ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第21回)

らすじ

久保田ミワ(松本穂香)は高熱のもうろうとした意識で聞いた八海崇(堤真一)の引退をにおわせる言葉が気になっている。美羽さくら(恒松祐里)にそれとなく相談するが結論は出ない。八海邸では八海と藤浦(山口紗弥加)が何やら深刻な様子でにらみ合っていた。一駒(片桐はいり)から頼まれて様子を探るが、とても二人に聞き出せる雰囲気ではない。八海から意見を聞きたいといわれ、ある番組の企画書を見せられたミワは驚くが…。

第21回ネタバレ

ミワ宅

八海「ミワさん。 実は… 前からずっと考えていたことがあって。」

ミワ「はい…。」

八海「そろそろ… 俳優をやめようかと。」

ミワ「…え?」

<えっ 八海サマが俳優を… やめる?>

ミワ「え… 夢? どっから どこまでが夢? そもそも 八海サマが来た辺りから おかしくない? こんな狭くて汚い家に 世界的な俳優が来るはずが…。 えっ! 来てる…。」

回想

八海「ミワさんの好き嫌いが分からなくて ゼリー20種類 とりあえず 全部買ってきました。」

ミワ『っていうことは…。』

八海「そろそろ… 俳優をやめようかと。」

回想終了

ミワ「いやいや それは さすがに…。」

(チャイム)

ミワ「はい どちら様ですか?」

さくら「おはよう。」

ミワ「さくらさん。」

さくら「えっ 大丈夫?」

ミワ「ああ はい 大丈夫…。」

さくら「仕事の前に言っておきたいことがあって。」

ミワ「…はい。」

さくら「ごめん 藤浦さんにバレたかも。」

ミワ「えっ!? バレたって どういうことですか?」

さくら「いや 昨日の夜 いきなり電話がかかってきて。」

回想

(着信)

さくら「はい!」

藤浦『もしもし ミワさん?』

さくら「あっ はい! どちら様ですか?」

藤浦『藤浦ですけど。 ミワさんのお電話ですよね?』

さくら「ミワさん…。 あ~ はい ミ… ミワです!」

藤浦『その後 体調はどうかと思って。 明日は来られますか?』

さくら「ああ…。 (せきこみ) そう… ですね い… 行きます!」

藤浦『声が変だけど 大丈夫?』

さくら「ああ で ぱが… で ぱが わ い…。 し… 失礼しま~す!」

(電話の切れる音)

回想終了

さくら「最初 誰かわかんなくて 何か テンション高く しゃべちゃった。 ごめん。」

ミワ「ええっ…。」

さくら「あっ 喉が やられてることになってるから。 じゃあ よろしく。」

ミワ「あっ さくらさん。 コーヒー 飲んでいきませんか?」

さくら「え?」

<昨日の出来事が夢なのか そうじゃないのか。 もし 本当だとしたら 一人で抱えきれる内容じゃない…>

さくら「ありがと。 どうしたの? 何かあったんだね。」

ミワ「あの… 友達の話なんですけど。」

さくら「うん。」

ミワ「昨日 うちに来て しゃべってて その子が 仕事辞めようかなって 言ってたんです。」

さくら「うん。」

ミワ「私は 続けたほうがいいんじゃないかな って思うんですけど でも 無責任なことは言えなくて。」

さくら「うん。」

ミワ「友達に どう言ってあげたらいいと 思いますか?」

さくら「それって 久保田さんの話?」

ミワ「えっ?」

さくら「こういう時の『友達の話』って 大体 自分の話でしょ?」

ミワ「あ… 違います。 私は 今の仕事 辞めたいとか思ってないので。 いや ホントに。」

さくら「でも… 久保田さん 友達いないよね?」

ミワ「わ… 私にだって 友達の一人や二人 います。」

さくら「ホントに?」

<さすが さくらさん 鋭い>

さくら「まあ 本人が辞めたいって言うなら 他人がとやかく言うことじゃないでしょ。 応援してあげるしかないよ。」

ミワ「やっぱり… ですよね。」

さくら「でも その人が ほかに代わりのきかない 特別な仕事をしてるなら別だけどね。」

ミワ「ああ…。」

さくら「だって その人だけの問題じゃないでしょ。 周りにも影響あるわけだから。 場合によっては 全力で止めるかな。 で 誰の話?」

ミワ「と… 友達の話です。」

八海邸

控え室

ミワ「よし。」

キッチン

ミワ「おはようございます。」

一駒「おはようございます。」

池月「ミワさん 体調はどう?」

ミワ「はい おかげさまで もう すっかり治りました。」

一駒「疲れがたまってたのかもしれないわね。」

ミワ「ご迷惑をおかけしました。」

池月「ううん。」

池月「ねっ 藤浦さん ピリピリしてた?」

ミワ「あ… いえ 今日は まだお会いしてないですけど。 何かあったんですか?」

一駒「今 ご主人様と… なのよ。」

ミワ「えっ… 何でですか?」

一駒「私も詳しいことは分からないんだけど リビングから言い争ってるのが 聞こえてきたから。」

池月「やっぱり SNSのことじゃないですか?」

一駒「そうね。 ご主人様は極力そういうのは やりたくないっていう人だし 藤浦さんは それじゃ 映画の宣伝にならないって焦ってるし。」

池月「そんなことで ギスギスしないでほしいよね。」

一駒「ミワさん。」

ミワ「はい。」

一駒「二人が 何で もめてるか 探ってきてくれる?」

ミワ「えっ? いや… え~。」

リビング

(ドアの開閉音)

