あらすじ
千吉(段田安則)からるいを雉真家の養子にすることを求められた安子(上白石萌音)。その姿を見かねた勇(村上虹郎)は、るいを連れて岡山を出るよう安子を説得します。勇の援助を受け、るいと2人きり大阪へと向かったのでした。たどり着いたのは稔(松村北斗)が学生時代に住んでいたおぐら荘。大家の計らいで安全に暮らせる部屋を手に入れた安子は、お菓子を作って売ることで生計を立てようとしていました。
22話ネタバレ
雉真家
寝室
勇「金じゃ。 この家を出て るいと2人で暮らすんじゃ。 義姉さんが るいと一緒にいよう思うたら ここを出るしかねえ。」
安子「そねんこと…。 るいが おらんようになってしもうたら お義母様は…。 お義父様だって。」
勇「そりゃあ 悲しむじゃろう。 しゃあけど このままでええわきゃあねえ。 母さんも もっと強うならんといけん。」
安子「じゃけど。」
勇「あたあ わしが なんとかする。 急げ。 朝一番の汽車で 岡山を出るんじゃ。」
正門
勇「気ゅう付けてのお。」
安子「ありがとう。 勇ちゃんも元気で。」
勇「おう。 あんこ。 どねえしても困ったら 帰ってくりゃあええ。 そんときゃあ わしが おめえをもろうてやらあ。 ハッ。」
安子「フフッ。」
勇「フフッ。」
汽車
安子♬『Grab your coat, grab your hat baby Leave your worries on the doorstep』
回想・稔『コートをつかんで 帽子を取って 心配事は玄関に置いて』。
安子♬『Just direct your feet On the sunny side of the street』
回想・稔『ひなたの道へと歩き出そう』。
安子♬『Can‘t you heat thet pitter-pat babe?』
回想・稔『聞こえる? あの楽し気な音』。
安子♬『That happy tune is yout step』
回想・稔『あれは幸せな 君の足音』。
安子♬『Life can be so sweet On the sunnyy sede of the street』
回想・稔『ひなたの道を歩けば きっと 人生は輝くよ』。
おぐら荘
くま「誰や? ああ! あんた もしかして鈴木君の奥さんか? ええ? いや また間の悪いこっちゃなあ あんた。」
安子「あの…。」
くま「鈴木君な 復員してきてから あんたの里へ ちょこちょこ ちょこちょこ 捜しに行っとったんやがな。 そやけど 一向に見つからへんやろ? そやから もう こら あかんわ言うて もう飲み屋へ入り浸ってしもてやなあ。 そこで知り合うたんが 爪の赤い 性悪な女…。」
安子「あの! ご無沙汰しとります。 雉真です。」
くま「ここやけどな。 まあ 入り入り。 ここなあ 物置にしててんけどな。」
安子「はい。」
くま「まあまあ 要らんもん放って 掃除したら どうにかこうにか住めるやろ。」
安子「水と火は使えますか?」
くま「うん ガスは来てるらしいわ。 ほんで あの~ 水道は ここ出たとこにあるさかいに。」
安子「はい。」
くま「なっ。 せやけど まあ どんな事情があったんか この子と2人きりで大阪へ来て… まあ 訳は聞かへん。 せやけど 言うとくで。 今 みんなな 生きるだけで必死やねん。 だ~れも助けてくれへんで?」
安子「はい。 分かっとります。」
くま「うん。」
雉真家
ダイニング
勇「勝手なことをして ごめんなさい。 しゃあけど これが一番ええ思うたんじゃ。」
千吉「むちゃさせたもんじゃ。」
勇「お願いじゃ 捜さんといてやってください。 義姉さんは ああ見えて強え人じゃ。 るいを守るためじゃったら どねえなことも乗り越えるはずじゃ。」
千吉「どけえ行くんなら。」
美都里「決まっとるでしょう。 警察じゃ。 孫が さらわれたんじゃからねえ。」
勇「母さん。 もうやめてくれ。 母さんの そういう態度が みんなを追い詰めとることが 分からんのんか?」
おぐら荘
るい「あっ うっ う~。」
安子「おはよう るい。 よしよし よしよし…。 はい はい はい。 おはよう。 よし よし よし。 おしめ取り替えようね。 おはよう よう寝た? よう寝たなあ。」
闇市
<安子は お菓子を作って売ることで 生計を立てようと考えていました>
<しかし まだ米も 小豆も 砂糖も 簡単には手に入らず 売っていたとしても 安子には手の届かない値段でした>
安子「一つ3円ですか?」
「小さいのがな。 大きいのは5円や。」
安子「全部買うから 安うしてちょうでえ!」
<安子は さつまいもで アメを作ることにしました>
おぐら荘
<おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ>
安子「よし。 るい。 ごはんにしようか。」
安子「どうぞ。」
安子「ん!」
闇市
安子「芋アメ いりませんか? 芋アメ どうですか? あっ 芋アメ いりませんか? おいしい甘え芋アメです。」
「ふ~ん。 ほな 一つもらおうか。」
安子「ありがとうございます。」
「どれ。 おおっ うまいな。 ほな ごちそうさん。」
安子「あの お代を!」
「何や 銭 取るんか。 わしは あんたが いりませんか言うさかい 食うただけやで。」
安子「そんな…。 払うて! 払うてちょうでえ!」
「う~ん しつこいなあ!」
安子「あっ!」
「あ…。」
「ハハッ 払たらええんやろ 払たら。 ほい。」
<芋アメは 簡単には売れませんでした。 それでも 夜なべして作るしかありませんでした>
おぐら荘
安子「るい ちょっと待ちょってね。 待ちょってよ。」
るい「あ~!」
安子「待ちょって言ようろう! ごめん…。 ごめん ごめん。」
<安子は不安でした。 るいを守り抜く自身が ぐらつきそうでした>
闇市
安子「芋アメ いかがですか。 芋アメ どうですか? 芋アメ どうですか? おいしい 甘え芋アメです。」
「おい 誰に断って ここで商売しとんねん。」
安子「えっ?」
「ショバ代払え言うとんじゃ こら!」
安子「すみません 私 よう知らなんで…。」
「おいおい おいおい おいおい。」
「おっ? 子連れのばばあか思うたら まだ若いなあ。」
「ハッハッハッハッ」
「ハハッ もっとええ商売 紹介したるで。」
安子「やめて! 離して! ちょっ… やめて!」
「おい!」
町中
安子「はあ… はあ はあ…。」
『ごはんやで! 片づけて はよ手ぇ洗ってきい。』
子供たち『は~い!』
『おいしそうやなあ。』
『うん。 子供たち カレー好きやから いっぱい作ったわ。』
♬~(ラジオ『証城寺に狸囃子』)
回想
安子♬『証 証城寺の 証城寺の庭は ツ ツ 月夜だ みんな出て 来い来い来い』
回想終了
(ラジオ『証城寺の狸囃子』のメロディーで)
♬『Come, come, everybody How do you do, and how are you?』
<耳慣れた そのメロディーに乗せられた歌詞は 英語でした>
ラジオ♬『three, four, five? let‘s all sing a happy song Sing tra la la la la』
<それが 『カムカム英語』との出会いでした>