あらすじ
マスターの小暮(近藤芳正)から定期的にクリーニングの仕事を請け負うことになったるい(深津絵里)は、ジャズ喫茶「ナイト&デイ」に通うことに。トランぺッターのジョー(オダギリジョー)が店の屋根裏に住んでいることを知り、洗濯済みの服を持って部屋を訪れたるいは、そこでジョーが演奏する『On the Sunny Side of the Street』を耳にして…。
44話ネタバレ
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
木暮「う~ん ええ仕上がりや。 前の店では取れん言うとった染みも 取れとる。 安いし 仕事は丁寧やし。 言うことなしや。」
るい「ほんなら…。」
木暮「竹村クリーニングさんやったか?」
るい「はい。」
木暮「これから月ぎめで頼むわ。」
るい「はい! ありがとうございます。」
木暮「そしたら よろしゅう。」
るい「あっ あの~ ジョーいう人あ 今日も こけえ来ますか?」
木暮「ジョー? 来るも何も…。」
屋根裏
るい「すみませ~ん。 ごめんくださ~い。」
ジョー「あれ?」
るい「あの~ クリーニング済みのお洋服です。 下のお店に お届けにあがったついでに。 こねえだのシャツと その前にお預かりしとった分も。 ずっと取りに来られんから。」
ジョー「あっ すいません。 ありがとう。」
るい「あっ いえ。」
ジョー「あっ そしたら ついでに これ。」
るい「ハハ… 毎度ありがとうございます。」
ジョー「え~っと 今日の分 いくらかな?」
るい「あ… ええです。 次回まとめてで。」
ジョー「そう?」
るい「あっ それと これ…。 洗濯物のポケットに入ってました。」
ジョー「ああ! ありがとう。 一つ 迷子になった思うてたんや。」
るい「迷子? あの それ…。」
ジョー「あっ ちょっ… ちょっと入って。」
るい「いや 私は ただ それを渡しに…。」
ジョー「ああ! 熱っ! コーヒー飲む?」
るい「いえ 結構です。 」
ジョー「うん やめとき。 あんまり おいしくないから。」
るい「えっ?」
ジョー「下のコーヒーの方がおいしい。」
るい「はあ…。」
(瓶の口が カップに当たる音)
るい「ああ! ちょっ… ちょっと!」
ジョー「あ… あ…。」
るい「そねん 雑に入れたらいけん。 ちゃんとスプーンで量って入れにゃあ。」
ジョー「そうなん?」
るい「当たり前です。 ええかげんにいれて 『まじい まじい』 言いながら飲むじゃなんて もってえねえし コーヒーにも失礼です。」
ジョー「すいません。」
るい「(心の声)『あっ おじいちゃんが ようったカップと おんなじぐれえの大きさじゃ。 おじいちゃんは 新しもの好きじゃったからなあ。 インスタントコーヒーが出た時も すぐ飛びついて 買うとったなあ…。』」
ジョー「ねえ これ 何? これ… もしかして 『宇宙人』って書いてる?」
るい「あっ… いや そりゃあ その… ただの記号です。」
ジョー「記号?」
るい「はい。」
ジョー「僕の?」
るい「はい…。」
ジョー「宇宙人が?」
るい「すみません…。」
ジョー「ええ? え~! 何か かっこええなあ。」
るい「(心の声)『よかった。 変わった感性の人で。』あっ どうぞ。」
ジョー「あっ ありがとう。 ああ! 熱い 熱い 熱い 熱い…。」
るい「ああ! あ… だ… 大丈夫ですか? 気う付けてください。」
ジョー「うん。」
るい「(心の声)『本当に粗こつな人じゃなあ…。 何じゃあ… 変わった部屋じゃなあ。 トランペットを吹くことと レコードを聴くこと。 それだけが目的みてえな部屋じゃ。』」
ジョー「あ~ おいしい。 サッチモちゃん コーヒーいれるの上手やなあ。」
るい「インスタントです。 誰がいれても一緒です。」
ジョー「いや 全然ちゃう。 サッチモちゃん 何か入れた?」
るい「入れてません。 あの… サッチモちゃんて?」
ジョー「ルイ・アームストロング。 愛称 サッチモ。」
るい「(心の声)『ルイ・アームストロングって こねん顔じゃったんか…。』」
ジョー「あっ。」
♬~(『On the sunny side of the Street』)
回想
♬~(レコード)
ルイ・アームストロング♬『Can’t you hear that pitter-pat babe? That happy tune is your step Life can be so sweet』
回想終了
♬~(トランペット)
ジョー「どうかした?」
るい「あ… あっ いえ。 あ… あっ… ほんなら これ お預かりします。」
ジョー「あ… ありがとう。」
るい「失礼します。」
ジョー「さいなら。」
ジョー「はあ~。 おいしい。」
<ジョーがさわりを演奏した その曲を るいは確かに聴いたことがありました。 でも いつ どこで どうして聴いたのか 思い出せませんでした>
竹村家
竹村クリーニング
♬~(ラジオ)
和子「お帰り るいちゃん。」
るい「ただいま帰りました。 ちょっと待ちょってください。」
♬~(ラジオ)
るい「お待ち遠さまでした。 背広の上下で 360円です。」
♬~(ラジオ)
るい「ちょうど頂きます。」
♬~(ラジオ)
るい「ありがとうございました。」
♬~(ラジオ)
るい「おじさん! おばさん! ジャズ喫茶の支配人さんが 月ぎめでクリーニングお願いしますって。」
平助「おっ!」
るい「安うて 仕事が丁寧で 言うことなしじゃ言うて。」
平助「いや~ 大口の注文 助かるなあ。」
和子「おおきに るいちゃん。」
るい「私は何も。」
平助「よっしゃ! ほな 配達行てくるわ。」
るい「行ってらっしゃい。」
和子「うちも洗濯物取り込んどこ。 るいちゃん お店番。」
るい「はい!」
♬~(ラジオ)
るい「(心の声)『またじゃ。』」
回想
ジョー「ああ。 ありがとう。」
ジョー「熱っ!」
回想終了
るい「(心の声)『コーヒーも こぼすんじゃなあ。 じゃけど 何で こう いっつも 丸首シャツが ぎょうさんあるんじゃろうか。 どれも 汗臭え。』」
回想
♬~(『On the sunny side of the Street』)
回想終了
るい「(心の声)『そうか じゃから…。 あっ。 そうかあ。 ありゃあ いらだっとったんじゃのうて 癖じゃったんじゃ。 トランペットでついた癖。』」
<ずっと謎だった宇宙人の生活を るいは いつの間にか 想像できるようになっていました。 Finally, Rui could picture what life might be like for the mysterious “alien”>