あらすじ
関西一のトランぺッターを選ぶコンテスト当日。るい(深津絵里)が応援のためにでかける準備をしようとしたちょうどその時、錠一郎(オダギリジョー)がクリーニング店に慌ててやってきました。見ると、なんとステージ衣装にケチャップがべっとり。るいが他の衣装を着てと提案するものの、るいが選んでくれた衣装で出ると聞かない錠一郎。るいはなんとか錠一郎の出番に間に合わせようと急いでシャツを洗うのですが…。
54話ネタバレ
ジャズ喫茶・Night and Day
控え室
トミー「また車酔いか? 青い顔して。 お前まで そのありさまやったら… 楽勝やな。」
錠一郎「トミー。 負けへんよ。」
トミー「そう来んとな。」
回想
『暗闇でしか 見えぬものがある。 暗闇でしか 聴こえぬ歌がある』。
回想終了
映画館
館内
和子「ガラガラやん。」
平助「まあ…。」
和子「何で こんなもん見なあかんのよ。」
平助「ここまで来て 文句言いな。 しゃあないやないか 『若大将』満席やったんやから。」
和子「磯村 吟が言うとったやろ。 日本の映画史上 まれに見る駄作やねんで。」
平助「そこまで言われたら かえって見とうなるやろ。」
和子「それも そやな。」
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
木暮「お~い これ 3番テーブル。」
ベリー「3番やな?」
木暮「おおっ ありがとう。 ベリーちゃん。」
ベリー「えらい にぎわってるやん。」
木暮「せやろ。 あっ! あっ あっ ベリーちゃん。 3番は 笹川社長と そのお嬢さんやから。 粗相のないように。」
ベリー「笹川社長?」
木暮「ササプロの社長さんや。 このコンテストの主催者で 今日の審査委員長や。」
笹川「内山裕三…。」
奈々「うん。」
笹川「里見雅彦。 トミー北沢。」
奈々「うん。」
笹川「関西のジャズメンは この辺りが本命だと言ってるな。」
奈々「ふ~ん。 でも 関西での話でしょ? 東京でも通用するのかなあ。」
笹川「通用する逸材を 探しに来てるんじゃないか。」
奈々「そうだけど。」
ベリー「言うとっけど ダークホースがいてるえ。」
司会者「レディース アンド ジェントルメン。 ササプロ杯 関西ジャズトランぺッター ニューセッション これより 開演です。」
(拍手)
映画館
館内
(開演のブザー)
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
(拍手)
司会者「エントリーナンバー 1番 内山裕三。 曲は『ビターメロンメン』です。」
司会者「エントリーナンバー 2番 里見雅彦。 曲は 『スタンブリング』。
司会者「エントリーナンバー 3番。」
司会者「エントリーナンバー 7番 トミー北沢。 曲は 『Red Hot』です。」
「ヘイ! Red Hot! ヘイ!」
玄関
るい「すいません。」
控え室
るい「はあ… 大月さん! はあ…。」
ホール
(拍手)
トミー「サンキュー。」
「トミーが一番!」
「最高!」
「トミー!」
笹川「どう思う?」
奈々「そうねえ。 テクニックは今までで一番じゃない?」
ベリー「サッチモ!」
るい「あ…。」
ベリー「何ちゅう恰好で来んの。 今日は ジョーが世界に羽ばたく 記念すべき日ぃに なるかもしれへんねんで。」
るい「すいません…。」
司会者「エントリーナンバー 8番 大月錠一郎。」
(拍手)
司会者「曲は 『On the sunny side of the Street』です。」
回想
錠一郎「僕の一番古い記憶は 『On the sunny side of the Street』 なんや。 今でも耳によみがえる。 あのイントロの高らかなトランペット。 シンガーでもない おじさんが マイク奪って歌いだして…。 みんな圧倒されてた。」
錠一郎「英語やったし 何言うてんのかは 僕は全然分からんかった。 けど… その時の僕には見えてた。 ひなたの道が。 これから自分が歩いていく道は サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート 明るい光に照らされてる。 そんな予感で いっぱいやった。」
回想終了
(拍手)
控え室
<審査の結果 錠一郎とトミーへの票が 真っ二つに割れました。 決着をつけるため 指定の曲を 2人でセッションすることになりました>
映画館
館内
『暗闇でしか 見えぬものがある。 暗闇でしか 聴こえぬ歌がある』。
『フフフフフフ…。 フッフッフッフッフッ。 アッハッハッハッハッ…。 ア~ハッハッハッハッハッ。』
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
(拍手)
口々に「トミー! 絶対 大丈夫! トミーが絶対 優勝や!」
(拍手と声援)
映画館
館内
『黍之丞 見参!』
ラジオ・磯村『この映画は日本映画史上 まれに見る駄作です。 しかしながら クライマックスの黍之丞 対 左近の戦い これは 日本映画史上 類を見ない 圧巻の立ち回りです』。
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
(拍手と歓声)
(拍手)