あらすじ
安子(上白石萌音)は、るいを連れて雉真家に戻ってきました。美都里(YOU)も孫の姿に顔をほころばせ2人の帰りを快く受け入れたのでした。そして雉真家には女中の雪衣(岡田結実)が加わり、千吉(段田安則)と美都里、勇(村上虹郎)と共に新たな生活が始まりました。大阪での苦しい暮らしから一変、不自由ない日常を手に入れたはずでした。しかし、安子の心はどこか大阪での日々を恋しく思う気持ちが出てきて…。
26話ネタバレ
雉真家
玄関
安子「勝手をして 申し訳ありませんでした。」
美都里「安子さん。」
安子「はい。」
美都里「帰ってきてくれて ありがとう。 このとおり 礼を言います。」
安子「お母様…。 るい。 るいのおばあちゃんじゃ。」
るい「こんにちは。 おばあちゃん。」
安子「お名前は?」
るい「雉真るいです。」
美都里「るい。 大きゅうなったねえ。 お帰り。 お帰り るい。 お帰り。」
稔の部屋
勇「部屋は 触っとらん。 兄さんのおった時のままにしとこう いう話になってのう。」
安子「うん。」
勇「おう」
雪衣「坊ちゃん お帰りなさいませ。」
勇「ただいま。 義姉さんたちが帰った。」
雪衣「お待ちしとりました。」
勇「あっ この春から来てもらようる 雪衣さんじゃ。 タミさんが息子さん夫婦のとこで 暮らすことになってのう。」
安子「安子です。 今日からお世話になります。」
雪衣「あ… お世話じゃなんて そねえな。」
安子「娘のるいです。」
雪衣「こんにちは。 るいちゃん。」
るい「こんにちは。」
勇「義姉さんは 見てのとおりの けがじゃ。 よろしゅう頼まあ。」
雪衣「はい。」
勇「雪衣さんは よう気が利くから安心じゃ。」
安子「よろしゅうお願いします。」
雪衣「こちらこそ。」
るい「よろしくお願いします。」
雪衣「お願いします。」
ダイニング
千吉「頂きます。」
一同「頂きます。」
千吉「お~。」
美都里「まあ 上手にお箸が使えるんじゃねえ。」
るい「はい。」
勇「義姉さんが よう しつけたいうことじゃ。」
雪衣「片手で食べにくかったら 使うてください。」
安子「あ… ありがとうございます。」
美都里「もう痛うないん?」
るい「はい。」
千吉「安子さん。 ここに帰ってきたからにゃあ 何も心配するこたあねえ。 暮らしのことも 医者のことも わしに任せとかれえ。」
安子「はい。 ありがとうございます。」
千吉「ハッハッハッハッ おう いっぱい食べえ。 なあ。」
美都里「上手。」
稔の部屋
るい「お母さん。」
安子「うん?」
るい「これから ずっと ここに住むん?」
安子「そうじゃ。」
るい「何で?」
安子「ここは るいが生まれた家じゃから。」
るい「ずっとお母さんと おれる?」
安子「当たり前じゃあ。 お母さんは 何があっても るいを離さん。」
朝丘町
(英語)
<安子は 生まれ育った 朝丘町を訪ねました>
<戦後の焼け野原から復興を遂げた町には 見知らぬ人たちが暮らしていました>
「な… 何じゃあ?」
安子「すみません…。」
「ごめんください。 絹 1丁ちょうでえ。」
きぬ「は~い ただいま。 はい。 毎度 ありがとうございます。」
「どうも。」
安子「きぬちゃん。」
きぬ「安子ちゃ~ん。 よかった~! 安子ちゃ~ん!」
安子「きぬちゃん。」
きぬ「安子ちゃん! よかった。」
安子「わあ~ きぬちゃんじゃ。」
きぬ「安子ちゃん!」
安子「わあ~ 本当に きぬちゃんじゃ。」
きぬ「どねんしたんで その腕。」
安子「ちょっと…。」
花子「あ~! 安子ちゃん!」
卯平「ホンマじゃ! 安子ちゃんじゃ!」
安子「おじさん。 おばさんも…。」
花子「聞いたで。 大変じゃったなあ。」
卯平「まさか… 金太さんや… 小しずさんまで…。」
安子「ご心配おかけして…。」
花子「算太ちゃんは? どねんしとるんで。」
安子「まだ行方知れずです。」
卯平「まあ あいつのことじゃ どこにおっても死にゃあせんわ。 なあ。」
花子「そう そうじゃわ。」
安子「しゃあけど 本当によかった。 おじさんも おばさんも お変わりのうて。」
花子「ありがとう。」
(ラッパの音)
力「ただいま~!」
花子「お帰り。」
卯平「ご苦労さん。」
