ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第49話「1962-1963」【第11週】

あらすじ

るい(深津絵里)はためていたお金で“On the Sunny Side of the Street”のレコードを買うことに決めました。ところが早速聞いてみようと電気屋でプレーヤーをみたところ、値段が高くて手がでません。そんな様子をみかけた錠一郎(オダギリジョー)は、るいをジャズ喫茶に連れていくのでした。幼いころに母・安子(上白石萌音)と一緒に聞いたルイ・アームストロングの歌声にるいは…。

49話ネタバレ

レコード屋

(ドアが開く音)

るい「(心の声)『確か この辺じゃったなあ。 あった。 On the sunny side of the Street』。

電気屋

るい「(心の声)『レコードブレーヤーも買わんといけん。 あった。 これじゃあ。 うわ~ 高え…。 あ…。』

ジャズ喫茶・Night and Day

ホール

レコード♬『Just direct your fee On the sunny side of the Street Can’t you hear that pitter-pat babe? That happy tune is your step Life can be so sweet On the sunny side of the Street I used to walk in the shade With those blues on parade』

錠一郎「フフフッ。」

木暮「ジョー お前もや。」

公園

(打撃音と歓声)

「おねえさん!」

「ボール…!」

「取って~! 取って 取って!」

「おねえさ~ん!」

子供たち「お~!」

るい「フフフッ。」

ジャズ喫茶・Night and Day

屋根裏

るい「はい どうぞ。」

錠一郎「あっ ありがとう。 あっ ちょっ ちょっと待って。 これ…。」

るい「え…。 えっ。 あっ ありがとうございます。」

竹村家

竹村クリーニング店

別日

ラジオ・磯村『さて 皆さん 夢の超特急について…』。

平助「出来たで。」

和子「は~い。」

ラジオ・磯村『驚きのニュースが 飛び込んできました。 なんと試験車両が モデル線区で 時速256キロを達成…』。

平助「256キロ!?」

ラジオ・磯村『大阪から東京まで 3時間で走ることを目指しているんです』。

平助「3時間…。」

和子「ホンマかいな…。」

ラジオ・磯村『開通予定は 東京オリンピックの直前の…』。

西山♬『またも出ました 西山さん いつもニコニコ朗らかに 和子ちゃん』

和子♬『オイヤー』

西山「アハッ! ♬『るいちゃん』」

るい♬『アイヨー』

西山「アハハッ るいちゃんも すっかり大阪人やなあ。 ほな 貼らしてもらうでえ。」

平助「またか。 またか!」

西山「今度のは すごいでえ。」

和子「毎回言うてるやない。」

西山「いや 条映の社運を懸けた大作や。 通常の3倍の予算かけたっちゅう話やで。」

平助「へえ~。 さぞかし豪華キャストなんやろうなあ。 いやいや… 誰やねん。」

和子「あっ? 伴 虚無蔵?」

平助「聞いたことあらへんで。」

西山「いや あんたらは知らんやろうけど。 条映の秘蔵っ子やがな。」

るい「へえ~ この人ですか?」

平助「秘蔵っ子いう年には見えんけどなあ。」

和子「せやけど どっかで見たことある気ぃするわ。」

平助「わしも。 あれ どこやったかいな。」

るい「そしたら 行ってきます。」

平助「あっ うん 行ってといで」

和子「頼むわな。」

るい「は~い。」

平助「う~ん? どこやろ…。」

和子「ちょっと前にな…。」

ジャズ喫茶・Night and Day

ホール

ベリー「『若大将』シリーズの第4弾え。 前売券 2枚あんねん。 ジョー。 一緒に見に行かへん?」

錠一郎「う~ん…。 トミーと行ったら?」

ベリー「何でやの。」

錠一郎「大学生の青春とか何とか 僕は よう分からんから。」

ベリー「分からんからこそ 映画で体験するんやんか。 同時上映の『マタンゴ』いうのんは 恐怖映画の最高娯楽巨編やて。 なっ? 行こ。」

錠一郎「ごめん ベリー。 またセッション聴きに来て。」

ベリー「もう!」

木暮「懲りひんなあ ベリーちゃん。」

ベリー「青春映画もあかん。 恐怖映画も 宇宙活劇もあかん。 水族館も遊園地も どこ誘てもあかん。 どないしたらデートしてくれんの ジョーは!」

木暮「ベリーちゃん 押しが強すぎるんとちゃう?」

ベリー「どういう意味?」

木暮「う~ん…。 追いかけられた逃げるんは 世の常やろ。」

ベリー「そやさかい 何?」

木暮「あの~ そやから… もっと こう… 控えめな態度とってみるとかやな。」

ベリー「ふん。 そういう女 一番嫌い。」

木暮「え~?」

ベリー「私は興味ありません 欲しい思てません そんな顔した女に限って 気ぃ付いたら 何もかも手に入れてんねん。」

木暮「そうなん?」

ベリー「そうえ。 絶対 そうえ。 ええ年して分かってへんな。」

(ドアが開く音)

木暮「すんません。」

るい「こんにちは。」

木暮「ああ サッチモちゃん。 ご苦労さん。」

るい「あっ ベリーさん。 こんにちは。」

ベリー「はい こんにちは。」

木暮「何か 飲む?」

るい「いえ 結構です。」

木暮「そない言わんと。 新しい紅茶 仕入れたんやで。」

るい「いえ まだ配達が…。」

ベリー「それ~! それや それや それや その態度や。 『いえ 結構です』。 そない言うたら 相手が もう一押し來ること分かってんねえ。 分かった上で いっぺん断んねえ。 控えめな皮をかぶった強欲の塊や。」

るい「あの~…。」

ベリー「けどな そんな したたかな女に 私は負けへん。 『いのち短し 恋せよ乙女』や。 じっと待ってる暇なんか 私にはないねん!」

木暮「あ…。」

るい「何の話でしょうか?」

木暮「気にせんとき。」

るい「でも…。」

木暮「ごめんな。 悪い子やないねんけど。」

るい「はい。 分かってます。」

木暮「『いのち短し 恋せよ乙女』… あっ 『ゴンドラの唄』か。」

屋根裏

♬~(トランペット)

♬~(トランペット)

るい「あ… こんにちは。 お洗濯物 お届けに来ました。」

錠一郎「ああ ありがとう。 そこ置いといて。」

るい「はい。」

錠一郎「こないだの『ジャズ・ジャーナル』 どうやった?」

るい「あっ あの記事読みました。 トランぺッターの日野皓正さんの…。」

錠一郎「『インドネシア演奏旅行』?」

るい「はい。 音楽はいいですね。 言葉がなくても どこの国でも通じるから。」

錠一郎「ハハッ 今更?」

るい「すいません。 ホンマにそうやなって つくづく。」

錠一郎「だって それが サッチモちゃんの名前の由来でしょ?」

るい「はあ…。 それは?」

錠一郎「昨日 思いついたフレーズ。 忘れんうちに書いとこう思うて。 吹いてみる?」

るい「えっ。 えっ… あっ いえ。 あの 私は…。」

錠一郎「はい。 左手は ここ しっかり持って。 そう。 で 小指 ここ 掛けて… 親指は下。 そう そう そう。 しっかり支えて。 で 唇に当てて…。」

ホール

♬『いのち短し 恋せよ乙女 あかき唇 褪せぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に』

屋根裏

るい「配達行かんと。 失礼します。」

ホール

トミー「おっ。」

(足音)

竹村家

るいの部屋

回想

(風の音)

回想終了

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