あらすじ
ロバート(村雨辰剛)と共に、週一回英語のテキスト作りを続けている安子(上白石萌音)。カムカム英語の終了で途切れたかに思えた英語の道はこうして続いていったのでした。ロバートとの会話は、安子にとって今まで以上に新鮮な驚きの連続でした。一方、雪衣(岡田結実)は勇(村上虹郎)への思いを断ち切れぬまま、これまで通り接する日々を送ります。そんな雪衣の複雑な思いを知る算太(濱田岳)は、ある行動に出て…。
35話ネタバレ
朝丘神社
社務所
安子「ここで お絵描きしとってね。」
るい「はい。」
ロバート「Now….(さてと) Shall we start, Mrs Kijima?(始めましょうか 雉真さん)」
安子「Yes, Mr. Rosewood.(はい ローズウッドさん)」
ロバート「Hmm…。 日本のいいところを テキストにしていこうと言いましたが まず 日本への不満を 言ってもいいですか?」
安子「何でしょう…?」
ロバート「う~ん… いつまでも 『雉真さん』 『ローズウッドさん』と呼び合うことです。 奥ゆかしさは日本のいいところですが 何だか unfriendly, そっけない感じがします。」
安子「ああ そうなんですね。 すみません。」
ロバート「Would you call me Robert?(ロバートと呼んでもらえますか Please?(お願いできますか?))
安子「Yes,(はい…ロバート… Robert… san….)」
ロバート「You don’t need “san”.」
安子「I know…, I know…, but….(わかってます…でも…)」
ロバート「All right, all right. You can take your time.(わかりました すぐじゃなくて結構です。)」
安子「Sorry….(すみません)」
ロバート「May I call you Yasuko?(私は安子と呼んでもいいですか?)
安子「Yes….(はい…)」
ロバート「Great. Well then, let’s get started, shall we, Yasuko?(よかった それじゃ始めましょう 安子)」
安子「Yes.」
雉真家
庭
勇「雪衣さん。 こねえだは きつう言うてしもうて すまなんだ。 わしは… どうも その… 野球のほかあ からっきしで。」
雪衣「そこが 坊ちゃんのええとこじゃ思います。」
勇「すまん。 ハッ… わしゃあ 小せえ頃から 義姉さんの実家の 菓子屋に入り浸っとった。 名前が安子じゃから あんころ屋のあんこ 言うて からかよった。」
雪衣「私が小さい頃にもいました。 そういう男の子。」
勇「ハハ…。」
雪衣「そねえに小せえ頃から 好きじゃったんですね。」
勇「あ~。」
雪衣「安子さんのこと。」
勇「とうに 諦めたつもりじゃったけど…。」
雪衣「諦めることねえと思います。 安子さんも るいちゃんも 坊ちゃんのこと頼りにしとるはずです。」
勇「いや… 何じゃ わしが励まされてしもうたのう。」
雪衣「フフフ…。」
勇「ハハッ。」
雪衣「坊ちゃん。 今度 進駐軍と試合するんでしょう?」
勇「ああ そうじゃ。」
雪衣「頑張ってきてください。」
勇「ありがとう。 そしたら。」
雪衣「行ってらっしゃいませ。」
勇「行ってきます。」
雪衣「はい。」
玄関
(物音)
算太「ヘヘヘヘッ。」
雪衣「フフフッ。 ハハハ…。」
朝丘神社
社務所
安子「Thank you. What is your favorite Japanese word?(お気に入りの日本語はなんですか?)」
ロバート「I love the Japanese word, “Komorebi”(木漏れ日という日本語が大好きです)」
安子「Komorebi? Why?(木漏れ日? どうして?)」
ロバート「We don’t have an exact translation for it in English.(これにあたる英語はありません)」
安子「Really? I didn’ know that.(そうなんですか 知りませんでした) あ… う~ん… ちょっと難しすぎるかもしれませんね。」
ロバート「そうですか。」
安子「うん…。」
ロバート「う~ん…。」
<安子とロバートは 週に一度のペースで テキストづくりを続けました>
安子「あっ あの よかったら 一休みしませんか?」
ロバート「Oh! Ohagi! My favorite!(わあ おはぎ 今や大好物ですよ」
安子「Glad to hear that.(そう言っていただけると)」
ロバート「May I?(いただいても?)
