ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第68話「1976-1983」【第15週】

あらすじ

大月家に古びたラジオがやってきました。るい(深津絵里)は、英語がしゃべれるようになりたいというひなた(新津ちせ)に、毎朝ラジオ英語講座で勉強することを提案します。錠一郎(オダギリジョー)の協力もあって、テキストを手に勉強を始めたひなた。そんなある日、クラスメイトの小夜子が映画村で出会った外国人の男の子・ビリーを連れて店を訪れてきました。ひなたの様子を見たるいと錠一郎は事情を察して…。

68話ネタバレ

太秦映画村

「Do you know where I can take a photo with a ninja?(ニンジャと写真が撮れるのはどこか知ってる?)I want a photo with a ninja.(ニンジャと写真が撮りたいんだ)」

広場

ひなた「私な…。」

錠一郎「うん。」

ひなた「英語教室に通いたいねん。」

錠一郎「英語教室?」

大月家

居間

♬~(ラジオ)

錠一郎「お~ 鳴った 鳴った。」

ラジオ♬『証 証 証城寺 証城寺の庭は ツ ツ 月夜だ みんな出て 来い来い来い おい等の友達ァ ぽんぼこ ぽんの ぽん』

♬~(ラジオ)

回想

るい 安子♬『Come, come, everybody How do you do, and how are you? Won’t you have some candy? One and two and three, four, five?』

回想終了

ラジオ♬『ツ ツ 月夜に』

るい「ひなた。」

ひなた「うん?」

るい「明日から この番組 聴きなさい。」

ひなた「『英語会話』?」

るい「英語 勉強したいんでしょ? これやったら ラジオで勉強できる。」

ひなた「ラジオで?」

るい「そう。」

ひなた「いつやってんの?」

るい「6時45分から。」

ひなた「晩の?」

るい「朝の。」

ひなた「朝!? あ…。 かっ かっ…。 かっ。」

錠一郎「大丈夫か ひなた。」

ひなた「朝から勉強やなんて… そんな殺生な。」

るい「たった15分や。」

ひなた「15分!?」

るい「そや。」

ひなた「そんなんで 英語話せるようになるわけないやんか。」

るい「放送は 月曜から土曜まで毎日や。」

ひなた「えっ。」

るい「15分×6は?」

ひなた「え~… 5×6 30… 90分。」

るい「週に1時間半 勉強できる。」

錠一郎「ひなた。 せっかく お母ちゃんが当ててくれたラジオや。 これで英語勉強しよう。」

るい「まだやってたんや…。」

ひなたの部屋

(襖が開く音)

錠一郎「ひなた。 ひなた。 ひなた! もうすぐ6時45分やで。 ラジオ始まんで。 ほら。」

ひなた「眠い…。」

錠一郎「ちょっ…。 もう…。 ひなた。 これ 見てみ これ。 これ 見てみ。 ほら。 ほら。」

ひなた「何? これ。」

錠一郎「出席カードや。」

ひなた「出席カード?」

錠一郎「『英語会話』のラジオ聴いたら お父ちゃんが はんこ押したる。」

ひなた「もう…。」

錠一郎「ほら ほら ほら。」

ひなた「お父ちゃんには かなわんわ。」

錠一郎「ほら。 とりあえず着替え。」

ひなた「は~い。」

居間

♬~(ラジオ『英語会話』のテーマ音楽)

るい「おはよう。」

ひなた「おはよう。」

ラジオ・東後『Hello, everyone.』

錠一郎「おっ。」

ラジオ・東後『Welcome to our English conversation program. How are you today?』

錠一郎「I’m good. Thank you, and you?」

ひなた「お父ちゃん 英語しゃべってるやん。」

錠一郎「お父ちゃんは ギブ ミー チョコレート 言うてた世代やからね。」

ひなた「何? それ。」

ラジオ・東後『皆さん おはようございます』。

ひなた「あっ 日本語しゃべった。」

ラジオ・東後『講師の東後 勝明です』。

ラジオ・バッハ『Hi, I’m Faith Bach.』

ラジオ・キャロル『Hello, I’m Walter Caroll.』

ひなた「何 言うてるか全然分からへん…。」

ラジオ・東後『それでは 今日のダイアログを聴いてみましょう』。

ラジオ『Mrs. Benson is busy cooking breakfast in the kitchen. When it’s ready, she yells upstairs.』

ラジオ・ベンソン夫人『Chris! Mike! Breakfast is ready. Come down quickly!』

ひなた「くいっく…。」

ラジオ・クリス『I’m coming, Mom!』

ラジオ・マイク『I’ll be right down, too.』

ラジオ・東後『That’s all the time we have today. See you next time Good bye.』

<その日は 何にも分からないまま 15分が過ぎました>

ひなた「はあ~ しんど。 学校行く前から勉強するなんて 正気の沙汰やないわ。」

錠一郎「ひなた。 はんこ。」

ひなた「そやった! はい。」

錠一郎「はい。 明日も頑張ろな。」

ひなた「うん! わあ~ パンダや! かわいい。」

錠一郎「あっ パンダか。」

ひなた「パンダやん。 ほら パンダ。 なあ?」

錠一郎「大福かなと思って…。」

ひなた「フフフフ… 耳ついてるやん。」

本屋

るい「すいません。」

大月家

居間

剣之介『おゆみ。 ちそうになった』。

『黍様…』。

ひなた「あ~かっこよかった。」

錠一郎「は~い また来週。」

(テレビを消す)

