ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第24回)

らすじ

久保田ミワ(松本穂香)は天真爛漫な五十嵐凛(伊藤万理華)に振り回され、凛とバー「らすべがす」で一緒に飲むことになる。オタクの超記憶力を発揮して凛と仲良くなったミワだったが、店の外で二人は粗暴な男たちにからまれてしまう。その窮地を救ったのは先日八海邸を訪れた泉(市川知宏)だった。一方、密着取材が続く八海邸では、藤浦(山口紗弥加)と打ち合わせをしていた八海崇(堤真一)が突然俳優を辞めたいと言いだし…。

第24回ネタバレ

八海邸

控え室

藤浦「私は反対だったのよ。 この仕事。 でも 八海の中で 何か心境の変化があったみたい。 私には話してくれないけど。」

ミワ「藤浦さんにも お話しにならないんですね。」

藤浦「何か寂しいよね。 長い間 推してきた人に そっぽ向かれたみたいで。」

書斎

ミワ「私の家で 八海さんがおっしゃったこと… なんですが。」

八海「あの時 私 何か言いましたか?」

ミワ「え?」

廊下

ミワ「えっ。 あっ…。」

<若手ナンバーワン女優 五十嵐 凛! 世界の映画界で輝く アジアの至宝!>

凛「ねえ ちょっと聞いていい?」

ミワ「あっ はい はい。 何でしょうか。」

凛「何か 撮影が押してるから 先 ここに行っててって 言われたんだけど 場所 忘れちゃった。 知ってる?」

ミワ「らすべがす… はい 分かります。」

凛「じゃあ 一緒に来てくれない?」

ミワ「えっ?」

BAR・らすべがす

<新宿の飲み屋街の片隅にある 小さなバー。 らすべがす>

ミワ「ここです。」

凛「ああ ここか。」

<私はここに 八海サマと一度だけ来たことがある>

回想

シラー「表に出ろ 八海。」

八海「しょうがないですね。」

(拍手)

ミワ「まさか お二人のバトルを 生で見られるとは思っていなかったので。」

シラー「君は一体 何者なんだ?」

回想終了

<あの時は シラー監督とも 話をすることができて 夢のような時間だった。 怖かったけど>

ミワ「あっ こんばんは。」

ゆき「いらっしゃいませ。 あっ 久しぶり。」

凛「あ~ ゆきさん 久しぶり!」

ゆき「珍しい組み合わせだね。」

ミワ「あっ 私は今日 凛さんを ここにお連れしただけなので。」

凛「えっ いいじゃん いいじゃん。 飲もうよ 一緒に。」

ミワ「いや あの…。」

凛「飲も飲も! ビール2つ!」

ミワ「ホントに私は すぐに…。」

凛「どっかで会ったことある気がするんだけど 気のせいかな?」

ミワ「ああ 一度だけ撮影所で。 あの ミワと申します。」

凛「あ~! 何の撮影だっけ? 忘れちゃった。 ははは!」

ミワ「すいません…。」

凛「えっ 何で謝るの? ミワさん悪くないじゃん。」

ミワ「あ… はい。」

凛「えっ 何? ホントに分かんないんだけど。」

ミワ「すいま…。」

<まずい また謝ろうとしてしまった>

凛「はあ… また こんな感じになっちゃった。」

ゆき「こんな感じって?」

凛「こないだの撮影でもさ 思ってること そのまんま言ったら 現場 凍っちゃったんだよね。」

ゆき「何て言ったの?」

凛「相手の女優さんに 『その芝居おかしくない?』って 言っただけなんだけど。」

ミワ「えっ…。」

ゆき「その人 大女優だったんだ?」

凛「…だったみたい。」

ゆき「海外みたいに ダイレクトな表現に慣れてないからね。」

凛「それがさ 向こうでもやっちゃうんだ 私。」

ミワ「あっ。」

<この人もきっと 八海サマと同じように 孤独を背負っている。 クリエイティブな世界に携わる者だけが 味わう 孤独な世界>

回想

八海「諦めろ お前には無理だ。」

回想終了

<己と向き合い 自問自答を繰り返す自分だけの道。 そこに 誰も救いの手を差し伸べてはくれない>

凛「あっ そうだ さっき八海さんちに 越乃さん来てたでしょ。」

ミワ「はい 対談されてました。」

凛「こないだの撮影でさ 越乃さんに来てた差し入れ 私 バカバカ食べちゃって 何か おわびにプレゼントしたいんだよね。」

ミワ「おわび… ですか。」

凛「うん。 それで考えたのが 越乃さんが昔 映画の中で食べてたお菓子! すっごい古い映画なんだけど 泣きながら おいしそうに食べてるシーンがあって。」

ゆき「それは何ていう映画?」

凛「それがさ 忘れちゃったんだよ。 短いシーンなんだけど 泣きながら おいしそうに食べてて。」

ゆき「全然ヒントが増えてないけど。」

凛「だよねえ。 私も全然覚えてないの。」

<あっ…>

回想

回想終了

凛「ミワさん どした?」

ミワ「あっ 森七の最中… だと思います。」

凛「えっ 何?」

ゆき「森七の最中?」

ミワ「はい あの…。」

凛「えっ ウソ! これ これ! 何で分かったの?」

ミワ「一応 映画を見る時は メモに取るので 越乃さんが泣きながら食べてたっていう ヒントから。」

凛「ミワさんって何者?」

ミワ「えっ?」

凛「だって 家政婦って言いながら 撮影現場にも来るし ここにも来るし 古い映画の そんなワンシーンも 覚えてるなんて。」

ミワ「私は ただの映画オタクです。 それ以上でも それ以下でもなくて。」

凛「ふ~ん。 面白いね ミワさんって。」

ミワ「えっ?」

(ドアベル)

