ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第6話「1939-1941」【第二週】

あらすじ

夏休みが終わり、岡山から大阪に帰った稔(松村北斗)と文通を始めた安子(上白石萌音)。何通ものやりとりを通じて2人は心を通わせていくのでした。稔との仲を深める安子を小しず(西田尚美)は心配しています。一方、甲子園出場を目指して野球の練習に励む勇(村上虹郎)は、昔から安子へのある思いを抱き続けていますが、いつも言えずじまいです。そんな中、ヨーロッパでは戦争が始まり、世の中の気配も変化してきて…。

6話ネタバレ

おぐら荘

玄関

回想

安子「メイ アイ ライト ア レター トゥ ユー?」

稔「I will write to you inn return.」

回想終了

稔「ただいま帰りました。」

稔の部屋

安子『前略 稔さん。 お元気ですか? 今夜は十五夜です。 お店は大忙しでした。 稔さんのお部屋から お月様は見えますか? 大阪は都会だから ビルヂングの隙間から見るのでしょうか』。

橘家

お菓子司・たちばな

安子「ありがとうございました。」

おぐら荘

稔の部屋

稔『前略 安子ちゃん。 今夜も月がきれいです。 窓の外には 視界を遮るものはありません。 僕の通う大阪商科大学予科は 田んぼや畑に囲まれています。 岡山の方が ずっと都会に感じるほどです』。

橘家

居間

安子『稔さん。 お返事ありがとうございます。 少し前から 朝 ラジオをつけても 『実用英語会話』が流れてきません。 大阪では 変らず放送されていますか?』。

大阪商科大学予科

(ドイツ語)

稔『先日 とうとう ヨーロッパで戦争が始まりました。 「実用英語会話」は 放送を終了してしまったようです。 日本は ドイツの同盟国だから 敵国 イギリスの言葉である 英語会話の番組は 打ち切られたのでしょう。 僕も 残念でなりません』。

本屋

稔『「基礎英語講座」という番組は 引き続き放送されるようなので よかったら そちらを聴いてみてください』。

旭川

♬~(『旧ラジオ体操第一』)

