ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第56話「1963-1964」【第12週】

あらすじ

デビューアルバムのレコーディングのため東京で生活することになった錠一郎(オダギリジョー)。笹川社長(佐川満男)の自宅で娘の奈々(佐々木希)に面倒を見てもらいながら順調に準備を進めていきます。一方、るい(深津絵里)は錠一郎と再会できるクリスマスライブの日を楽しみにしながら待ち続けていました。ところがそんなるいの元に、悪い噂が。錠一郎が奈々に手を出して笹川社長を怒らせたというのですが…。

56ネタバレ

ジャズ喫茶・Night and Day

屋根裏

回想

定一「おめえ 名前は?」

錠一郎「じょういちろう。」

定一「名字は? 覚えてねんか。 じょういちろう ゆうなあ どねん字う書くんなら。」

錠一郎「…。」

定一「無理もねえのお。 なあ じょういちろう。 おめえ トランペット 好きか? ハハハッ いや 楽器じゃ。 さっきの。 ハッハッハッハッ…。」

定一「(『On the sunny side of the Street』のメロディーで)♬『パッパッパッ パ パパッパ パッパ パパン パッパッ パ~ン パ~ン パッ パッ パパ パ~ パ~ン パパラパパ パララ ラ パ~ラッパ パン パパ パ~ ラッパッパパ パッパッパ~ラ パッ パッ パパッ パ~ パパ パパ~ パパラ パパラ パッパ パパ~ パッパラ パ パラッパ~ ババ~ン』 イエ~イ! ハハハハハハッ…。」

錠一郎「うわ~ 大きいお月さんじゃな。」

定一「ああ おっきいのう。 ♬『パパ パッ パッ パパッパ~ パ~パ パパ』

回想終了

るい「定一さんが付けてくれた 名字なんですね。」

錠一郎「うん。 それと 錠一郎っていう漢字も。」

るい「そうやったんですか。」

錠一郎「それからは ディッパーマウスにも 出入りさせてもらって 雑用とかしながら 出入りのバンドマンにトランペット習って ジャズ教えてもろたりして…。 バンドの巡業にも ついて回るようになって…。 ちょうど大阪にセッションがあるいうて ここの店に来てた時やった。 定一さんが亡くなったって聞いたんは。」

るい「えっ…。」

錠一郎「自分に何かあったら 錠一郎のこと頼むって ここの先代の支配人に 言うてくれてたんやて。 気に入ってる。 定一さんが付けてくれた この名前。 定一さんは 僕の中にいてくれてる。 いつも。 今でも。」

