ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第15回)

らすじ

久保田ミワ(松本穂香)は届け物を頼まれて撮影所に赴く。建物の中で迷ううちに偶然、八海崇(堤真一)と国際派女優・五十嵐凛(伊藤万理華)が親しげにハグする様子を見てしまう。複雑な気持ちで落ち込んでいるミワを、通りかかった大女優・越乃彩梅(高岡早紀)が楽屋に誘う。彩梅はミワに自身の昔の経験を話しながら、もし自分の気持ちを偽っているなら正直になったほうがいい、八海もそれを望んでいるからとアドバイスをする。

第15回ネタバレ

八海邸

リビング

ミワ「はあ…。」

回想

さくら「八海 崇という世界一の理想を前にして 何をすべきだと思う?」

ミワ「分からないです。」

さくら「演じるのよ。 好意だとか信頼だとか そんなきれい事は一切忘れて 今の奇跡的な立場 八海 崇にとって掛けがえのない存在 という立場を死守する。 そのためには… 美羽さくらを演じきるしかない。」

回想終了

ミワ「演じきる…。」

<ご本人から なりすましの許可が出たことで 正直 罪悪感が減ったのは否めない。 とはいえ このまま偽り続けるのは…>

ミワ「はあ…。」

(電話の呼び鈴)

ミワ「もしもし。」

藤浦『美羽さん? ちょっとお願いがあるんだけど。』

ミワ「はい 何でしょうか。」

藤浦『八海の腕時計を撮影で使いたいんだけど テーブルに置いたまま忘れちゃったの。 3時までに持ってきてもらえない?』

ミワ「はい かしこまりました。」

藤浦『よろしくお願いします。』

ミワ「はい 失礼します。」

<八海サマに 会える! 時計 時計…>

<これは…>

回想

八海「ミワさん。」

阿部「八海… 崇!? 腕時計…。」

八海「時計がどうかしましたか?」

阿部「何でもないです。 すてきです。」

八海「では。」

回想終了

<あの時の時計…>

ミワ「急がないと。」

ロケ現場

<八海 崇 八海 崇…。 ここじゃないか。 あれ? さっき ここ通った? ああ もう 迷路みたい…>

スタッフ「失礼しま~す。 八海さん スタンバイお願いします。」

八海「はい。」

<八海 崇 八海 崇…。 八海サマ どこ!>

ミワ「五十嵐 凛…。」

<日本より先に海外で才能を見いだされた 若手ナンバーワン演技派女優。 えっ ひょっとして 五十嵐 凛サマが この扉の向こうに いるんですか!?>

ミワ「あ… あの 八海さんって今どちらに?」

スタッフ「Mスタジオで撮影中ですけど。」

ミワ「Mスタジオ… ありがとうございます!」

<八海サマ 今 会いにゆきます!>

(パンチを打つ音)

