ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第90話「1992-1993」【第19週】

あらすじ

五十嵐(本郷奏多)から別れを告げられ、ショックで寝込んでしまったひなた(川栄李奈)。自分のせいで五十嵐を傷つけてしまったと悔やむひなたに、るい(深津絵里)はやさしく“On the Sunny Side of the Street”を歌って聴かせます。一方、条映を去ることに決めた五十嵐のもとには、錠一郎(オダギリジョー)が現れて…。

90話ネタバレ

大月家

居間

るい「お弁当 忘れなや。」

桃太郎「うん。」

るい「よいしょ。 ほい。」

桃太郎「よし。 姉ちゃん 大丈夫かな?」

るい「気にしてんと あんたは 朝蓮 頑張り。」

桃太郎「うん。 行ってきます。」

るい「行ってらっしゃい。」

回想

五十嵐「もう 傷つけたくない。 傷つきたくない。 ひなたの放つ光が 俺には まぶしすぎるんだ。」

回想終了

俳優会館

道場

(足音)

五十嵐「申し訳ありません。 これまで ご指導くださり ありがとうございました。」

虚無蔵「はなむけだ。」

五十嵐「は… フフッ 虚無蔵さん。 俺は もう殺陣は…。」

虚無蔵「どこで何をして生きようと お前が鍛錬し 培い 身につけたものは お前のもの。 決して奪われることのないもの。 一生の宝とせよ。」

大月家

ひなたの部屋

(すすり泣き)

るい「ひなた。 入るよ? おなかすいたやろ? おかゆ作ったよ。 ここ 置いとくね。」

ひなた「お母ちゃん…。 私… 全然 気ぃ付かへんかった。 私の気持ちが 文ちゃんを傷つけてたやなんて…。 苦しめてたやなんて…。」

(すすり泣き)

俳優会館

休憩所

五十嵐「ひなたとのこと…。」

錠一郎「ああ… まあ 大体。」

五十嵐「それなら…。 事情を知ってるなら もっと ほかにあるんじゃないかと…。」

錠一郎「ほ… ほかにって?」

五十嵐「いや… だから…。 『娘を泣かせやがって』とか 『責任とれ』とか。 『一発殴らせろ』とか…。 すみません。 こんなことになってしまって すみません。」

錠一郎「五十嵐君。 僕もなあ 夢があったんや。 若い頃。 でも かなわんかった。 一度は 手が届いたように見えたけど… でも あかんかった。」

五十嵐「あの… 夢って…?」

錠一郎「フフフ…。」

五十嵐「トミー北沢…。」

錠一郎「知ってる?」

五十嵐「あっ はい。 音楽には疎いけど… まあ 名前くらいは。」

錠一郎「僕の友達。 レコード出して CD出して。 アメリカにまで行って。 僕のかなえられへんかった夢 全部かなえてる。 新譜出るたびに買うてるけど 一回も聴いてない。 そやから… 僕には分かるんや。 五十嵐君は ひなたのことを大事に思ってる。 そやからこそ ひなたの前から消えるんやって。 僕が るいの前から消えようとしたように。」

大月家

ひなたの部屋

るい「♬『Grab your coat, grab your hat baby Leave your worries on the doorstep Just direct your feet On the sunny side of the Street Can’t you hear that pitter-pat babe? That happy tune is your step Life can be so sweet On the sunny side of the Street I used to walk in the shade』」

俳優会館

休憩所

錠一郎「暗闇に…。 かすかに光が見えた。 るいの手をつかんで 歩き始めた道の向こうに。」

大月家

ひなたの部屋

るい「♬『But I’m not afraid baby My rover crossed over babe If I never have a cent babe I’d be rich as Rockefeller』」

俳優会館

休憩所

錠一郎「そしたら… 生まれてきてくれた。 まぶしい光の塊みたいな ひなたが。」

大月家

ひなたの部屋

るい「♬『On the sunny side of the Street』フフフッ。」

ひなた「何? それ。」

るい「『On the sunny side of the Street』。」

ひなた「オン ザ…?」

るい「サニー サイド オブ ザ ストリート。 『ひなたの道を』。」

ひなた「うん?」

るい「ジャズのスタンダードナンバーや。」

ひなた「えっ?」

るい「ひなたの名前の由来になった歌や。」

ひなた「そうなん?」

るい「そうや。」

ひなた「てっきり お父ちゃんが 縁側で ひなたぼっこしながら 思いついた名前やと…。」

るい「ちゃうわ。 ひなたが 『ひなたの道』を歩けますように。」

回想

るい「あ…。」

2人「ひなた。」

るい「ひなた。」

回想終了

俳優会館

休憩所

錠一郎「そう思て 付けた名前や。 五十嵐君。 これから いろんなことがあると思うけど それが 五十嵐君の選んだ道やったら きっと それが…。 それは… 五十嵐君の ひなたの道になるから。」

大月家

ひなたの部屋

るい「ひなた。」

俳優会館

休憩所

錠一郎「五十嵐君。 Life can be so sweet.」

大月家

ひなたの部屋

るい「On the sunny side of the Street.」

俳優会館

休憩所

錠一郎「ひなたの道を歩けば…。」

大月家

ひなたの部屋

るい「きっと人生は輝くよ。」

(すすり泣き)

るい「はあ~ さあ 店戻らんと。 お客さん 待ってはるわ。 おかゆ 食べや。」

ひなた「ありがとう。」

(襖の開閉音)

俳優会館

休憩所

錠一郎「じゃあね。」

大月家

回転焼き屋・大月

♬~(鼻歌)

るい「♬『On the sunny side of the Street』」

ひなたの部屋

ひなた「たあっ!」

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