ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第13回)

あらすじ

久保田ミワ(松本穂香)は昨夜の食事会の思い出に浸っていた。共に過ごしたその時間を八海崇(堤真一)は楽しかったと言い、ミワのことをかけがえのない人と呼んでくれたのだ。しかし浮かれて帰宅する途中で元カレの紀土(水間ロン)や昔のバイト仲間と会ってしまい断れないまま気の進まない飲み会に参加するはめになる。かつてのようにイジラレ役として不快な時間を過ごしていたが、とうとう我慢できずにミワは店を飛び出して…。

第12回ネタバレ

八海邸

控え室

<八海邸は広い>

ミワ「え?」

<私は意外なところで とある花をみつけた>

回想

八海「ミワさんは 私にとって ただの家政婦さんじゃありません。 掛けがえのない人です。」

回想終了

<私だけが知る 美しい 花>

<人生の大半を 撮影現場で過ごす八海サマ。 この広い敷地内で 家政婦が会える機会はほとんどない>

池月「ミワさん?」

ミワ「あ… はい。」

一駒「先に行ってますね。」

ミワ「はい。」

<果たして あれは 現実だったのだろうか>

回想

八海「本当に熱心ですね。」

ミワ「いや お恥ずかしいです…。」

「八海 崇じゃね?」

「えっ マジ!? こんなとこいないでしょ。」

ミワ「まさか お二人のバトルを 生で見られるとは思っていなかったので。」

回想終了

ミワ「もしくは… 幻。」

<いや 幻というには あまりにもインパクトのある あのお言葉>

回想

八海「掛けがえのない人です。」

ミワ宅

<私は家に帰って 何度も その意味を調べた>

ミワ「『かわりになるものがない。 このうえなく大切な』。」

<このうえなく大切! えっ えっ どういうことですか!? わ… 私みたいな人間が 八海サマにとって           このうえなく大切な存在 ということですか!? 最上級に!? えっ 何で!? 何で何で!?>

回想

八海「掛けがえのない人です。」

回想終了

ミワ「わあ~!」

(壁を蹴る音)

