あらすじ
ラジオ英語講座を聴くために早起きしたひなた(川栄李奈)は、番組が始まるまでの時間、るい(深津絵里)から昔話を聞かせてもらうことに。二人はこれから毎朝一緒に小豆を炊き、ラジオ英語講座を聴く約束をします。数日後、錠一郎(オダギリジョー)がある人物を家に連れてきて…。
99話ネタバレ
大月家
居間
るい「ひなた? ひなた。」
ひなた「あっ お母ちゃん…。 あ~ もう朝か…。 あ~ おはよう。」
るい「おはよう。 何で そないな所で寝てるん。」
ひなた「言うたやん。 これ聴くねん。 2階やったら 起き上がる自信あらへんから。」
るい「ええけど。 まだ6時前やで。」
ひなた「え~? それ はよ言うてえな。 まだ寝られるやん。」
台所
るい「小豆の声を聴けえ。 時計に頼るな。 目を離すな。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる。 食べる人の 幸せそうな顔を 思い浮かべえ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 その気持ちが 小豆に乗り移る。 う~んと おいしゅうなってくれる。 甘えあんこが出来上がる。 はっ!」
ひなた「それ あんこのおまじない?」
るい「そうや。」
ひなた「ずっと前に モモケンさんが唱えてはった。」
るい「モモケンさんが? 何で?」
ひなた「モモケンさんは 算太伯父さんから教わったんやて。」
るい「え~?」
ひなた「お母ちゃんは 誰から教わったん? おばあちゃん?」
るい「うん。 そうや。」
ひなた「おばあちゃんは 誰から教わったんやろ…。」
るい「そないに次々に聞かんといて。」
ひなた「そうかて…。」
るい「毎朝 ちょっとずつ話したげるから。 ラジオの英語講座 聴く前に 一緒に小豆炊きながら。」
ひなた「ええ~。 余計 早起きしなあかんやん…。 けど そうしようかな。 もっと知りたいし。」
るい「はっ! さあ ラジオの時間や。」
居間
ひなた「そや!」
ラジオ・遠山『C’mon in』
るい「C’mon in」
ラジオ・遠山『HI, I’m Ken.』
るい「HI, I’m Ken.」
ラジオ・ロレッタ『I’m Loretta.』
ラジオ・ジェリー『I’m jerry.』
ラジオ・遠山『Welcome to….』
るい「Welcome to….」
ラジオ・3人『Eikaiw-nyumon!』
るい「Eikaiw-nyumon!」
ひなた「そっから…?」
るい「お母ちゃん そないしてる。」
ラジオ・遠山『Hi, I’m Ken Toyama.』
るい「Hi, I’m Ken Toyama.」
ラジオ・遠山『How are you doing?』
るい「How are you doing?」
ラジオ・遠山『I’m here in the studio with Loretta.』
ラジオ・ロレッタ『Hello there.』
るい「Hello there.」
ラジオ・遠山『And Jerry.』
ひなた「アンド ジェリー。」
ラジオ・ジェリー『Hi, everybody.』
ひなた「ハイ エブリバディ。」
玄関前
ひなた「行ってきま~す。 おはようございます。 おはようございます。」
荒物屋・あかにし
ひなた「吉之丞 おはよう。」
吉之丞「おう おはよう。」
小夜子「ひなちゃん おはよう。」
ひなた「小夜ちゃん! 久しぶり。 えっ どないしたん?」
小夜子「あ… お義母さんが心配しはって しばらく こっちに住むことになったんや。」
ひなた「心配って…?」
小夜子「あ…。」
ひなた「はあ…! あっ 小夜ちゃん! ユー アー エクスペクティング!(赤ちゃんができたんや!)」
小夜子「何で英語?」
ひなた「触ってもええ?」
小夜子「あっ ええよ。」
ひなた「わあ~!」
大月家
居間
桃太郎「これ 大叔母さんから。」
るい「いや~ 雪衣さんの梅干し。」
桃太郎「あと これ。 大叔父さんから お姉ちゃんにて。」
ひなた「えっ 私?」
桃太郎「うん。」
ひなた「足袋?」
桃太郎「雉真繊維の。」
ひなた「えっ 大叔父さんとこて 学生服の会社とちゃうの?」
るい「もともとは足袋の会社や。」
ひなた「えっ そうなんや。」
桃太郎「今は 主要製品やないけど 作り続けてるんやて。」
ひなた「へえ~。 そやけど 何で私に足袋?」
桃太郎「時代劇が好きで 映画村で働いてる言うてたからやて。」
ひなた「ハハッ いや 私が時代劇映画に出るわけやないから。」
るい「頂いとき。」
ひなた「うん。」
錠一郎「ただいま~。」
るい「お帰り。」
錠一郎「ああ 桃太郎。 帰ってたんか。」
桃太郎「うん。 ただいま。」
錠一郎「入り。」
るい「お客さん?」
錠一郎「あっ うん。 入り 入り。」
トミー「お邪魔します。 サッチモちゃん 久しぶりやなあ。」
るい「トミーさん!?」
トミー「ハハハッ。」
るい「いや… あ… ご無沙汰してます。」
トミー「おう。」
るい「どうぞ 上がってください。 ちょっ… 桃太郎 そこ片づけなさい。 ひなた お座布団。」
ひなた「どうぞ。」
トミー「ああ ありがとう。 あっ ひなたちゃん?」
ひなた「あっ はい。」
トミー「桃太郎君。」
桃太郎「はい。」
トミー「初めまして。 トミー北沢です。」
ひなた 桃太郎「えっ!」
桃太郎「聞いたことある。」
トミー「フフッ。」
ひなた「確か トランペットかバイオリンか何かの。」
トミー「アバウトな子やなあ。 ハッハッハッハッ。 ジョーに そっくりや。」
錠一郎「トミーは お父ちゃんとお母ちゃんの友達や。」
2人「えっ!」
ひなた「また でっかい新情報…。」
るい「どうぞ。」
錠一郎「るい。」
るい「はい。」
錠一郎「僕 また音楽活動を再開するよ。」
トミー「ホンマや。」
るい「けど… ジョーさん トランペットは…。」
錠一郎「うん。」
♬~(おもちゃのピアノ『On the sunny side of the Street』)
回想
♬~(トランペット 『On the sunny side of the Street』)
回想終了
♬~(おもちゃのピアノ)
トミー「管楽器やるやつは 多少は鍵盤も たしなんでる。 ジョーは もともとジャズのセンス抜群やから。 あとは練習次第や。」
