ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第25回)

らすじ

久保田ミワ(松本穂香)は美羽さくら(恒松祐里)と一緒に見たドキュメンタリー番組で八海崇(堤真一)の引退宣言を聞く。ショックを受ける二人。さくらは八海の引退の理由を探るようミワに命じる。八海邸では池月(小泉もえこ)も驚いていた。ミワが藤浦(山口紗弥加)に事の経緯を尋ねると、藤浦は初めてミワをお酒に誘う。藤浦が元々は八海の熱烈なファンだったことや、ミワが来てから八海が変わったのだと本音を漏らして…。

第25回ネタバレ

八海邸

リビング

藤浦「時間は9月8日 午後イチのスタートで進めます。 では 明日もよろしくお願いします。」

八海「藤浦さん。

藤浦「はい。 何ですか?」

八海「俳優を… やめたいと思うんですが。」

藤浦「え?」

八海「今 入っている仕事を最後に 引退しようと思います。」

藤浦「すみません カメラを止めて頂いていいですか?」

ディレクター「では いったん止めます。」

BAR・らすべがす

ゆき「遅かったね。」

凛「何か 変なやつらに絡まれちゃった。」

ゆき「えっ 大丈夫?」

凛「I‘m fine. I’m doing fine. ミワさんってさ 見かけによらないよね。」

ミワ「えっ?」

回想

「兄貴。」

泉「この人は… ミワさんは俺の恩人なんです。」

「はあ?」

泉「ここは引き下がってもらえませんか。」

回想終了

凛「まさか ヤクザと知り合いだったなんてね。」

ミワ「いや… あの人は違います。」

凛「えっ そうなの?」

ミワ「昔 八海さんの映画に出ていた 俳優さんなんです。」

凛「え~。」

ミワ「もう やめちゃったんですけど。」

凛「そっか やめちゃったんだ。」

ミワ「はい。」

凛「はあ…。 私も いつまでやれんだろ。」

ゆき「凛さん まだ若いじゃない。」

凛「だってさ 次から次に 新しい人 出てくるんだよ。 八海さんみたいに 長く続けられる人なんて ほんの一握りなんだから。」

ゆき「八海さん 遅いね。」

凛「もう ホントだよ。 ハイボール!」

八海邸

リビング

藤浦「密着取材を受けるなんて 変だと思ってました。 そういうの 今まで ずっと断ってきたから。 カメラの前で やめるって言いたかったんですね。」

八海「こうでもしないと なかなか ふんぎりがつかなかったんです。」

藤浦「私に何の相談もなく。

八海「相談したら 止めるでしょ。」

藤浦「止めますよ。」

八海「まあ あなたの仕事は 私に仕事をさせることですからね。」

藤浦「理由は何ですか?」

八海「理由は一つではありません。 ただ 俳優としては もう 十分やってきましたから。 引き際を自分で決めるとしたら 今なんじゃないかと。」

藤浦「私は納得できません。 それに 責任者である私を無視して 独断で話を進めるなんて ありえません。 今のを放送するかどうかだって 決めるのは私です。」

八海「藤浦さん。」

藤浦「また ゆっくり話を聞きます。」

BAR・らすべがす

(着信)

