あらすじ
野球部でレギュラー入りが決まった桃太郎(青木柚)は、国語準備室にいる小夜子(新川優愛)に報告しに行きます。そのまま一緒に帰ることになり浮かれる桃太郎でしたが、小夜子が商店街に来た本当の目的を知り、大きなショックを受けることに。以来、あまり元気のない様子の桃太郎を、ひなた(川栄李奈)やるい(深津絵里)も心配します。ある日映画村にやってきた小夜子は、ひなたと一恵(三浦透子)に大事な報告があると言い…。
92話ネタバレ
高校
国語準備室
(荒い息遣い)
(ノック)
小夜子「はい どうぞ。」
桃太郎「失礼します。」
小夜子「ああ 大月君。 どないしたん?」
桃太郎「サードに入れと監督が言ったから… 7月20日は レギュラー入り記念日!」
小夜子「おめでとう!」
桃太郎「ありがとう!」
小夜子「今日は もう部活終わったん?」
桃太郎「はい。」
小夜子「ほな 一緒に帰らへん? ちょうど 私も あかね通り商店街へ行くとこやから。 なっ?」
桃太郎「はい。」
商店街
桃太郎「小夜ちゃん。 もし… 来年 甲子園に出られたら… その時は 小夜ちゃん…。」
吉之丞「小夜子。」
桃太郎「(心の声)『えっ?』」
小夜子「ああ 吉之丞君。」
桃太郎「(心の声)『えっ?』」
小夜子「映画まで まだ時間あるから ひなちゃんとこで時間潰そ思てたんえ。」
吉之丞「俺も もう仕事終わったんや。 映画館の近くでお茶飲んでいこか。」
桃太郎「(心の声)『えっ? えっ? えっ?』」
吉之丞「桃。 新しいテレビの具合 どうや?」
桃太郎「えっ…。」
小夜子「吉之丞君。 桃ちゃん レギュラーとったんやて。」
吉之丞「へえ~ すごいなあ。 俺は 野球は小学校で挫折したわ。」
小夜子「やってたなあ 河原で。」
吉之丞「行こか。」
小夜子「うん。 じゃあ 桃ちゃん。 ここで。」
桃太郎「あ…。」
小夜子「あっ。 あ… ひなちゃんには まだ ないしょにしといてね。」
桃太郎「(心の声)『さよならと 君の背中が言ったから 7月20日は サラバ記念日。』」
大月家
ひなたの部屋
<ひなたは なんとか手っとり早く 英語を身につけたいと考えていました>
桃太郎の部屋
ひなた「桃。 ちょっとええ? 桃? 入るえ。 何や 筋トレしてるんやなかったん? 珍しいなあ。」
桃太郎「何?」
ひなた「あんた CDプレーヤー持ってる? 見て これ。 聞き流すだけで 英語ができるように なんねんて。 カセット買うてもええんやけど 何べんも繰り返して聴くんやから CDの方がええかな思て。 桃 聞いてんの?」
桃太郎「ない。」
ひなた「ええ? あっ そう。 ほな カセットにするか。 いや… ボーナス出てからにしよか…。 何かあったん?」
桃太郎「何もないよ。」
回転焼き屋・大月
ラジオ『75回の記念大会 開会式は間もなく。 甲子園では準備が進んでいます。 室内練習場に選手が集まってきています。 あっ 左胸に…』。
ひなた「あれ? 桃。 練習行ってたんやないの?」
桃太郎「今日は休み。」
ラジオ『5回目の出場の京都西は このあと 開会式直後の第1試合に登場します』。
るい「どこ行くん?」
桃太郎「バッティングセンター。」
錠一郎「第1試合 京都西やで。」
桃太郎「すぐ帰ってくる。」
るい「行ってらっしゃい。 何や あの子 最近 口数少ないなあ。」
初美「おはようさん。」
るい「あっ おはようさんです。」
ひなた「おばちゃん おはよう。」
初美「来年は 桃太郎君の学校も 出られたらええね。」
るい「その前にレギュラーにならんと。」
初美「えっ? なったやろ。」