安子「Sure.(もちろんです)るい。 るいもおいで。」
るい「は~い。」
安子「どうぞ。」
ロバート「頂きます。 Something wrong? どうかした?」
るい「アメリカ人も おはぎゅう食べるんじゃなあ。」
ロバート「ハハハハハハッ。 アメリカ人みんなが おはぎを食べるとは限りません。 それに 私は 全てのおはぎ 好きなわけではありません。」
安子「えっ?」
ロバート「安子さんのおはぎが おいしかったから 大阪でも見つけたら買っています。 でも 安子さんのおはぎが一番です。」
安子「本当ですか。 うれしいです。」
ロバート「本当に 特別なおいしさです。 どうして こんなに おいしくできるのですか?」
るい「あんこのおまじないを かけとるからじゃ。」
ロバート「あんこのおまじない?」
安子「るい…。」
ロバート「どんなものですか? 是非 教えてください。」
安子「祖父の代から受け継がれとるものです。 小豆を炊きながら唱えるんです。 フッ… 『小豆の声を聴けえ。 時計に頼るな。 目を離すな。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる』。」
安子 杵太郎「食べる人の 幸せそうな顔を思い浮かべえ。 おいしゅうなれ。」
安子 金太「おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。」
安子「『その気持ちが 小豆に乗り移る。 うんと おいしゅうなってくれる。 甘えあんこが出来上がる』。
安子「『はっ!』。 あ… ハハ… フフフッ。 すいません。」
ロバート「Wonderful.(すばらしい) Listen to the red beans. Never trust the clock. Keep an eye on them. They’ ll let you know what to do. Imagine the happy smiles of the people eating them. Be delicious, be delicious, be delicious…. That feeling will flow into the beans until they become… delicious, sweet, anko.」
<子供の頃から幾度も聞いていた あんこのおまじないが まるで違って聞こえました。 安子自身が おまじないをかけられたような そんな心地でした>
雉真家
<雉真繊維 対 進駐軍の 試合の日が来ました>
勇の部屋
回想
千吉「安子さんと一緒んなれ。 稔じゃったら 言うじゃろう。 安子さんを任せられるんは 勇しかおらんと。」
回想終了
勇「兄さん。 行ってくるで。 きっと アメリカに勝ってみせる。 よし…。」
朝丘神社
社務所
ロバート「Lesson 3 “Ohagi”.」
安子「Ohagi. May I help you?」
ロバート「Yes. What are these?」
安子「They are “ohagi”.」
ロバート「Ohagi?」
安子「フフフ… Yes. Traditional Japanese sweets.」
ロバート「What are they made of?」
安子「A sweet paste made from red beans.」
ロバート「Oh! Red beans.」
安子「Yes. It’s called “anko”.」
ロバート「Anko.」
グラウンド
「ブレ―ボール!」
(声援)
「Go, go, go, go, go,! Come on!」
(歓声)
回想
勇「わし… あんこのことが好きなんじゃ。 諦めん。 甲子園も…。 あんこも。」
回想終了
(歓声)
朝丘神社
社務所
ロバート「おっ るいちゃん。 見てもいい?」
るい「はい。」
ロバート「わあ…。」
るい「はい。」
ロバート「上手だね。 Wow! おはぎが いっぱいある。 Yasuko, look at this.」
安子「わあ!」
ロバート「So, nice.」
安子「おいしそう。」
ロバート「Who is this?」
るい「ロバートさん。」
ロバート「It’s me? アハハハッ。 Nice, nice.」
グラウンド
(打撃音)
回想
勇「とうに 諦めたつもりじゃったけど…。」
雪衣「諦めることねえと思います。 安子さんも るいちゃんも 坊ちゃんのこと頼りにしとるはずです。」
回想終了
町中
ロバート「おはぎ いっぱい食べたね。」
安子「全部食べてくださって。 フフッ うれしかったです。」
ロバート「おいしかった。」
(笑い声)
ロバート「See you around, Rui.」
るい「Bye, Robert.」
ロバート「Take care, Yasuko.」
安子「See you next time, Robert… san.」
ロバート「ハハハッ。」
安子「フフ…。」
安子「さあ 帰ろうえ。」
るい「うん。」
雉真家
台所
安子「Listen to the red beans. Never trust the clock. Keep an eye on them. They’ ll let you know what to do. Imagine the happy smiles of the people eating them. Be delicious, be delicious, be delicious…. 」
勇「おはよう。」
安子「あっ 勇ちゃん。 おはよう。 あっ おめでとう。 勝ったんじゃてね。」
勇「あ… ああ。」
安子「ゆうべは 遅うまで 祝勝会じゃったんじゃろう。 飲み過ぎたんと違う? あっ お水う飲む?」
勇「あんこ。 わしと結婚してほしい。」