あらすじ
るい(深津絵里)は女の子を出産し、その子にひなたと名前をつけました。それから10年の時が流れて、1975年。ひなた(新津ちせ)は時代劇が大好きな女の子に成長しました。夏休みに入り、ひなたは一子(市川実日子)の娘の一恵と一緒に遊んでばかり。るいはそんなひなたを心配するのですが、話を全然聞きません。そんなある日、夕立でずぶぬれになったひなたは、クラスメイトの小夜子が雨宿りをしているのを目にして…。
63話ネタバレ
病院
待合所
テレビ『続いて 芸能の話題です。 俳優の桃山団五郎さんが…』。
(産声)
テレビ『二代目 桃山剣之介を 襲名しました』。
<In a time not so long ago>
分娩室
「おめでとうございます。」
回想・るい「なれるかな… お母さんに…。」
<Durig the period of economic growth in Japan, a baby girl was born>
賀茂川
2人♬『Life can be so sweet On the sunny side of the Street』
るい「あ…。」
2人「ひなた。」
るい「ひなた。」
<After a song dear to their hearts, her parents named her Hinata>
大月家
回転焼き屋・大月
修治「おばちゃん 回転焼き頂戴!」
哲也「俺も!」
るい「ええけど お小遣い足りるんか?」
貞雄「コーチのおごりや!」
るい「えっ?」
錠一郎「あ~ 食べさせたって。 戦勝祝いや。」
るい「また もう…。」
<Time passed. The family are of three…>
吉之丞「も~ろた!」
るい「あっ!」
「返せよ!」
「返せ!」
るい「こら!」
錠一郎「こら けんかは あかんで。」
(争う声)
ひなた「よなぬか!」
るい「ひなた。」
ひなた「善良な民の糧を奪うとは 不届き至極!」
子供たち「はあ?」
ひなた「成敗いたす!」
るい「ひなた やめなさい。」
(笑い声)
ひなた「笑うな!」
錠一郎「ひなた 大丈夫か?」
ひなた「お父ちゃん…。」
錠一郎「ほら。」
<ひなたは 時代劇が大好きな女の子に成長しました>
ひなた「おいしい!」
錠一郎「そらあ おいしいよ。」
居間
『暗闇でしか 見えぬものがある。 暗闇でしか 聴こえぬ歌がある』。
『黍之丞…』。
ひなた「スチャッ!」
テレビ『見参!』。
ひなた「見参!」
錠一郎「よっ! ひなた かっこええぞ。」
ひなた「やあ! たあ!」
『うわあ…!』。
『てや!』。
ひなた「はっ! とう!」
錠一郎「うわあ…。」
ひなた「たあ!」
『うわあ!』。
<二代目 モモケンこと 桃山剣之介は 父である初代 モモケンの代表作 『棗 黍之丞』シリーズのテレビ版に主演し 人気を博しています>
錠一郎「ひなた。 ひなた。 すいかやで 食べ。」
ひなた「あっ! 頂きます!」
るい「ひなた。 遊んでばっかりおらんと ちょっとずつ宿題やっときや。 ひなた。 宿題。」
ひなた「あっしには 関わりのねぇこってござんす。」
るい「ひなた!」
<今 ひなたは 小学校4年生の夏休みです>
るい「はあ… もう! ジョーさんからも ちゃんと言うて。」
錠一郎「うん。」
るい「もう!」
錠一郎「ん…。 ん…。」
賀茂川
♬~(ラジオ『ラジオ体操第一』)
一恵「ひなちゃん。 算数のドリル どこまでやった?」
ひなた「まだ全然。」
一恵「漢字のドリルは?」
ひなた「まだ。」
一恵「自由研究 何するん?」
ひなた「回転焼きの焼き方!」
一恵「毎年 それちゃう?」
ひなた「いっちゃんかて 毎年 抹茶のたて方やん。」
一恵「いや 違うで?」
<ひなたの親友 一恵のお母さんは ベリーこと 一子です>
吉右衛門「はい 今日も一日 頑張りましょう!」
子供たち「はい!」
吉之丞「お父ちゃん はんこ。」
吉右衛門「おう 吉之丞。 よっしゃ よっしゃ。」
<ガキ大将の吉之丞のお父さんは 吉右衛門>