るい「えっ?」
ひなた「えっ?」
初美「だいぶ前に そない言うて 吉之丞から聞いたえ。 えっ 桃太郎君から聞いてへんの?」
るい「あ… 何で 黙ってんのやろ。 飛び上がって報告してくるはずやのに。」
初美「うん…。」
太秦映画村
受付
ひなた「どうぞ 怖がってってください。」
「ありがとうございます。」
ひなた「ありがとうございました。 (心の声)『ありがとうございました。 またのお越しをお待ちしております』って 英語で何て言うんやったっけ?」
回想
メアリー「I expect you to come to the party.(パーティーに来て下さるのをお待ちしています)」
回想終了
ひなた「そうや! 確か エクスペクト…。 アイ エクスペクト…。(心の声)『いや 待って待って。』」
回想
メアリー「I am going….(私は学校に向かているところです)」
回想終了
ひなた「(心の声)『『お待ちしてます』いうことは 進行形使うんやろか…。』 アイ…。 (心の声)『え~い!』 アイム エクスペクティング! アイム エクスペクティング! サンキュー。」
「Congratulations!(おめでとう)」
「Congratulations!(おめでとう)」
「Very so amazing!(すばらしい!)」
「Please take care!(体に気をつけてね)」
「Oh! So happy.」
「Wow!」
「Great!」
「Tht’s great!」
「Happy for you.」
「See you later.」
「Bye bye.」
「Thank you. Wow.」
ひなた「えっ? 何? どういうこと? えっ…。」
小夜子「ひなちゃん。」
ひなた「小夜ちゃん!」
小夜子「あ… 『I’m expecting.』って 『私は妊娠してます』いう意味にも なるんえ。」
ひなた「え… そうなんや…。 さすが小夜ちゃん。」
小夜子「繁盛してるみたいやね。」
ひなた「あっ おかげさんで。 何? 小夜ちゃんも お化け屋敷来てくれたん?」
小夜子「あ… そやないねん。」
ひなた「うん?」
小夜子「今日は いっちゃんも 茶道指導で来てるんやんなあ?」
ひなた「ああ うん。」
小夜子「2人に報告があって来たんえ。」
ひなた「うん?」
俳優会館
休憩所
小夜子「フッ… そんなにびっくりせんでも… 結婚の報告くらいで。」
一恵「いやいや 結婚に驚いてんのやあらへん。」
ひなた「そうや そや。 問題は 相手が吉之丞いうことや!」
一恵「ひなちゃん。 問題はあかん 問題は。」
ひなた「何なん? どういうことなん?」
小夜子「ほら 去年の夏やったか ひなちゃんとこ行ったら 吉之丞君がテレビ修理してて…。」
一恵「まだ1年やん。」
小夜子「いっぺんは就職したけど やっぱり お父さんの大事なお店やし 町の電器屋いうのは いざという時 便りになるもんや思て 後継ぐことに決めたんや っていうのん聞いて…。」
ひなた「まあ… 確かに働きもんやわな。」
一恵「おめでとう 小夜ちゃん。」
ひなた「あっ そや。 それ先言わんと。 おめでとう!」
小夜子「あっ ありがとう。 ほっとしたわ。 2人に一番に報告できて。」
一恵「おっ 一番なんや。 うれしいなあ。」
小夜子「あ~ 桃ちゃんにはバレてしもたけど。」
ひなた「うん? 桃?」
小夜子「うん。 デート行くとこ 見られてしもて。」
一恵「えっ 大丈夫なん?」
小夜子「大丈夫て何が?」
一恵「だって 桃ちゃん 子供の頃から 小夜ちゃんに夢中やん。」
