ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第91話「1992-1993」【第19週】

あらすじ

大月家がテレビを買い替え、桃太郎(青木柚)が最後の夏に向けて野球の練習に励む頃、いよいよ本格的な時代劇存続の危機が訪れます。ひなた(川栄李奈)は外国人観光客をターゲットにした映画村ツアーを提案しますが、上司の反応はいまいち。「時代劇を救ってほしい」というかつての虚無蔵(松重豊)の言葉が、今になって重く心に響きます。帰宅したひなたは、るい(深津絵里)が外国人客と英語で話しているところを目撃して…。

91話ネタバレ

大月家

居間

♬~(テレビ)

桃太郎「(心の声)『朝ドラ』の舞台が 両国になったから 10月5日は ちゃんこ記念日。」

『パン無量だな』。

錠一郎「ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん! ん!」

荒物屋・あかにし

♬~(ラジオ)

るい「買い替え時かもしれへんねえ。」

桃太郎「(心の声)『と お母ちゃんが言ったから…。』」

吉之丞「いらっしゃい。」

るい「あっ こんにちは。 吉之丞君。 これ 5,000円まけて。」

桃太郎「(心の声)『12月20日は テレビ記念日。』

吉之丞「7万から下げてるんです…。」

るい「いいやん 5,000円!」

大月家

居間

るい「わあ~。」

(拍手)

錠一郎「悪いなあ 正月早々。」

吉之丞「いえ。 こっちこそ すんません。 年明けてしもて。」

るい「ありがとう 吉之丞君。 座って 座って。 はい。」

吉之丞「ありがとうございます。」

錠一郎「食べ 食べ。」

るい「はい どうぞ。」

吉之丞「ありがとうございます。」

小夜子「明けまして おめでとうございます。」

るい「ああ 小夜ちゃん。」

ひなた「小夜ちゃん。 おめでとう。」

桃太郎「小夜ちゃん 明けましておめでとう。」

ひなた「桃。 藤井先生やろ。」

小夜子「構へんえ。 ここでは小夜ちゃんで。 何? 三が日やいうのに もう部活?」

桃太郎「あ… それは明日から。 今日は 賀茂川で自主練や。」

小夜子「ああ 偉いねえ。 今年こそ レギュラーとってね。」

玄関前

桃太郎「(心の声)『…と君が言ったから 1月3日は 決意記念日。 今年は絶対レギュラーとるでえ!』」

俳優会館

休憩所

♬~(ラジオ)

榊原「去年のお化け屋敷は好評やった。」

ひなた「あっ ありがとうございます。」

榊原「今年の夏も是非て 上からも言われてる。」

ひなた「あっ よかった~。」

榊原「けど…。 年間の来場者数は やっぱり年々 下がる一方や。」

ひなた「あ…。」

榊原「まあ うちだけやのうて 全国的に不景気なんやけどな。 撮影所は撮影所で また一本 時代劇のシリーズを終わりにするらしい。」

ひなた「え…。 そしたら あとは 『黍之丞』と『破天荒将軍』と…。」

榊原「大月さん。 いよいよ時代劇存続の危機や。 何か ええアイデアないか? お化け屋敷みたいに。」

ひなた「う~ん… そうですねえ…。 外国人…。」

榊原「えっ?」

ひなた「外国人観光客相手のツアーを企画したら どないでしょう?」

榊原「外国人ツアー?」

ひなた「はい。 だんだん増えてるように思うんです。 外国人のお客さん。」

榊原「まあ 忍者とか侍とか 根強い人気があるさかいなあ。」

ひなた「でしょ? 日本が不景気なんやったら 海外からのお客さんをターゲットに…。」

榊原「あ~ 目の付けどころはええけど 時期尚早かなあ。 そこまでの数の外国人観光客は 今んとこ見込まれへんし それに… 英語のできるガイドさん雇う経費かて ばかにならへん。 そうやなあ…。」