安子『稔さん。 ラジオ体操は毎朝 旭川の河原で そろってすることが 町内で決まりました。 「基礎英語講座」のすぐあとの放送だから 毎朝 遅刻しています』。

道中

稔「おはよう。」

「おはよう!」

稔『安子ちゃん。 だんだん秋が深まってきたね。 コスモスが風に揺れ 大学までのあぜ道を優しく彩っています』。

橘家

安子『稔さん。 小豆の収穫の季節です。 毎年 取れたての小豆で おばあちゃんが お汁粉を作ってくれます』。

居間

杵太郎「う~ん! あ~ うちの… うめえ! ハッハッハッハッ!」

小しず「お義母さん おいしいなあ。」

安子「おばあちゃん これ お代わりあるん? ある?」

ひさ「あるよ。」

安子「やった~! 早く食べよ。」

安子『お店のお菓子に負けない おいしさです』。

河原

稔『安子ちゃん。 住吉の浜から木枯らしが吹き上げ 潮の香りをかすかに感じます。 大和川に来ると心が落ち着くのは 旭川の景色に似ているからかな』。

稔『安子ちゃんと 自転車の練習をした夏が 懐かしく思い出されます』。

橘家

安子の部屋

小しず「安子。」

安子「はい。」

小しず「おじいちゃんのたばこ買うてきてくれる?」

安子「は~い。」

小しず「雉真 稔さんいう人からのお手紙?」

安子「うん。」

小しず「雉真さんいうなあ あの雉真繊維の?」

安子「うん。 ほら 雉真 勇ちゃんのお兄さん。 大阪の大学予科に通よんじゃ。 心配せんでええよ。 おかしな おつきあいじゃねえから。 行ってきま~す。」

たばこ屋

安子「こんにちは。 おじいちゃんのたばこ ちょうでえ。」

「はいはい。 え~っと 杵太郎さんは チェリーじゃね。」

安子「はい。」

「はいはい。」

安子「ありがとう。」

「はい。」

映画館

稔『正月には帰省します。 よかったら 一緒に映画でも見に行きませんか? 桃山剣之介の新作が かかるそうです』。

勇「何ゅう ニヤニヤしょんなら。」

安子「わっ 勇ちゃん。 何も…。」

勇「手芸用品は どこで売りよんじゃ。」

安子「手芸?」

勇「おう。」

安子「そこの小間物屋さんじゃけど…。」

勇「おう そうか。」

安子「編み物でもするんかな?」

勇「そねえなわけなかろう。 ボールの修繕じゃあ。 野球は アメリかのスポーツじゃからな。 新しいバットも ボールも グローブも 手に入りにくうなりょんじゃあ。」

安子「そう…。」

勇「じゃけど 来年こそは 甲子園行くで。」

安子「うん。 頑張られえよ。」

勇「おう。 あのな あんこ。」

安子「うん。」

勇「わし…。」

安子「うん? 何?」

勇「あ… いや… 甲子園出れたら その時 言うわ。 ほんならの。」

餅つき

一同「よいしょ!」

「はい!」

一同「よいしょ!」

「はい!」

一同「よいしょ!」

「はい!」

一同「よいしょ!」

一同「よいしょ! よいしょ!」

一同「よいしょ! よいしょ!」

一同「よいしょ! よいしょ!」

稔『安子ちゃん。 残念ですが 正月は 岡山に帰れなくなりました。 父と2人で 船場の取引先に 年始回りに行くことになったのです。 映画の約束 守れなくて ごめん』。

雉真家

座敷

美都里「正月くれえ ゆっくり休ませて あげりゃあ ええじゃねえですか。 稔だって うちで お節や お雑煮を 食べてえでしょうに。」

千吉「稔は いずれ 後を継ぐんじゃ。 予科生ともなりゃあ 取引先とのつきあいを 知っとかにゃあならん。」

神社

安子『稔さん。 明けましておめでとうございます。 お正月からお仕事とのこと どうぞ お疲れの出ませんように』。

安子「(小声で)そして 早う会えますように…。」

喫茶店・ディッパーマウス・ブルース

安子『初詣の帰りに ディッパーマウス・ブルースの前を 通りかかりました』。

安子「あっ 明けましておめでとうございます。」

定一「はい おめでとう。 あっ 安子ちゃんじゃ。 稔のガールフレンド。」

安子「あ… 違います ガールフレンドなんかじゃ…。」

定一「まあ コーヒーでも飲んでいかれえ。」

安子「えっ…。」

定一「ごちそうするわ。」

きぬ「ありがとうございます。」

安子「いやいや…。」

安子『きぬちゃんと2人で あのおいしいコーヒーを ごちそうになりました』。

食堂

ラジオ『全国中等学校優勝野球大会 大阪大会の結果です』。

稔『安子ちゃん。 夏が近づいてきました。 甲子園の地方予選が始まったね。 勇の学校は 有望だと聞いています』。

橘家

お菓子司・たちばな

安子『稔さん。 弓丘中が とうとう地方予選の決勝に 進むことになりました。 勇ちゃんは 今日も大活躍でした』。

地方予選

「雉真君 頑張られえ!」

稔『安子ちゃん。 弟ながら 勇は本当に大したやつなんだ』。

(歓声)

(落胆する声)

稔『特に こうと決めたら曲げない 信念の強さ。 とても かなわないよ。 だから いつかきっと 甲子園に行くと思う』。

神社

「1 2!」

一同「1 2 3 4!」

勇「まだ来年がある! 最後の夏があらあ!」

一同「おう!」

稔『くじけずに 夢をかなえると思うよ』。

たばこ屋

安子「こんにちは。 おじいちゃんのたばこ ちょうでえ。」

「ああ はいはい。 杵太郎さんは え~っと… 桜じゃな。」

安子「桜?」

橘家

玄関

安子『稔さん。 急激に 世の中の気配が変わっている気がします』。

安子『日本は 私たちの暮らしは どうなってしまうのでしょう』。

安子の部屋

回想

稔『Louis Armstrong 「On the Sunny Side of the street」』.

レコード(『On the Sunny Side of the street』)

回想終了

安子『コートをつかんで 帽子を取って』。

安子 稔『心配事は玄関に置いて ひなたの道へ歩きだそう』。 『聞こえる? あの楽しげな音。 あれは幸せな君の足音。 ひなたの道を歩けば きっと 人生は輝くよ』。

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