ミワ「失礼します。」

<この緊迫した空気… ただごとじゃない>

ミワ「あっ! あっ 失礼しました。」

(ドアの開く音)

<一駒さん!>

八海「もう この話は終わりにしましょう。」

藤浦「まだ終わっていません。」

八海「私が決めたことです。」

藤浦「勝手に決めないで下さい。 これまでも 二人で話し合ってきたじゃないですか。」

<もしかして…>

回想

八海「そろそろ… 俳優をやめようかと。」

回想終了

<藤浦さんに打ち明けたのだろうか>

藤浦「ミワさん。」

ミワ「は… はい。」

藤浦「もう体調は大丈夫なの?」

ミワ「はい。 (せきばらい) 今朝は お電話ありがとうございました。」

藤浦「電話したの ゆうべだけど。」

ミワ「あっ そうでした! すいません。 (せきばらい)」

<まずい…>

藤浦「まだ本調子じゃなさそうね。 無理しないように。」

ミワ「はい。 失礼します。」

(ドアの閉まる音)

キッチン

ミワ「はあ… 息が詰まりました。」

一駒「いや 思ったより事態は深刻ね。」

池月「何か分かりました?」

一駒「ご主人様は 話を終わらせたがってた。 もう自分で決めたことだからって。 ねえ?」

ミワ「はい…。」

池月「え~ 何を決めたんだろう。 新しい映画のオファーとかですかね。」

一駒「いや そういう類いの話ではないわね。 もっと深刻な感じ?」

ミワ「ですね。」

池月「SNSは もうやりたくないとか?」

一駒「SNSか…。」

池月「最近なりすましのアカウントも増えたし。」

ミワ「なりすまし?」

池月「ほら 『八海 崇』で検索したら いっぱい ニセモノのアカウントが出てくるの。 中には フォロワー3万人とかのやつもあって。」

一駒「あきれた! なりすましなんて 何でやるのかしら。」

ミワ「…本当に。」

池月「承認欲求とか自己啓示翼… なんですかね?」

<私の場合は ただ八海サマのそばにいたいという あさましき欲望>

一駒「ミワさん。」

ミワ「はい。」

一駒「どう思う? なりすましって。」

ミワ「…最低だと思います。」

藤浦「お茶を一杯もらえる?」

ミワ「あっ か… かしこまりました。」

<ファンの間で知られているのは 八海サマの仕事を最終的に決めているのは 藤浦さんで 八海サマも 彼女に 全幅の信頼を寄せているという話。 それが ここにきて その関係性に 変化が起きているのだろうか>

藤浦「明日から 敷地全体の清掃を強化します。 ほこりひとつ残らないよう 徹底してお願いしますね。」

一駒「はい。」

池月「はい。」

ミワ「はい。」

池月「大掃除したばっかりなのに…。」

一駒「はあ… こっちにまで ピリピリしないでほしいわね。」

書斎

ミワ「どうぞ。」

八海「ああ ありがとうございます。」

ミワ「あの… 昨日は ゼリー ありがとうございました。」

八海「こちらこそ 突然お邪魔しまして。 風邪は もう大丈夫ですか?」

ミワ「はい おかげさまで。」

八海「それはよかった。」

ミワ「失礼します。」

八海「あの… ミワさん。」

ミワ「はい。」

八海「ミワさんのご意見を伺ってもいいですか。」

ミワ「あ… えっ。」

<SNSの件か はたまた ご自身の進退についてか…>

八海「これなんですが。」

ミワ「えっ… 『プロフェッショナル』?」

八海「先日 この番組の 出演のオファーを頂いたんです。 ご覧になったことはありますか?」

ミワ「あっ はい。」

八海「私は ほとんど見たことないんですが。」

ミワ「ああ…。 その道の第一線で活躍されている方が 取り上げられるんです。 ふだん テレビで見られないような 職人さんとかも。」

八海「ああ なるほど。」

<これに出るかどうかで悩んでいたのか。 確かに この番組は 仕事以外のプライベートにも 密着しているイメージ。 藤浦さんは やらせたいけど 八海サマは乗り気じゃない ということ?>

ミワ「長期間にわたって密着されるので なかなか大変そうですよね。」

八海「ええ。」

ミワ「見ているほうは 仕事のやりがいとか 苦労が分かって楽しいですけど。」

八海「この件に関して 藤浦さんと 意見が真っ二つに分かれてしまって。 これまで仕事のオファーは 最終的に彼女の判断を任せていました。 それが最近 果たして それでいいのかと 考えるようになってしまって。 もちろん 彼女を信頼してないわけでは ないんですが。」

ミワ「はい。 番組出演のオファー お断りするんですか?」

八海「いえ 受けようと思ってるんです。」

ミワ「えっ!?」

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