あらすじ
成長したるい(深津絵里)は、雉真家を出て一人で生活を始めたいと岡山を離れることに。向かったのは大都会・大阪。見たこともないほど華やかな建物や街の人々の様子を見て、胸をときめかせるるいでしたが、道でぶつかりそうになった自転車をよけたところ、仕事の面接のためにせっかく新調したワンピースを汚してしまいます。責任を感じた自転車の持ち主・竹村平助(村田雄浩)は、経営するクリーニング店にるいを連れていき…。
39話ネタバレ
(ラジオの臨時ニュースのチャイム)
ラジオ『臨時ニュースを申し上げます。 帝国陸海軍は 本8日未明 アメリカ イギリス軍と 戦闘状態に入れり』。
<A long time ago>
「おめでとうございます。」
(泣き声)
<During the war a baby girl was born>
安子「るい…。」
美都里「るい?」
千吉「るい?」
安子「るい。」
<The girl was named Rui>
安子「るいは お母さんの子じゃ。」
るい「お母さん。」
<Unfortunately>
るい「I hate you.」
<She became separated from her mother>
病院
千吉「勇。 これまで ようやってくれた。 一つ 頼みがあるんじゃ。 これから ますます暮らしぶりが変わって 需要が少のうなっても 足袋ゃあ 作り続けてくれ。」
勇「もちろんじゃ。 足袋ゃあ 雉真の1番バッターじゃからのう。 いずれまた 打順が回ってくることあらあ。」
千吉「ありがとう。」
勇「ああ。」
千吉「これで 会社のこたああ 何も思い残すこたあねえ。 思いもかけん形じゃったが 跡継ぎも作ってくれたしのお。」
勇「ああ… ハハッ。」
千吉「心残りゃあ るいのことじゃ。 あねん明るかった子が 声う出して笑うことものうなって…。 わしが 安子さんに るいと引き離すようなこと言わなんだら こねえなことにゃあ…。」
勇「それだけじゃねえはずじゃ。 あんこが るいを置いて アメリカへ行くじゃなんて… よっぽどのことがあったはずじゃ。」
<程なくして 千吉は 息を引き取りました>
雉真家
リビング
♬~(テレビ)
勇「雪衣。 何ゅう のんきにテレビやこ見よんなら。」
雪衣「支度は全部整うてます。」
勇「じゃからいうて 葬式の朝に。」
雪衣「今日が最終回なんです。」
勇「はあ…。 昇。 おめえも 葬式の朝に…。」
昇「葬式が始まったら勉強できんから 今やりょんじゃ。」
勇「はあ…。」
テレビ『少し頭を下げてから 一人でタラップを上っていった』。
勇「あっ るいは?」
河原
勇「あ…。 るい!」
るい「勇叔父さん。」
勇「あ?」
るい「おじいちゃんのお葬式が終わって いろいろ片づぃたら 私… 家を出らあ。 ナイスキャッチ。 さすが往年の名選手じゃね。」
勇「えっ 家を出るて…。」
るい「家を出て 岡山も出る。 新しい町で 一人で生活う始めるんじゃ。」
勇「そうか…。 もう決めとるんじゃのお。」
るい「うん。」
勇「るいのために 積み立てとった金がある そりょお…。」
るい「要らん。」
勇「えっ?」
るい「アルバイトをしとったんじゃ。」
勇「ええ?」
るい「学校の帰りに 小せえ古本屋で。 誰にも雉真家の者じゃいうんが 分からんように。」
勇「ハッ。 いや… 読書部に入っとる言よおったは…。」
るい「ごめん。 うそじゃ。」
勇「ハハ…。」
るい「じゃけど 似たようなもんじゃろう。」
勇「あ~ かなわんのう るいにゃあ。」
<るいは 二度と戻らないと心に決めて 岡山を そして 雉真の家を去りました>
道中
るい「あっ…。」
平助「ああ…!」
るい「ああ!」
平助「ああ…。 うわあ すまん すまん。」
るい「すいません。」
平助「うわあ えらいこっちゃ…。 お嬢ちゃん ちょっとおいで。 ちょっとおいで。」
るい「いや あの 私 これから仕事の面接が…。」
平助「あかん あかん あかん あかん…。」
るい「えっ あの 面接…。」
平助「危ない! 危ないで。 すんません すんません。 すんません すんません。」
竹村クリーニング店
平助「はい。 はい 早く。 洗濯や!」
和子「お帰り。」
平助「大至急や!」
和子「どないしたん。」
平助「そこで ぶつかってしもたん。」
和子「また ちょうちょでも追いかけながら よそ見して こいどったんやろ。」
平助「誰が そないな小学生みたいな こぎょうすんねん。」
和子「な… 何ちゅうことすんねんな かわいそうに。 こんなんなったら デート行かれへんがな。」
るい「デート?」
和子「おばちゃんがな 洗といたげる。 きれ~にしといたげる。 そやけど あかん。 デートには間に合わん。」
るい「あの デートじゃのうて 面接…。」
平助「お前の 何かないんか…。 昔 着とった あれ!」
和子「今 取りに行こ思たんや。 やかましな!」
平助「ちょっと待っとってな。」
るい「すみません 荷物まで預かってもろうて。」
平助「かめへん かめへん。 また後で取りに来い。」
和子「いや~ うちの若い時に そっくりやわ。」
平助「どこがや。」
和子「デート 頑張ってな。」
平助「面接や。」
るい「行ってきます。」
平助「うん。」
和子「うんうん。」
面接会場
「そろばん検定1級。」
「接客業は やりはったことありますか?」
るい「古本屋さんで アルバイトをしょうりました。」
「古本屋かあ。 ホテルの接客とは だいぶちゃうなあ。」
(笑い声)
「ほな ちょっと立って 『おはようございます』 『いらっしゃいませ』って 言うてみてくれる?」
るい「はい! おはようございます。 いらっしゃいませ。」
「うん。 声もよう通るし ええんちゃうかな。」
「うん。」
「ちょっと 顔の表情が見えにくいな。 前髪 上げてもらえる? ピンで留めて おでこを出してもらいたいねん。 ホテル業は 清潔感も大事やさかいなあ。」
るい「失礼します!」
「えっ?」
<るいは 額の傷を目立たなくする手術を 受けませんでした。 いくら千吉に説得されても 拒み続けました 雉真家に縛られたくない。 それは るいの意地でした>
道中
<けれど この傷が かえって 自分を雉真家に そして 母 安子に縛りつける 鎖になっているのだと 岡山を出た今になって思い知りました>
竹村クリーニング店
(笑い声)
るい「あの~。」
和子「あ? あっ あんたも はよ こっちおいで! こっち こっち。 ハハッ!」
平助「ほれ ここ!」
(漫才のテレビ)
和子「ヘヘヘッ。」
『嫁はん がっかりしたやろうな思て 顔 ひょっと見たら…』。
『顔 見たら』。
『驚いたねえ』。
『やっぱ 疲れた顔しとる』。
『女性というのは ああいうのが一番楽しみやねん』。
『楽しみ』。
『自分がよってよって よりぬいてですよ …で 1円高いと分かってやね 売り場の棚に戻した時の その喜び方。 感激や』。
(笑い声)
<るいは なぜだか涙が止まりませんでした。 Rui conldn’t hold back the tears, she didn’t know why>