ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第28話「1948」【第6週】

あらすじ

英語が通じず困っている米軍将校(村雨辰剛)を見かけた安子(上白石萌音)。とっさに「May I help you?」と声をかけ、手助けします。それは英語を学び始めてから生まれて初めて交わした、生の英会話でした。その頃、定一(世良公則)の営む喫茶店には、将校たちの集まるクラブで演奏するミュージシャンが集まっていました。戦争に勝った国・アメリカのけんらん豪華な文化を前に、安子や定一は複雑な思いを重ね…。

28話ネタバレ

商店街

安子「May I…. May I help you?(なにかお困りですか?) Can I help you with something?(お手伝いしましょうか?)」

将校「Uh, I was just trying to buy some flowers.(いや 私はただ花を買いたかっただけなんです) Then she suddenly started apologizing.(そしたら急に謝りだして)」

安子「あ… おばさん。 この人は なんも 怒っとるんじゃねえよ。」

「えっ?」

安子「何で謝りょうったん?」

「野山で摘んだ花 勝手に売ったらいけん言うて おとがめなんか思うて…。」

安子「あっ え~っと… She thought you were saying not to sell the… wildflowers.(野の花を摘んじゃいけないと 言われていると思ったって)」

将校「Oh. No, that‘s not what I intended.(違います そうじゃありません)I just wanted to buy them.(買おうとしただけです)」

安子「この人あ お花を買いてえだけじゃ。」

「何じゃ… そうじゃったんかな。 どの花 ええじゃろうか?」

安子「Which one would you like?(そのお花にしますか?)」

将校「Well….(ええと…)How much?」

安子「なんぼですか?」

「20円じゃ。」

安子「Twenty yen.」

将校「Twenty yen. I‘m sorry that I scared you.(こわがらせて申し訳ありませんでした)」

「こねえ ぎょうさん…。」

安子「怖がらせた おわびじゃあて。」

「ありがとうございます。」

<それは 安子が生まれて初めて交わした 生の英語会話でした>

将校「Thank you. You were very helpful.(ありがとうございます 助かりました)」

安子「No problem at all.(どういたしましてt)」

将校「Have a nice day.(では)」

安子「Thank you, you too.」

<自分の英語が通じたことに 安子は 高揚していました。 Yasuko was overjoyed that he could understand her English>

雉真家

縁側

雪衣「るいちゃん。 私と あや取りでもしましょうか。」

るい「何でいけんの? 何で お母さんと一緒に おはぎゅう売ったらいけんの? 何で お母さんは 私のことを こけえ連れてきたん?」

雪衣「私も よう知らんのんです。 じゃけど… 初めて お二人を見た時に 分かったような気がしました。 安子さんは 諦めたんじゃ思います。 女手一つで るいちゃんを育てることを諦めて 雉真の家にお返ししようと 決めたんじゃ思います。」

るい「返す?」

安子「ただいま帰りました。 あっ るい。 ただいま。 ええ子にしとった?」

雪衣「とっても ええ子でしたよ。」

安子「お世話かけました。」

雪衣「そねえな…。」

安子「さあ るい。 お部屋で『カムカム英語』聴こう。 なっ。 せ~の…。」

♬『Come, come, everybody How do you do, and how are you?』

稔の部屋

安子「稔さん。 私 今日 初めて英語で話ゅうしました。 進駐軍さんが 道で困っとられてな。 ちょびっと緊張したけど 思い切って話しかけてみたんじゃ。 ちゃんと通じた。 相手のしゃべりょおることも ちゃんと分かった。 うれしかった。」

商店街

安子「ちょうど頂きます。 ありがとうございます。 今後とも ごひいきに。」

定一「お~い トロンボーン トロンボーンおらんか?」

「はい。 俺 吹けます。」

定一「よ~し。 ほい。」

♬~(トロンボーン)

定一「よし! 合格!」

「ありがとうございます!」

定一「そこの角のトラック乗れ。」

「はい。」

「俺も聴いてくれ。」

定一「あんたあ おえん。 何なら こねえだの演奏は。」

安子「定一さん?」

定一「はい。 あっ 安子ちゃんじゃ!」

安子「そうです!」

定一「安子ちゃんじゃ!」

安子「安子です! ご無沙汰しております。」

定一「ハハハッ うん。」

JAZZ BAR ディッパーマウスブルース

♬~(レコード)

