ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第36話「1951-1962」【第8週】

あらすじ

勇(村上虹郎)に気持ちを伝えられた安子(上白石萌音)は、すぐにはその返事ができずにいました。兄の算太(濱田岳)と一緒に生まれ育った「たちばな」のような和菓子屋さんを作ろうと、おはぎを売りながら少しずつお金をためてきた安子。るいとの幸せな未来を願いながら悩んでいたある日、英語の教材作りのためにロバート(村雨辰剛)と一緒にいたところを勇に目撃されてしまい…。

36話ネタバレ

雉真家

台所

勇「あんこ。」

勇「わしと結婚してほしい。 わしゃあ 甲子園には行けなんだ。 大学野球も志半ばじゃった。 じゃけど 進駐軍との試合に勝てたら アメリカに勝てたら そん時ゃあ 兄さんも認めてくれる。 そねん思うて 戦うたんじゃ。 これからは わしが守りてえ。 おめえのことも るいのことも。」

ダイニング

<数日が過ぎても 安子は 勇に返事をできずにいました>

算太「いや~ おかげさんで ええ物件が見つかりましてな。 あたあ 信用金庫の貸し付けが通れば いよいよ たちばな再開です。」

千吉「そりゃあ よかった。 算太さん 背広は持っとられますか?」

算太「背広…?」

千吉「信用金庫に行くんじゃったら 身なりを きちんとせにゃいかん。 わしの若え時のでよかったら 差し上げますよ。」

算太「いや~ そら 助かります。 もう何から何まで すみません。」

安子「るい。 しいたけも食べんといけんよ。」

るい「しいたけは 嫌えじゃ。」

安子「好き嫌い言うんじゃねんよ。」

千吉「るい。 『しいたけは嫌え』て 英語で何て言うんじゃ?」

るい「I hate mushrooms.」

千吉「賢えのう。 きっと小学校でも…。」

水田屋とうふ

きぬ「これまでが 不自然じゃったんじゃ思うよ。 再婚もせんと 雉真の家におって おはぎゅう売りながら るいちゃん育てるじゃなんて。」

安子「そうじゃね…。」

きぬ「勇ちゃんのこたあ 好きじゃろう。」

安子「もちろんじゃ。」

きぬ「じゃったら 何が問題なん?」

ロバート「Yasuko! Hi!」

安子「ロバートさん。 何で? 今日は…。」

ロバート「はい。 テキストづくりの日ではありません。 でも いろいろ宮司さんと相談があって。」

安子「ああ。 あっ 友達のきぬちゃんです。 大阪の進駐軍で働いておられる ロバートさん。」

ロバート「初めまして。」

きぬ「初めまして。」

ロバート「Oh! もうすぐ赤ちゃんが生まれますか?」

きぬ「はい。」

ロバート「元気な赤ちゃんが生まれますように。」

きぬ「なるほど。 安子ちゃん。」

安子「うん?」

きぬ「今日は店に戻らんでええで。」

安子「えっ? しゃあけど まだ おはぎが…。」

きぬ「私が売っといたげるから。」

安子「えっ じゃけど…。」

きぬ「安子ちゃん。(小声で)自分が どねんしてんか はっきりさせんといけんよ。」

雉真繊維

(ため息)

回想

千吉「稔じゃったら 言うじゃろう。 安子さんを任せられるんは 勇しかおらんと。」

回想終了

(時計の時報)

離れ

雪衣「貸し付けが通るとええですねえ。」

算太「うん。」

雪衣「そしたら 算太さんも 一国一城のあるじですね。」

算太「雪衣ちゃん。 店を始める家が手に入ったら…。 そこで わしと 一緒に暮らしてくれんか?」

喫茶店・ディッパーマウスブルース

定一「たちばなが復活するんか。 楽しみじゃのう。」

安子「フフフッ。 あっ たちばなは 祖父の代からのお店でした。 しゃあけど… 空襲で焼けてしまいました。 祖父も祖母も 父も母も 亡くしてしまいました。」

ロバート「I’m sorry for your loss.(お気の毒です)」

安子「ああ… すんません。 そねんつもりじゃあ。 I’m okay.(大丈夫です)兄だけは 帰ってきてくれたんです。 お店を立て直すために ず~っと2人で貯金してきました。 本当に楽しみです。 何か… ぼんやり思い描いとった いろんな夢が 一つの形になろうとしょおるみてえで…。」

