あらすじ
錠一郎(オダギリジョー)にジャズ喫茶のサマーフェスタに誘われたるい(深津絵里)。相談された平助(村田雄浩)と和子(濱田マリ)は大賛成。和子はるいをつれて新しいサマードレスを買いにいき、“娘”とショッピングができたと上機嫌なのでした。一方、ジャズ喫茶では出番に向けて稽古していたトミー(早乙女太一)がなぜか荒れていて…。
46話ネタバレ
竹村家
居間
るい「あの~ おじさん おばさん。」
和子「何や?」
るい「申し訳ねえけど 8月の第2土曜 早めに上がらせてもろうて ええでしょうか?」
平助「どないしたんや 珍しい。」
和子「何か あったんか?」
るい「いえ…。」
八木『最初の方の秘密は こちらです』。
『私はジャズ喫茶 Night and Dayのサマーフェスティバルに行きます』
八木『平助さん どうぞ』。
平助『あ… 岡山の身内に何かあったんか?』。
るい『そういうわけじゃありません』。
平助『同窓会とか!』。
るい『違います』。
八木『和子さん』。
和子『それは 何か 楽しいこと?』。
るい『そねんことになったらええ思うてます』。
八木『楽しいことのはずですよ』。
和子『分かった! お祭りや』。
るい『お祭り…』。
るい「お祭りいうたら お祭りの一種かもしれませんけど…。」
和子「何を一人で ぶつぶつ言うてんのや?」
るい「あっ すみまえん。」
平助「それで?」
るい「Night and Dayのサマーフェスティバルに 行ってみゅう思よるんです。」
平助「あのジャズ喫茶か。」
るい「はい。」
和子「ああ ええやないの。 行ってきい 行ってきい。」
るい「ええですか?」
平助「もちろんや。 8月は そないに忙しいことないしな。」
るい「ありがとうございます。」
和子「ところで『サマーふえすてばる』て 何するん?」
平助「知らんと言うとったんかい。」
和子「あんた 知っとった?」
平助「知らん。」
和子「どないやねんな。」
るい「ジャズ喫茶の夏祭りいうんは 要するに コンサートらしいです。 いろんな人が出て にぎやかにやるんじゃ思います。」
平助「ほう~。」
和子「あ~。 るいちゃん そんなん好きやったん。」
るい「いえ… 私ゃあ 音楽にゃあ疎いし 中学や高校の文化祭も どっちか言うたら苦手でした。」
平助「あ… そうなんか?」
和子「ほな 何で また?」
回想
錠一郎「聴きに来ぉへん? 僕も出るよ。」
るい「『大月錠一郎』…。」
回想終了
るい「何でじゃろう…。 自分でも よう分からんのんです。」
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
(トランペットの音)
錠一郎「荒れてるなあ。 コーヒー頂戴。」
木暮「はいよ。」
トミー「何がや?」
(せきばらい)
トミー「おい ジョー。 荒れてるって何のことや。 音か? 俺のトランペットのことか? そうなんやな おい。」
錠一郎「分かってるなら 聞くなよ。」
木暮「ハハハッ。」
錠一郎「何か あった?」
木暮「渡辺貞夫や。」
錠一郎「ナベサダさん?」
木暮「ついに渡米が決まったらしい。」
錠一郎「前から決まってたやろ?」
トミー「中止になったとか言うてたやないか。」
木暮「いろいろあったけど 保証人の問題も解決したんやそうや。」
錠一郎「それで 何でトミーが荒れるの?」
トミー「決まってるやろ。 先を越されたからや! 秋吉敏子さんに次いでアメリカに行くのは 俺と決めてたのに。」
木暮「お前が勝手に決めとっただけやろ。 ずうずうしいにも程があるで。」
錠一郎「トミー アメリカ行きたいの?」
トミー「お前は行きたくないんか。」
錠一郎「え~… えっ…。 考えたことなかった。」
トミー「お前は…。 お前というやつは。」
木暮「トミー。 サマーフェスティバルの曲 決めたんか?」
トミー「当日決める。」
錠一郎「また?」
トミー「ほかのプレーヤーとのバランス見て 決めんとな。」
木暮「え~ そんなこと言うて 自分だけ目立とうという魂胆やろ。」
トミー「そんな策を弄さんでも 俺は 自然と目立ってしまう。」
木暮「はい そうでした。 ジョーは? 曲 決めた?」
洋服屋
和子「いや~ かいらしいわあ。」
「よう お似合いです。」
和子「よっしゃ 決まりや。 これにしい。 これに。」
るい「ちょっと 派手すぎる気がするんじゃけど…。」
和子「何言うてんの ふえすてばる行くんやろ ふえすてばる。 これぐらい目立たんと。」
「こちらはいかがですか?」
るい「わあ すてき。 控えめで 涼しげで。」
