ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第25話「1946-1948」【第5週】

あらすじ

安子(上白石萌音)の前に突如現れた千吉(段田安則)。安子に、るいを連れて雉真家に戻ってくるよう説得するためでした。しかし、安子の固い決心は揺らぐことはありません。安子は一層おはぎ作りに精を出し、大口の顧客を増やすために営業にも回るようになりました。これまで安子とるいの日々の楽しみだったカムカム英語を聴く余裕すらないほど、忙しい日々を送っています。息つく間もなく、作業に没頭する安子でしたが…。

25話ネタバレ

おぐら荘

千吉「安子さん。 久しぶり。 元気そうじゃのお。 るい… じゃな?」

安子「はい。」

千吉「あ~ 大きゅうなったのう。」

るい「誰え?」

千吉「ホッホッ 覚えとらんのも無理ゃあねえ。 るい。 おめえのおじいちゃんじゃ。」

るい「おじいちゃん?」

安子「どうぞ。」

千吉「ありがとう。」

るい「おじいちゃん。」

千吉「うん?」

るい「おはぎ 食べますか?」

安子「るい。」

千吉「おはぎか。 1つもらおうかのう。」

るい「ちょっと待っちょってね。」

千吉「うん。」

るい「はい。」

千吉「ああ ありがとう。」

安子「るい。 表で遊んどかれえ。」

るい「はい。」

安子「あの… 本当に申し訳ありませんでした。 勝手なことしてしもうて。」

千吉「うん… やっぱり うめえのう。 一つなんぼで売りょんかな?」

安子「8円です。」

千吉「そねん 安んか。 薄利多売いうことじゃのう。 うん。」

安子「あの… お義母様は どねんされてますか? すんません。 こねえこと 聞けた義理じゃねんじゃけど…。」

千吉「寝込んでしもうとる。 安子さん。 るいを連れて岡山に帰ってこられえ。 こう言うちゃあなんじゃが こねん所で こねえな暮らしゅう 続けるなあ ようねえ。 あんただって 楽じゃねえじゃろう。 もう 再婚せえとは言わん。 稔の妻として 堂々と雉真の家におりゃあええ。 るいさえ戻りゃあ 美都里も つろう当たったりゃあせんじゃろう。」

安子「とんでもねえご迷惑を おかけしょおるこたあ 重々承知しとります。 お義母様のことも なんと おわびゅう申し上げたらええか…。」

千吉「じゃったら…。」

安子「しゃあけど… 岡山にゃあ 帰りません。」

千吉「何でなら。」

安子「あの日 岡山を出た日 私は決めたんです。 どねえにつろうても 来るしゅうても 顔を上げて 前う見て ひなたの道を歩いていく。 その姿を るいにも見せる。 そねんして るいを育てていく。 そう決めたんです。」

安子「どうか こらえてください。 ここで るいと2人 生きていかせてください!」

千吉「ええかげんにせられえ! 何ゅう意地になっとんじゃ。 るいのことを一番に考えたら おのずと答えは出るじゃろうが!」

(足音)

るい「お母さんを いじめたらいけん!」

安子「るい…。」

千吉「商用で 頻繁に大阪にゃあ来とる。 また寄らせてもらう。 安子さん。 るいは 安子さんの子じゃ。 しゃあけど 同時に 稔の子 雉真の子じゃ。 わしゃあ るいに それにふさわしい教育を 受けさせてやりてえ。 ここじゃあ… そりゃあ かなわんじゃろう。」

岡野商店

安子「毎度ありがとうございました。 また明日!

正子「雉真さん。」

安子「はい。」

正子「お茶でも飲んでいき。」

安子「ありがとうございます。 しゃあけど 急ぎょおりますんで 失礼します。 行くよ。」

道中

<安子は 自転車で走れる範囲で 営業に回りました>

<細々と小売りするよりも 大口の契約を増やそうと考えたのです>

安子「お菓子ゅう作って売りょおります 雉真といいます。 このおはぎゅうを こちらのお店に 置いていただくこと できませんでしょうか?」

<注文が増え 配達に行く時間をとられ 安子は ますます忙しくなりました>

おぐら荘

♬~(ラジオ『COME COME EVERYBODY』)

るい「お母さん 『カムカム英語』始まるよ。」

安子「ごめん 今 手が離せんのんじゃ。」

<『カムカム英語』すら 聴く余裕がなくなりました>

ラジオ・平川『皆さん なるべく 一家庭で少なくとも2人 できれば親子そろって この時間に参加してくださいね。 それは 一人でやる場合よりも ずっと早く上達します。 それでは 今日も楽しい英語の遊びをやって…』。

安子「はあ…。」

玄関前

安子「よし。 るい 行くよ。」

るい「は~い。 よいしょ。」

2人「よいしょ よいしょ…。」

(クラクション)

るい「(泣き声)」

安子「るい? うっ…!」

るい「(泣き声)」

安子「あ…。 るい! るい。 るい。」

るい「(泣き声)」

安子「るい!」

るい「(泣き声)」

安子「るい!」

るい「(泣き声)」

安子「今 お医者さんに…。」

るい「(泣き声)」

おぐら荘

安子「るい…。 (荒い息遣い) 勇ちゃん…?」

勇「ああ。 義姉さん。」

安子「るい! るいは どこ…! うっ…。」

勇「寝とけ。 左腕の骨が折れとんじゃ。 倒れとるんを 父さんが見つけた。 今 るいを大きい病院へ連れていっとる。」

安子「大けがしたん!?」

勇「落ち着けえ。 命に別状はねえ。 大事ゅうとってのことじゃ。」

安子「あ…。」

勇「水 飲むか? ああ。 商用で ゆうべから 父さんと大阪に来とったんじゃ。 父さんが わしにも 母さんにも黙って 義姉さんの居場所を捜しょうったこと さっき初めて知った。 わしゃあ 怒った。 約束が違う言うて。 何で そっとしてえやらんのんじゃ 言うて。 しゃあけど…。 義姉さん。 父さんの言うとおり 岡山に帰ってけえ。 それが一番ええと わしも思う。」

安子「勇ちゃん…。 勇ちゃんまで そねえなこと言うん?」

勇「その腕じゃあ 菓子も作れんじゃろう。」

安子「ばかにせられな! お菓子くれえ 右腕一本で作れるわ! これまで どねんなことがあっても 乗り越えてきたんじゃ。 今更 甘えるわけにゃあいかん。 逃げるわけにゃあいかん!」

勇「せえでも…。」

安子「るいが おるもの。 るいのためじゃったら どねえなことでも…。」

(戸が開く音)

るい「ただいま お母さん!」

勇「お~。」

千吉「運の悪いことに 落ちた場所に大きい石があったそうじゃ。 医者の話じゃと 傷は一生…。」

安子「ごめんなさい…。 ごめんなさい。 るい…。 (すすり泣き) ごめん…。 (すすり泣き) ごめんなさい。」

雉真家

正門

玄関

勇「ただいま。」

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