力「よいしょっと。 おっ いらっしゃいませ! きぬ。 今日は 木綿がよう売れたで。」
きぬ「力さんじゃ。」
安子「きぬちゃん! きぬちゃん おめでとう!」
力「やや! もしかして 幼なじみの安子ちゃんかな!?」
安子「はい。」
力「ああ。 おうわさは きぬから しょっちゅう聞いとります。 会えたんじゃなあ。 よかった よかった。 あっ 積もる話もあるじゃろう。 お義父さん お義母さんも 邪魔したらおえんでえ。 (ラッパの音)」
卯平 花子「えっ えっ えっ…。」
花子「安子ちゃん… 安子ちゃん また。 また…。」
安子「また。」
きぬ「ハハハッ! 疎開先で会うたんじゃ。 近所の農家の三男さんでな。 私ゃあ そねんつもりゃあ なかったんじゃけど ここまで追いかけてきた。」
(笑い声)
安子「そりゃあ 随分と情熱的な人じゃな。 アハハハッ。」
きぬ「あほうなだけじゃと思うけど。 しゃあけど 今は あほうな人 そばにおってくれてよかった。 お父ちゃんも お母ちゃんも 栄養失調で体が弱っとるんじゃ。 しゃあけど… 陽気な力さんがおってくれるから 心まで弱らんで済んどる。」
安子「そう。」
きぬ「うん。」
安子「ええお婿さんもろうたな。」
きぬ「安子ちゃん。 稔さんは?」
神社
安子「きぬちゃん。」
きぬ「うん?」
安子「私 これから どねんしょう。」
きぬ「どねんしょうて?」
安子「稔さんの家に戻って… みんな喜んでくれて ようしてくれて。 何にも心配はねんじゃけど…。 大阪での暮らしゃあ 本当に大変じゃった。 るいと2人 食べていくのに精いっぱいで…。 しゃあけど 何でじゃろう… あの暮らしが恋しい。」
回想
安子「いらっしゃいませ。」
るい「いらっしゃいませ。」
回想終了
安子「るいと2人 一緒に おはぎゅう作って 一緒に売って 一緒に勉強して… 一緒に歌うて 一緒に笑うて…。 あの暮らしが幸せじゃった。 あのままで おりたかったって 思うてしまうんじゃ。」
きぬ「それでええがん。 岡山でも るいちゃんと一緒に 歌うて 笑うて おはぎゅう作って 暮らすこたあ できるじゃろう?」
安子「うん…。 うん そうじゃね。」
きぬ「そうじゃ。」
安子「フフフ…。 じゃね。」
きぬ「じゃ!」
(笑い声)
安子「じゃ。 フフフッ。」
きぬ「じゃ。」
雉真家
台所
るい「♬~(鼻歌)」
勇「はあ~ ただいま。」
るい「お帰りなさい。」
勇「ああ。」
雪衣「坊ちゃん お帰りなさい。」
勇「うん。」
雪衣「お早かったんですね。 お茶をおいれしましょうか?」
勇「あ~ そうじゃな。 頼まあ。」
雪衣「はい。」
勇「うん? お~ こりゃあ お母さんか? ハハッ この丸いほっぺたの辺やこ そっくりじゃ。」
るい「そりゃあ おはぎじゃ。」
勇「あ~ そうか…。 こっちか。」
(笑い声)
勇「あっ そうじゃ るい。 ちょっと待ちょおれ。」
庭
勇「おっ! ハハハッ うまい うまい。 もういっぺんじゃ。 お~! 早いわ! よいしょ。 ほい。 上に 上に。 お~ ええ球じゃ。」
雪衣「まあ 上手ですねえ。」
勇「フフフ。 るいは 赤ん坊の時から 筋がええんじゃ。 おっ…。」
雪衣「お茶が入りました。」
勇「おう そけえ置いといてくれ。」
雪衣「はい。」
勇「お~! まっすぐ飛ぶのう。 よっしゃ。 お~! うまいのう。」
安子「ただいま帰りました。」
勇「おう。」
るい「お帰りなさい お母さん!」
勇「お帰り。」
安子「ただいま。」
雪衣「お帰りなさい 安子さん。」
安子「雪衣さん。 るいを見てもろうて ありがとうございます。」
雪衣「いいえ。」
安子「勇ちゃん るいと遊んでくりょったんかな。」
勇「ああ。 久しぶりのキャッチボールじゃ。」
安子「う~ん!」
勇「ほれ いくで ほい。 いや~ 筋がええんじゃ。」
安子「はい。 おっ。 フフフッ。 はい。」
勇「ほい。 ほれ。 ほい。」
安子「やっぱり勇ちゃんは 野球が似合うわ。」
(笑い声)
勇「速いえわ。」
<安子は これまでと変わらない るいとの関係が いつまでも続くと思っていました。Yasuko believed that the bond she shared with Rui would last forever>