「お客様 お目が高い。 こちらの色は シャーベットカラーいうて 今年のはやりです!」
和子「それ はよ言わんかいな! るいちゃん これ着てみい! これ。 これ これ これ。 ほい ほい ほい!」
竹村家
居間
平助「ほんで そのカーペットカラーのやつに したんかいな。」
和子「シャーベットカラーや。 じゅんたん巻きつけていくんか。」
(笑い声)
るい「おかげさまで ええお買い物ができました。 ありがとうございました。」
和子「何を言うてんの こちらこそやわ。 娘とショッピングいうの いっぺん やってみたかったんや。」
平助「うちは 子供おらんからなあ。」
和子「今日は楽しかった。 ありがとうねえ。」
るい「そんな…。」
平助「まあ 子供が出来とったしても るいちゃんみたいに べっぴんさんには 育たんかったやろうけどな。」
和子「そら そやな。」
(笑い声)
和子「あっ ほな 頂きます。」
平助「頂きます。」
和子「これ おいしいから。 これ これ これ…。 食べてや これ。」
るい「頂きます。」
<本当に そうなら よかったと るいは思いました。 最初から このクリーニング店の娘に 生まれていたら よかったと>
和子「これな コロッケな 1個おまけしてもろたんや。 なっ?」
(笑い声)
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
「いっつもありがとう。」
ベリー「なあ なあ なあ 見て 木暮さん。 今日のために あつらえてん。 このドレスも 靴も バッグも アクセサリーも。」
木暮「うんうん。 きれい きれい きれい。」
ベリー「今日こそ ジョーのハートを 撃ち抜いたるえ。」
木暮「はい はい はい。 おっ! え~ サッチモちゃん…?」
るい「こんにちは。」
木暮「見違えたなあ。 ああ あそこら辺 座っとき。 ステージ よう見えるから。」
るい「ありがとうございます。」
木暮「かわいい かわいい。」
トミー「ジョー。 ジョー!」
錠一郎「何?」
トミー「あれ あれ。」
錠一郎「あっ サッチモちゃん。 よかった 来てくれたんや。」
トミー「そやなくて。 地味にしてても あふれる気品。 ただもんやない思てたんや。」
錠一郎「ただもんやないって?」
トミー「岡山や言うてたな? 雉真るいって名乗ったな?」
錠一郎「うん。」
トミー「叔父さんが野球やってた言うたな? あれは絶対 雉真繊維のお嬢さんや。」
錠一郎「雉真繊維…。」
トミー「そや。」
錠一郎「…って何?」
トミー「もうええ。」
錠一郎「いや ちょっ… ちょっ…。」
ベリー「私は 高校の頃から この店通ってんねん。 京都に家あんのに わざわざ大阪の短大 選んだ。 何でやと思う? ジョーの才能を見抜いたからや。」
るい「はあ…。」
ベリー「気ぃ悪いわ。 音楽の素養もないクリーニング屋に ジョーの周り うろつかれたら。」
「皆様 お待たせいたしました。 ただいまより Night and Day サマーフェスティバルを開催いたします。 1組目は 夏にぴったり 鰻谷スウィンガーズ。」
(拍手)
(拍手)
「すばらしい演奏をお聴きいただきました。 続いては トミー北沢とブルーカメレオンズ!」
(拍手)
「キャ~! トミー!」
(拍手と歓声)
「トミー!」
「かっこいい! かっこいい!」
「キスして!」
「キャ~! かっこいい!」
トミー「ヘイ!」
「ヘイ!」
「ヘイ!」
「ヘイ!」
ベリー「トミーは英才教育を受けてるんえ。 親が クラシックの音楽家やさかい 基礎から何から たたき込まれてる。」
るい「じゃから あねん上手なんですね。」
ベリー「これやから 田舎の貧乏人は。 ええとこの子ぉには ええとこの子ぉの 苦労いうもんがあるんや。 覚えとき。」
るい「勉強になります。」
「華やかなステージが続きます。 さあ 皆様お待ちかね 大月錠一郎クインテット!」
(拍手)
錠一郎「1 2 1…。」
♬~(『On the sunny side of the Street』)
回想
♬『Grab your coat, grab your hat baby Leave your worries on the doorstep』
安子「お父さんとお母さんの 大切な歌じゃ。 また ひなたの道を見つけて 歩いていこうね。 るい。」
安子「るい。 るい…。 るい!」
安子「るい。」
♬『That happy tune is your step Life can be so sweet』