ミワ「すいません!」

八海邸

キッチン

ミワ「(鼻歌)」

<いや そんなことあるはずない! 一介の家政婦が掛けがえのないなんて そんなこと…>

八海「お疲れさまです。」

ミワ「ひいっ! お疲れさまです。」

藤浦「八海さん 午後のスケジュールなんですが。」

八海「取材でしたよね。」

藤浦「ええ。 開始を10分遅らせて…。」

<はあ… なんて私は愚かなんだ。 神からのリップサービスをまともに受けて もん絶しているなんて>

藤浦「では 出発も10分遅らせますね。 あっ そういえば 昨日はどちらまで?」

八海「ああ…。」

<えっ… 八海サマ? そ… それは どういうお顔なのですか?>

2人「あっ…。」

藤浦「ミワさん!」

ミワ「あ… はい はい。」

藤浦「布巾がない…。」

<シーッて何ですか! え… えっ? 二人だけの秘密ってことですか!?>

藤浦「ミワさん ちょっと。」

八海「いや 昨日はちょっと 知り合いの店に。」

藤浦「お知り合いのお店に。」

八海「ええ。」

藤浦「ああ。 お願いね。」

ミワ「はい。」

<幻なんかじゃない。 私は あの時間を確実に生きた>

<私たちだけが知る 掛けがえのない時間>

道中

ミワ「(鼻裏)」

<油断すると 頬が緩んでしまう>

紀土「ミワちゃん。 よう。」

ミワ「紀土くん…。」

阿部「久しぶり! ミワさん 何してんの?」

春鹿「これから うちら飲みに行くんだけど 来ない?」

ミワ「え… あっ…。」

阿部「軽く行こうよ。」

<春鹿さん 阿部くん かつてのバイト仲間だ。 正直 この人たちとはもう 関わりたくなかった>

回想

紀土「八海 崇もさ オワコンだよな。」

ミワ「あなたの話がつまんなくて みんな帰っちゃったんじゃないの? あとね ブルース・ウィルスじゃなくて ブルース・ウィリスだから!」

回想終了

阿部「今日は 紀土ちゃんのおごりだな。」

紀土「何でよ?」

春鹿「ありがとうございます。」

<なのに つい 先日の件を丸く収めたいと思って ついてきてしまった>

居酒屋 酒地獄

阿部「ミワさん?」

ミワ「えっ? あ… ありがとう。」

春鹿「何かさ ミワさん 雰囲気 変ったよね?」

ミワ「えっ… そうかな?」

春鹿「変ったよ。 何か あか抜けたっていうか。 だって うちら バイトしてる時 何か 背後霊みたいだったよね?」

(笑い声)

阿部「背後霊?」

春鹿「あっ 男だ。 男できたっしょ?」

ミワ「いや… いやいや…。」

春鹿「図星だ。 ヤバい 当たった! えっ えっ どんな人?」

ミワ「いや 男とか…。」

紀土「やめてやれって もう そういうの。」

阿部「いやいや いいじゃん いいじゃん。」

春鹿「年下? いや 年上だな。 当たりでしょ?」

ミワ「ううん…。」

春鹿「ヤバい ほらほら 吐いた吐いた!」

紀土「いないって言ってんじゃん。 こんなやつ 誰が相手すんだって。」

春鹿「普通にリーマンとか似合うじゃん。 意外にミワさんみたいなタイプ 需要あると思うし。」

阿部「あ~ リーマンか… なるほどね。」

(ジョッキを置く音)

紀土「ははは…。 なあ 無能を一発で見抜く方法って知ってる?」

阿部「えっ?」

紀土「例えば あのリーマン二人組。 あいつらは無能。」

春鹿「えっ 何で?」

紀土「腕時計してるやつって 俺の中で 大体 無能なんだよね。 時間を守ることに命かけちゃってんだよ。 体裁に重心がかかりすぎてる。」

阿部「あ~ なるほどね。」

紀土「周りに気ぃ遣って 寝る時間削って 体調崩して 結果 パフォーマンス落ちるってさ まさに無能じゃん。」

阿部「ミワさん 何してるの?」

ミワ「あっ いや こうしたほうが 店員さん運びやすいかなって思って。」

阿部「え… 聞いてた? 今の話。」

春鹿「体裁のために気ぃ遣うのは 無能って話。」

紀土「ヤバい ヤバい 天然すぎるわ。」

阿部「しかもミワさん 腕時計してる。」

春鹿「ヤバい ヤバい。」

(笑い声)

<えっ 何 この つらい飲み会…>

紀土「ヤバい ヤバい これ以上はやめてあげよう。 なっ。」

春鹿「紀土ちんとマジでキャラ逆だよね。 ミワさんて。」

阿部「よく それで つきあってたよね。」

紀土「まあ つきあったっていっても ちょっとだけな。」

<うん つきあってたっていうか…>

回想

紀土「マジ ビビんなよ。」

阿部 春鹿「何 何?」

紀土「俺 ミワと つきあうことにしたわ。」

阿部「ええっ!?」

春鹿「えっ!? えっ 何で?」

回想終了

<私が告白の返事を曖昧にしている間に いつの間にか つきあっていることに なっていただけだ>

紀土「で 何で腕時計してんの?」

春鹿「ちょっと やめなって。」

阿部「紀土ちん!」

<ああ… 早く帰りたい>

紀土「昔は バイト終わりに こうやって よく飲んだよな。」

春鹿「紀土ちん あのころは役者の卵だったね~。」

阿部「何で役者やめたの? いいとこまで いってたんじゃなかったっけ?」

紀土「役者で最も必要なスキルって 何だと思う?」

阿部「演技力じゃねえの?」

紀土「運だよ 運。」

春鹿「ちょっと待って 動画撮る。」

<運? それだけじゃないと思うけど>

春鹿「回りました。」

阿部「よ~い…。」

(たたく音)

