ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第18話「1943-1945」【第4週】

あらすじ

空襲で心に大きな傷を負った金太(甲本雅裕)は、空襲からひと月経っても床に伏せ続け、心と体は回復しないままでした。落ち込みながらも父の世話を献身的に続ける安子(上白石萌音)。そして8月15日、ラジオからは玉音放送が流れ、日本は終戦を迎えました。ある日、安子はお供えのおはぎをつくろうと、金太にあんこの作り方を教えてほしいと声をかけますが…。

18話ネタバレ

雉真家

離れ

<雉真家の家屋は 辛うじて焼け残りました>

玄関

千吉「安子さん。 お父さんの具合は どねえなかな?」

安子「ようやく眠りました。」

千吉「そうか…。」

安子「こねんして屋根のある おうちで お布団で寝かせていただいて 何と お礼を言うてええか…。」

千吉「礼なんぞ いらん。 それよりも安子さんも ちいたあ休め。 あんただって お母さんとおばあさんを亡くしたんじゃ。」

安子「ありがとうございます。 しゃあけど 動いとった方が 気が紛れますから。」

回想

小しず「ほんなら またね。」

ひさ「またね。」

安子「うん またね。」

回想終了

ダイニング

(ラジオの時報)

ラジオ『ただいまより 重大なる放送があります。 全国聴取者の皆様 ご起立を願います』。

ラジオ『天皇陛下におかせられましては 全国民に対し 畏くも御自ら 大詔を のたまわらせたもうことになりました。 これより謹みて 玉音をお送り申します』。

♬~(ラジオ『君が代』)

玉音放送『朕は帝国政府をして 米英支蘇四国に対し 其の共同宣言を受諾する旨 通告せしめたり』。

美都里「どういうことですか?」

千吉「戦争が終わった。」

美都里「えっ? 終わったんですか? 戦争が?」

千吉「そうじゃ。 日本は負けたんじゃ。」

美都里「そんなら 帰ってくるんですね? 稔も 勇も。」

離れ

金太「(泣き声)」

神社

安子「稔さんが ご無事でありますように。 ご無事で… 帰ってきてくれますように。 どうか… どうか…。」

(セミの声)

雉真家

離れ

♬~(ラジオ)

安子「お父さん。」

♬~(ラジオ)

<金太の心と体は 回復しませんでした>

ダイニング

安子「う~ん。」

美都里「安子さんは お父様のお世話があるじゃろう。 それに 買い物やこも してもらわにゃあ いけんから…。 ほら おいで るいちゃん。」

るい「あ~。」

美都里「うん?」

安子「はい…。」

美都里「にょほ~ん。」

安子「ありがとうございます。」

(足音)

千吉「ああ おはよう。」

安子「おはようございます。」

ラジオ『岡山県の天気予報を申し上げます。 今日は…』。

安子「どねんされたんですか?」

千吉「天気予報じゃ。 久しぶりじゃのう。 こねんして ちょっとずつ 元の生活に戻りゃあええが。」

闇市

「生みたて卵。 こっちが 今朝 取れたて。」

雉真家

離れ

安子「小豆が手に入ったんよ。 お父さん。 あんこの作り方 教えてくれんかなあ? 本物のお砂糖がねえと たちばなの味には ならんかもしれんけど それでも 私 お父さんのあんこが食べてえ。 お父さん。 お父さん。 一緒に おはぎゅう作って お母さんらに お供えしょうえ?」

台所

回想・金太「時計に頼るな。 目を離すな。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる。 食べる人の 幸せそうな顔を思い浮かべえ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。」

安子「おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。」

回想・金太「おいしゅうなれ。」

安子「おいしゅうなれ。」

回想

金太「その気持ちが 小豆に乗り移る。 うんと おいしゅうなってくれる。 甘えあんこが出来上がる。 あっ!」

回想終了

安子「はっ!」

離れ

安子「最後の仕上げん時かなあ。 ちょっと 焦がしてしもうたみてえなんじゃ。 火加減が難しゅうて…。 あっ 小豆は 割かし上手に炊けた思う。 毎朝 私の部屋まで漂ってきたんと おんなじ香りじゃったもん。 はい。」

台所

安子「稔さん。 どうか力を貸してちょうでえ。 稔さん…。」

離れ

ラジオ『台風16号は 奄美大島の西方海上を 猛烈に発達した状態で北上しています。 中心気圧は…』。

安子「お父さん。 これ… おはぎゅう作ってみたんじゃ。 一口でええから 味見してもらえんかな?」

(払いのける金太)

安子「お父さん! ごめんなさい… 無理強いしてしもうて…。 今 片づけます。」

台所

離れ

ラジオ『これまでの大雨で地盤が緩み 河川が増水しているため 今後 台風本体の発達した雨雲がかかると 土砂災害や洪水の危険性が 一段と高まります。 川の崖のそばでは 早めの避難をしましょう。 岡山県内に 台風16号が 最も接近するのは 今夜から明日の未明になる見通しです』。

(雨の音)

安子「お父さん…?」

(雷鳴)

安子「お父さん? お父さん!?」

橘家跡

安子「お父さん! お父さ~ん! お父さ~ん! お父さん! お父さん!? お父さん! 何ゅうしょおるん! 心配するじゃろ! お父さん! お父さん 余計 体 悪うする! 早う 帰ろうえぇ お父さん! お父さん!」

金太「砂糖じゃ。 配給を ちょっとずつ よけといたんじゃ。 あねん まじい おはぎゅう 供えられたんじゃあ 小しずらも安心して成仏できんわ。」

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