ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第51話「1962-1963」【第11週】

あらすじ

るい(深津絵里)は、トミー(早乙女太一)の誘いで車に乗って海にドライブにいくことに。いくらデートに誘っても乗ってくれない錠一郎(オダギリジョー)との関係を深めたいベリー(市川実日子)の望みを叶(かな)えようと、トミーがダブルデートを計画したのでした。実はそのトミーには隠した狙いがあって…。

50ネタバレ

ドライブデート

ベリー「ちょっとトミー! 話 違うやん!」

トミー「しつこいなあ。 ダブルデートかて デートや。」

錠一郎「サッチモちゃん。 ほら 海が見えてきたよ。」

るい「はい。 (心の声)『何で? 何で こねんことに なっとるんじゃろうか…。』」

竹村家

竹村クリーニング店

♬~(ラジオ)

和子「(トミーのまねで)『サッチモちゃん。 頼みがあるんや』。」

平助「(るいのまねで)『何? どないしたんですか? トミーさん。 わざわざ こんなとこまで来て…』。」

和子「『実は ベリーが俺のこと好きらしいねん』。」

平助「『え~!』。」

てる子「何やの そのトミーとか ベリーとか。 けったいな名ぁで 呼び合うねんああ 近頃の子は。」

西山「ほんで ほんで?」

和子「『そやけど 俺は 女は はべらすもんで つきあうもんとは思てへん』。」

西山「何や 腹立つ男やな トミー!」

平助「また ええ男やから 余計にな。」

てる子「ええから ええから。 続き 続き。」

和子「『ベリーが ドライブデート行きたい 言うてんねんけど 俺は 気ぃ進まへん。 サッチモちゃん 一緒に行ってくれへんか?』と こうや。」

平助「るいちゃんは『仕事中やし 困ります』 言うとったけどな こいつが『ええから 行け 行け』言うて。」

和子「そうかて あんな すごい自動車でドライブなんか なかなか でけへんねんから。」

平助「『るいちゃんが行かへんのやったら おばちゃんが行く!』。」

(笑い声)

和子「困っとったなあ ジミー。」

平助「トミーやて。」

(笑い声)

ベリー「大丈夫? ジョー。」

錠一郎「うん…。」

ベリー「お茶飲む?」

錠一郎「ん…。」

ベリー「うん。」

トミー「ええ年して 車酔いて。」

錠一郎「トミーが こないだのおわびに ええとこ連れてったるって言うから 僕は…。」

ベリー「はい。 ジョー。」

錠一郎「ありがとう。」

トミー「小学生は ほっといて ビーチ行こか サッチモちゃん。」

るい「えっ あ… でも…。」

錠一郎「僕は大丈夫やから。」

トミー「はい。」

るい「あっ ありがとうございます。 あの~ 何か 話が違うような気ぃするんですけど。」

トミー「今度 コンテストがあんねん。」

るい「コンテスト?」

トミー「関西一のトランぺッターを決めるんや。」

るい「出るんですか?」

トミー「フフフッ。 誰に言うてんの?」

るい「すいません。」

トミー「ジョーは出えへんて。」

るい「えっ 何で?」

トミー「あほやから。 あいつ 戦災孤児やねん。 小さい頃から トランペットだけが お友達なんや。 そやから… トランペットで優劣をつけたくない。 トランペットで負けるのが怖い。 あほやろ。」

るい「何で… 何で その話を私に?」

トミー「あいつが出えへんのやったら 俺も出えへん。 意味ないからなあ。」

錠一郎「ありがとう。 もう大丈夫。」

ベリー「ホンマ?」

錠一郎「うん。 ベリー。」

ベリー「うん?」

錠一郎「こないだ ごめんね。 強く言うてしもうて。」

ベリー「こっちこそ ごめん。 分かったふうな口きいてしもうて。」

錠一郎「ベリーらしくないなあ。 そんな しおらしいの。」

ベリー「どういう意味?」

錠一郎「フフッ。」

トミー「おっ 復活したか 小学生。」

ベリー「邪魔せんといて。 ええとこやったのに。」

トミー「ベリー ちょっと。」

ベリー「何やの。」

トミー「作戦会議。」

ベリー「作戦て どんなん? 何をどないしたらええの?」

トミー「ダッシュボード開けて。」

ベリー「何? 秘密の計画書でもあんの? わくわくするやん。 痛っ!」

(ドアが閉まる音)

(エンジンをかける音)

ベリー「ちょっとトミー! 何すんの! 待って どこ行くん!? トミー! トミー!」

るい「♬~(ハミング)」

るい「もういいんですか?」

錠一郎「うん。」

るい「よかった。」

錠一郎「何 見てたん?」

るい「えっ。 海… です。」

錠一郎「そっか。 これ 渡っていったんかあ。」

るい「えっ?」

錠一郎「ほら いつかニュースで見た ヨットの人。」

るい「あっ 堀江謙一さん?」

錠一郎「そう そう そう。 サンフランシスコまで行ったっていう。」

るい「ホンマに つながってるんですね。 この海が アメリカに…。」

ベリー「止めて~!」

トミー「どこ行くんや 戻るんか?」

ベリー「当たり前や。 ジョーとサッチモ 2人きりにするわけにはいかへん!」

トミー「やめとけ! あの2人は 共鳴し合ってんねん。 ええセッションは響き合う。 出会ったことが運命やったみたいに。 楽器と楽器が 音と音が響き合う。 求め合う。 引かれ合う。 そして… 同じ夢を見るんや。」

錠一郎「お母さんの顔が浮かんでる?」

るい「大月さんこそ。 トランペットが聴こえてますか? ルイ・アームストロングの吹く トランペットが。」

錠一郎「吹いてみたいなあ。 いつか… アメリカの空の下で トランペットを。 『On the sunny side of the Street』を 吹いてみたい。」

トミー「諦めろ。 サッチモちゃんにしか ジョーの気持ちを変えられへん。」

ベリー「私は あんたに 利用されただけってこと?」

トミー「悪いなあ。 これも 日本のジャズの未来のためや。」

(ドアの開閉音)

ベリー「言うとっけど 私は負け犬やあらへん。 ジョーが 世界に認められる トランぺッターになったら 私の勝ちえ。」

トミー「ベリー。 僕と共鳴せえへんか?」

錠一郎「♬『Grab your coat, grab your hat baby Leave your worries on the doorstep Just direct your feet』」

2人「♬『On the sunny side of the Street Can’t you hear that pitter-pat babe? That happy tune is your step Life can be so sweet On the sunny side of the Street』」

トミー「ベリー! 待て ベリー!」

ベリー「私をハントしようなんて 100万年早いわ!」

竹村家

玄関前

るい「わざわざ送ってもろて ありがとうございました。」

錠一郎「ううん。」

るい「そしたら…。」

錠一郎「今度… トランペットのコンテストがあるんや。 出ることにした。」

るい「そうですか。 よかった。 頑張ってくださいね。」

錠一郎「うん。 サッチモちゃん。 もし… 僕が優勝したら…。 一緒に東京に行ってくれる?」

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