藤浦「何?」

「凛さんが本番前にまた。」

八海「ストレート! こんなもんか。 はい ワンツー! 諦めろ お前には無理だ。」

凛「諦めません。」

八海「よし… 連打! こんなもんか。」

凛「まだまだ!」

八海「ああ…。 このぐらいにしましょう。」

越乃「五十嵐 凛 さすがだね。」

八海「ええ 気を抜いたら本当に殺されそうです。」

越乃「ねえ はっちゃん。 私 気付いちゃったかもしれない。」

八海「ん?」

越乃「あなたの演技が変わった理由。」

回想

越乃「恋に溺れるほど若くはない。 ただ あなたが好きなだけ。」

監督「カット! OK!」

越乃「はっちゃん。」

八海「ん?」

越乃「いい匂いがするね~。」

八海「え?」

回想終了

越乃「女でしょ。」

八海「何ですか その分析。」

越乃「いやね うわさでね はっちゃんが らすべがすに 女の人と一緒に来たって聞いちゃった。 関係ある?」

八海「どの女性ですか? あの店には公私ともに伺ってるので。 誰と行った時のことか。」

越乃「ま~た はぐらかされた。」

八海「いやいや 本当に。」

越乃「いやいや いいんです。 言いたくないなら結構です。」

八海「まあ でも 心に残る夜 というのはありますよ。」

越乃「あのさ ホントに気を付けたほうがいいよ。 はっちゃんはさ 何か 優しすぎるっていうか 勘違いされるとこあるから。」

八海「ええっ?」

越乃「なりふり構わず あんたを狙ってくる ヤバい女だっているんだよ。 世界の八海だってこと 自覚して下さい。」

八海「はい 気を付けます。」

藤浦「失礼します。」

八海「はい。」

藤浦「八海さん ミワさん 間もなく到着するはずなんですが 姿が見えなくて…。 もう少し お待ち頂けますか。」

八海「じゃあ ちょっと見てきましょうか。」

藤浦「えっ? いや それはいいです。」

八海「いや ちょうど いったん 楽屋に戻ろうと思ってたんで。」

<八海サマ>

凛「あっ 八海さ~ん!」

八海「おお…。」

<い… 五十嵐 凛!>

凛「さっきのシーン 最高だったよ!」

八海「いや そちらこそ。」

<まさか 恋愛スキャンダル?>

凛「待って。 汗臭い?」

八海「別に構わないですよ。」

凛「…って言うと思った!」

<お相手は 世界の映画界で輝く アジアの至宝 五十嵐 凛。 まさに 神と女神のハグ! と… 尊い>

凛「あっ こないだ楽しかったです らすべがす!」

八海「はい それはよかったです。」

<らすべがす…>

(2人の笑い声)

(時計の箱が落ちる音)

ミワ「あっ! あの… お届け物です。 すみません 腕時計。」

八海「ああ ありがとうございます。」

ミワ「それじゃ 失礼します。 お邪魔しました。」

八海「あっ ミワさん…。」

<私は逃げるように その場から走り去った>

<八海サマに この さもしくて おこがましい胸の内を 悟られたくなかったから>

<は? 八海サマに対して ただのオタクが こんな失恋みたいな感情… おこがましい!>

越乃「大丈夫?」

ミワ「え…。」

越乃「おいしいお菓子があるんだけど 楽屋に来ない?」

ミワ「越乃さん…。」

越乃「どうぞ~。」

ミワ「お邪魔します。」

越乃「適当に座ってね。 はい 亀千のどら焼き。 これがあるとテンション上がるのよね。」

ミワ「ありがとうございます。」

越乃「はっちゃんとこのお手伝いさんでしょ? 前にロケにも来てたもんね。」

ミワ「覚えて下さってたんですか。」

越乃「映画に すごい詳しいんだって? はっちゃんがね いつも すご~いうれしそうに話すのよね。」

ミワ「いえ そんな 恐縮です。」

越乃「ふふふふ…。 あれはさ 何か よく分かんない 感情だったんじゃない?」

ミワ「え…?」

越乃「私も若い頃からさ 次から次へと いろんな役 演じるでしょ。 そうすると ホントの自分の感情が 分かんなくなるっていう時があるのよね。」

ミワ「そうなんですか…。」

越乃「そう。 泣きたいのに笑ったり 怒りたいのに我慢したり。 自分を偽って いろいろ無理してたんじゃないかと思う。」

ミワ「自分を… 偽る。」

越乃「あなた見てたらさ 若い頃の自分 思い出しちゃって。 的外れだったら ごめんね。」

ミワ「いや… そのとおりだと思います。」

<でも こんなすてきな女優さんとは 次元が違う。 私は ただのなりすまし。 欲望に負けた あさましき罪人。 それが苦しみを招いたとしても 当然の報い…>

(ノック)

越乃「はい。」

「失礼します。 越乃さん スタジオにお願いします。」

越乃「は~い 行きま~す。」

ミワ「すいません お邪魔してしまって。」

越乃「ううん。 あっ。 はい。 もし ホントの自分にウソついてるようなことが あるんだったら 正直になったほうがいいよ。 はっちゃんも きっと ホントのあなたを知りたいはずだから。」

ミワ「ホントの私…。」

越乃「あっ。 私はカメラの前で ウソついてくるね。」

「あの…。」

ミワ「あっ すいません。 お邪魔しました 失礼します。 これ 頂きます。」

「はい どうぞ。」

藤浦「ミワさんに会えましたか?」

八海「ええ 受け取りました。」

藤浦「よかったです。 どうかしましたか?」

八海「いえ 別に。」

道中

回想

さくら「演じるのよ。 美羽さくらを演じきるしかない。」

越乃「ホントの自分にウソついてるようなことが あるんだったら 正直になったほうがいいよ。」

回想終了

<越乃さんの言うとおり もう 自分を偽るのは 限界なのかもしれない>

ミワ「はあ…。」

雲海「これまた 随分大きなため息だね。」

ミワ「すいません。」

雲海「このまま誘惑の道に進むべきか それとも 正しい道に戻るべきか。」

ミワ「どうしたらいいですか?」

ミワ「あっ 安くなった。」

雲海「大体 占いに来る人はね 迷ってると言いながら 答えは決まってるんだよ。 私はただ 5,000円で 気持ちよく背中を押してあげるだけ。」

ミワ「いいんですか そんなこと言って。」

雲海「はい また迷ったらおいで。」

<私は今 大きな岐路に立っている>

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