玄関前

錠一郎「ありがとう。 荷造り手伝ってもろて助かったわ。」

るい「いいえ…。」

錠一郎「どないしたん?」

るい「いえ。 もうすぐ行ってしまうんやなあ思て。」

錠一郎「またすぐ会えるやんか。 クリスマスのステージには 来てくれるんやろ?」

るい「フッ… 3か月も先やないですか。」

錠一郎「ステージが終わったら そのまま 東京で一緒に暮らす部屋探そう。 ねっ。」

るい「はい。」

錠一郎「るい。」

るい「えっ。」

錠一郎「いやいや…。 いや 今から慣れとこかなと思て。 るいも そろそろ大月さんって呼ぶのやめへん?」

るい「えっ。」

錠一郎「だって るいも大月さんになるんやから。」

るい「あ… でも… 何て呼んだら…。」

錠一郎「錠一郎とか。 まあ… みんなと同じように ジョーとか。 るい。 3か月なんて あっという間や。 すぐに迎えに来るよ。」

笹川邸

<錠一郎は レコーディングのため 一人 東京へと旅立ちました>

リビング

笹川「はい 遠慮なく。」

<デビューコンサートまでの3か月 ササプロの笹川社長の家に居候しながら デビューアルバムのレコーディングを することになっています>

笹川「あ~ ここで 存分に腕を磨きなさい。」

錠一郎「ありがとうございます。」

笹川「あっ そうだ。 君は ピアノを弾けるんだったっけ?」

錠一郎「はい 少しは。」

笹川「うん…。」

奈々「必要でしたら 私が伴奏します。」

錠一郎「ああ お嬢さん。 今日から お世話になります。」

奈々「奈々で結構です。」

笹川「どうせ やることもなく ぶらぶらしてる娘ですから。 ピアノ伴奏でも お茶くみでも 何でも好きに使ってやってください。」

奈々「まあ ひどい言い方ね。 もうレコーディング つきあってあげないわよ。」

笹川「ホホホホホッ。 まあ 小さい頃から 一とおり仕込んだだけあって 音楽のセンスは最高ですから。 ええ。 確かです。」

錠一郎「少し吹いてみてもいいですか?」

笹川「おお もちろんだ。 いいよ。」

♬~(『What’s Modern』)

♬~(『What’s Modern』)

スタジオ

録音室

ジャズ喫茶・Night and Day

ホール

木暮「寂しいよなあ。 もう ひとつきも 会うてへんねんから。 手紙のやり取りとか してんの?」

るい「いえ。 社長さんのお宅に住んではるから。」

木暮「さすがに気ぃが引けるわなあ。」

るい「はい。」

木暮「笹川社長とは こないだ電話で話したけど デビューの準備は 順調に進んでるらしいで。」

るい「そうですか。」

木暮「うん。 バンドも ベストメンバーそろえて レコーディングしてる言うてたわ。」

るい「それやったら よかった。」

木暮「うん。」

ベリー「ええことないわ。」

るい「あっ ベリーさん。」

ベリー「ひとつきも会うてへん? 手紙のやり取りも してへん? あほちゃうか! ジョーの行った先が どこや思てんの。 東京やで。 大都会 東京や! 東京いうとこにはな やたら こぎれいな女が ひしめき合うてんねん。」

ベリー「まあ 言うたら この店の客全員が 私レベルのルックスいうのと 同じようなもんや。 そないなとこへ ジョー 一人で行かせて 何をのんきな顔してんねん。 ジョーはチャンピオンやで。 チャンピオンで レコードデビュー控えた ジョーを狙う女は どっからでも わいてくるで!」

木暮「想像力たくましいなあ。」

ベリー「しかも 何やて? ササプロの社長の家に住んでる?」

るい「はい。 そこで トラペットの練習も作曲もしてる…。」

ベリー「危ない! あの奈々とかいう社長の娘も 一緒や いうことやろ? あれは絶対 ジョーを狙てるえ。」

るい「大丈夫です。 信じてます。」

スタジオ

録音室

♬~(『On the sunny side of the Street』)

(拍手)

「いいね!」

(ドアが開く音)

奈々「ジョー お疲れさま。 いい音がとれたわ。」

錠一郎「ありがとう。」

奈々「次は ジョーのオリジナル曲ね。」

錠一郎「うん。」

奈々「少し休憩して 再開しましょう。」

竹村家

台所

和子「はい はい。 うん。 おいしい。 ええ奥さんになるで るいちゃん。」

<クリスマスになれば 錠一郎に会える。 るいは そう信じて疑いませんでした>

スタジオ

録音室

『はい テープ回りました』。

「1 2 3…。」

♬~(『What’s Modern』)

(うまく音が出せない)

錠一郎「すいません もう一回 お願いします。」

「オッケー オッケー。」

「1 2 3…。」

(うまく音が出せない)

竹村家

竹村クリーニング店

ラジオ・磯村『さて 皆さん とうとう師走になりましたね。 師走といえば 掛け取りを連想するのは 年寄りの証拠やそうです。 ほっといて。 若者にとっては 何と言うても クリスマスの季節。 さあ お聴きください。 『ジングル・ベル』』。

♬~(ラジオ『ジングル・ベル』)

平助「るいちゃん。 もう汽車の切符買うたんか?」

るい「Night and Dayの木暮さんが みんなの分 まとめて買うといてくれるそうです。」

和子「へえ~ そうなんや。 楽しみやな。」

平助「ああ。」

るい「あっ トミーさん。」

和子「あら。」

るい「クリーニングですか?」

トミー「いや。 サッチモちゃん 何か聞いてる? ジョーのデビューコンサート 延期になったんや。」

るい「えっ…?」

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