あらすじ
久保田ミワ(松本穂香)は奇跡的に身バレの危機を脱した。ミワは藤浦(山口紗弥加)に、SNSチャンネルの開設を渋る八海(堤真一)を説得してほしいと頼まれる。若い世代に八海崇の偉大さを伝えるためにはSNSは必要だというミワの説得に八海は納得。チャンネルが開かれるとたちまち10万人のフォロワーに支持されるが美羽さくら(恒松祐里)は情報管理の甘さを危惧する。ある日ミワの正体をさらすような投稿が書き込まれ…。
第19回ネタバレ
八海邸
控え室
関口「美羽さん?」
ミワ「今… 今 渡します。」
関口「どうしました?」
関口「ありがとうございます。 美羽さくらさん ですね?」
ミワ「あ… はい。」
関口「顔と名前…。 はい 覚えました。」
ミワ「…え?」
関口「私 先月 中途採用で入ったばかりの 新人なんです。 まだ いろいろ勉強中ですが よろしくお願いします。」
ミワ「お願いします…。」
関口「あっ これ もらっちゃいますね。 じゃあ ちょっと やってみます。」
ミワ「お願いします…。」
<私は なんて悪運が強いのだろう。 これも 神のおかげに違いない>
<そして2週間後 八海サマが海外ロケから帰ってきた>
廊下
3人「おかえりなさいませ。」
八海「お疲れさまです。」
<はあ… 2週間ぶりの八海サマ!>
ミワ「お持ちします。」
八海「いえ 結構です。」
ミワ「えっ…。」
<私 また調子に乗った?>
藤浦「ミワさん ちょっと。」
ミワ「はい。」
<久しぶりの緊張感… 私 何か やったっけ?>
ミワ「な… 何でしょうか?」
藤浦「ミワさんって SNSやってる?」
ミワ「はい?」
藤浦「SNS。」
ミワ「あっ SNS… はい 見るだけですが。」
藤浦「八海のスタッフアカウントを1つ作って 運用していくことにしたの。」
ミワ「はあ。」
藤浦「映画のプロモーションや宣伝を中心に やっていくんだけど 八海は乗り気じゃないのよ。」
ミワ「そうなんですか。」
<八海サマが恐らく気にされているのは SNSを通じて近くなる ファンとの距離感>
藤浦「ミワさんは どう思う?」
ミワ「そうですね… きっと ファンの方は お仕事に関する情報は知りたいけど ご本人の日常までは 知りたくないというか きっと 想像にとどめておきたいんじゃないでしょうか。」
藤浦「私も そう思う。 メイキングやオフショットはやるんだけど 私生活に踏み込むつもりはない。」
ミワ「いいと思います。」
藤浦「ミワさん。 説得してくれない?」
ミワ「えっ…。」
藤浦「公式SNSは あったほうがいいって。」
ミワ「分かりました…。」
藤浦「頼んだわよ。」
<いや 了解しちゃったけど 私なんかが神を説得なんて そんなこと許されるのだろうか?>
八海「ミワさんらしくないですね… かっかりしました。」
<ああ… 出過ぎたまねをして 失望されたくない>
控え室
池月「ミワさん。 ミ・ワ・さん!」
ミワ「はい。」
池月「藤浦さんに何で呼ばれてたの?」
ミワ「あ…。」
<二人に 言うべきかどうか…>
一駒「私たちに隠し事はやめてね。」
<よ… 読まれてる!>
ミワ「八海さん公式のSNSを始めるらしくて その説明を受けました。」
池月「へえ~ 何でミワさんだけに?」
一駒「私たちだって SNSやってるのにねえ。」
池月「そっか…。」
一駒「炎上しないか心配じゃない?」
池月「ですね。 あとは今までのイメージが崩れないか。」
一駒「イメージ?」
池月「だって もし 八海さんのつぶやきが おじさん構文だったら…。」
2人「イヤ~!」
書斎
ミワ「ふう…。」
(ノック)
八海「どうぞ。」
ミワ「失礼します。」
八海「留守中 大掃除して下さったんですよね。 この部屋も片づけて頂いて ありがとうございます。」
ミワ「いえ とんでもありません。」
<自然に切り出すタイミングがない…>
八海「SNS…。」
ミワ「え?」
八海「ミワさんは 私がSNSを始めると言ったら どう思いますか?」
<しまった 先手を打たれた!>
ミワ「SNS… ですか。」
八海「まあ 例えば 日常で思ったことをつづったり もらったコメントに返したりするんです。」
ミワ「私は えっと… 好きじゃないです。」
八海「それは どうして?」
ミワ「俳優 八海 崇は ずっと 雲の上の存在でいてほしいんです。 私たちのところに 簡単に おりてきてほしくない。 例えば 寝転がってテレビを見たり お菓子を食べたり そういう日常は見たくないんです。」
八海「確かに。 私も安易に私生活をさらすことに 抵抗があるのかもしれません。 やはり SNSは やめておいたほうがよさそうですね。」
<あっ 違う そっちの説得じゃない>
藤浦「はあ…。」
<まずい…>