ゆき「いらっしゃい。」

<八海サマ!?」

凛「あ~!」

「おお 凛ちゃん!」

凛「久しぶり! 元気だった?」

「元気だった。 いや~ でも やっぱり ますます きれいになったな。」

凛「でしょ? えっ この店 よく来るの?」

「初めてなんだよ。」

凛「へえ~。」

「うちのスタッフにね 勧められて来たんだけどさ いいね。」

凛「へえ~。 でも私 今日 取材なんだ。」

「そうか それじゃ 邪魔するわけにいかないもんな。 取材 頑張って。」

凛「はい 頑張りま~す。」

「ジントニック。」

ゆき「はい。」

ミワ「(小声で)お知り合い ですか?」

凛「多分ね。 誰だか忘れちゃった。」

ミワ「えっ…。」

凛「多分 前に撮影でご一緒した シンガーの方かな…。」

ミワ「ハグされてたので てっきり親しいのかと。」

凛「するでしょ ハグぐらい。」

<そっか… 海外でハグは挨拶。 なのに私は…>

回想

<舞い上がり 失神し 勝手に男女の関係に結び付けて…>

回想終了

<恥っず! なんて恥ずかしい人間なんだ 私は!>

凛「ミワさんってさ。」

ミワ「は… はい。」

凛「ガチ勢でしょ。」

ミワ「ガ… ガチ勢?」

凛「最近覚えた日本語。 ミワさん 映画ガチ勢でしょ。 だって詳しすぎるもん。」

ミワ「そうですかね…。」

(着信)

ミワ「あ… あの ちょっと すいません。」

ミワ「もしもし。」

八海『八海です。 凛さんを らすべがすに案内して頂いたようで ありがとうございます。』

ミワ「いえいえ。 凛さん 中で八海さんをお待ちです。」

八海『あと少しで そちらに向かいます。』

ミワ「承知しました。 お気を付けてお越し下さい。」

八海『では。』

ミワ「失礼します。」

「ねえちゃん ねえちゃん。 さっき 五十嵐 凛と歩いてなかった?」

「いたよね?」

ミワ「いや 私は ちょっと…。」

「どこで飲んでんの? 連れてってよ。」

ミワ「いや その…。」

<私はどうなろうと 凛さんに 絶対会わせちゃいけない人たちだ>

ミワ「すいません。」

「ちょ 待てよ!」

ミワ「やめて下さい!」

凛「ミワさん! 大丈夫?」

「おう 五十嵐 凛じゃねえか!」

凛「えっ なに 知り合い?」

ミワ「違います。 逃げて!」

「いや 逃げてって 俺たち 別に何もしてねえのによ ひどくねえあか?」

凛「ごめん。 私の友達に手出さないでくれる?」

「何だよ 別に ただ一緒に飲もうっつってるだけだろ? いてててて…。」

凛「Keep your hands off me」

「クソッ…。」

凛「ミワさん 逃げていいよ。」

ミワ「そんな… 凛さんを置いていけません。」

凛「私一人で十分だよ こんなの。」

「ゴチャゴチャ言ってんじゃねえぞ。 ごるぁあ! 何だ てめえ! あ~!」

ミワ「えっ!?」

泉「大丈夫ですか?」

ミワ「泉さん…。」

凛「知り合い?」

回想

泉「無事に… 組を抜けることができました。 八海さんのおかげです。 ありがとうございました!」

回想終了

「おい 誰だ てめえ! 邪魔してんじゃねえぞ!」

「兄貴。」

泉「この人は… ミワさんは俺の恩人なんです。」

「はあ?」

泉「ここは引き下がってもらえませんか。」

「誰だ てめえ。 ぶっ殺すぞ!」

泉「覚悟はありますか?」

「ああ?」

泉「力ずくで やりたいことをやって 人を従わせて その代償は… その先に行く覚悟はありますか?」

「おい 何言ってんだ てめえ。」

「兄貴。」

「あぁん?」

「こいつ 山本さんとこの…。」

「マジか。 何だよ めんどくせえな。 おい 行くぞ。」

「はい。」

ミワ「えっ…。」

凛「あ~ びっくりした… 東京 怖っ。」

ミワ「泉さん…。」

泉「おけが ありませんでしたか?」

ミワ「泉さんこそ…。」

泉「こんなのは どうってことないですよ。」

ミワ「お元気でしたか。」

泉「ええ。 あれから地元に帰って 仕事にも就いたんですけど やっぱり素性を知られると いられなくなってしまって。 やっぱりダメですね。 一度 過ちを犯した人間は 人が許してくれても 世間が許しちゃくれない。」

ミワ「そうだったんですね。」

泉「でも 組に戻ったわけじゃないですよ。 今は バーテンダーの修業をしてます。」

ミワ「よかったです。」

泉「八海さんとミワさんには 本当に感謝してます。 こんな形ですけど 少し恩返しができてよかった。」

ミワ「泉さん…。」

凛「あ~ 八海さんの知り合い? もうすぐ ここに来るよ 八海さん。」

ミワ「はい 会っていかれたらどうですか?」

泉「いえ… もっと誇れる自分になってから 会いに行きます。」

凛「かっこいいね。」

ミワ「…ですね。」

八海邸

藤浦「時間は9月8日 午後イチのスタートで 進めます。 では 明日もよろしくお願いします。」

八海「藤浦さん。」

藤浦「はい。 何ですか?」

八海「俳優を… やめたいと思うんですが。」

藤浦「え?」

モバイルバージョンを終了