ひなた「ちょっとすいません。」

榊原「うん…。」

廊下

ひなた「虚無蔵さん! あの時 虚無蔵さんが言うたこと…。」

回想

虚無蔵「このままでは 時代劇が滅び去る。」

ひなた「えっ?」

虚無蔵「拙者は そなたに 時代劇を救ってほしいのだ。」

回想終了

ひなた「虚無蔵さん。 何で 私に託したんですか? こんな 何もできひん私に…。 時代劇を救うって どういうことですか?」

虚無蔵「おひな。」

ひなた「はい。」

虚無蔵「黙って鍛錬せよ。 日々 鍛錬し いつ来るとも分からぬ機会に備えよ。」

ひなた「って 謎に謎を重ねられても…。」

大月家

回転焼き屋・大月

ひなた「ただいま。」

るい「お帰り。」

ひなた「1個頂戴。」

るい「はいはい。」

ひなた「ありがとう。」

「Hi. What’s this?(これは何ですか?)」

るい「It’s Kaiten-yaki.(回転焼きです)」

「kaiten…?」

るい「Traditional Japanese sweets filled with anko.(日本の伝統的なお菓子です あんごが詰まっています)」

「Anko?(あんこ?)」

るい「Yes. It’s a sweet paste made from red beans.(はい 小豆から作った甘いペースト状のものです)」

「Okay…. I’ll try one.(じゃあ ひとつ)」

るい「Thank you.(ありがとうございます)」

「How much is it?(いくらですか?)」

るい「One hundred yen.(100円です)」

「Okay. Thank you.(ありがとう)」

るい「You are very welcome.(またどうぞ)おおきに。 何? あんた まだ そこ いてたん。」

ひなた「何で?」

るい「何が?」

ひなた「えっ 『何が』て 決まってるやん!」

るい「えっ?」

ひなた「お母ちゃん 英語ペラペラやん。」

るい「いやいや いやいや。 あんまり難しいことは しゃべられへんで。」

ひなた「えっ?」

るい「まあ 日常会話程度やったら いうことや。」

ひなた「けど あの歌。 あの… 『ひなたの道』の歌 歌てくれた時 えらいうまい思たけど…。 もはや アメリカ人やん。」

るい「大げさやな。」

ひなた「ガイドやって。」

るい「えっ?」

ひなた「映画村の外国人ツアーガイド お母ちゃん やって!」

るい「できるわけあれへんでしょ お店あんのに。」

ひなた「いや そこをなんとか。」

るい「できひんて。」

ひなた「え~…。 大体 何で英語しゃべれるん?」

るい「何でて 毎朝 ラジオの『英語会話』 聴いてるからやろか。」

ひなた「うん…?」

るい「ひなたも ちょっとの間 聴いてたでしょ?」

回想

ラジオ・東後『Hello, everyone.』

錠一郎「おっ。」

ラジオ・東後『Welcome to our English conversation program. How are you today?』

回想終了

るい「あんたが毎朝つけてたから そのまま習慣になってしもて ずっと聴いてたんや。」

ひなた「えっ ずっと?」

るい「そや。」

ひなた「あれから ずっと?」

るい「そうや。」

ひなた「あれからって…。 17年!?」

るい「う~ん そんなもんやろか。」

ひなた「17年 毎朝 聴いてたっちゅうん!?」

るい「そや。 もちろん 声に出しながら。 はっ ひなたも一緒に聴いたら?」

ひなた「えっ?」

るい「それで ひなたが ガイドやったらええやない。」

ひなた「いやいや… 17年もかけてられへんから。」

るい「そこまでかからへん思うけど。」

ひなた「大体… 知ってるやろ。 私は 英語には挫折したんや 子供の頃。」

ひなたの部屋

回想

ひなた「私かて 結婚資金ためてんねん。 定期で積み立てしてんのやで。」

回想終了

英会話教室

「当校の講師は 全員 ネイティブです。 やっぱり 生の英語に触れることが 一番大事ですからね。 それをしないから日本人は 中・高と6年間も英語を勉強してるのに ちっとも話せないって言われるんです。」

