ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第20話「1943-1945」【第4週】

あらすじ

菓子作りに命を燃やした金太(甲本雅裕)。その突然の死を見守ったのは、おはぎを持ち逃げしようとした男の子でした。金太におはぎ売りを託された男の子は商いの楽しさを知り、新たな人生を歩みはじめます。そして戦後から3か月半。4年ぶりに「基礎英語講座」が復活しました。安子(上白石萌音)は、稔(松村北斗)の帰りを心待ちにしながら英語の勉強を再開。るいをあやしながら家事をしていると1人の復員兵の姿が現れ…。

20話ネタバレ

雉真家

離れ

安子「本当に ありがとうございます。 きちんと お弔いしていただいた上に こねんして祭壇まで…。」

千吉「よくよく医者の話ゅう聞いてみたら 随分と心臓が弱っとったそうじゃ。 戦争で つれえ思ゆうした人には ままあることらしい。」

安子「とても そねんふうには…。」

千吉「たちばなを建て直してえ その一心で 気力だけで 動き回っとったんじゃろう。」

橘家

(足音)

安子「あ…。 お父さんが倒れとるんを見つけて お医者さん呼んでくれたあ 男の子じゃて聞いたけど あんたなん? そう。 ありがとう。 よかったら 聞かせてくれるかなあ そん時のこと。」

男の子「夜遅うに 戸を叩えたんじゃ。 『おっちゃん。 おはぎのおっちゃん』って。 おっちゃんは 戸を開けて 『帰ってきたんか 算太』って。 そのあと 急に倒れた。 そん中で おっちゃんは ずっと うわごと言よおった。 『無事じゃったんか』とか 『待ちょったんじゃ』とか…。」

安子「そう…。 会えたんじゃ。 お父さん お兄ちゃんに会えたんじゃ。 はあ~ よかった。 ありがとう 教えてくれて。」

男の子「おはぎゅう売った もうけじゃ。」

安子「高う売れたんじゃね。」

男の子「最初は 持ち逃げするつもりじゃった。 しゃあけど やめた。 おはぎゅう 2つほど食べたら 何か 元気になって。 どねんしたら 一銭でも高う売れるか 考えてみゅういう気になった。 面白かった。 商いいうなあ 楽しいもんじゃ思うた。 しゃあから ちゃんと売り上ぎゅう 渡したかったんじゃ。」

安子「そう。 お仕事 ご苦労さまでした。 おなかいっぱい食べて。 それから どねえなことでもええ ちょっとずつ商いを始めて。 しっかりと生きていかれえよ。」

回想

金太「菓子は苦しいときほど 必要なもんじゃと わしは思う。 たちばなの菓子で救われる人が きっと おるはずじゃ。」

雉真家

<終戦から ちょうど3か月半たった 朝のことでした>

ダイニング

ラジオ『皆様 お久しぶりでございます。 『基礎英語講座』の時間です。 講師の 堀 英四朗です。 「The Sun and the North Wind」』.

<ラジオの『基礎英語講座』が 再開しました。 日米開戦に伴い 突然 放送がなくなってから およそ4年ぶりのことでした>

回想

稔「明日の朝 6時30分にラジオをつけてみて。」

ラジオ『Good morning everybody. 皆さん おはようございます。 「実用英語会話』の時間です」。」

回想終了

町中

<安子にとって ラジオの英語講座を聴くことは 稔を思うことでした。 When Yasuko listened to the English conversation program on the radio, she thought of Minoru>

雉真家

寝室

安子「『Once the Sun and the Morth Wind had a quarrel. The North Wind said…』。」

<一つの英単語を覚えるごとに 稔が帰る日が近づいてくる。 安子は そんな気持ちで 英語の勉強を再開しました>

安子「『just then a man came along』.」

町中

♬~(ハーモニカ『リンゴの唄』)

(読経)

雉真家

玄関

安子「Hang a bell around her neck. If… If…. If she walks, the bell will ring. If it rings, we can run….」

(足音)

安子「勇ちゃん…。」

勇「ただいま。 義姉さん。 あ~ るい。 大きゅうなったのう。 フフフフ…。」

安子「早う… 早う 入って! お義父様! お義母様! 勇ちゃんです! 勇ちゃんが帰ってきました!」

千吉「勇!」

美都里「勇!」

勇「父さん。 母さん ただいま帰りました。」

ダイニング

美都里「悪いなあ。 もっと ごっつぉお 食べさせてやりてえけど 配給じゃあ これが精いっぱいなんじゃ。」

勇「いや 立派なごっつぉおじゃ。 頂きます。 うん! うん うめえ。 やっぱり家はええのう。」

千吉「どけえ配属されとったんなら。」

勇「小笠原じゃ。 穴掘りばあ させらりょおった。 焼夷弾より 暑さにやられて 死ぬんじゃねえかと思よったとけえ 終戦の知らせが来たん

じゃ。」

美都里「そりゃあ よかったわ。」

勇「よかあねえ! 戦場に ええことなんか 一つもねえ! あ… ごめん 母さん。」

千吉「もう 何も話さんでええ。 皆 おめえが帰ってきたことを喜んどる それだけじゃ。」

勇「うん。 早う兄さんも帰ってくりゃあええのう。」

離れ

勇「ご愁傷さまでした。 大変じゃったなあ。 兄さんから便りは?」

安子「まだ…。」

勇「ああ…。 きっと 終戦の頃に 船で遠いとけえ行ったんじゃろう。 じゃから 復員が遅れとるだけじゃ。」

安子「うん。 フフッ 勇ちゃんが言うたら説得力あるわ。」

勇「おう。」

安子「ありがとう。」

勇「ああ。 あ~。」

安子「フフフフフッ。」

勇「ほい。 お~。」

安子「上手じゃなあ るい。」

勇「ほい。 この子あ 筋がええ。 さすがは るいっちゅう名前じゃ。 ほい。 フッ ハハハハッ。 もういっぺん。 おっ。」

安子「フフフッ。」

中庭

(足音)

勇「父さん! 父さん! どこ!? 父さん!」

座敷

千吉「何じゃ 勇 騒々しい。」

美都里「何? どねんしたん?」

千吉「稔が… 稔が戦死したて…。」

美都里「うそじゃ…。 うそじゃ! うそじゃ…。 うそじゃ! うそじゃ うそじゃ…。 うう… うそじゃ…。 うっ… うそじゃ…。」

神社

安子『稔さん…。 稔さん。 稔さん。 稔さん。 稔さん。 稔さん。』

安子「稔さん…。 意地悪せんで。 帰ってきて… 稔さん! (泣き声) 稔さん

! 稔さん! 稔さん! 稔さん…。」

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