ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第34話「1948-1951」【第7週】

あらすじ

1951(昭和26)年2月。5年間続いたカムカム英語の歴史は幕を閉じました。戦後の日本を照らしたこの放送は、安子(上白石萌音)とるい(古川凛)の人生にとってもかけがえのない時間でした。心の支えを失ったかに感じていた安子のもとに、英語教室を始めるロバート(村雨辰剛)から英語のテキスト作りを手伝ってほしいとの誘いの話が舞い込みます。一方、算太(濱田岳)は雪衣(岡田結実)から、とある思いをぶつけられ…。

34話ネタバレ

雉真家

稔の部屋

ラジオ・平川『では皆さん お元気で。 5年の間 皆さんと 明るく手をつないでまいりました 楽しい『カムカム英語』の旅も いよいよ これで お別れです。 長い間 皆さんと 仲よしにしていただいきましたことを 心から厚くお礼を申し上げますと同時に ここで芽生えました皆さんの英語が 立派に成長して 大きな舞台に活躍する日を ただ ひたすらにお待ち申しております。 では 全国のカムカムの赤ちゃん いつまでも 明るく お元気で。 This is Hirakawa saying sayonara and good night.』

ラジオ『担当は 平川 唯一先生でした』。

安子「終わってしもうたねえ。」

るい「うん…。」

<『カムカム英語』は戦後の日本にとって 太陽のような存在でした>

<そして 安子と るいにとっては 掛けがえのない 2人だけの幸せな時間の象徴でした>

玄関

安子「気を付けられえよ。」

千吉「るい そろそろ行こうか。」

るい「はい。」

安子「お義父様 今日は よろしゅうお願いします。 るい。 あんまり高えもん おねだりしたらいけんよ。」

るい「は~い。」

千吉「何ゅう言よんじゃ。 わざわざ大阪まで行って 入学祝ゆう買うんじゃ。 るい。 何でも欲しいもん言えやあええぞ。」

るい「はい!」

安子「すいません。」

千吉「ほい。」

るい「行ってきま~す!」

安子「行ってらっしゃい。」

朝丘神社

安子♬「Come, come, everybody How do you do, and how are you? Won’t you have some candy? One and two and three, four, five? Let’s all sing a happy song Sing tra la la la la」

ロバート「ハハハハッ。 こんにちは。」

安子「こんにちは…。」

ロバート「変わった歩き方ですね。」

安子「やっぱり見とられましたよね…。」

ロバート「あ~ でも きれいな木漏れ日ですね。」

安子「本当に。」

ロバート「英語で何て言うか 知っていますか?」

安子「木漏れ日ですか?」

ロバート「はい。」

安子「さあ… 知りません。」

ロバート「木漏れ日の英語は ありません。」

安子「えっ?」

ロバート「この きらきらとした 光と影のダンスや 揺れる木の葉の形 そこから感じる温かみ… こういったものを ひと言で表す言葉は 日本語にしかないものです。」

安子「そうじゃったんですか…。」

ロバート「この『木漏れ日』という言葉に 出会えたことは 日本語を勉強していて よかったと思う 一つのことです。」

安子「何か… 不思議な気持ちです。 日本人でも知らん 日本のええところを アメリカ人のローズウッドさんを通して 知るじゃなんて 不思議じゃけど うれしいもんですね。」

ロバート「Oh…。 Right. I got it!(そうだよし!)Mrs.Kijima, would you do me a favor?(雉真さんに お願いがあるのですが」

安子「Yes…。」

ロバート「Would you help me make some teaching materials?(教材づくりを手伝ってもらえませんか)」

安子「教材づくり? 何のですか?」

ロバート「実は 英語の教室を開いてほしいという 要望があるんです。」

安子「ああ…。」

ロバート「ここの宮司さんの計らいで 週に一度 社務所を 使わせてもらうことになりました。」

安子「えっ ここで英語の教室を?」

ロバート「はい。 春に始められたらと 準備をしてるところです。」

安子「そうじゃったんですか。」

ロバート「ただ… テキストも何もかも 自分で作らなくてはならなくて。 それが とっても難しくて 今 悩んでいました。 でも 分かりました。 日本人が気付いてない 日本のいいところ。 それを自然と英語で話し合えるような そんなテキストにしていけばいいと。 あなたに手伝ってもらえると とっても心強いのですが。」

