あらすじ
久保田ミワ(松本穂香)は手紙を書いてなりすましを告白しようと考える。美羽さくら(恒松祐里)は反対だ。なりすまされた本人である自分が認めているのになぜ告白するのかとミワに再考を迫る。だがこのままではいけないとミワはついに決心。八海崇(堤真一)が長期の海外ロケに発つ前に告白と謝罪の手紙を渡したいとチャンスをうかがい、ついにその時が訪れる。手紙を取り出すミワに自分の言葉で直接伝えてほしいと八海は言い…。
第16回ネタバレ
ミワ宅
<明日から八海サマは 映画の撮影で海外へ行ってしまう>
<その前に私は 手紙を書くことにした。 かつて渡せなかった なりすましを告白する手紙だ>
ミワ『私は美羽さくらさんになりすまして 家政婦をしていました。 本当は家政婦として求められている スキルや資格はありません。 このような嘘をついたのは 私が 八海 崇さんのファンだったからです。 だからといって そのようなことが 許されるはずがありません。 今まで騙し続けて 申し訳ございませんでした。 私は どんな罰も受ける覚悟です』。」
ミワ「よし。」
<これを明日 八海サマに ちゃんと渡そう。 これで 全てが終わってしまうとしても>
(チャイム)
ミワ「えっ。」
<こんな時間に… 誰?>
さくら「こんばんは。」
ミワ「さくらさん。」
さくら「ちょうど通りかかったら 電気ついてたから。 飲もうよ。」
ミワ「家 この近くなんですか?」
さくら「うん 実はね。 お邪魔しま~す。」
ミワ「えっ… ちょっ ちょっと。 ど… どうぞ 適当に。」
さくら「ねえ。 まさか全部言うつもりじゃないよね。」
ミワ「えっ…。」
さくら「何か 思い詰めた顔してるから。」
ミワ「えっ あ… そうかな。」
さくら「分かるよ それぐらい。」
<何でもお見通し…>
さくら「でもさ こないだ私 言ったばっかりだよね?」
回想
さくら「美羽さくらを演じきるしかない。」
回想終了
ミワ「はい… でも これ以上は隠せないし お金も返します。」
さくら「いらないってば。」
ミワ「でも…。」
さくら「私が久保田さんを許そうと思えたのは 私の代わりに いろんな体験を 伝えてくれると思ったからだよ。 あなたには 八海 崇に好かれる才能もある。 今更 久保田ミワに戻って何するの? っていうか 甘い汁を吸うだけ吸って また元に戻ろうなんて 虫がよすぎない?」
ミワ「はい。 もちろん それなりに罰は受けないと…。」
さくら「あなたを詐欺で訴えてもいいんだよ。」
ミワ「はい。」
さくら「…なんてね。 ウソだよ 訴えるとか。」
ミワ「え?」
さくら「でも 久保田さんが 偽物だって分かったら 八海サマはショック受けると思うけど。」
ミワ「いや… 私は ただの家政婦だし。」
回想
八海「私にとって ただの家政婦さんじゃありません。 掛けがえのない人です。」
回想終了
さくら「だって 家政婦として うまくいってるんでしょ?」
ミワ「まあ はあ…。」
さくら「私が いいって言ってるのに 何で迷うことがあるの? もう一度 よく考えて。 あっ ねえ これ見てもいい?」
ミワ「どうぞ。」
さくら「やった~。 かっこいい。」
八海邸
正門
<誘惑に負けてはいけない。 今日 八海サマが海外にたってしまう前に 手紙を渡さないと…>
ミワ「よし。」
控え室
藤浦「今日は夕方までみっちり 殺陣の稽古やリモート取材が 入っています。」
3人「はい。」
藤浦「そして その後は海外ロケに出発しますので 指定した衣類や雑貨のパッキングをお願いします。」
<八海サマの休憩は 11時50分から12時までの10分間。 それに14時のトイレ休憩。 あとは 16時50分から17時までの10分間。 手紙を渡せるチャンスは この3回 か…>
池月「さあ 頑張っていきましょう!」
藤浦「じゃあ よろしくお願いします。 ミワさん ちょっと。」
ミワ「はい。」
キッチン
ミワ「何でしょうか。」
藤浦「明日から海外ロケで 私と八海がいなくなるけど この機会に ここの大掃除をお願いしたいの。 あなたをリーダーにしてもいい?」
