちゃん。 僕と2人で 京都のお母ちゃんの里へ帰ろうえ。」

吉兵衛「ハハ… 何ゅう言よんなら 吉右衛門。 お父ちゃんは おめえのために…。」

吉右衛門「あんたぁ お父ちゃんなんかじゃねえ。 あこぎなケチ兵衛じゃ!」

清子「吉右衛門…。」

雉真家

寝室

(航空機の飛行音)

(焼夷弾の落下音)

(爆発音)

(焼夷弾の落下音)

(爆発音)

千吉「安子さん! 早う!」

安子「はい!」

るい「(泣き声)」

道中

(半鐘と悲鳴)

千吉「こっちじゃ! 早う 早う。 早う。」

(半鐘と悲鳴)

吉右衛門「お母ちゃん! お母ちゃん! どこじゃ! お母ちゃ~ん!」

清子「吉右衛門! 吉右衛門! 吉右衛門!」

吉右衛門「お母ちゃん! お母ちゃん!」

金太「母ちゃん! 母ちゃん その防空壕に入れ! 母ちゃん。」

小しず「金太さんは!?」

金太「火消しじゃ。」

小しず「気ぃ付けてね。」

金太「大丈夫じゃ 待っとけ! 母ちゃん 待っとれよ! 行け。」

ひさ「ああ… あ…。」

金太「よし…。 次は どっちじゃ! こっちか!」

(爆撃音)

(爆撃音)

荒物・あかにし跡

吉右衛門「お父ちゃん…?」

吉兵衛「あ…。 無事じゃったか…。 吉右衛門…。」

吉右衛門「お父ちゃん! お父ちゃん! お父ちゃん! お父ちゃん!」

防空壕

美都里「るい… るいは無事じゃね?」

安子「はい。」

美都里「ああ よかった…。 よかった…。」

安子「お義母様。 ちょっとの間 るいをお願いします。」

るい「(泣き声)」

焼け跡

安子「お父さん…? お父さん!? お父さん 無事じゃったんじゃね お父さん!  お父さん けがはねえ? お父さん? お母さんと おばあちゃんは? どこ?」

金太「防空壕…。」

安子「あっ 避難したんじゃね? どこの防空壕? 捜してくる。」

金太「防空壕は… 焼夷弾に焼かれて… 中の者は 皆…。 わしが… 言うた。 あの防空壕に入れ言うて… 待っとけえ言うて…。」

回想

金太「待っとけ! 母ちゃん 待っとれよ! 行け。」

回想終了

安子「お母さん…? おばあちゃん…?」

金太「小しず~! 母ちゃ~ん! すまん! すまん! わしが言うた~! (泣き声) すま~ん!  わしが~! (泣き声)」

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