ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第60話「1964-1965」【第13週】

あらすじ

るい(深津絵里)はクリーニング店の平助(村田雄浩)と和子(濱田マリ)の元を離れ、心機一転、京都で暮らすことを決意します。錠一郎(オダギリジョー)と一緒に、京都でお茶のお師匠さんをしているベリーこと野田一子(市川実日子)を訪ねますが、何をして暮らしていくか決まりません。そんな時、北野天満宮の縁日でたち並ぶ出店の間を歩いていたるいは、気になるものをみつけ…。

60ネタバレ

竹村家

るいの部屋

(ノック)

和子「るいちゃん。 荷物まとまったか?」

るい「おばさん。 はい。 あと もう少しです。」

和子「うん。」

平助「うん…。 はあ… さみしなるなあ…。」

和子「あんた。」

平助「うん?」

和子「それは 言わん約束やろ。」

平助「うん…。」

るい「東京やのうて 京都に住むんですから。 いつでも会えます。」

ジャズ喫茶・Night and Day

屋根裏

木暮「まあ 京都やったら ベリーちゃんもおるし 私も 安心や。」

錠一郎「ええ。」

木暮「まあ 確かに いっぺん環境変えた方が ええかも分からんな。」

錠一郎「はい。 そう言わはるお医者さんも 何人かいました。」

竹村家

るいの部屋

るい「私 まだ諦めてません。 いつかまた ジョーさんが トランペット吹ける日が来る。 そない信じてます。」

平助「うん うん。」

ジャズ喫茶・Night and Day

屋根裏

木暮「ジョー。 これは 持っていけ。」

竹村家

るいの部屋

和子「るいちゃん。 これ 持っていき。」

るい「えっ!?」

平助「えっ!?」

和子「いやいや… ちゃうがな ちゃうがな。 これや これや これ。 これやがな。」

ジャズ喫茶・Night and Day

屋根裏

木暮「いつかまた トランペット吹ける日ぃまで…。」

竹村家

るいの部屋

和子「大事に持っとき。」

ジャズ喫茶・Night and Day

屋根裏

木暮「またな。 ジョー。」

竹村家

るいの部屋

平助「元気でな。 るいちゃん。」

和子「幸せになりや。」

るい「はい。」

公園

るい「あっ。」

「おねえちゃん ボール取って!」

「こっち こっち!」

<大阪をたつ前に るいと錠一郎は 結婚届を出しました。 るいは 大月るいになり 錠一郎の戸籍に初めて家族が加わりました>

野田家

茶室

るい「お茶の先生の娘さんやったんですね。」

一子「しつこい。」

るい「すみません。」

錠一郎「ベリー 一子さんいう名前やったんやな。」

一子「それも しつこい。」

錠一郎「一子さんが いちご? いちごで ベリー。」

一子「ばかにしてんの?」

錠一郎「えっ 違うよ。 かわいらしいなあ思て。」

一子「京都では ベリーて呼ばんといてや。」

るい「えっ?」

一子「あれは 大阪での仮の姿や。」

るい「え~っと…。」

一子「お作法は また教えるさかい。 今日は そのまま飲み。」

るい「はい。 頂きます。」

一子「ジョーは飲まんとき。」

錠一郎「何で?」

一子「こぼすさかい。 それで? これから どないすんの?」

るい「しばらくは 宿に泊まりながら 住むとこと仕事探します。」

一子「えっ?」

るい「えっ?」

一子「家も仕事も決まってへんの?」

るい「はい。」

一子「何や それ。」

錠一郎「貯金はあるよ。」

一子「どれくらい?」

るい「切り詰めたら 2人で みつき暮らせるくらいかな。」

一子「それだけ?」

るい「はい。」

一子「大丈夫かいな。」

るい「岡山から出てきた時かて 似たようなもんでした。 新しい気持ちで一から始めよ思たら これが一番いいんです。」

一子「あんた 意外にギャンブラーやな。」

るい「あ… おいしい。」

道中

るい「やっぱり クリーニング屋さんが 手っとり早いやろか…。 ねえ ジョーさ…。」

錠一郎「どこ行ってんの?」

2人「天神さんやで。」

錠一郎「るい。 天神さんやって。」

るい「天神さん?」

縁日

「おいしい。 おいしいな?」

「うん。」

錠一郎「食べる?」

るい「あっ…。」

公園

錠一郎「何 考えてんの? さっきから。」

るい「ジョーさん。」

錠一郎「うん?」

るい「回転焼き屋さん やってみいひん?」

錠一郎「回転焼き?」

るい「あれやったら 最低限の設備でできると思う。」

錠一郎「お… お店持つってこと?」

るい「うん。」

錠一郎「竹村クリーニングの おじさんと おばさんみたいに? え~…。 できるかなあ…。」

るい「やってたこと あるんや。 お菓子屋さん。 お母さんと2人で。 大阪で おはぎ作って売ってたん。 この傷も… その時に…。」

回想

(クラクション)

回想終了

錠一郎「いいの? しんどくならへん?」

るい「なるかも…。 でも… 分かる時が来るかもしれへん。 何で お母さんが 私を捨てたんか。」

錠一郎「やってみよ。 2人で。」

大月家

<るいと錠一郎は 回転焼き屋を開くための 手ごろな物件を見つけ そこに暮らし始めました>

店舗

錠一郎「ただいま。」

るい「お帰り。 分かった?」

錠一郎「これでいいの?」

るい「うん ありがとう。」

<るいは 幼い頃の記憶をたどり あんこ作りを始めました>

るい「小豆の声を聴けえ。 時計に頼るな。 目を離すは。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる。 食べる人の 幸せそうな顔を思い浮かべえ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 その気持ちが 小豆に乗り移る。 うんと おいしゅうなってくれる。 甘えあんこが出来上がる。 はっ!」

るい「ありがとう。」

るい「よし。」

錠一郎「食べてみよか。」

るい「うん。」

縁側

錠一郎「頂きます。」

るい「頂きます。」

錠一郎「うん うん うん。 おいしい。」

るい「ホンマ?」

錠一郎「うん。」

るい「よかった。」

錠一郎「うん。 ふ~ん…。 これが るいと るいのお母さんの味か。」

るい「フフッ…。」

錠一郎「何?」

るい「よう出来てる。」

錠一郎「何が?」

るい「これやったら ジョーさんも あんこ こぼさへんわ。」

(笑い声)

錠一郎「何か… お月さんみたいやな。」

<お店の屋号は 『大月』に決まりました。 Rui and Joichiro decided to name the shop “Otsuki”, which means big moon>

居間

るい「ジョーさん? 何してんの?」

錠一郎「チラシ作ってんねん。」

るい「お店の?」

錠一郎「うん。」

るい「わあ ありがとう。 何? これ。」

錠一郎「回転焼き。 ええやろ?」

るい「うん… そやね。 芸術的 なセンスが あふれてる。 手伝うわ。」

回想

勇「こりゃあ お母さんか? ハハッ この丸いほっぺたの辺やこ そっくりじゃ。」

るい「そりゃあ おはぎじゃ。」

回想終了

<あんこを作るようになってから るいは 頻繁に 母 安子のことを 思い出すようになりました>

回想

ロバート「Who is this?」

るい「ロバートさん。」

ロバート「It’s me? アハハハッ。」

回想終了

<それは るいにとって 決して 甘いだけの思い出ではありませんでした>

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