るい「ジョーさん… ホンマに?」
錠一郎「うん。 まあ ちょっと 時間はかかるかもしれへんけど 待ってて。 僕が アメリカに連れていくから。」
(すすり泣き)
ひなた「お母ちゃん…?」
桃太郎「大丈夫?」
トミー「ええピアノ講師の手配もしてあるから。」
錠一郎「奈々さんが 見つけてくれたんやて。」
るい「奥さんが…?」
トミー「フフフッ。 まあ 当分は レッスン受けて ライブハウスで腕磨いて 早う俺のトランペットに見合うとこまで 上がってこいよ。」
錠一郎「ありがとう。」
るい「ありがとうございます。 トミーさん。 ジョーさんの治療のための 積み立てがあります。 それを… それをレッスン費用にしてください。」
錠一郎「ああ ほら。」
るい「台布巾やし。」
錠一郎「いや でも…。 ひ… ひなた。 ティッシュ ティッシュ。」
トミー「ハッハッハッハッ 相変わらず 共鳴し合ってるなあ。」
錠一郎「大丈夫?」
ひなたの部屋
ひなた「『Today Tommy Kitazawa visited my house.(今日 トミー北沢がうちに来ました)My father is going to play the piano.(お父ちゃんはピアノを弾くつもりです)My mother is very happy.(お母ちゃんはとても喜んでいます)』 ふう…。」
台所
2人「おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。」
ひなた「そやけど おばあちゃんて 進んだ人やったんやなあ。」
るい「進んだ?」
ひなた「うん。 小さかったお母ちゃん連れて 大阪で おはぎ売ってたいうのも すごいけど 実家の和菓子屋 立て直そうとしたり。 進んでるわあ。」
るい「そやねえ。 最先端の人やったかもしれへん。」
ひなた「最先端?」
るい「進駐軍さんと アメリカへ行ってしもたんやから。」
ひなた「えっ!? いや ちょっと待って。 何それ 新情報。 あっ それで お父ちゃん アメリカ言うてたん? なあ もっと詳しく。 なあ お母ちゃん。」
るい「ほら 焦げるよ。」
ひなた「あっ。」
<Every day I hear more of my mother’s old stories(毎日ちょっとずつ お母ちゃんの昔話を聞きます)
居間
ラジオ・遠山『Hi, I’m Ken _Toyama.』
<Then, I listen to the radio to study English(それから ラジオで英語を勉強します)>
ひなたの部屋
(カセットの音声)
<I record the program and listen to it again and again(番組を録音して 何度も繰り返し聴いています)>
俳優会館
休憩所
<I memorize the dialogues and say them out loud.(会話を暗記して 暗唱しています)>
<But…(でも…)to be honest, I sometimes feel like quitting.(正直言うと たまにいやになります)From time to time, Iwonder why I’m studying English(なんのために英語を勉強してるんやったっけ? と思うときがあります)>
ひなた「うわっ!」
虚無蔵「日々 鍛錬し いつ来るとも分からぬ機会に備えよ。」
ひなた「はい!」
<I know what it is….(わかっています)It’s to save Japanese period dramas(それは時代劇を救うためやって)>
ひなた「『グッドモーニング サム。 キャン アイ ヘルプ ユー?』。」
荒物屋・あかにし
清子「あ…。」
小夜子「ただいま。」
<At the end of the year, Sayoko gave birth to a baby boy.(年の瀬に 小夜ちゃんが男の子を出産しました)Kiyoko was able to hold her great-grandson(『あかにし』のおばあちゃんは亡くなる前に ひ孫を抱くことができました)in her arms before she passed away>
大月家
桃太郎の部屋
<Momo graduated from high school and went to Okayama.(桃が高校を卒業し 岡山へ行きました)He is going to live with our great-uncle(大叔父さんのうちに住んで 岡山の大学に通います and go to a university there. His tuition is being paid for by our great-uncle,(学費は お母ちゃんが若いときに 受け取らなかった貯金で賄いました)with the money our mother refused to accept when she was young>
(セミの声)
回転焼き屋・大月
<My father made his debut as a pianist(お父ちゃんがピアニストデビューしました)My mother is busy supporting my father.(お母ちゃんもえらい忙しい)She’s like his manager.(なんせお父ちゃんのマネージャーみたいなもんやから)I teke care of the shop while she is away(お母ちゃんの留守中は わたしが店番です)>
ひなたの部屋
カセットの音声『But Mike Spike is making a request guest appearance.』
(カセットを止める音)
ひなた「Appearance….」
回想
るい「ひなたに あげる。」
ひなた「えっ…。」
ひなた「それで 頑張って勉強しい。」
回想終了
<Don’t rush. Take it easy.(すべてを急がずに 無理をしないで Leern something new, little by little.(自然に覚えられるだけ 一日一日と)That’s enough(新しいことを覚えていけば それで十分)>