吉右衛門「特別に 明日の分まで押したろ。」
吉之丞「ありがとう!」
初美「あんた。 そないなズルしたらあきまへんえ。」
<吉右衛門は おそば屋さんで働いていた 初美をお嫁さんにもらいました。 初美は 吉右衛門の母 清子の若い頃に よく似ていると評判です>
「おばちゃん はんこ頂戴。」
「おばちゃん はんこ。」
初美「じゃあ 修治君からね。」
錠一郎「はい ひなた。」
ひなた「ありがとう。」
錠一郎「いっちゃん。」
一恵「ありがとう。」
2人「ジャ~ン!」
ひなた「なあなあ いっちゃん。 今日 何して遊ぶ?」
一恵「宿題した方がええんとちゃう?」
ひなた「まだ7月25日やで。 夏休みは始まったばっかりや!」
一恵「ひなちゃん 待ってえな!」
ひなた「いっちゃん! いっちゃん!」
大月家
居間
ひなた「お父ちゃん おしょうゆ取って。」
錠一郎「ん。」
ひなた「ありがとう。」
るい「あんまり かけたら しょっぱいよ。」
ひなた「あっ!」
るい「ほら。」
ひなた「う~! うう… どないしよ…。 お母ちゃんが急に話しかけるからや。」
るい「また人のせいにして。」
錠一郎「ごはんにのせ ごはんに。」
ひなた「今日 いっちゃんと天神さん行ってくる。」
錠一郎「ああ。 今日 25日か。 ひなた。 ん。」
ひなた「あっ…! あ~! お父ちゃん ありがとう!」
るい「ジョーさん!」
錠一郎「ええやん。 月に一回の天神さんや。」
ひなた「やった。」
るい「傘 持っていきなさいよう。」
ひなた「ええっ 傘 邪魔や。」
錠一郎「夕立来るかも分からんて 天予報で言うてたで。」
ひなた「え~ どうせ当たらへんわ。」
縁日
<日本の夏といえば 縁日です>
一恵「やった!」
ひなた「うわ~! いっちゃん すご~い!」
(射撃音)
ひなた「え~!」
ひなた「いっちゃん すごい!」
一恵「取れた!」
ひなた「あ~ 切れた!」
大月家
玄関前
<日本の夏といえば 夕立です>
ひなた「もう! 天気予報 いらん時だけ当たんねんから!」
一恵「あっ 藤井さんえ。」
るい「ホンマや。」
一恵「ひなちゃん。」
回転焼き屋・大月
ひなた「うわ~! あ~!」
るい「はあ! ひなた! はよ入り。 あ~ いっちゃんも。」
一恵「すいません。」
るい「ジョーさん バスタオル!」
錠一郎「あっ は~い。」
るい「ひなた…?」
玄関前
小夜子「大月さん。」
るい「夕立やから すぐやむやろけど。」
小夜子「ありがとう。 わざわざ…。」
るい「じゃあね!」
回転焼き屋・大月
るい「いっちゃん。 これ お母さんたちに持って帰って。」
一恵「わあ ありがとう。 みんな喜ぶわ。」
ひなた「はあ ただいま。」
るい「ひなた。 どこ行っとったん?」
ひなた「ちょっとね。 あっ 私も回転焼き!」
るい「先 拭きなさい。」
錠一郎「ほな お父ちゃん 拭いたろ。」
一恵「おっちゃん 優しいな。」
ひなた「ヘヘヘッ。 お父ちゃん ありがとう。」
錠一郎「うん。」
玄関前
<日本の夏といえば 花火です>
ひなた「お父ちゃん!」
錠一郎「うん? 危ない 危ない 危ない…。」
るい「アハハハハッ!」
ひなた「見て見て~!」
ひなたの部屋
<日本の夏といえば 麦茶です>
ひなた「『20円の鉛筆を7本と 15円の消しゴムを3つ買いました。 お釣りは いくらになりますか?』。 はるお 何で 3つも消しゴムいるん!? どんだけ間違うねん! まだ3週間もあるわ。」
居間
<日本の夏といえば 高校野球です>
テレビ『終戦から30年。 戦火に散った多くの人たちに 黙とうをささげます』。
錠一郎「ん…。」
(正午のサイレン)
錠一郎「ほら ひなた。」
(正午のサイレン)
テレビ・場内アナウンス『ご協力ありがとうございました』。
<日本の夏といえば 終戦の日です>
(セミの声)
ひなたの部屋
<日本の夏といえば 夏休みの宿題です。 夏休みは 間もなく終わります>
ひなた「どないしよう…。 う~ どないしよう…。」