ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第94話「1992-1993」【第20週】

あらすじ

クリスマスイヴの日、るい(深津絵里)の前に謎の振付師・サンタ(濱田岳)が現れます。そこへ帰宅したひなた(川栄李奈)は、10年ぶりの再会の余韻に浸るのもつかの間、サンタが自分の親戚だと知り驚きます。興味津々で自分の家族やルーツについて質問を重ねるひなたと桃太郎(青木柚)。そして、るいもまた、サンタにあの日のことを尋ねるのですが…。

94話ネタバレ

大月家

回転焼き屋・大月

ひなた「ただいま。」

錠一郎「ああ お帰り。」

ひなた「ハハッ サンタが店番?」

錠一郎「ああ…。」

ひなた「フフフッ。 うん? お客さん?」

錠一郎「うん。」

居間

るい「どうぞ。」

算太「ああ… すまんのう。」

ひなた「サンタさん?」

算太「お~ ひなたちゃんじゃ 久しぶりじゃのう。」

ひなた「どこ行ってたんですか!?」

算太「あ? どこて?」

ひなた「そうかて ほら。 いつか 回転焼き買いに うちの前まで来たのに こつ然と姿消してしもて。」

算太「う~ん あ~…。 ちょっと 迷子になってしもうたんじゃ。」

ひなた「迷子?」

算太「ああ。」

ひなた「10年間?」

算太「ああ。」

ひなた「はあ~ まあ ええわ。 こないして食べに来てくれたんやもん。 あっ お母ちゃん。 この人 サンタさん。 あっ ほら 条映のコマーシャルあるやん? あれの振り付けしてくれはった人なん。」

るい「ひなた。」

ひなた「うん?」

るい「お母ちゃんの伯父さんや。」

ひなた「誰が?」

算太「フフフフ…。」

ひなた「えっ?」

算太「いや まあ まあ まあ いろいろなあ 不思議もあるじゃろうが まずは この回転焼きゅう もろうてもええかのう?」

ひなた「えっ? あっ どうぞ どうぞ。」

算太「あっ ほんなら。」

ひなた「どないですか?」

算太「間違えねえ。 こらあ たちばなのあんこじゃ。」

ひなた「え… たちばなって?」

算太「ああ そうか…。 そりゃあのお… どっから説明したらええかのう。 うん?」

錠一郎「あの るいの伯父さん。」

算太「ああ?」

錠一郎「京都に住んではるんですか?」

算太「いや… ううん… わしゃあ もう50年 近う住所不定じゃ。」

錠一郎「今日は?」

算太「今日? あ~ う~ん… 今日は…。」

錠一郎「そしたら 泊まってってください。」

算太「はあ?」

錠一郎「積もる話もあるでしょうから。」

算太「ちょ ちょ ちょ… そねえなつもりゃあ…。」

ひなた「そうや そないして サンタさん。 何や びっくりしたけど サンタさんが 親戚やったなんて 私 うれしい! なっ?」

ひなた「ホンマ サンタさん… いや 大伯父さん! 何で もっと はよ現れてくれへんかったん。 私ら 親戚がいいひんて聞いてたし 小さい頃なんか ちょっとしか お年玉もらわれへんかったん!」

算太「うん?」

ひなた「あのころ名乗り出てくれてたら 私 空き瓶集めなんかしいひんでも モモケンさんのサイン会 行けたかもしれへんのに。」

錠一郎「ひなた そこか? そこなんか?」

算太「おい あの…。」

桃太郎「うん?」

算太「桃太郎は クラブ活動しょんか?」

桃太郎「あっ 野球部です。」

算太「おっ 野球部。 強んか?」

桃太郎「どやろ。」

ひなた「桃は強いえ。 こないだレギュラーに返り咲いたや。」

算太「ああ 大したもんじゃが 勇ちゃんに似たんかのう。」

桃太郎 ひなた「勇ちゃん?」

算太「いや… おめえらの その… 父方の大叔父さんじゃ。」

ひなた「うん? うん? 算太大伯父さんは 何やったっけ?」

算太「わしゃあ 母方の大伯父さんじゃ。」

ひなた「あ… 何か 急に ぞろぞろ親戚ができるんやけど。」

桃太郎「大体それ どこの言葉?」

算太「うん? 岡山じゃ。」

ひなた 桃太郎「岡山?」

ひなた「えっ お父ちゃんもお母ちゃんも 大阪出身や思てた。」

桃太郎「僕も。」

るい「あんまり覚えてへんの。 岡山にいた頃のことは。 それに… もう縁も切れてるさかい。」

桃太郎「ふ~ん…。」

算太「わしが あ… 一緒に暮らしょうったん… るいが小学校上がる前じゃったからのう。」

ひなた「えっ それで そっから どないなったん?」

算太「どないて?」

ひなた「いや そやから 大伯父さんは どこで どうして暮らしてたん? お母ちゃん いつ大阪に出てきたん? あっ あと お母ちゃんのお母さんいうか あの~ 大伯父さんの妹いうか すなわち 私の桃のおばあちゃんは どないなったん?」

