あらすじ
初恋の相手・ビリーとひと言も話せなかったひなた(新津ちせ)。ラジオ英語講座で勉強していたのに、記憶の奥底に眠ってしまったフレーズは口から出てきませんでした。ずっと勉強を続けていたら話せたかもしれなかったのに、と後悔するひなたを、るい(深津絵里)は優しく慰めるのでした。あくる日、回転焼き屋「大月」に驚くべきお客さんが現れます!
70話ネタバレ
大月家
回想
ビリー「I’m here to buy some… the sweets.(いつかの あのお菓子を買いに来たんだけど)」
ひなた「何やったっけ…。 あ… ラ… ラジオで言うてたやつ。」
「Billy! Are you ready? You’ll gonna be late for the flight.(もういいかい 飛行機に乗り遅れるよ)」
ビリー「O.K. I’m coming.(いま行く)Good bye.(さよなら)」
るい「はい。 ラジオの『英語会話』のテキストや。」
ひなた「わあ…。 お母ちゃん ありがとう!」
錠一郎「はい。 明日も頑張ろな。」
回想終了
居間
錠一郎「大丈夫?」
るい「うん。」
錠一郎「ここ 気を付けて。」
るい「ありがとう。」
錠一郎「ただいま。」
るい「ただいま。 ひなた ごめんね。 留守にして。」
錠一郎「前の患者さんの都合で ちょっと時間 遅なってなあ。 あれ? ひなた おらへん。」
るい「ホンマや。」
錠一郎「いっつも テレビ見てんのに。」
るい「出かけたんやろか。」
錠一郎「いや でも 靴あるで。」
るい「ホンマや。 おやつも食べてへん。 ひなた。」
ひなたの部屋
(すすり泣き)
居間
るい「ひなた? おれへんの? ひなた?」
錠一郎「ああ ああ ああ 危ないで。」
るい「そうかて…。 あっ ひなた。」
ひなた「何?」
錠一郎「何や 寝てたんか。」
ひなた「うん。」
錠一郎「下りといで。」
るい「お茶いれるさかい 回転焼き食べとき。」
ひなた「いらん。 もう飽きた。」
錠一郎「ひなた。」
ひなた「飽きた!」
るい「ひなた。 どないしたん? お姉ちゃんになるからて ずっと ええ子にしてたやない。」
錠一郎「ひなた。 回転焼き お父ちゃんと一緒に食べよ。 お父ちゃん おなかすいたんや。 ほら 半分ずつにしよ。 なっ?」
ひなた「いらんて言うてるやん!」
錠一郎「ひなた! いつから そんな子になったんや。」
るい「ジョーさん。」
錠一郎「謝れ! お母ちゃんにも 回転焼きにも 謝れ!」
るい「ひなた!」
錠一郎「もう ほっとき。」
(戸の開閉音)
錠一郎「ひなたが悪い。」
賀茂川
(すすり泣き)
るい「『暗闇でしか 見えぬものがある。 暗闇でしか 聴こえぬ歌がある。 お母ちゃん 見参』。」
ひなた「お母ちゃん。」
るい「ひなた。 帰ろ。」
ひなた「ごめんなさい。 ひどいこと言うて。 ひどいことして…。 ごめんなさい。」
るい「ええんや。 子供は 子供で いろんなこと抱えてるもんや。 そやろ?」
ひなた「何で分かるん?」
るい「お母ちゃんも 昔 子供やったから。 何があったん? お母ちゃん 聞いてもええ?」
ひなた「ビリーが… あの… 前にお店にきた外国の子。」
るい「覚えてるよ。」
ひなた「アメリカへ帰ってしもたみたい。」
るい「会うたん?」
ひなた「今日 店に来てん。 けど… 私 何にも しゃべられへんかった。 『こんにちは』も 『元気ですか』も 『回転焼き食べましょ』も。 覚えたはずやのに…。 英語が出てきいひんかった。」
