あらすじ
るい(深津絵里)は、東京から帰ってきた錠一郎(オダギリジョー)の口から信じられないような言葉を聞き、大きなショックを受けます。そんなるいをクリーニング店の平助(村田雄浩)と和子(濱田マリ)が気遣います。そんな時、東京からきた笹川奈々(佐々木希)と一緒に歩く錠一郎の姿を見かけたトミー(早乙女太一)は錠一郎を問い詰めます。トミーを介して真実を知ったるいは…。
58話ネタバレ
ジャズ喫茶・Night and Day
玄関前
錠一郎「るい…。」
るい「いつ… 帰ってきたんですか?」
錠一郎「奈々のことが好きになった。 そやから…。 お前とは終わりや。」
竹村家
居間
和子「あっ るいちゃん お帰り。」
平助「お帰り。」
るい「ただいま。」
和子「さあさ お豆腐入れたら出来上がりやで。 るいちゃん 手ぇ洗とい…。 るいちゃん…。」
平助「るいちゃん?」
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
木暮「ジョー。 諦めるな。 そないな病気が あんのかどうか バンドの連中にも聞いてみる。」
錠一郎「ありがとうございます。 でも… このことは 誰にも知られたくないんです。」
木暮「サッチモちゃんは? 結婚するんやろ?」
錠一郎「るいには 自分で話します。」
木暮「そっか…。」
錠一郎「しばらく… 宿にでも泊まります。 ここにおったら みんなに会うてしまうから。 これから… どうするか考えます。 これ…。 これ 預かっててもらえますか?」
木暮「ジョー。 大丈夫や。 慣れ親しんだ大阪へ帰ってきたんや。 きっと治る。」
玄関前
トミー「ジョー…!」
旅館・月浜
「ごゆっくり。 失礼します。」
(襖が閉まる音)
錠一郎「奈々さん。 もう… 僕のことはいいから 東京へ帰ってください。 今頃… 僕のあけた穴を埋めるために 社長が奔走してはると思います。 そやから…。」
奈々「その穴を埋める人材を探しに 大阪に来たのよ。 それが私の仕事なの。 私は近くのホテルに泊まってるから 何かあれば 連絡ちょうだい。」
(襖の開閉音)
(足音)
(襖が開く音)
錠一郎「トミー…。」
トミー「何してんねん。 ええ? 何してんねん。 なあ! 何してんねん お前は! 女に うつつ抜かして 何もかも台なしにしたってか!」
錠一郎「トミー…。」
トミー「トランペット どこや? どこに置いてきたんや! トランペットも トランぺッター 大月錠一郎も!」
錠一郎「トミー…!」
竹村家
竹村クリーニング店
♬~(ラジオ)
平助「るいちゃん。 上がったで。 Night and Dayの配達分や。」
るい「はい。」
和子「行かんでええ。 あんた 後で持っていき。」
平助「うん。」
るい「あの…。」
和子「大月君と 何かあったんか? それぐらい分かるわ。 言いとうなかったらええ。 せやけど 心配なんや。 おっちゃんも おばちゃんも。」
(すすり泣き)
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
ベリー「どないしたん? あれ。」
ベリー「何で あいつが…。」
ベリー「トミー。 何かあったん? なあ トミー。」
トミー「うるさい。 お前は さっさと帰って卒論書け。」
ベリー「もうとっくに書いたわ。」
奈々「こんばんは。 ササプロの笹川奈々と申します。」
トミー「知ってる。」
奈々「光栄です。 トミー北沢さん コンテストでは準優勝でしたね。」
トミー「それが?」
奈々「フッ… どうかしら? 一度 東京でステージに立ってみません? 父がまた 新人を発掘したいと言ってるんです。」
ベリー「あんた 何言うてんの? 東京でデビューすんのは ジョーやろ? ジョーの話は どないなったん!」
奈々「失礼。 一度ゆっくり お話しさせていただけます?」
トミー「ふざけんなよ。 お前の親父がジョーを預かったんやろ。 最後まで責任とれや! 何やねん! 訳の分からん病気になったからいうて ゴミみたいに捨てやがって!」
ベリー「病気?」
木暮「トミー!」
トミー「ジョーは治る! 絶対 治る! せやから 空けとけ。 録音スタジオも クラブのスケジュールも ジョーが帰ってくるまで!」
竹村家
竹村クリーニング店
旅館・月浜
「失礼します。」
錠一郎「はい。」
(襖が開く音)
「お客さんです。」
るい「何で ホンマのこと 言うてくれへんかったんですか? 言うてほしかった。 一緒に… 泣きたかった。 一緒に苦しみたかった。 私にできること… 何でもしたかった。」
錠一郎「分かってたから…。 そう言うって分かってたから 言われへんかった。 るい。 僕と おったらあかん。 不幸にしたくない。」
るい「勝手に決めんといて。 何が私の幸せか 勝手に決めんといて! あっ! ちょっ… ジョーさん! あっ… ねえ ジョーさん!」
錠一郎「あかん。」
るい「えっ… あっ ジョーさん。 ジョー…。」
竹村家
居間
(戸が開く音)
平助「おいでや… あっ…。」
和子「るいちゃん。 悪いけど出てくれるか?」
るい「あっ はい。」
竹村クリーニング店
るい「おいでやす。 あっ ベリーさん。」
ベリー「これ 頼むわ。」
るい「はい。」
ベリー「卒業式に着るスーツや。」
るい「もう卒業なんですね。 おめでとうございます。」
ベリー「何が めでたいの。 もう私の青春は終わりや。 サッチモ。 元気なん?」
るい「えっ?」
ベリー「もう 気になって 卒業どころやあらへん。」
るい「私は 大丈夫です。 諦めへんて決めたから。 ジョーさんのこと。 ジョーさんと 幸せになること。」