あらすじ
ノストラダムスの大予言を信じるひなた(川栄李奈)は、人類が滅亡するその瞬間まで五十嵐(本郷奏多)と一緒にいたいと願います。ひなたの弟の桃太郎(青木柚)もまた、教師と生徒の関係になってもなお、小夜子(新川優愛)を一途に思い続けています。そんな中、ひなたは上司の榊原(平埜生成)の指示で、映画村の来場者数を増やす案を考えることに。五十嵐ら大部屋俳優たちの仕事を増やすため、企画を練るひなたでしたが…。
87話ネタバレ
大月家
居間
♬~(テレビ)
『ノストラダムスの大予言。 1999年7の月。 空から恐怖の大王が降ってくる』。
錠一郎「いよいよ迫ってきたなあ。 あと何年や?」
桃太郎「7年。」
ひなた「7年…。」
(竜の咆哮)
(悲鳴)
ひなた「いよいよなのね。 人類は滅亡するのね。」
五十嵐「ひなた。」
ひなた「文ちゃん…。 短い結婚生活だったけど 幸せだった。」
五十嵐「俺だって ひなたと暮らせて 幸せだった。」
ひなた「文ちゃん。」
五十嵐「ひなた。」
ひなた「文…。」
テレビ『人類滅亡の日は 刻一刻と近づいている』。
別日
錠一郎「何や 映り悪いなあ。」
♬~(テレビ)
錠一郎「おっ。 ありがとう。」
俳優会館
休憩所
榊原「何か企画考えた? 大月さん。 大月さん?」
ひなた「意味あるんやろか。」
榊原「えっ?」
ひなた「映画村の来場者数を増やしたところで。 だって 榊原さん。 7年後に 地球は滅亡するんですよ?」
榊原「えっ?」
ひなた「ノストラダムスの大予言です。」
榊原「たとえ7年後に 地球が滅亡するとしても 僕は今 映画村の来場者数を増やしたい。 最後まで映画村のため 撮影所のために 働きたい。 その仕事の最中に 三つ首の竜に襲われても 本望や。」
すみれ「また 榊原が 生真面目なこと言ってる。」
榊原「すみれさん おはようございます。」
すみれ「おはよう。」
一恵「おはようございます。」
ひなた「おはようございます。」
ひなた「2人一緒いうことは 『水無月ぼたん』の撮影?」
一恵「そう。」
すみれ「一恵。 お茶いれて。」
一恵「自分でいれてください。 茶道家なんやから。」
すみれ「嫌よ。 さんざん撮影で 人にお茶出してんだから。」
一恵「もう… わがままやなあ。」
すみれ「何? 映画村の来場者数が減ってきてるわけ?」
榊原「ええ まあ…。」
すみれ「まあ 私が テレビで『ぼたん』シリーズで 忙しくなっちゃって ステージに出られなくなったからね。」
榊原「それはいいんです。 すみれさんの仕事が順調やったら それで。」
すみれ「あら。 ありがとう。」
榊原「ただ… 大部屋の俳優さんらも 仕事が減って困ったはる。 僕は みんなに 仕事の機会を与えたいんや。」
高校
国語準備室
(ノック)
小夜子「はい。 どうぞ。」
桃太郎「失礼します。」
小夜子「ああ 桃ちゃ… あっ 大月君。」
桃太郎「小夜ちゃん。」
小夜子「あっ。」
桃太郎「藤井先生…。」
小夜子「はい。 何でしょう?」
桃太郎「あっ えっと… 僕… 国語が苦手で…。」
小夜子「そう?」
桃太郎「何か 面白うて 分かりやすい本 あらへんかな思て…。」
小夜子「う~ん…。 読みやすそうな本なあ。 あっ。 これ どやろ?」
桃太郎「『サラダ記念日』?」
小夜子「これやったら 国語が苦手でも読みやすいと思う。 短歌は たった三十一文字の文学え。 フフッ。」
桃太郎「(心の声)『『この味がいいね』と 君が言ったから 七月六日はサラダ記念日』。 『この本を読んでと 君が言ったから 4月20日は… さ… さ… 小夜子記念日!』」
太秦映画村
「えっ? ええ~!」
(笑い声)
俳優会館
中庭
五十嵐「はあ…。」
大月家
玄関前
ひなた「マジックショー…。 お笑いフェスティバル…。 富くじ大会…。 はあ… あかん。 どれも 大部屋俳優の仕事につながらへん…。 うん?」
ひなた「あっ…! キャ~! 痛っ もう…。 はっ…。 はあ~ びっくりした。 あっ。」
俳優会館
休憩所