るい「そうか。 初恋やったんや。」
ひなた「ごめんなさい。 お母ちゃん。 ごめんなさい。」
るい「何で謝んの。」
ひなた「全部 無駄にしてしもた。 お母ちゃんが 福引きで当ててくれたラジオも。 買うてくれたテキストも。 お父ちゃんが作ってくれた出席カードも みんな…。 お母ちゃん。 何で 私は こうなんかな。」
ひなた「何で 何やっても続かへんのかな。 夏休みの宿題も ラジオ『英語会話』も。 今度こそって思うけど やっぱり できひん。 何で ちゃんと やっとかへんかったんやろって あとになって思うけど…。 もう 遅い。 何で 私は…。」
るい「心配せんでええ。 今は 真っ暗闇に思えるかもしれんけど いつか きっと 光がさしてくる。 ひなたの人生が輝く時が来る。」
大月家
玄関前
るい「こんばんは。」
ひなた「こんばんは。」
居間
ひなた「ただいま。」
♬~(ラジオ)
ひなた「お父ちゃん。 今日は 悪い子で ごめんなさい。 お母ちゃんにも 謝りました。 回転焼きにも謝ります。 ごめんなさい。」
錠一郎「苦しゅうない。 近う寄れ。」
ひなた「ははっ。」
錠一郎「近う。」
ひなた「ははっ。」
錠一郎「フフフ…。」
ひなた「あ~ う~。」
錠一郎「お帰り。 ひなた。」
ひなた「ただいま! お父ちゃん。 う~ アハハッ。」
るい「新しいの焼くから 3人で食べよ。」
2人「は~い。」
回転焼き屋・大月
千栄子「るいさん。 無理せんときや。」
るい「お気遣いありがとうございます。」
ひなた「カ~ン! カ~ン! はっ!」
錠一郎「うお~。 やっ!」
ひなた「カ~ン! はっ!」
錠一郎「うわっ! ひな之丞…。」
ひなた「フッフッフ~。」
「こんにちは。」
るい「おいでやす。」
剣之介「回転焼きを頂けますか。」
るい「何個しましょ。」
ひなた「はあっ! モ… モ… モモケ~ン!」
剣之介「やあ。」
錠一郎「えっ?」
ひなた「あ~!」
剣之介「いつかは 回転焼きをありがとう。 あんまり おいしかったんで 日頃 世話になっている条映のスタッフに 差し入れやろうと思いましてね。 ひとまず 100個頂けますか?」
錠一郎 ひなた るい「100個!?」
剣之介「はい。」
るい「すぎ焼きます! あ…。」
ひなた「お父ちゃん!」
錠一郎「おう おう…。」
錠一郎「ああ。 あの 僕ら 先代からのモモケンファンでして。」
剣之介「ああ それは それは。 ありがとうございます。」
錠一郎「ひな之丞です。」
剣之介「アッハハハッ! いや~ しかし よりによって 何で あの駄作を…。」
錠一郎「いやいや いやいや 名作です!」
初美「あの~ もしかして… いや~! やっぱり モモケンさんやわ!」
(歓声)
初美「サイン もらえますやろか!?」
剣之介「もちろんです。」
初美「え~!」
清子「大月さん! 大月さん。 産まれるんか?」
剣之介「えっ? えっ?」
ひなた「えっ… お母ちゃん!」
るい「タクシー呼んで ジョーさん。」
錠一郎「タ タ タ… タクシー?」
ひなた「えっ えっ 大丈夫か?」
剣之介「私が送りましょう。 そこに車を待たせてありますから。」
ひなた「はあ~ モモケ~ン! ありがとうございます!」
錠一郎「ゆっくりな。 ゆっくり ゆっくり…。」
ひなた「お母ちゃん 大丈夫か?」
<その夜 るいは 男の子を出産しました。 That night, Rui gave birth to a baby boy>