ミワ「あ… あっ ちょっと すいません。 はい ミワです。 あっ お疲れさまです。 えっ?」

凛「誰? 八海さん?」

ミワ「今日の撮影 中止です。」

凛「代わって。 もしも~し 八海さ~ん 私 もう ベロベロなんだけど。」

<神の身に 何か よからぬことが起きている。 私は そう直感して>

八海邸

リビング

藤浦「う~ん…。」

<撮影が終わってから 八海サマと藤浦さんが話している姿を 見なくなった>

書斎

ミワ「失礼します。」

<そして私も 八海サマと ほとんど言葉を交わしていない>

控え室

一駒「いよいよ今日放送ね 『プロフェッショナル。』」

池月「あっ 今日か。 忘れてました。」

一駒「まあ 私たちなんて ちょっとしか映ってないだろうけど。」

池月「まあ 八海さんが主役ですからね。」

ミワ「何かあったんですかね 八海さんと藤浦さん。」

池月「ああ… 何か 空気重いよね。」

一駒「ひょっとして藤浦さん あんまり映ってないのかしら。」

池月「え~ そんな理由ですか。」

ミワ「じゃあ お先に失礼します。」

池月「お疲れさま。」

一駒「お疲れさま。」

ミワ宅

<はあ… 一人で見るの 怖いな>

さくら「おかえり。」

さくら「始まるよ。」

ミワ「…はい。」

<正直 一人で見る自身がなかったので さくらさんがいてくれて よかった>

<そして 番組は始まった>

テレビ『ボトルシップ作りは 彼にとって 欠かせないルーティーンの一つだ』。

テレビ・八海『かわいいでしょう』。

さくら ミワ「かわいい~!」

テレビ・八海『ふう…』。

さくら「ん~ ヤバい!」

さくら「何か不思議だよね。 事故に遭わなきゃ ホントは私があっち側にいたんだから。」

ミワ「はい…。」

さくら「あっ 別に 久保田さんを責めてるわけじゃないよ。 ほんのちょっとの違いで 人生変わるんだなって思っただけ。」

ミワ「はい。 あっ…!」

テレビ・ミワ『もう終わりましたので! すいません…』。

さくら「えっ あっ 久保田さん映った! えっ 待って… 何 あの動き。」

<そして 番組が終盤にさしかかった頃だった>

テレビ・八海『藤浦さん。 俳優を… やめたいと思うんですが』。

ミワ「え…。」

さくら「え…。」

テレビ・八海『今 入っている仕事を最後に 引退しようと思います』。

<私たちは番組が終わっても しばらく声を発することができなかった>

<こんなに落ち込むさくらさん 見たことがない…>

さくら「よし… 帰る。」

ミワ「もう遅いし 泊まっていきませんか。」

さくら「こんな八海サマだらけの部屋にいたら 余計に気がめいる。 やっぱり八海サマ 重い病気なんじゃないかな。」

ミワ「ふだん見ている限りでは お元気そうですけど。」

さくら「久保田さん。」

ミワ「はい。」

さくら「八海サマが引退する本当の理由 探ってよ。」

ミワ「…えっ。」

さくら「それが私からの 最後のミッション。 それじゃ。」

ミワ「ミッション… えっ。」

八海邸

寝室

池月「ねっ 昨日 放送見た?」

ミワ「はい。」

池月「引退するって びっくりしちゃった。」

ミワ「ショックです。」

池月「だから ここ最近 ピリピリしてたんだね。 藤浦さん。」

ミワ「八海さん どこか お体が悪いとかじゃないですよね?」

池月「ん… 毎年 健康診断 受けてるみたいだけど 特に問題ないって聞いてるよ。」

ミワ「それなら いいんですけど。」

池月「食事も いつもどおり召し上がってるしね。 別の理由があるんじゃない?」

ミワ「別の理由…。 一駒さんは 何かご存じですかね。」

池月「あの人 情報通だから 何か知ってるかもね。」

ミワ「聞いてみます。」

池月「あっ 待って。 今は やめたほうがいい。」

ミワ「えっ… どうしてですか?」

池月「一駒さん 番組に一瞬も映ってなかったの もしかしたら 気にしてるかも。」

ミワ「え… 一瞬も ですか?」

控え室

ミワ「あ… お疲れさまです。」

一駒「私 気を遣われるのは苦手なので 自分から言いますけど。」

ミワ「はい。」

一駒「先日の撮影では 私も家政婦の一人として 取材に応じたんですが 残念ながら 全部カットでした。」

ミワ「…そうですか。」

一駒「それでも私は 私の人生を生きていく。 お疲れさまでした。」

リビング

(ノック)

ミワ「失礼します。」

藤浦「今日は八海の帰りも遅いし 早めに上がってもらって大丈夫よ。」

ミワ「ありがとうございます。」

藤浦「お疲れさま。 何?」

ミワ「放送 見ました。」

藤浦「私も。 見てたら昔のこと思い出して 胃がキューッてなった。 何 暗い顔して。」

ミワ「引退するって 本当なんですか?」

藤浦「ふう…。 私も今日は終わろうかな。 ねえ 差し入れでもらった お酒があるんだけど 飲まない? ちょっとだけ。」

ミワ「はい 頂きます。」

キッチン

藤浦「私は今まで あなたを何度クビにしおうと思ったか 分からないわよ。」

ミワ「えっ…。」

藤浦「最初に ファンはNGって言ったでしょ」

ミワ「はい…。」

藤浦「ファンを入れると 危機管理 情報管理 あらゆる面において リスクがあるからなんだけど 思いっきりファンだから あなた。」

ミワ「はい…。」

藤浦「だけど 何だろう… あなたが来て 八海は変わった。」

ミワ「変わった?」

藤浦「うん。 前は もっと寡黙で 一人で抱え込んで 孤独に生きてるような人だったから。 だけど 最近はね 仕事について 随分 話してくれるようになったのよ。」

ミワ「それが 私と関係あるんですか?」

藤浦「あなたは 八海作品を全て知り尽くしてる。 そんなあなたを驚かせるためには 次に どんな映画を作ればいいか 真剣に考えるようになったんじゃない?」

ミワ「なるほど。」

藤浦「責任取ってよね。」

ミワ「えっ…。」

藤浦「八海がやめたら ミワさんのせいだから。」

ミワ「ええっ わ… 私の!?」

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