春鹿「紀土さん それって どういうことですか?」

紀土「役者なんて コネとか事務所の力とか 自分の力じゃ どうにもできない ギャンブル要素がほとんどなんだよ。」

阿部「そうなんだ。」

紀土「人生をかけた仕事がギャンブルって ありえないよね。」

春鹿「確かに そうですね。」

紀土「演技力なんてものは ある程度やったら身につくしさ トップ俳優っていわれてるやつでも 技術的には俺と大差ないよ。」

<いや それは…>

阿部「ミワさん どうしたの? すげえ静かだけど。」

ミワ「いや 何でもない…。」

紀土「ムカついてんだろ?」

春鹿「えっ 何で何で?」

紀土「自分の好きな世界のことディスられて 面白くないんだろ?」

ミワ「いや…。」

紀土「だって こないだも ミワの好きな八海 崇のこと ちょっとディスったら ブチギレて帰ったし。 なっ。 俺はさ ミワのことが心配で言ってんだよ。」

ミワ「心配?」

紀土「映画が好きってのは分かるけどさ いい大人が 生活費 全部 趣味につぎ込むって ちょっと異常だよね。」

<我慢・・・ こんな挑発に乗ってはいけない>

紀土「メディアに洗脳されてんだよ。 しかも好きな俳優をけなされて帰るって 子どもじゃないんだからさ。」

ミワ「そういや こないだ紀土くん 腕時計してたよね。」

回想

法律で決まってるわけじゃ ないですよね?」

回想終了

紀土「は? 何 いきなり。」

ミワ「腕時計してる人は無能なんでしょ? 飲んだのって10日前ぐらいだよね。 そんな急に考えって変わるもの?」

阿部「ミワさん…。」

ミワ「どうせ ネットの動画にでも 影響受けたんじゃないの? それって メディアに洗脳されてない?」

紀土「言いたいのは それだけかよ。」

ミワ「え?」

紀土「実際に 俺は今 腕時計してないし 稼いでるし 社会に貢献してんだよ。 腕時計してるお前は今 何してる? 何してんのか言えないのか? 言えるもんなら言ってみろよ。」

ミワ「帰る。」

阿部「あ…。」

紀土「ミワちゃん!」

阿部「お会計お願いします。」

道中

紀土「ミワちゃん! ミワちゃんってば!」

八海「ミワさん。」

八海「先に行っててもらえますか?」

「はい。」

紀土「あっ あっ あっ…。」

阿部「八海… 崇!?」

春鹿「えっ 知り合い?」

阿部「ええ~っ!?」

ミワ「何で こんなところに?」

八海「近くで撮影がありまして。 ちょうど終わったところなんですよ。」

ミワ「そうだったんですか。」

阿部「腕時計…。」

八海「時計がどうかしましたか?」

阿部「あっ いや 何でもないです。 すてきです。」

春鹿「あ… あの 写真いいですか?」

八海「もちろん。 いいですよ。」

阿部「僕も… 僕もいいですか?」

八海「もちろん。」

阿部「ありがとうございます。」

八海「ぜひ。」

紀土『演技力なんてものは ある程度やったら身につくしさ トップ俳優っていわれてるやつでも 技術的には俺と大差ないよ』。

阿部「あ… あの こいつ 俳優目指してたんすよ。」

紀土「おい バカ!」

八海「そのとおりかもしれないですね。」

紀土「えっ!?」

八海「技術的には大差ない… ですか。 うん そうですね 俳優なんて そんなものかもしれません。 あっ 車でお送りします。」

ミワ「いや… あの すぐ近くなので大丈夫です。」

八海「じゃあ 歩きましょう。 面白い映画があったんですよ。 あっ では。」

阿部「紀土 紀土…。」

八海邸

書斎

ミワ「泉 飛露樹…。」

回想

泉「どうしても八海さんに会って 伝えたいことがあるんです。 どうか このとおりです。 お願いします!」

泉「八海さんが借金の肩代わりを して下さったおかげで 無事に… 組を抜けることができました。」

回想終了

ミワ「泉さん… お元気かな。」

<泉さんは 新たな道を歩んでいる。 私も 進むべき道を考えなきゃ…>

道中

さくら「はい 入居日が決まったらお伝えします。 その際は 住所変更をお願いしますね。」

(シャッター音)

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