あらすじ
錠一郎(オダギリジョー)を信じると心に決めたるい(深津絵里)は、献身的に錠一郎が泊まる宿に通い続けます。ただ、錠一郎はその気持ちを受け入れることができません。そんなある日、ラジオから流れる“On the Sunny Side of the Street”を聞いたるいは、いてもたってもいられなくなり、錠一郎の元に駆けつけます。そこにいたのはトミー(早乙女太一)。一緒に病院に行く予定だったのですが…。
59話ネタバレ
竹村家
竹村クリーニング店
るい「おいでやす。 あっ ベリーさん。」
ベリー「サッチモ。 元気なん?」
るい「えっ?」
ベリー「もう 気になって 卒業どころやあらへん。」
るい「私は 大丈夫です。 諦めへんて決めたから。 ジョーさんのこと。 ジョーさんと 幸せになること。」
ベリー「あんた 変わったなあ。 強なった。」
るい「フフッ まだまだ ベリーさんには かないません。」
ベリー「そういうとこもや。」
るい「フフッ ほな ここと住所と あったら電話番号。」
ベリー「はい。 京都の家の番号も書いとく。」
るい「えっ?」
ベリー「何かあったら いつでも連絡してきよし。 はい。」
るい「はい。 誰…?」
旅館・月浜
るい「お帰りなさい。 よかった。 私も今 来たとこです。」
錠一郎「何で…。」
るい「ちゃんと食べてますか? どんな病気も 栄養とらんと治りませんよ。」
錠一郎「帰ってくれ。」
るい「ジョーさんは 乗り物酔いするような人なんやから。 人より気ぃ付けんと。」
錠一郎「るい。」
るい「この袋 汚れもんでしょ?」
錠一郎「るい。」
るい「持って帰って 洗ときますね。」
錠一郎「もういい。 僕が出ていく。」
竹村家
竹村クリーニング店
平助「はい はい はい。 そうそう そうそう。 そうや。 うん そや。 フフッ。 そしたら戻って…。」
るい「はい。」
平助「はい。 一回 置こうか。」
るい「はい。」
平助「そしたら それをな こっち…。 うん。 はい。 そう そう そう そう。 はい。 せや。せや せや せや。 うん うん うん うん うん。」
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
「蜂蜜がね 喉には よう効くらしいんですわ。」
<錠一郎の病気を知った ミュージシャンたちは 医者や医療法を求めて走り回っては 木暮に報告しました。 しかし トランペットを吹くことだけが できないという奇病に 有効な情報は 一向に見つかりませんでした>
旅館・月浜
トミー「よさそうな医者を見つけたんや。 来週の予約が取れた。 ちょっと遠いけどな。 俺の自動車で連れてったる。」
錠一郎「ありがとう。」
トミー「ドライブがてらや。」
錠一郎「トミー。 ササプロに誘われてるんやろ?」
トミー「ああ…。 けど 誰が行くか。」
錠一郎「行ってよ。 僕は見たいよ。 東京で… 世界で活躍してるトミーを。」
トミー「サッチモちゃんか? 食べたれよ。」
錠一郎「食べられへんよ。 食べられへん。」
翌日
るい「お洗濯物 ここに置いておきますね。 ケチャップついてへんから すぐ終わりました。 ちょっと残念やった。 久しぶりに ケチャップのついたジョーさんのシャツ 洗える思うてたから。」
錠一郎「何で分からんの? もう来てほしないんや。 洗濯も 弁当も いらんのや。」
るい「言うたでしょ。 私は一緒に泣きたいの。 一緒に苦しみたいの。」
錠一郎「できひんよ。 そんなこと できるわけない。 君に 僕の苦しみなんか 分かるわけないやんか。」
るい「分かるよ。」
錠一郎「軽々しく言うな!」
るい「あっ!」
錠一郎「軽々しく言うな! はあ はあ… 僕はもう 半年苦しんだ。 お願いや… もう解放してくれ。」
竹村家
居間
るい「ありがとうございます。」
和子「大丈夫か?」
るい「どっか… ほっとしてます。」
和子「えっ?」
るい「ホンマのこと言うたら ちょっと怖かったんです。 家庭を持つ いうことが。 母に捨てられて 父の顔も見たことがなくて…。 そんな私が 家庭を作ることなんて ホンマにできるんやろうかって。 ずっと不安やったんです。 そやから…。 これで よかったんです。」
和子「るいちゃん…。」
竹村クリーニング店
ラジオ・磯村『さて 皆さん。 ビートルズの人気は とどまるところを知りませんですね。 アメリカでは 4月4日付けのビルボード誌の ランキング1位から5位を ビートルズが独占するという 驚異的な偉業を成し遂げました。 それでは早速 その第1位となった 曲 『キャント・バイ・ミー・ラヴ』を… かけません』。
平助「何や それ。」
ラジオ・磯村『このところ 日本では ビートルズ人気や ロカビリー人気に 押され気味なジャズ界から この曲を聴いていただきたいと 思います。 私の大好きなルイ・アームストロングです。 『On the sunny side of the Street』』
♬~(ラジオ)
『Grab your coat, grab your hat baby Leave your worries on the doorstep』
回想・るい「トランペットが聴こえてますか? ルイ・アームストロングの吹く トランペットが。」
ラジオ♬『On the sunny side of the Street』
回想
錠一郎「吹いてみたいなあ。 いつか… アメリカの空の下で トランペットを。 『On the sunny side of the Street』を 吹いてみたい。」
回想終了
ラジオ♬『On the sunny side of the Street』
回想
るい「ホンマにつながってるんですね。 この海が アメリカに…。」
(波の音)
錠一郎「♬『Grab your coat, grab your hat baby Leave your worries on the doorstep Just direct your feet』」
2人♬『On the sunny side of the Street Can’t you hear that pitter-pat babe? That happy tune is your step Life can be so sweetOn the sunny side of the Street』
(笑い声)
(波の音)
回想終了
旅館・月浜
るい「ジョーさん!」
トミー「はあ~ どこ行ったんや あいつ。 今日は医者に行く約束やのに。」
ラジオ・磯村『『あの日 ローマで眺めた月 こよい 都を空照らす。 4年たったら また会いましょう。 固い約束 夢じゃない』。 さあ 4年たったんです あれから』。
るい「トミーさん。」
海
るい「ジョーさん! ジョーさん! ジョーさ~ん! ジョーさん!」
錠一郎「暗闇なんや。 歩いても 歩いても… 暗闇しかないんや。 どこへ向かって歩いていいか分からん。 サニーサイドが見えへん。」
るい「怖がらんでいい。 私が守る。 あなたと2人で ひなたの道を歩いていきたい。」