ミワ「あっ でも私は スタッフさんが 作品のプロモーションをするために SNSを使うのは賛成なんです。」
八海「え?」
ミワ「作品の情報がすぐに届くと 期待値が上がりますし。 宣伝のやり方としては 一般的だと思うので。 藤浦さんも 八海さんの私生活を さらす気はないみたいですから 大丈夫だと思います。」
八海「ただ本当に そこまでする必要があるんですかね。」
ミワ「え?」
八海「これまでどおり 雑誌や新聞の取材だけではダメですか。」
ミワ「はい… 足りないと思います。」
<どうしよう… あと何を言えば>
ミワ「私個人としては もっと若い世代にも 八海 崇のすばらしさを知ってほしいです。 そのためには SNSは やっぱり あったほうがいいと思います。」
八海「若い世代?」
ミワ「はい。 もう 八海さんを知らない世代が どんどん増えてきてるんです。」
回想
紀土「最近 見なくない? 消えた?」
回想終了
ミワ「それが 個人的には悔しくて。」
回想
紀土「八海 崇もさ オワコンだよな。」
回想終了
ミワ「八海さんは 決して オワコンじゃない。 SNSとかネットを見る若者が 単に知らないだけだと思うんです。」
八海「オワコン…?」
<しまった!>
ミワ「あ… いや 違うんです。」
八海「終わったコンテンツ…。」
ミワ「いや… いやいや そうじゃなくて えっと そうじゃないってことを SNSで 発信していきたいんだと思います 藤浦さんは!」
八海「じゃあ 食べたものを アップしなくていいんですね。」
ミワ「はい。」
八海「自撮りとか。」
ミワ「しなくていいと思います。」
八海「そうですか。 少し 安心しました。 分かりました。 藤浦さんと相談してみます。」
ミワ「はい。 コーヒーいれます。」
八海「お願いします。」
リビング
藤浦「では 撮ります。」
八海「はい。」
(シャッター音)
藤浦「本を少し上に上げて頂けますか?」
八海「本をですか?」
藤浦「ええ。」
(シャッター音)
藤浦「いいですね。」
(シャッター音)
藤浦「うわっ。 古書店の主人みたいです。」
八海「えっ?」
藤浦「ちょっと そんな雰囲気でお願いできますか?」
<そして SNSを開設した翌日>
八海「どうですか?」
藤浦「すごい。 あっという間に フォロワー10万人突破です。」
八海「それは いいんですか?」
ミワ「はい すごいです。 コメントもたくさん来てます。」
八海「あっ 海外ロケで撮った写真も 載せたらどうですか?」
藤浦「いいですね。 選びます。」
藤浦「(小声で)ありがと。」
ミワ宅
ミワ「今週の八海サマは 海外ロケから帰ってきて…。」
さくら「知ってる。」
ミワ「来月から始まる 八海 崇展に出す 衣装を選んで…。」
さくら「知ってる。」
ミワ「書斎の本棚を整理して…。」
さくら「知ってる。 全部SNSで見た。」
ミワ「さすが 早いです。」
さくら「あのSNS もしかして 久保田さんが絡んでるの?」
ミワ「いや あくまで私は お手伝いをしたり しなかったり。」
さくら「私は正直 見たくなかったな。」
ミワ「でも あれはあくまで スタッフさんから見た 俳優 八海 崇なんで。」
さくら「私が長年憧れて 追いかけてきた八海サマが こんなふうに消費されるのを 見たくなかった。」
<相変わらず さくらさん 強火…>
ミワ「こればっかりは時代もあるし 事務所の判断は しょうがないのかなって…。」
さくら「事務所は全然分かってないよ。」
ミワ「そう… ですかね。」
さくら「八海 崇は 簡単に会えなくていいんだよ。 スマホのアプリを開いて いつでもどこでも パッと出てきちゃダメなの。」
ミワ「それは 分かります。」
さくら「分かってない。」
<私に言われても…>
さくら「私はいつか うっかりスタッフがミスって 炎上したらどうしようとか そんなことばっかり気になってるよ。」
ミワ「それは まあ 私も…。」
さくら「でしょ?」
ミワ「映画のプロモーションを 兼ねてるみたいなので 期間限定だとは思いますけど…。」
さくら「期間限定… か。 は~ 何か変な汗かいた。 そっか… それなら しかたないか。」
八海邸
リビング
藤浦「ミワさん ごめん。 ボトルシップを いい感じに撮っといてもらえない? 後でアップするかも。」
ミワ「分かり…。」
藤浦「お願いね。 もしもし?」
ミワ「分かりました。」
藤浦「お待たせして すみませんでした。」
(シャッター音)
<私が撮った ボトルシップの写真の数々は 藤浦さんの手によって 後日アップされた>
ミワ「えっ…!? 鏡に映ってる!?」
<えっ どうしよう…。 こんなの ほかの家政婦さんとか 藤浦さんに見られたら…。 誰が こんなコメント…>
<え? また増えた。 どういうこと? もしかして 誰かが私を 陥れようとしている?>