ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第1話「1925―1939」

あらすじ

日本でラジオ放送が始まった1925年(大正14年)3月22日。岡山にある和菓子屋にヒロイン橘安子が誕生しました。実直な父・金太(甲本雅裕)に優しい母・小しず(西田尚美)、厳格な祖父・杵太郎(大和田伸也)、しっかり者の祖母・ひさ(鷲尾真知子)、やんちゃな兄・算太(濱田岳)たち家族や職人に囲まれ幸せに暮らしています。あんこの香りに包まれた温かい家庭ですくすくと成長し、安子は小学三年生になりました。

1話ネタバレ

JOAK東京放送局

京田「あ~ あ~ 聞こえますか。 JOAK JOAK こちらは 東京放送局であります。」

<A long time ago>

京田『聞こえますか。 JOAK こちらは 東京放送局であります』。

<At the same time as japanese radio buroadcasting began, a baby girl was born>

(泣き声)

「分かった 分かった…。」

金太「かうぇえらしいのう。」

(泣き声)

<Her family‘s business made traditional japanese sweets>

<The girl was named Yasuko>

ひさ「あっ こんにちは。」

「どうも。」

<This is the bery beginning of a family stoty that spans one hundred years. 100年の物語の始まり 始まり>

橘家

工場

杵太郎「うん? かてえ小豆があるぞ。」

丹原「すんません 大将。」

杵太郎「金太 おめえが もっと ちゃんと教えとけ。」

金太「はい すいません。 安子! 工場に入ったらおえんて 言よろうが!」

安子「おじいちゃん。」

杵太郎「お~ 安子。 ハハハッ お父ちゃん怖えのう。 よし ほら こっち来え。 よいしょっ。 ほら… 出来たての おはぎじゃ。」

金太「安子にゃあ 甘んじゃから…。」

<安子は 尋常小学校の3年生です>

杵太郎「うめえか?」

安子「うん。」

安子「お兄ちゃん。」

算太「うん?」

安子「おはぎは どうですか?」

算太「はい 頂きます。」

安子「おいしいですか?」

算太「おいしいです。 あっちいお茶も ちょうでえ。」

安子「は~い ただいま。」

金太「算太! おめえ また こねえなとこで怠きょって! 早う戻れ。」

<安子の兄 算太は 菓子職人の修業を始めていました>

商店街

安子「清子さん こんにちは。 たわしゅう ちょうでえ。」

清子「はいはい。 お使い偉いねえ 安子ちゃん。 はい ありがとう。 よいしょ。」

安子「転ばんよに 気を付けられえよ。」

清子「おおきに。」

ラジオ『しかし わしが なんぼ けちや 始末やというたかて お賽銭というのは こら まあ あげるべきもんやな。 で 向こう行くとな 四社の社というのが いくつかあって その前に 小さな賽銭箱があるわな』。

吉兵衛「フッフッフッフッ…。」

ラジオ『ここへ まず 一銭玉を1枚出してきてな これをな 掘り込んだらいかんのやで? これを賽銭箱の縁へ載せる。 で まあ 拝んで で 次へ持ってって 縁へ載せて拝む』。

吉兵衛「ハハハハハ!」

ラジオ『次へ持ってって 縁へ載せて拝む。 …で しまいに ず~っと こう 縁へ載せて拝んで回ってってやな しまいに正面の大きな賽銭箱へな 本殿の賽銭箱に 今度は未練げもなしに 景気よう ポ~ンと放り込んどいて…』。

橘家

台所

安子「わあ 卵焼きじゃ! ありがとう お母さん!」

御菓子司たちばな

安子「お弁当の隅っこに おはぎゅう詰めたらいけんかなあ。」

小しず「いけんに決まっとろう。」

ひさ「しゃあけど 大福じゃったら 白えごはんの中に入れたら 分からんかもしれんな。」

小しず「お義母さん!」

ひさ「うそじゃ うそじゃ。 安子 お菓子ゃあ帰ってきてからじゃ。」

安子「は~い 行ってきま~す。」

2人「行ってらっしゃい。」

玄関前

「おはよう。」

安子「おはようございます。」

水田とうふ

安子「おはようございます。」

卯平「お~ 安子ちゃん おはよう。」

花子「おはよう。 きぬ! 安子ちゃん 来たよ。」

きぬ「は~い! 安子ちゃん おはよう。」

安子「おはよう きぬちゃん。」

2人「行ってきま~す。」

卯平「はい 行ってらっしゃい。」

「おはようさん。」

2人「おはようございます。」

小学校

勇「ピッチャー 第1球 投げました! カッキ~ン! 打ちました!」

(歓声)