ひなた「実際 何にも覚えてません。」

「当校ですと ワンレッスン45分間 ネイティブ講師と マンツーマンで英会話ができます。」

ひなた「あの… レッスン料は…。」

「一番人気の 3か月コースですと この料金になります。 やっぱり たくさん聴いて たくさん話すことが 英会話の上達には肝要なんですよ。」

回想

虚無蔵「黙って鍛錬せよ。 日々 鍛錬し いつ来るとも分からぬ機会に備えよ。」

回想終了

ひなた「やります! 3か月マンツーマンで。」

「お支払いは 分割と一括とございますが…。」

ひなた「一括で!」

「それでは こちらの書類に ご記入くださいませ。」

<ひなたは 結婚資金にと ためていた 定期預金を崩し 英会話のレッスン費用に充てました>

メアリー「Good evening. My name is Mary.(こんばんは 私の名前はメアリーです)What is your name?(お名前は?)」

ひなた「あ… マイ ネーム イズ ヒナタ・オオツキ。」

メアリー「Nice to meet you, Hinata.(よろしく ひなた)Nice to meet you, too. Please try. “Nice to meet you, too.“」

ひなた「ナイス トゥ ミート ユー トゥ。」

メアリー「Great job! So I say, “Nice to meet you.」

ひなた「ナイス トゥ ミート ユー トゥ。」

メアリー「Great! Let’s try again, “Nice to meet you.”」

ひなた「ナイス トゥ ミート ユー トゥ。」

メアリー「“I write a letter.” Becomes….(私は手紙を書きます)」

ひなた「アイ ライト…。」

メアリー「アッ…。」

ひなた「ああ。 アイ アム ライティング ア レター。(私は手紙を書いているところです)」

メアリー「Good! But… “writing”.」

ひなた「ライティング。」

メアリー「writing.」

ひなた「ウ~ ライティング。」

メアリー「I am writing a letter.」

ひなた「アイ アム ウ~…。」

メアリー「So… I expect you to come to the party.(パーティーに来て下さるのをお待ちしています)」

ひなた「エクスペクト…。 ワット イズ エクスペクト?(エクスペクトってどういう意味ですか)」

メアリー「In other words, I want you to come to the party.(wantで表現することもできます)」

ひなた「ウォント…。」

メアリー「うん。 That’s all for today.(今日のレッスンはこれでおしまい)Today was your last lesson, wasn’t it?(今日があなたの最後のレッスンでしたね? You did a great job, Hinata.(がんばりましたね ひなた))

ひなた「えっ あっ いや…。」

メアリー「I expect to see you in my class again.(また私のレッスンに来てくださるのを お待ちしています)」

ひなた「サンキュー ベリー マッチ メアリー。 (ありがとうございました メアリー)」

メアリー「Thank you.」

ひなた「はあ…。」

太秦映画村

受付

ひなた「はい。 どうぞ 怖がってってください。 いらっしゃいませ。 ありがとうございます。 どうぞ 怖がってってください。」

「ありがとうございます。」

ひなた「いらっしゃいませ。」

「Wow. What’s this?(これは何ですか?)What’ inside? Is there a ninja? Or samurais?(中に何があるんですか? 忍者か侍がいるんですか?)」

ひなた「あ… えと… 忍者はいてへんけど 侍のお化けはいてます。」

「Did she say a samurai?」

ひなた「侍? イエス。 イエス サムライ。」

「We have two tickets, please.(それじゃあ2枚ください)But uh… sorry, how much?(いくらですか?)」

ひなた「800…。」

お化け屋敷

(悲鳴)

「Ahhhhhh!」

「Oh my God! Oh my god…。」

虚無蔵「あ~!」

「Ahhhhhh!」

虚無蔵「ありがとうございました。」

「Ahhhhhh!」

「Ah! Oh my God! Oh my God….」

受付

<3か月でペラペラという ひなたの妄想は 打ち砕かれました>

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