ミワ「えっ… 私がリーダー ですか?」
藤浦「そう。 そろそろ慣れてきたでそ? ほかの二人も それがいいんじゃないかって。 じゃあ 考えておいて。」
ミワ「あ…。」
書斎
『今 気になっている俳優はいますか?』。
八海「まあ 私が言うまでもないことですが 五十嵐 凛という俳優は いやがおうでも目を惹きますね。 こう 画面を支配する力というか。 まあ ほかにはいない…。」
<当然ながら インタビューの最中に 手紙を渡すチャンスはない>
リビング
八海「いいですね。」
ミワ「失礼します。」
<もちろん ここもチャンスはない>
ミワ「失礼しました。」
キッチン
一駒「今日 紅茶いれすぎじゃない?」
ミワ「ですかね?」
池月「八海さん おなか たぷたぷになっちゃうよ?」
ミワ「ですよね…。」
<11時50分 八海サマ1回目の休憩時間>
<よし 今だ>
ミワ「八海さ…。」
<撮影か!>
八海「どうかなさいましたか?」
ミワ「あっ いえ 紅茶を…。」
八海「まだありますから 大丈夫です。」
ミワ「すいません 失礼しました。 すいません…。」
寝室
一駒「いっつも思うんだけど いくらロケが長いからって こんなにシャツ持っていく必要あるのかしら。」
池月「パーティーが多いですからね。」
一駒「まあね。 ぬか床やトレーニングマシンを包めって 言われるよりもマシかな。」
ミワ「痛っ。」
一駒「ミワさん?」
ミワ「すいません。」
リビング
ミワ「失礼します。」
「クランクインが12日となっております。 当初の予定よりも 2日 後ろ倒しになりまして 空いた時間で イタリア語やアクションの…。」
<もうすぐ14時。 この打ち合わせが終わったら 休憩に入るはず…>
藤浦「ミワさん。」
ミワ「は… はい。」
藤浦「あの 買い物をお願いできるかしら。」
ミワ「あっ はい…。」
藤浦「急ぎでお願い。」
ミワ「はい。」
藤浦「失礼しました。」
寝室
池月「これでよし と。」
一駒「あっ あと10分。 じゃあ 片づけしちゃいましょ。」
<結局 この時間まで渡せなかった。 海外ロケに出かける直前に こんな一介の家政婦の話なんて 迷惑でしかないけど…。 でも言うなら今しかない。 16時50分。 八海サマが打ち合わせを終える時間。 これから10分がラストチャンス>
池月「あれ? この部屋の時計 止まってない?」
ミワ「えっ…。」
一駒「やだ。」
池月「八海さん もう出発する時間です。」
ミワ「ホントだ。」
池月「スーツケース 外に運びましょう!」
ミワ「あ… はい!」
<ええっ ウソでしょ~!>
園庭
藤浦「早く 急いで下さい。 ちょっとミワさん! ミワさんの荷物 一番奥に入れなきゃいけないんだから。 急いで。」
ミワ「ああ…!」
池月「せ~の。」
リビング
(ノック)
ミワ「失礼します。 いない。」
<八海サマ… どこ?>
書斎
(ノック)
ミワ「失礼します。」
<何でだろう… 八海サマがいないことに ホッとしている自分がいる>
八海「ミワさん?」
ミワ「八海さん…。」
<今だ… 今 全てを打ち明けるしかない>
八海「ミワさん ちょっと長い留守になりますが よろしくお願いします。」
ミワ「あの… 八海さん。」
<これで 全部終わりなんだ…>
八海「はい。」
<これで>
ミワ「あの…。 これを… 読んで頂けませんか。」
八海「ミワさんの口から 聞かせてもらえませんか。」
ミワ「え…?」
八海「何か そのほうがいい気がして。 お願いします。」
ミワ「私は…。 私は… 美羽さくらではありません。 久保田ミワといいます。 今まで 家政婦になりすましていました。」
八海「…そうなんですか。」
ミワ「語学のスキルも 栄養士の免許も 何も持ってない ただの映画オタクです。 ここの家政婦になるはずだった 美羽さくらさんが事故に遭ってしまって それを見て 代わりに なりすますことを 思いつきました。」
ミワ「八海さんのそばで働くのが 夢のようで 楽しくて 引き返すことができませんでした。 本当に 申し訳ございませんでした。」