ロバート「夢。」

安子「どこの国とも自由に行き来できる。 そねえ世の中になってほしいと ずっと思ようりました。」

ロバート「それで 何がしたいですか?」

安子「私が ずっと続けてきたことは おはぎ作りと 英語の勉強です。 私にゃあ それしかできません。 いろんな国の人に たちばなのおはぎゅう食べてもれえてえ。」

ロバート「日本語の分からん人にも おはぎのことや たちばなのこと 日本のええところを伝えてえ。 せえで そねんして生きとる私の姿あ るいに見てもらいてえ。 それで るいが笑うてくれたら… 私は幸せです。」

定一「はい どうぞ。」

安子「ありがとうございます。」

道中

ロバート「Now I understand.(やっとわかりました)The reason your ohagi is so delicious….(あなたのおはぎがおいしいのは あのおまじないのせいだけではありません)It’s not just that spell. It’s the taste of your childhood memories,(あなれはあなたの子どものころの 思い出の味 悲しみの味 それから)your sorrow, and your love for Rui.(るいちゃんへの愛情の味なのですね)Excuse me.(失礼)」

安子「Sure.」

「いらっしゃい。」

ロバート「Oh, very deautiful. Can I have this?」

安子「Your wife will be happy.(奥様 お幸せですね To be loved….(こねえにロバートさんに思われて)

ロバート「I’m very impressed by you.(あなたに感服です)You are an amazing woman.(あなたはすばらしい女性だ)」

ロバート「See you around, Yasuko.(ではまた 安子)」

安子「Take care….(はい また)Robert.(ロバート)」

勇「誰? 今の人 誰なら?」

安子「違うんじゃ…。」

勇「違う?」

安子「あの人あ… ロバ―… あっ ローズウッドさんいうて 進駐軍の…。 前に 岡山におって そんで いつかのクリスマスに… あっ そ… そうじゃのうて…。 あっ 今は 一緒にテキストを… あっ るいも一緒に! あの… じゃから 違うんじゃ そねえなことじゃ…。」

勇「そうか。 分かった。」

雉真家

ダイニング

るい「勇叔父さん 遅えなあ。」

算太「野球の練習じゃねえんか?」

千吉「しょうがねえやつじゃのう 進駐軍に勝ちゃあ もうええじゃろうに。 ハハッ。」

飲み屋

(英語のラジオ)

勇「あ~ 消せえ。」

「うん?」

(英語のラジオ)

勇「消せえ言うとろうが!」

「何すんじゃあ!」

「何…!」

(悲鳴)

(争う声)

雉真家

ダイニング

安子「おかげさまで たちばな再建の見通しが立ちました。 それで…。 この機会に この家を出てえと思ようります。 長えこと お義父様のご厚意に甘えすぎとりました。 申し訳ありません。」

千吉「そうか…。 そういうことか。 それが あんたの出した答えじゃったら 止みゃあせん。 じゃけど そりゃあ もう るいたあ暮らせんいうことじゃ。」

安子「るいは 私の子です。 決して離れません!」

千吉「そねえ言うて 赤ん坊のるいを あんたに任せた結果 どねえなった?」

回想

(クラクション)

(衝突音)

(泣き声)

安子「るい! るい!」

(泣き声)

回想終了

千吉「実は こねえだ 大阪の医者に るいを診てもろうた。」

安子「えっ。」

千吉「おでこの傷を どねえかできんか思うてな。」

安子「それで?」

千吉「技術はあるそうじゃ。 傷を切っては縫い合わせるいう処置を 繰り返すことで 目立たんようにいていくこたあ できるらしい。」

安子「たちばなの資金とは別に るいの治療費は 蓄えてあります。 それを…。」

千吉「おはぎの小商いで 賄える額じゃねえ。 途方もねえ金がかかることじゃ。 雉真繊維の力がなかったら 治してやれん。」

千吉「それでも… るいを連れて この家を出る言んか。 本当に それが るいのためじゃ思よんか。 雉真の子として生きていく。 それが るいにとっては一番えんじゃ。」

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