安子「『カムカム英語』が終ったんです。 何か… 心の支よを失うたようで… どねんしょう思よったんですけど…。 こねんして 英語の道は続いていくんですね。」

ロバート「では…。」

安子「お役に立てるか分かりませんけど 私でよかったら お手伝いします。」

ロバート「Yes! Come on, Kijima, you too!(ほら 雉真さん あなたも!) ハハハハハハハッ。」

安子「フフフッ。」

雉真家

回想

千吉「勇。 そろそろ嫁ょうもらえ。 安子さんと一緒んなれ。」

回想終了

ダイニング

雪衣「お待たせして すみませんでした。」

算太「お~ ほっほっほっ ありがとう ありがとう! うん? いや~ どこを虫が食うとったか 全く分からんなあ。 ヘヘッ いや~ 大したもんじゃ。 ありがとう ありがとう!」

雪衣「そしたら 失礼します。」

算太「あ~ 雪衣ちゃん 雪衣ちゃん。」

雪衣「はい。」

算太「その… そこの映画館 チャップリンが かかっとるんじゃ。 どうじゃ 一緒に見に行かんか?」

雪衣「仕事がありますから。 すみません。」

算太「うん そうか…。」

雪衣「あの… 算太さん。」

算太「ああ 何なら?」

雪衣「何で… 算太さんと 安子さんは この家におるんですか?」

算太「えっ…。」

雪衣「安子さんは 亡うなった稔さんいう人の 奥さんじゃそうですけど…。 じゃったら おとなしゅう 家のことだけするんが筋じゃ思います。 じゃのに 勝手に おはぎゅう売り歩いたり こねんして 安子さんじゃのうて 私が算太さんの服 繕うことだって… 何か 納得いきません。」

算太「ああ ああ… そりゃ わしが…。」

雪衣「早う この家出てった方が ええ思います! るいちゃんは 別じゃけど… 算太さんと安子さんは 旦那様の財産を当てにして この家に居座りょうる思われても しかたねえんじゃねえですか!?」

勇「何ゅう言よんじゃ。」

雪衣「違います。 違います…。」

勇「あんたに 義姉さんの何が分かるんじゃ! ハッ… 義姉さんが どねえな思いで義兄さんと一緒になったか るいを育ててきたか。 義姉さんらにとって たちばなが どねん大事な店じゃったか。 何も分かっとらんくせに 余計な口出しするんじゃねえ!」

雪衣「申し訳ありません…。 申し訳ありません!」

算太「ええ ええ。 ちょお ちょお… まあまあ。 なっ 勇ちゃん… 安子は ともかく わしが ただの居候なんは 本当のことじゃ。」

算太「のう。 勇ちゃん。 雪衣ちゃんが 安子に出ていってほしい思う 本当の理由…。」

雪衣「やめてください! 失礼します。」

カフェ

「こんにちは。」

「いらっしゃいませ。 こちらへ どうぞ。」

千吉「おいしいか?」

るい「で~れ~おいしい! お母さんにも食べさせてあげてえなあ。」

千吉「優しいのう るいは。 るい。 そりょお食べたら もう一つ 行く所があるんじゃ。 うんうん 食べえ 食べえ。」

るい「は~い!」

病院

医者「はい もうええよ。」

千吉「えらかったな るい。 そしたら ちょっと待ちょってくれるか。」

るい「うん。」

看護婦「ほな 行こか。」

るい「はい。」

千吉「先生。 どねんでしょう?」

雉真家

ダイニング

るい「わあ!」

安子「もう こねえに たくさん。 ありがとうございます。」

千吉「るいは わしの孫じゃ。 これくれえ当たりめえじゃろう。」

安子「るい。 よかったね。」

るい「うん! ありがとう おじいちゃん。 算太伯父さんにも見せてきてええ?」

千吉「もちろんじゃ。」

るい「ハハハッ。 お母さんも!」

安子「はいはい。 はいはい。 あっ すんません。」

るい「算太伯父さ~ん!」

稔の部屋

♬『Come, come, everybody How do you do, and how are you? Won’t you have some candy? One and two and three, four, five? Let’s all sing a happy song Sing tra la la la la』

安子「るい。 春になったら 英語教室に通おうか。」

るい「英語教室?」

安子「うん。 前に会うたじゃろう。 アメリカ人の。」

るい「ロバートさん?」

安子「うん そう。 あの人が 春から 朝丘神社の社務所で 教室を開くんじゃてええ。」

るい「本当に?」

安子「本当じゃ。 それで お母さん そのテキストづくりを 手伝うことにしたんじゃ。 お父さんが思い描いた世界…。」

回想

稔「どこの国とも自由に行き来できる。 どこの国の音楽でも自由に聴ける。 自由に演奏できる。 僕らの子供にゃあ… そんな世界を生きてほしい。 ひなたの道を 歩いてほしい。」

回想終了

安子「そんな世界が もう そこまで来とるような気がする。」

朝丘神社

ロバート「Hi.(こんにちは)」

安子「Hi.」

るい「Hi.」

ロバート「Let’s go inside!(さあ 入って!)」

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