♬~(ラジオ)
ひなた「お崖屋敷は どないでしょう?」
榊原「お崖屋敷?」
ひなた「はい。」
榊原「う~ん…。 発想は面白いけど… そこらの遊園地にあるような お化け屋敷をやったところで 集客にはつながらへんで。」
ひなた「そうか…。 監督。」
轟「お崖屋敷。 はあ~ またとっぴなもん考えんなあ。」
ひなた「すいません。」
轟「あっ わしが演出したってもええで。」
2人「えっ!?」
轟「ここんとこ 美咲すみれの 2時間サスペンスば~っかり撮らされてな うんざりしてたんや。」
榊原「そらあ 『妖術七変化』の監督の演出や いうたら 話題に一役買います。」
ひなた「ありがとうございます。」
榊原「ありがとうございます。」
広場
ラジオ・磯村『甲子園の出場校が おおむね出そろってまいりました。 大阪は近大付属高校 4年ぶり2回目。 兵庫は初出場ですねえ 神港学園。 そして京都は 順当に勝ち進んでまいりました 京都西 3年ぶり4回目の出場となります』。
小夜子「桃ちゃん。」
桃太郎「小夜ちゃん。」
小夜子「あ… 残念やったねえ。」
桃太郎「別に… 僕はレギュラーやあらへんし。」
小夜子「フッ まだ1年やない。」
桃太郎「うん…。」
小夜子「フフッ。 どこのポジション狙ってんの?」
桃太郎「サード。」
小夜子「へえ~ かっこいい。 長嶋みたい。」
桃太郎「ハハハハッ 古いわあ。」
小夜子「フフフッ。 来年は頑張ってレギュラーとってね。」
桃太郎「うん。」
小夜子「フフッ。」
桃太郎「(心の声)『長嶋みたいねと君が言ったから 8月1日は 茂雄記念日!』
太秦映画村
受付
<桃太郎の茂雄記念日と同じ日に 映画村のお化け屋敷がオープンしました>
榊原「いや~ 楽しみやなあ。」
ひなた「フフッ はい。」
榊原「フフフッ。」
お化け屋敷
<大部屋俳優たちがお化けの扮装をして 来場者を脅かします>
<もちろん 五十嵐も>
ひなた「もうすぐ開場え。 準備できてる?」
五十嵐「準備も何もないだろ。」
ひなた「ほな よろしく。」
受付
榊原「ありがとうございます。」
ひなた「はい。 どうぞ 怖がってくださ~い。」
「怖いでえ。」
ひなた「いらっしゃいませ。」
「お願いします。」
ひなた「ありがとうございます。」
お化け屋敷
「ちゃんと帰ってこれますように。」
「うお~!」
「わあ…!」
「拙者の体を返せ! あ~ 返せ~!」
受付
『キャ~!』
榊原「盛り上がってるみたいやな。」
ひなた「はい。 いらっしゃいませ。」
榊原「いらっしゃいませ。」
お化け屋敷
「大丈夫。 怖ないよ。」
「キャッ! あっ! あっ!」
「大丈夫やって。 もう 怖がりやなあ。」
「怖い…。 あっ! あ~!」
「アハッ そういうところも かわいいなあ。」
「帰ろう…!」
「お疲れさまでした。」
「お疲れっした。」
「キャ~ キャ~ 帰ろう言うて。」
「ハハッ 今日は充実や。」
俳優会館
休憩所
ひなた「お疲れさまでした。」
「はい。」
ひなた「ご苦労さまでした。」
「ありがとう。 おおきに おおきに。」
ひなた「岸さん。 お疲れさまです。」
岸「お疲れさん。」
ひなた「ここにサインしてください。 ご苦労さまでした。」
岸「ありがとな。」
ひなた「お疲れさま。 お客さん 楽しんでたな。」
五十嵐「楽しんでた?」
ひなた「うん。」
五十嵐「こんなことで楽しませたって しかたないだろ。 俺は俳優だぞ。」
ひなた「ああ… 文ちゃん。 榊原さんも 轟監督も 大部屋さんらが 仕事にあぶれへんようにいうて 頑張って この企画通してくれたんやで。」
五十嵐「分かってるよ。」
ひなた「文ちゃん 知ってる? あと7年で 地球は滅亡するんやで。 空から 恐怖の大王が降ってくる。 三つ首の竜が襲ってくるんやで。」
五十嵐「ノストラダムス? そんなの信じてるのか?」
ひなた「いや 分からへんやんか。 あと7年で地球が滅亡するんやったら 私…。 一秒でも長く 文ちゃんと一緒にいたい。 文ちゃんと暮らしたい。 文ちゃんは?」