定一「進駐軍にゃあ クラブがあるんじゃ。」

安子「クラブ?」

定一「ああ。 米兵の娯楽施設じゃ。 そこで演奏するバンドマンを わしが斡旋しとる。」

安子「この人らは?」

定一「レコードを聴きに来てる連中じゃ。 曲 演奏せえ言われても その曲をしらなんだら どねんしようもねえからのお。」

安子「ああ…。」

「マスター。」

定一「おう。」

「今んとこ もっぺん。」

定一「ああ。 これ! (窓をたたく音) シッ! あっち行け。」

定一「はい。」

♬~(レコード)

「もういっぺん!」

定一「はい。」

「ええかげんにせられえよ。 こっちゃあ譜面お越しよんじゃ。」

「じゃけど もっぺんだけ。」

定一「もういっぺんだけな。」

「マスター!」

定一「はい。」

「チャーリー・パーカー聴かせてくれえ。」

定一「ああ 順番じゃ。 酒でも飲んで待っちょおれえ。 毎日 この調子じゃ。」

安子「ハハ…。」

定一「ほい。 すまんのう コーヒーは まだ入ってこんのんじゃ。」

安子「何ですか? これ。」

定一「ああ。 コーラじゃ。 アメリカの飲みもんじゃ。」

安子「黒えラムネみてえなもんじゃろうか…? 頂きます。」

定一「はい どうぞ。」

♬~(レコード)

安子「あっ 苦え… うん? 甘え…。」

定一「ハハハハッ。 アメリカの味じゃ。 クラブ行きゃあ なんぼでもあらあ。 あっ おはぎ。」

安子「あっ どうぞ。」

定一「うん! さすが 安子ちゃんのおはぎじゃ。 バーボンにも合うわ。」

安子「それ お酒ですか?」

定一「ああ。 ウイスキーのコーラ割りじゃ。」

安子「昼間から飲んだりしたら 体に悪いですよ。」

定一「飲まずにやっとれるか。 うわさに聞いとる。 稔のこと。 健一も音沙汰なしじゃ。 もう いけんじゃろう。」

安子「そねえなこと…。 何の因果じゃろうのう。 稔 殺した… 健一を殺したかもしれん国の音楽… わしゃあ 今日もかけとる。 アメリカ人 喜ばせるために バンドの世話しょおる。 安子ちゃん。 進駐軍のクラブん中あ 別世界じゃ。 酒も 食いもんも 娯楽もあふれとる。 あれが戦勝国じゃ。 アメリカじゃ。」

安子「定一さん。」

定一「うん?」

安子「定一さんに言われたとおり 稔さん 私に子供を残していってくれました。」

回想

定一「ああ 子供は作ってから行けよ。」

回想終了

安子「おなごの子です。」

定一「あ… そうじゃったんか。 そりゃあ おめでとう。」

安子「名前は るい いいます。」

定一「るい?」

安子「稔さんが付けてくれました。 男の子でも おなごの子でも どこの国でも通用するようにって。 それから どこの国とも自由に行き来できる。 どこの国の音楽でも自由に聴ける。 自由に演奏できる。 私たちの子供にゃあ そねえな世界を生きてほしい。 ひなたの道を歩いてほしいって。」

定一「インテリの稔が考えそうなことじゃの。」

雉真家

ダイニング

美都里「ああ そうそう。 上手じゃねえ るい。」

雪衣「奥様。 日が暮れると冷えますよ。」

美都里「ありがとう。」

(時計の時報)

るい「おばあちゃん。」

美都里「うん?」

るい「ラジオつけてもええですか?」

美都里「ラジオ?」

♬~(ラジオ『COME COME EVERYBODY』)

るい♬『Come, come, everybody How do you do, and how are you? Won‘t you have some candy? One and two and three, four, five? Let’s all sing a happy』

(ラジオを切る)

美都里「ごめんね るい。 おばあちゃん 聴きとうねんじゃ。 稔を殺した国の歌は 聴きとうねんじゃ。」

商店街

ラジオ・平川『Good evening, everybody. How about giving me a big smile? 今年も もう          12月になりましたね。 アメリカですと もう ぼつぼつ クリスマスシーズンがやって来ます』。

雉真家

稔の部屋

ラジオ・平川『We can‘t think of having Christmas without you. お前がいなくちゃ クリスマスも さっぱりじゃからな。 『We can’t think』  私たちは 思うこともできない。 『of having Christmas 』 クリスマスを祝うなんて。 『without you 』 あなたなしで。 あなたのいないままで』。

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