小夜子「フッ そんなん 本気なわけあらへんやん。」
一恵「そうか?」
荒物・あかにし
吉之丞「ほな お父ちゃん 配達行ってくるわ。」
吉右衛門「おう。」
大月家
回転焼き屋・大月
るい「桃太郎 お帰り。」
桃太郎「ただいま。」
錠一郎「ああ お帰り。」
桃太郎「うん。」
るい「バッティングセンター すいてた?」
桃太郎「混んでた。」
ひなた「ただいま。」
錠一郎「ああ お帰り。」
ひなた「桃! はあ~ 桃。 大丈夫? 今日 小夜ちゃんが映画村に来たんや。 吉之丞と結婚するて報告しに。 桃。 あんた 最近 様子おかしいの もしかして…。」
桃太郎「欲しかったんやろ。」
ひなた「どういうこと? どないしたん? これ。 桃。 桃!」
吉右衛門「大月さん! 今 怪しいやつが 逃げていかへんかったか!」
錠一郎「怪しいやつ?」
吉右衛門「盗人や!」
るい「盗人!?」
吉右衛門「店頭に陳列してたポータブルCDプレーヤーが盗まれたんや! 見かけたら 知らせてくれるか。」
錠一郎「あ…。」
ひなた「お母ちゃん とにかく これ あかにしに返してきて。」
るい「あっ…。」
ひなた「桃!」
桃太郎の部屋
ひなた「桃。」
桃太郎「勝手に入ってくんな。」
ひなた「今 ケチエモンが来たで。 何考えてんの。 今 お母ちゃんが謝りに行ってる あんたも行き。 お姉ちゃんも一緒に行ったげるさかい。」
桃太郎「うるさい!」
ひなた「行くで! はよしい!」
桃太郎「うるさい言うてるやろ!」
ひなた「桃… 桃!」
居間
ひなた「桃。 あんた かっこ悪いで! めちゃくちゃ かっこ悪い! 小夜ちゃんに失恋したからって 吉之丞に取られたからって 吉之丞の店から 物 盗むやなんて。 悔しかったら 野球に ぶつけたらええやろ? レギュラーになったんやろ?」
桃太郎「レギュラーなんか とっくに外されたわ。」
ひなた「えっ…。」
桃太郎「もう ずっと行ってない。 夏休みの部活も。」
ひなた「何で? あんなに頑張ってたやない。 野球と失恋 関係あらへんやない!」
(足音)
桃太郎「ずっと好きやったんや。 子供の頃から。 はよ大きなりたかった。 小夜ちゃんのために。 僕が小1の時 小夜ちゃんは高3で 僕が中1の時 小夜ちゃんは もう学校の先生で…。 いつになったら追いつけるんやろ。 いつになったら 小夜ちゃんに ふさわしい男になれるんやろ思いながら 勉強も野球も頑張ってきた。 それやのに… 何で 小夜ちゃん… 待っててくれへんかったんや。」
(すすり泣き)
桃太郎「何で…。」
(すすり泣き)
ひなた「はあ~。 何や それくらい。 お姉ちゃんなんか 7年待たされたあげくに振られたんやで!? それでも仕事に打ち込もう思て 結婚資金つぎ込んで 英会話スクール行ったけど な~んも見につかへんし。 残ったお金で 本買い込んだけど 机が狭なっただけで…。 聞き流し教材買お思たら もう貯金が底ついてて…。
ひなた「それで あんたに CDプレーヤー借りに行ったんや。 そしたら どや! その結果 弟が窃盗犯になるやなんて…。 はあ~ もう… こんな あほらしい人生があるか!? はあ… 惨めさやったら お姉ちゃんの方が上や!」
桃太郎「ほな 僕の桃太郎いう名前は どないなるんや!」
ひなた「はあ!?」
桃太郎「どないなセンスで付けてんねん!」
ひなた「かわいいやない!」
桃太郎「どこが!」
ひなた「モモケンさんに謝り!」
桃太郎「知るか!」
るい「ちょっと もう やめなさい!」
桃太郎「何や。」
るい「もう!」
桃太郎「何でや。」
(足音)