錠一郎「伯父さんは ダンサーなんですよね?」

算太「ああ そうじゃ。 もう… そらあ もう いろんなステージで踊りょうった。」

ひなた「ハハッ そや。 踊って 踊って。 もっかい見たいわあ。」

桃太郎「いや お姉ちゃん むちゃ言わんとき。」

ひなた「何が?」

桃太郎「何がて…。」

算太「ええか。」

桃太郎「うん?」

算太「ほれ。 見とき。」

桃太郎「うん。 ヘヘッ。」

ひなた「ハハハハッ。 すごい! パンが躍ってる。」

桃太郎「ホンマや。 すごい!」

ひなた「何 それ。 ハハハッ パンが躍ってんねん。」

桃太郎「すごい。」

(笑い声)

桃太郎「おおっ!」

ひなた「おおっ!」

台所

るい「小豆の声を聴けえ。 時計に頼るな。 目を離すな。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる。」

回想

安子 るい「食べる人の幸せそうな顔を 思い浮かべえ。」

回想終了

るい「おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。」

回想

2人「おいしゅうなれ。」

回想終了

るい「その気持ちが小豆に乗り移る。 う~んと おいしゅうなってくれる。 甘えあんこが出来上がる。 ハッ!」

るい「おはようございます。」

算太「ああ。 おはよう。 あ~ よいしょ。 はあ~ 変わらんのう。」

るい「算太伯父さん。 どこへ行ってたん? あれから。 雉真の家から消えてから。 伯父さん。 ホンマのこと教えて。 あの時 伯父さんは 何で姿消したん? 何でお母さんは あないに慌てて 伯父さんを追って大阪へ行ったん?」

算太「そねん昔の話あ もう… ええじゃろう。 わしも よう覚えとらん。」

荒物・あかにし

錠一郎「お~。」

「お~。」

(ベル)

算太「3等。 大当たりじゃ。」

錠一郎「これ どうぞ。」

「ずっと欲しかったやつや!」

ひなた「大伯父さん。」

算太「おう ひなたちゃん。」

ひなた「何か ごめんな。 商店街の手伝いまでさせてしもて。」

算太「一宿一飯の恩義じゃ。」

ひなた「何言うてんの。 親戚やろ。 あっ これ。 お母ちゃんが引いといでって。」

錠一郎「ああ ああ。」

ひなた「あ… 大伯父さん。 引いてくれへん?」

算太「何や… ひなたちゃんが引きゃあええじゃろ。」

ひなた「いや お父ちゃんも私も ハズレしか引いたことないん。」

算太「ほんなら…。 よいしょ。」

錠一郎「あっ 当たり!」

ひなた「えっ!」

錠一郎「えっと4等賞。」

ひなた「えっ えっ 何? 4等って何?」

錠一郎「えっと…。」

算太「ああ これじゃ これ…。」

ひなた「いや…。」

錠一郎「これ?」

ひなた「子供やあらへんし。」

吉右衛門「今年は おもちゃの賞品が多いんや。 おもちゃ屋さんが 店じまいしたさかいな。」

ひなた「さすがケチエモン。 よその店じまいにつけ込んで…。」

吉右衛門「人聞きの悪いことを言うんやない。」

錠一郎「あっ 町内会長さん。 こちら るいの伯父さんです。」

吉右衛門「奥さんの。」

錠一郎「はい。」

吉右衛門「あっ それは それは。 初めまして。 町内会長の…。」

回想

算太「うわっ!」

吉兵衛「おめえか! わしのラジオ盗んだん!」

回想終了

安子「お兄ちゃん。 お兄ちゃん。 お兄ちゃん。」

算太「お~ 安子じゃ。」

安子「お兄ちゃん。 ダンサーになれた? 踊って!」

回想

ラジオ・アチャコ『センター バック バック』。

ラジオ・エンタツ『オールバック』。

ラジオ・アチャコ『散髪屋みたいに言うな ホンマ』。

(笑い声)

回想終了

(おもちゃのピアノ)

大月家

回転焼き屋・大月

錠一郎「申し訳ないけど 財布の中 探させてもらった。」

るい「電話したん?」

錠一郎「うん。」

るい「何て?」

錠一郎「入院してたのに 逃げ出したらしい。」

るい「病気やの?」

錠一郎「いつ どうなっても おかしくないて。 それは 本人も知ってるって。」

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