るい「ひなた。」

ひなた「何?」

るい「はい。 ラジオの『英語会話』のテキストや。 番組に出てくる英文やら 日本語訳やら 皆 書いてある。」

ひなた「テキスト…。 そんなんあるんや。 130円。」

錠一郎「へえ~。 回転焼き2個の値段と変わらんな。」

ひなた「わあ…。 お母ちゃん ありがとう! お父ちゃん ペン取って。」

錠一郎「おお…。 うん。 何 書くんや?」

ひなた「名前。」

錠一郎「持ち物には名前書かんとな。」

るい「貸して。 お母ちゃんが書いたげる。」

ひなた「うん。 わあ 英語や。」

錠一郎「すごいな。」

ひなた「かっこええな。 これ どれが『ひ』?」

錠一郎「これ 筆記体やからな。」

ひなた「筆記体?」

錠一郎「うん。 ここが『ひ』かな?」

別日

ラジオ・東後『Hello, everyone. Welcome to our English conversation program.』

ラジオ・ケン『Hello, Chris.(やあ クリス)』

ひなた「ハロー クリス。」

ラジオ・クリス『Hello, Ken. How are you?(あら ケンちゃん 元気?)』

ひなた「ハロー ケン。 ハー ワー ユー?」

ラジオ・ケン『I’m fine, thank you. How are you?(元気だよ クリスちゃんは?)』

ラジオ・クリス『Fine. I’ve just been to the fish store.(ええ元気よ 魚屋さんに行ってきたところなの)

ラジオ・ケン『Oh, you have? What did you buy?(そう なにを買ってきたの?)』

ラジオ・クリス『Some sashimi.(お刺身なの)』

ラジオ・ケン『Wow! That’s one of my favorite dishes.(うあー 僕の好物のひとつなんだ)』

ラジオ・クリス『Why don’t you come over to my place, Ken?(ケンちゃん わたしのうちに寄っていかない?)』

ラジオ・ケン『O.K.(いいよ)』

ラジオ・クリス『Oh, good!(ああよかった 一緒にお刺身食べましょ)Let’ enjoy sashimi together.』

小学校

先生「覚えてますか? 1リットルは 10デシリットルであるから 答えは 0.72に10を掛けて 7.2デシリットルとなる。 ここまで いいかな?」

児童たち「は~い。」

先生「ほな この問題… 大月。 また居眠りか? 5年生になっても全然変わらんな お前は。」

(笑い声)

先生「先生の話 全然聞いてないやろ。 どうせ 夜遅くまで テレビ見てたん違うか? 学校は勉強する所。 寝るとこちゃうぞ。 ええ?」

『Every day I get up early,(わたしは毎日 早起きして6時45分から)turn on the radio at 6:45 a.m.(ラジオの『英語会話』を聴いているんです『and listen to the English conversation program. That’s why I’m sleepy.(だから眠いんです)Have you ever listened to it?(先生は聴いたことあるんですか?)Don’t you think that’s diligent?(わたし すごくないですか?)』

先生「何 口をパクパクさせてんねや?」

(笑い声)

吉之丞「集中しろや!」

先生「はい 静かに!」

(チャイム)

大月家

ひなたの部屋

ひなた「『ハロー クリス』。 『ハロー ケン。 ハー ワー ユー?』。

ひなた『How are you?』

『I’m fine, thank you. How are you?』

ひなた『Fine. I’ve just been to the fish store. Oh. You have? What did you buy?』

ひなた「あの子… 名前 何て言うんやろ…。」

回転焼きや・大月

錠一郎「えらい熱心やなあ。」

るい「ホンマ… 何でやろ? 急に英語やなんて…。」

錠一郎「るいも聴いてたん?」

るい「うん?」

錠一郎「『英語会話』のラジオ。」

るい「ああ… うん。 子供の頃。」

錠一郎「ふ~ん それでか。 ラジオで勉強してたんか。」

小夜子「こんにちは。」

ひなたの部屋

錠一郎『ひなた~! 小夜ちゃん来てるで。』

ひなた「は~い!」

回転焼きや・大月

ひなた「小夜ちゃん。 どないしたん? お使い?」

小夜子「あっ ひなちゃん。 あっ 覚えてる? こないだの。」

ひなた「う… うん。」

小夜子「今さっき 天神さんで 偶然 会うたん。」

「Hi.」

小夜子「ビリーが おいしい和菓子が食べてみたいんやて。」

ひなた「ビリー…。」

小夜子「それやったら ひなちゃんとこの回転焼きが一番や思て。」

ひなた「そ… そうなんや。」

るい「はい お待ち遠さん。」

小夜子「はい。 はい。」

ビリー「How much?(いくら?)」

小夜子「Sixty yen, each.(ひとつ60円)」

(小銭を取り出す音)

ビリー「Oh! No, no, no, no, My treat.(だめだめ 僕がごちそうする)」

小夜子「Are you sure?(ほんとにいいの?)」

ビリー「Yes, of course.(もちろん)」

小夜子「Thank you.(ありがとう)」

るい「ちょうど頂きます。」

ビリー「Thank you.」

小夜子「ほな ひなちゃん またね。」

ビリー「Good bye.」

ひなた「うん また…。」

<ひなたが 英語を勉強したいと 言いだした訳を るいは ようやく理解しました。 Rui finally understood why Hinata was eager to learn English>

モバイルバージョンを終了