勇「早稲田 4番 村井選手 大きな当たり!」

「さすが 勇ちゃん!」

安子「また勇ちゃんじゃ。 やかましいなあ…。」

きぬ「ほっとかれえ。 子供なんじゃ。」

勇「おい あんこ。」

安子「あんこじゃねえわ 安子じゃ。」

勇「お前の家 ラジオあるんか。」

安子「ラジオ?」

勇「ねえんか。 やっぱりのお。 貧乏商店街じゃもんなあ! 早稲田と慶応の野球中継 聴きてえんなら うちで聴かせたってもええで。」

安子「いらんわ!」

きぬ「本当に 子供じゃあなあ…。」

橘家

居間

<ラジオは まだまだ 庶民にとって 高嶺の花でした>

丹原「(せきばらい) あの~ 大将。」

杵太郎「何なら?」

丹原「ラジオを買う ご予定なんかは ねえんかなあ思いまして…。」

杵太郎「ラジオ?」

金太「おお ええなあ ラジオ。 うん。」

杵太郎「あほうなこと言うな。 そねえなもん買うたら 仕事に身が入らんわ。」

金太「あ あ… う… うん… そうじゃ。」

菊井「いや しかしですね 舶来のぶどう酒だって 西洋音楽を聴かせたら おいしゅうなるいう話です あんこも…。」

杵太郎「そねえなもん聴かさなんでも うちのあんこは うまい。 ハッハッハッ。」

金太「そ… そうじゃ…。」

黒鉄「いえ 私らのためじゃねえんです。 奥さんや 若奥さんの娯楽に…。」

小しず「そねえ ぜいたくな。」

ひさ「町内でラジオ持っとるいうたら 荒物屋のケチ兵衛さんくれえじゃ。」

金太「吉兵衛さんじゃ。 町内会長さんつかまえて ケチ兵衛て…。」

杵太郎「とにかく ラジオは 買わん!」

算太「おう おう おう 安子も欲しかったわなあ ラジオ。」

工場

安子「おはようございます!」

金太「おはよう 安子。」

一同「おはようございます。」

金太「小豆ゅう炊きょうるから 入ったらおえんで」

安子「おじいちゃんは?」

金太「うん? まだじゃ 何か用か?」

安子「おじいちゃんが ラジオ買うてくれた!」

黒鉄「えっ…。」

金太「えっ…。」

菊井「えっ…。」

金太「本当か!?」

算太「はあ~ 本当に じいちゃんは安子に甘えのう。」

ラジオ『岡山県の天気予報を 申し上げます。 今日は 移動性の高気圧に覆われて 爽やかな秋晴れの天気おなりましょう』。

ひさ「へえ~! 今日は気持ちのええ秋晴れじゃあてえ。」

小しず「そねえなことも教えてくれるんですねえ。」

ラジオ『明日は 終日 雨になり 北東からの冷たい風が…』。

杵太郎「明日りゃあ 雨なんか。」

安子「おじいちゃん! ラジオ買うてくれて ありがとう!」

杵太郎「そねえなもん 買うとりゃせんで?」

一同「えっ?」

安子「せえでも 枕元に このお手紙が…。」

金太「算太! ありゃ どこ行った… おい。 おい。」

金太「こりゃ 算太! あのラジオ どねしたんなら! まて… こりゃあ! おい! おんどれ…!」

算太「うわっ!」

荒物あかにし

吉兵衛「おめえか! わしのラジオ盗んだん!」

金太「すんません このとおり! こらえたってつかあさい。」

吉兵衛「いいや こらえん! こりゃあ れっきとした窃盗じゃあ。」

算太「う~ん まあ… あんたが 店先に うけっ放しのラジオ 置いて 飛び出していったから 魔が差したんじゃなあ。」

金太「黙っとれ お前は!」

清子「お産婆さんを呼びに 飛び出さはったんです。」

金太「おっ 清子さん! 生まれたんか!」

清子「おかげさんで 安産でした。」

金太「お~!」

2人「かうぇえらしいのう!」

清子「ねえ あなた。 おめでたい時なんやさかい もう これで。」

吉兵衛「いいや! こらえん!」

金太「あの…。」

杵太郎「すんません。 お邪魔してええじゃろうか。」

吉兵衛「大将まで来て頭ぁ下げても こらえんけえな!」

杵太郎「いや~ 違うんじゃ。 今な 産婆のトメさんから聞いたんじゃ。 おめでとうございます。」

吉兵衛「今回だきゃあ 大目に見てやらあ。」

3人「ありがとうございます。」

清子「ハハッ すいまへん。 おおきに。 ウフフッ。」

金太「かわ… かわ。」

杵太郎「かうぇえな。 ハハハッ。」

清子「おおきに。」

金太「かうぇえらしい。」

橘家

お菓子司たちばな

杵太郎「せえでも ええ顔して笑いよったのお。 ラジオ聴きょうる時。 家のもんも 職人らも 皆…。」

金太「菓子食うようる時と おんなじ顔じゃ。」

ひさ「ありがとうございます。」

安子「ただいま。」

2人「お帰り。」

ラジオ♬『おい等は浮かれて ぽんぽこ ぽんの ぽん』

工場

杵太郎「お~ 安子。 買ったよ おじいちゃん。」

安子♬『証 証 証城寺 証城寺の庭は ツ ツ 月夜だ みんな出て 来い来い来い』

<安子は この上なく幸せな女の子でした。 Yasuko was such a happy little girl>

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