ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第32話「1948-1951」【第7週】

あらすじ

安子(上白石萌音)が作った、たちばなの味を引き継いだおはぎを食べた算太(濱田岳)は、とある決意を固めます。その頃、雉真繊維では、勇(村上虹郎)の提案で野球部を作る話が上がっていました。当初は千吉(段田安則)をはじめとした周囲の反対がありましたが、次第に野球のチームワークが社内の空気を変えはじめ、売り上げにも変化が起きていき…。そしてある日、再び安子の前にロバート(村雨辰剛)が現れ…。

32話ネタバレ

雉真家

離れ

算太「ん… あ~。」

台所

安子 るい「小豆の声を聴けえ。 時計に頼るな。 目を離すな。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる。 おいしゅうなれ おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。」

るい「算太伯父さん!」

安子「おはよう お兄ちゃん。」

算太「ああ。 ふ~ん… どれ。 お~ 懐かしいのう。」

安子「うん。」

離れ

安子「どうぞ。」

算太「まずいです。」

安子「えっ!?」

算太「うそじゃ。」

安子「フフフッ。」

算太「うまい。」

安子「もう~ お兄ちゃん。」

算太「まさか 安子が たちばなの味う受け継いどったたあのう。 おかしなもんじゃ…。 自分から投げ出した 家業じゃったのに…。 ジャングルで さまようて 死にかけとった時 恋しゅう思うたんは… たちばなのおはぎじゃった。」

算太「安子。 一緒に 建て直さんか… たちばな。 いや~ わしゃあ 菓子ゃあ作れん。 じゃけど… 何ぞかんぞ 手伝いぐらいはできるかもしれん。」

安子「戦争が終わった時 朝丘町は焼け野原じゃった。 しゃあけど… お父さんが言うたんじゃ。」

回想

金太「たちばなを立て直すで。 たちばなの菓子で救われる人が きっと おるはずじゃ。」

回想終了

算太「まいったのう…。 親父ゃあ 何でも お見通しじゃ。」

雉真繊維

勇「雉真繊維の野球部を作ったら ええと思う。」

千吉「勇。 今は どねんしたら社員一丸となって 繊維業界の苦境を乗り越えられるか いう話をしょおるんじゃ。」

勇「野球は チームワークじゃ。 会社も チームワークじゃ。 難しい局面も 力ぁ合わせて乗り越えていく。 その精神を野球で鍛えて どねえな試練があろうと くじけん そねん体質の会社にしていくべきじゃ。」

千吉「話にならん。」

勇「父さん。」

林「わしゃあ なかなか ええ案じゃ思います。」

千吉「おめえまで 何じゃ。」

林「勇坊ちゃんは 中学野球の名選手でした。 ずっと主将を務められていました。 その経験と能力で社員をまとめ 導いていくいうのんは あながち間違うとらん思います。」

勇「父さん。 わしゃあ 兄さんのようにはなれん。 わしのやり方でしか 雉真の跡継ぎには なれんのんじゃ。」

雉真家

安子「お義母様。 兄のこと ありがとうございました。 あねん素直な兄を 生まれて初めて見ました。」

美都里「私は 何もしとらんよ。」

安子「あの…。 兄が たちばなを立て直すと 言うてくれました。 私には 生まれ育った家で… それから… 稔さんと出会わせてくれた場所です。 ありがとうございました。 それじゃあ るい。 お母さん お仕事行ってくるね。」

るい「うん 行ってらっしゃい。」

安子「行ってきます。 お世話 おかけします。」

美都里「るい。 おばあちゃんと おはぎゅう食びょうか。」

るい「うん!」

美都里「そんなら 半分こね。 はい。」

るい「頂きます。」

美都里「頂きます。 う~ん。 甘えなあ?」

るい「甘え!」

美都里「うん。 るいのお父さんも おはぎが好きじゃった。」

るい「本当?」

美都里「本当じゃ。 大学予科の 初めての夏休みに おはぎゅう買うてきてくれたんじゃ。 大阪で買いそびれたから 朝丘町の たちばないうお店で 買うてきたよ言うて…。」

るい「おいしゅうな~れ おいしゅうな~れ おいしゅうな~れ おいしゅうな~れ。」

美都里「何じゃ?」

るい「おいしい あんこの おまじないじゃ。」

美都里「うん?」

るい「食べる人が笑うてくれますようにいうて お願いするんじゃ。」

美都里「そっか…。 そっか そっか…。 おいしゅうな~れ 言うんか。 ハハッ そっか そっか。」

グラウンド

勇「よう見いよ 球!」

千吉「緩やかにじゃが 近頃 売り上げが伸びとるんじゃ。 稔が死んで 野球しかしたことのねえ勇を 跡継ぎにして 一時は どねんなることか思うたが… 大したやつじゃ。」

美都里「今更 何を言よんでえ。 当たり前じゃろう。 私が産んだ子なんじゃから。 自慢の息子じゃ。 稔も 勇も。」

千吉「そうじゃな。」

美都里「うん。」

千吉「ありがとう 美都里。」

<再びクリスマスが近づく頃に 美都里は 稔のいる空の向こうへと旅立ちました>

JAZZBAR・ディッパーマウスブルース

定一「きっと今頃 おばあちゃんが お父ちゃんに るいちゃんのことを話しょおるじゃろう。 ホンマに ええ子に育っとるいうて。」

定一「ほい。」

「ありがとう…。」

定一「はい。 はい どうぞ。」

♬~(『Silent Night』)

町中

♬『mother and child』

安子「おはぎゅあ どうですか? おはぎゅあ どうですか?」

ロバート「Mrs.Kijima.(こんにちは 雉真さん)」

安子「Mr.Rosewood.(こんにちは ローズウッドさん)」

ロバート「I came here to buy some ohagi(おはぎを買いに来ました)begore leaving Okayama.(岡山を去る前に)」

安子「えっ?」

ロバート「アメリカ軍は 既に 岡山からの撤退を進めています。 私も 間もなく。」

安子「そうですか…。 お代は要りません。」

ロバート「What? No, no, no, Let me…。(えっ? いや そういうわけには)」

安子「Don‘ say no.(ノーと言わないでください)It’s Christmas day.(今日はクリスマスですよ)」

ロバート「Thank you.(ありがとう)」

安子「My pleasure.(いいえ)」

ロバート「Mrs.Kijima.(雉真さん)英語の勉強 これからも続けてください。 Keep up the good work. きっと あなたをどこか 思いも寄らない場所まで 連れていってくれますよ。」

安子「Merry Christmas.」

ロバート「Merry Christmas.」

<長かった戦争は 本当に終わったのだと その時 安子は思いました。 Yasuko began to think that the long war was finally over>

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